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公開番号2025161965
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-24
出願番号2025141262,2021056980
出願日2025-08-27,2021-03-30
発明の名称発酵乳及びその製造方法
出願人雪印メグミルク株式会社
代理人弁理士法人 もえぎ特許事務所
主分類A23C 9/12 20060101AFI20251017BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】特別な原料や設備を使用することなく、ホエイタンパク質含量が高く、口当たりのなめらかな発酵乳を製造することを課題とする。
【解決手段】乳タンパク質含量が、静置型発酵乳基準で5.2質量%以上であり、加熱変性していないホエイタンパク質及び加熱変性しているホエイタンパク質を含む、静置型発酵乳により、前記課題を解決することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
発酵乳の原料ミックス溶液を殺菌する工程と、
ホエイ素材溶液を殺菌する工程と、
殺菌後の発酵乳の原料ミックス溶液と殺菌後のホエイ素材溶液を混合する工程と
を含む、発酵乳の製造方法であって、
前記発酵乳の原料ミックス溶液が、ホエイタンパク質を含み、
発酵乳の原料ミックス溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性する条件であり、そして
ホエイ素材溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性しない条件である、
発酵乳の前記製造方法。
続きを表示(約 590 文字)【請求項2】
前記発酵乳が、静置型発酵乳である、請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
【請求項3】
発酵乳の原料ミックス溶液を殺菌する工程と、
ホエイ素材溶液を殺菌する工程と、
殺菌後の発酵乳の原料ミックス溶液と殺菌後のホエイ素材溶液とを混合する工程と
を含む、発酵乳の硬度上昇抑制方法であって、
前記発酵乳の原料ミックス溶液が、ホエイタンパク質を含み、
発酵乳の原料ミックス溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性する条件であり、そして
ホエイ素材溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性しない条件である、
発酵乳の硬度上昇抑制方法。
【請求項4】
発酵乳の原料ミックス溶液を殺菌する工程と、
ホエイ素材溶液を殺菌する工程と、
殺菌後の発酵乳の原料ミックス溶液と殺菌後のホエイ素材溶液とを混合する工程と
を含む、発酵乳の食感のなめらかさの向上方法であって、
前記発酵乳の原料ミックス溶液が、ホエイタンパク質を含み、
発酵乳の原料ミックス溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性する条件であり、そして
ホエイ素材溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性しない条件である、
発酵乳の食感のなめらかさの向上方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、静置型発酵乳及び発酵乳の製造方法に関する。更に詳しくは、なめらかな食感を有し、しかも特別な原料や設備を使用しない静置型発酵乳、及び発酵乳の製造方法に関する。本発明はまた、発酵乳の硬度上昇抑制方法及び発酵乳の食感のなめらかさの向上方法にも関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
発酵乳は、牛乳等の獣乳を原料とし、乳酸菌あるいは酵母又はその両者により発酵させたものである。近年、消費者の健康志向が高まっている。発酵乳は、腸内環境を整えるとされる乳酸菌類を摂取できる他、3代栄養素のひとつであるタンパク質を気軽に摂取できる食品として、需要が高まっている。その中で、高タンパク質を訴求した発酵乳商品が、増加する傾向である。発酵乳に含まれる乳タンパク質には、カゼインとホエイタンパク質がある。カゼインに比べて、ホエイタンパク質は、体内への吸収が早く、BCAA(Branched Chain Amino Acid;分岐鎖アミノ酸)が豊富に含まれる特徴がある。しかし、発酵乳において、ホエイタンパク質量を増加させると、製造時の熱安定性が低下することや、製品の硬度が高まり発酵乳本来の食感を損なうといった課題がある。
【0003】
タンパク質量を増加させた発酵乳の製造における殺菌時の熱安定性については、殺菌後に乳タンパク質を濃縮及び又は希釈する方法がある(特許文献1)。これによると殺菌時のタンパク質濃度は高値ではないことから、熱安定性の課題を解決することができる。
特許文献2では、不溶性ホエイタンパク質を30%以上含むホエイタンパク質素材を用いることで、ホエイタンパク質を高含量するが、低い粘度を有する高タンパク液体乳製品の調製方法が示されている。これによると、ホエイタンパク質を増加しても、製品の風味や食感を損なうような粘度上昇を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017-169491
特表2020-507330
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、殺菌後に濃縮及び希釈して発酵乳を調製する方法が示されているが、ホエイタンパク質の割合について、言及されていない。また、特許文献1の方法では、液状発酵乳に限られており、さらに、膜濃縮設備の導入が必要であるという課題がある。
特許文献2の方法では、発酵乳の粘度上昇を抑制するホエイ素材が示されているが、特定の高価な素材を購入する必要があるという課題がある。あるいは、当該ホエイ素材を独自に製造するための設備の導入が必要であるという課題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、静置型発酵乳において、口当たりのなめらかな発酵乳を得ること、しかも、当該発酵乳を、特別な原料や設備を使用することなく製造することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、発酵乳において、乳タンパク質含量を、発酵乳基準で5.2質量%以上とし、前記発酵乳が加熱変性していないホエイタンパク質及び加熱変性しているホエイタンパク質の両方を含むことで、発酵乳の食感がなめらかで口当たりがよくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、また、発酵乳の製造において、発酵乳の原料ミックス溶液の殺菌とは別に、ホエイ素材溶液を低温殺菌し、その後発酵乳の原料ミックス溶液とホエイ素材溶液を混合することで、発酵後の発酵乳の硬度上昇が抑制され、食感がなめらかで口当たりが良いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、原料を分けて殺菌して後に混合すると、工程数が増加し、製造工程が煩雑になる。また、歩留まりも低下する。本発明者らは、前記のような欠点があるにもかかわらず、本発明の製造方法に着想し、発酵後の発酵乳の硬度上昇が抑制され、食感がなめらかで口当たりが良いことを見出し、本発明を完成させたのである。
本発明は以下の構成を採用した。
【0007】
<1>
乳タンパク質含量が、静置型発酵乳基準で5.2質量%以上であり、加熱変性していないホエイタンパク質及び加熱変性しているホエイタンパク質を含む、静置型発酵乳。
<2>
乳タンパク質中のホエイタンパク質の割合が30質量%以上である、<1>に記載の静置型発酵乳。
<3>
硬度が6gw以上、30gw以下であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の静置型発酵乳。
<4>
発酵乳の原料ミックス溶液を殺菌する工程と、
ホエイ素材溶液を殺菌する工程と、
殺菌後の発酵乳の原料ミックス溶液と殺菌後のホエイ素材溶液とを混合する工程と
を含む、発酵乳の製造方法であって、
前記発酵乳の原料ミックス溶液が、ホエイタンパク質を含み、
発酵乳の原料ミックス溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性する条件であり、そして
ホエイ素材溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性しない条件である、
発酵乳の前記製造方法。
<5>
前記発酵乳が、静置型発酵乳である、<4>に記載の発酵乳の製造方法。
<6>
発酵乳の原料ミックス溶液を殺菌する工程と、
ホエイ素材溶液を殺菌する工程と、
殺菌後の発酵乳の原料ミックス溶液と殺菌後のホエイ素材溶液とを混合する工程と
を含む、発酵乳の硬度上昇抑制方法であって、
前記発酵乳の原料ミックス溶液が、ホエイタンパク質を含み、
発酵乳の原料ミックス溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性する条件であり、そして
ホエイ素材溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性しない条件である、
発酵乳の硬度上昇抑制方法。
<7>
発酵乳の原料ミックス溶液を殺菌する工程と、
ホエイ素材溶液を殺菌する工程と、
殺菌後の発酵乳の原料ミックス溶液と殺菌後のホエイ素材溶液とを混合する工程と
を含む、発酵乳の食感のなめらかさの向上方法であって、
前記発酵乳の原料ミックス溶液が、ホエイタンパク質を含み、
発酵乳の原料ミックス溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性する条件であり、そして
ホエイ素材溶液の殺菌条件が、ホエイタンパク質が加熱変性しない条件である、
発酵乳の食感のなめらかさの向上方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タンパク質含量が高く、口当たりのなめらかな発酵乳が得られる。しかも、発酵乳を特別な原料や設備を使用することなく製造できるので、工業的生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について以下に詳細に説明する。
【0010】
(発酵乳)
発酵乳は、「乳等省令」で、乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状又は液状にしたもの又はこれらを凍結したもの、と定義されている。本明細書において、「発酵乳」は、乳等省令で定める定義を適用する。
本明細書において、静置型発酵乳(後発酵型発酵乳、プレーンヨーグルト、ハードヨーグルト、セットヨーグルトとも呼ばれる。)とは、飲食用の容器に発酵原料を充填して後発酵させた発酵乳である。すなわち、飲食用の容器に発酵原料を充填してから発酵し、その後攪拌することなく市販に供する発酵乳である。タンパク質含量が、高濃度となるように原料を溶解した、あるいは膜装置など設備で予め濃縮した発酵原料にて調製した静置型発酵乳は、濃縮型発酵乳(ギリシャヨーグルト)とも呼ばれる。
発酵乳としては、一般に、静置型発酵乳以外に、攪拌型発酵乳(前発酵型発酵乳又はソフトヨーグルトとも呼ばれる)、液状型発酵乳などがある。攪拌型発酵乳とは、原料を発酵させて得られたカードを撹拌して破砕して得られる発酵乳であり、プレーンタイプのほか、果肉等の他の原料を混合した具入りタイプのものもある。
液状型発酵乳は、静置型発酵乳や攪拌型発酵乳を均質機などで細かく砕いて、液状の性質を高め、必要に応じて果肉やソースなどと混合してから、飲食用の容器に充填して市販に供する発酵乳である。液状型発酵乳は、ドリンクヨーグルトとも呼ばれ、液状(例えば、粘度が600mPa・s以下)である。前記粘度は、東機産業株式会社製等の一般的なB型粘度計を用い、100mlの試料を測定容器に分注し、測定プローブ(ローターM2又はM3)を挿入し、回転開始から30秒後の測定値を粘度(mPa・s)としたものである。この場合、粘度の測定は10℃で行う。
(【0011】以降は省略されています)

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