発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、信号処理装置、信号処理方法、及び信号処理プログラムに関する。 続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】 【0002】 従来、コンサートホールや劇場等の設計段階に行われる音響模型実験では、縮尺模型内のインパルス応答信号を計測し、完成後のホール等の音場(以下、「実物」ともいう。)の音響特性を予測する。縮尺模型内のインパルス応答信号から実物のインパルス応答信号が推定できれば、推定したインパルス応答信号を無響室において録音した楽音や歌唱等と畳み込むことにより、実物の音響状態を耳で聞いて確認することもできる。なお、本明細書では、このようなプロセスを縮尺模型内音場の可聴化という。 【0003】 音響模型実験の根幹を成す原理は相似則であり、模型の縮尺を1/S(S分の1)とすると、周波数は実物の場合のS倍、時間は1/S倍という関係を保ち、計測を行う必要がある。縮尺模型の典型的な縮尺は1/10~1/20程度であることから、人の可聴周波数(約20Hz~20kHz)を網羅しつつ、この関係を保持するには、超音波領域を含む広い周波数帯域が計測対象となる。インパルス応答信号の計測では、音源をインパルス信号等で駆動し、マイクロホンで収音したインパルス応答信号をA/D(アナログ/ディジタル)変換器により離散化してコンピュータに取り込む。ここで、離散化周期を1/S倍の値に読み替えると時間軸がS倍に延び、周波数帯域が1/S倍の帯域に遷移した、実物と同じスケールの信号が得られる。ただし、このインパルス応答信号は、実物の物理条件を完全には反映していない。 【0004】 それは、音波が空気中を伝搬する過程で、そのエネルギーの一部が、空気の音響吸収によって失われるためであり、この現象は空気吸収減衰と呼ばれ、周波数が高いほど顕著に現れることが知られている(一例として、「H. E. Bass, L. C. Sutherland, A. J. Zuckerwar, D. T. Blackstock, and D. M. Hester, “Atmospheric absorption of sound: Further developments,” J. Acoust. Soc. Am. 97 (1), 680-683 (1995).」参照。)。 【0005】 しかしながら、従来の音響模型実験による縮尺模型内音場の可聴化では、空気吸収減衰については考慮されていないため、必ずしも忠実に音を再現することができるとは限らなかった。 【0006】 この問題を解決するために、本開示の技術の提案者等による特許文献1に開示された技術があった。 【0007】 即ち、特許文献1には、より忠実に音響を再現することを目的とした信号補正装置が開示されている。 【0008】 この信号補正装置は、音の再現対象とする音場の縮尺模型によって得られたインパルス応答信号を予め定められた周波数帯域毎の帯域応答信号に分別する分別手段と、前記分別手段によって分別された帯域応答信号の各々毎に、空気によるエネルギーの減衰を補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された帯域応答信号を合成する合成手段と、を備えている。 【0009】 しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、帯域分割したインパルス応答を帯域の代表周波数の吸収係数を用いて時間軸状で補正するものとされており、周波数特性を正しく表現することができない、という問題点があった。 【0010】 そこで、本開示の技術の提案者等は、非特許文献1及び非特許文献2に開示されているインパルス応答に関する技術を提案した。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する