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公開番号2025177022
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-05
出願番号2024083488
出願日2024-05-22
発明の名称飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法及び飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正方法
出願人信越半導体株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類G01N 27/62 20210101AFI20251128BHJP(測定;試験)
要約【課題】 TOF-SIMSの質量較正に用いる較正用標準試料として、質量数の範囲が広く、質量精度が高い較正用標準試料を提供する。
【解決手段】 飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法であって、水中にポリテトラフルオロエチレン微粒子を投入して、ポリテトラフルオロエチレン微粒子と水の混合物を作製する工程と、前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子と水の混合物中にフッ素系界面活性剤を添加する工程と、前記混合物を撹拌して、前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子を水中に分散させることにより、前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子が水中に分散した水分散液を作製する工程と、前記水分散液をシリコンウェーハの表面に滴下して液滴を形成する工程と、前記液滴を乾燥して、飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料を作製する工程とを含む飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法であって、
水中にポリテトラフルオロエチレン微粒子を投入して、ポリテトラフルオロエチレン微粒子と水の混合物を作製する工程と、
前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子と水の混合物中にフッ素系界面活性剤を添加する工程と、
前記混合物を撹拌して、前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子を水中に分散させることにより、前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子が水中に分散した水分散液を作製する工程と、
前記水分散液をシリコンウェーハの表面に滴下して液滴を形成する工程と、
前記液滴を乾燥して、飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料を作製する工程と
を含むことを特徴とする飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法。
続きを表示(約 610 文字)【請求項2】
前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子と水の混合物中に前記フッ素系界面活性剤を添加する工程において、前記フッ素系界面活性剤を添加する容量比を、前記混合物に対して0.1~5%とすることを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法。
【請求項3】
前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子が水中に分散した水分散液を滴下するシリコンウェーハを鏡面シリコンウェーハとすることを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法。
【請求項4】
前記液滴の乾燥を、スピン乾燥で行うことを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法で作製した較正用標準試料を用いて、2次イオン質量分析装置を較正する較正方法であって、較正対象を正極の2次イオンとすることを特徴とする飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正方法。
【請求項6】
前記飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正を、質量数が12~981のフラグメントイオンから作成した質量較正曲線を用いて行うことを特徴とする請求項5に記載の飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法及び飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
飛行時間型2次イオン質量分析法(Time-Of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry。以下、TOF-SIMSと略称することがある。)は、試料最表面の微小領域における化学情報を得るために用いられている。表面化学種の同定のためには質量を正確に測定できることが重要である。質量分析法により分子量やイオンの質量を正確に測定するには、帰属可能なフラグメントイオンを用い、フラグメントイオンの実測値と理論値を基に較正曲線を作成する質量較正法が用いられる。一般的な質量較正法は、低質量のC



フラグメントイオンを用いた質量較正曲線を外挿し、高質量領域まで質量を較正するというものである。
【0003】
また、広い質量範囲で質量較正を行う質量較正法として、特許文献1のグルコースおよびその多糖類の混合物を用いた標準試料を用いた質量較正法がある。この方法は、糖類に起因するフラグメントイオンを用い、質量数が600以上の高質量領域で質量較正曲線を作成するものである。
【0004】
さらに、特許文献2の方法がある。この方法は、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと略称することがある。)を融点以上から600℃に加熱し、雰囲気温度が200~550℃において分子状フッ素、三フッ化窒素、フッ化ハロゲンまたは希ガスのフッ化物から選ばれた一種以上と接触させ、発生するガスを冷却することにより得られた低分子量PTFEからなる質量較正用標準試料を用いるものであり、CF

を基本構造とした質量数(m/z)50間隔の安定した質量スペクトルが得られる特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2005-292093号公報
特開平8-233781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコンウェーハ表面の汚染をTOF-SIMSで分析する際は、質量数12~250くらいまでの範囲の化学種を同定することが多い。このため、一般的な質量較正法では、低質量のC



フラグメントイオンを用いた質量較正曲線を外挿し、高質量領域まで質量較正するため、高質量側の質量実測値と理論値との乖離が大きく、質量精度が劣るため化学種の同定が困難であるという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に示すグルコースおよびその多糖類の混合物を用いた標準試料を用いた質量較正法では、糖類に起因するフラグメントイオンを用い、質量数が600以上の高質量領域で質量較正曲線を作成するため、低質量領域では質量実測値と理論値との乖離が大きく、質量精度が劣るため化学種の同定が困難であるという問題がある。
【0008】
特許文献2では、SIMSの質量校正用標準物質としてPTFEの微粉末をフッ素系溶媒に分散させて使用することもできることが記載されているが、分散した溶液をシリコンウェーハに滴下して乾燥させることは記載されていない。SIMSでは高真空中で測定が行われるため、溶液化した試料では溶液成分の揮発による測定チャンバー内の汚染や高真空下での測定対象物の揮発による試料の状態変化が起こる可能性がある。
【0009】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、飛行時間型2次イオン質量分析装置の質量較正に用いる較正用標準試料として、質量数の範囲が広く、質量精度が高い較正用標準試料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法であって、水中にポリテトラフルオロエチレン微粒子を投入して、ポリテトラフルオロエチレン微粒子と水の混合物を作製する工程と、前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子と水の混合物中にフッ素系界面活性剤を添加する工程と、前記混合物を撹拌して、前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子を水中に分散させることにより、前記ポリテトラフルオロエチレン微粒子が水中に分散した水分散液を作製する工程と、前記水分散液をシリコンウェーハの表面に滴下して液滴を形成する工程と、前記液滴を乾燥して、飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料を作製する工程とを含むことを特徴とする飛行時間型2次イオン質量分析装置の較正用標準試料の作製方法を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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