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公開番号2025172898
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-26
出願番号2025145873,2022552012
出願日2025-09-03,2021-09-22
発明の名称筋委縮予防剤
出願人雪印メグミルク株式会社
代理人弁理士法人 もえぎ特許事務所
主分類A61K 35/744 20150101AFI20251118BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】本発明は、身体活動を介さずとも直接筋合成を促進しまたは筋分解を抑制することで筋委縮を予防する新規な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】筋合成促進効果及び/又は筋分解抑制効果を有する乳酸菌、前記乳酸菌の処理物またはそれらの抽出物を有効成分とする、筋委縮予防剤であって、筋合成促進効果を有する乳酸菌がラクトバチルス・ガセリ等であり、筋分解抑制効果を有する乳酸菌がラクトバチルス・ロイテリ等である、前記筋委縮予防剤を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
筋合成促進効果及び/又は筋分解抑制効果を有する乳酸菌、前記乳酸菌の処理物またはそれらの抽出物を有効成分とする、筋委縮予防剤であって、
筋合成促進効果を有する乳酸菌がラクトバチルス・デルブレッキー、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトコッカス・ラクティス、及びラクトバチルス・ロイテリからなる群から選ばれるいずれか1種以上であり、
筋分解抑制効果を有する乳酸菌がラクトバチルス・デルブレッキー、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ムコーサエ、ラクトバチルス・ファーメンタム、ペディオコッカス・アシディラクティシ、及びからなる群から選ばれるいずれか1種以上である、前記筋委縮予防剤。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
筋合成促進効果及び筋分解抑制効果を有する乳酸菌がラクトバチルス・デルブレッキー・サブスピーシーズ・ラクティスである請求項1に記載の筋委縮予防剤。
【請求項3】
筋合成促進効果を有する乳酸菌がラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスまたはラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティスである請求項1に記載の筋委縮予防剤。
【請求項4】
筋合成促進効果を有する乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルス SBT1021A株(FERM P-10658)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス SBT1393株(NITE P-03278)、ラクトバチルス・ラムノーサス SBT2299株(NITE BP-02994)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス SBT2397株(NITE P-03080)またはラクトバチルス・ロイテリ SBT2970株(NITE BP-03282)である請求項1又は2に記載の筋委縮予防剤。
【請求項5】
筋分解抑制効果を有する乳酸菌がラクトバチルス・ロイテリ SBT2970株(NITE BP-03282)、ラクトバチルス・ムコーサエ SBT2958株(NITE P-02803)、ラクトバチルス・ムコーサエ SBT10038株(NITE P-03283)、ラクトバチルス・ムコーサエ SBT10043株(NITE BP-03187)、ラクトバチルス・ファーメンタム SBT1846株(NITE P-03279)、ラクトバチルス・ファーメンタム SBT1859株(NITE P-02996)、ペディオコッカス・アシディラクティシ SBT3331株(NITE BP-02991)またはである請求項1に記載の筋委縮予防剤。
【請求項6】
筋合成促進効果及び筋分解抑制効果を有する乳酸菌、前記乳酸菌の処理物またはそれらの抽出物を有効成分とする、筋委縮予防剤であって、筋合成促進効果及び筋分解抑制効果を有する乳酸菌が、ラクトバチルス・デルブレッキー又はラクトバチルス・ロイテリである前記筋委縮予防剤。
【請求項7】
筋合成促進効果及び筋分解抑制効果を有する乳酸菌がラクトバチルス・デルブレッキー・サブスピーシーズ・ラクティス SBT1371株(NITE AP-03277)、 ラクトバチルス・デルブレッキー・サブスピーシーズ・ラクティス SBT2002株( NITE BP-03280)またはラクトバチルス・デルブレッキー・サブスピーシーズ・ラクティス SBT2080株(NITE BP-03281)、またはラクトバチルス・ロイテリ SBT2970株(NITE BP-03282)である請求項6に記載の筋委縮予防剤。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の筋委縮予防剤を含む、筋委縮予防用の医薬品、飲食品、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養補助食品、サプリメント、又は飼料。
【請求項9】
新規乳酸菌である、ラクトバチルス・デルブレッキー・サブスピーシーズ・ラクティス SBT1371株(NITE BP-03277)、ラクトバチルス・デルブレッキー・サブスピーシーズ・ラクティス SBT2002株(NITE BP-03280)、 ラクトバチルス・デルブレッキー・サブスピーシーズ・ラクティス SBT2080株(NITE BP-03281)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス SBT1393株(NITE P-03278)、ラクトバチルス・ロイテリ SBT2970株(NITE BP-03282)、ラクトバチルス・ムコーサエ SBT10038株(NITE P-03283)およびラクトバチルス・ファーメンタム SBT1846株(NITE P-03279)。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、筋合成促進効果及び/又は筋分解抑制効果を有する乳酸菌、前記乳酸菌の処理物またはそれらの抽出物を有効成分とする、筋委縮予防剤に関する。また、当該筋萎縮予防剤を含有する筋萎縮予防用医薬品、飲食品、又は飼料に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
超高齢化が進展する日本において、平均寿命と健康寿命の乖離は喫緊の課題となっている。とりわけ加齢に伴う運動器の機能低下、いわゆるロコモティブシンドロームは高齢者のQOL(Quality of Life)を低下させる大きな要因の一つであり、介護負担や医療費増大の観点からも大きな問題となっている。運動器のうち、特に筋肉は、筋肉自身が持つ運動機能に加え、衝撃吸収作用や姿勢安定化作用を有しており、他の運動器の障害を予防するという観点からも重要な運動器である。しかし、筋肉量は30歳頃から減少を開始し、全身の骨格筋肉量が低下した状態であるサルコペニアに至るヒトの割合は加齢に伴って増大する。その割合は75歳~79歳の高齢者で25%程度、80歳以上では35%を超えるとする報告もなされている(非特許文献1)。そのため、高齢者において筋委縮を予防し、筋肉量を維持することは、健康寿命を延伸し、高齢者のQOLを向上させるうえで必要不可欠な要素である。
【0003】
若年者であっても、例えば傷害や疾病によって一時的な寝たきり状態となり筋肉への負荷が低下すると、容易に筋委縮は進行し、リハビリテーションや予後に悪影響を及ぼす。したがって、筋委縮を予防し筋肉量を維持することは高齢者に限らず、若年者のQOL向上にもつながる。
【0004】
筋肉量は筋合成と筋分解のバランスにより調整される。したがって筋委縮を予防するためには、筋合成を促進するか、または筋分解を抑制する方法が考えられる。特に、筋合成を促進すると同時に筋分解を抑制することができれば、より効果的に筋委縮を予防できる。
【0005】
ここで、筋委縮を防止し筋肉量を増加させる方法として筋力トレーニングを行い、それに加え、筋肉の原料となるタンパク質や、筋肉の合成シグナルを刺激する分岐鎖アミノ酸を摂取することが一般に推奨されている。また、特許文献1に記載の技術が存在する。特許文献1には、ラクトバチルス・ガセリ OLL2809株を有効成分とする身体活動促進剤によって、身体活動が促進され、筋肉量が増加することについて開示されている。その他、特許文献2には、筋芽細胞の増殖を促進し筋修復を促進するラクトバチルス属の乳酸菌株が開示されている。
また、特許文献3には、ラクトバチルス・カルバタスあるいはラクトバチルス・アミロボラスにAtrogin-1の発現によって引き起こされる筋肉の分解を抑制する作用があることが開示されている。
また、非特許文献2(Nutirients)には、ビフィズス菌に筋肉を増加させる作用があることについて開示されている。
【0006】
しかし、高齢者や寝たきり状態の患者が継続的に筋力トレーニングに取り組むことは現実的ではなく、タンパク質は筋合成においては専ら原料として働くのであって、タンパク質の摂取量を増やしたとしても、筋細胞における筋合成促進経路や分解抑制経路が活性化しなければその効果は限定的である。とりわけ高齢者においては分岐鎖アミノ酸に対する筋合成応答が減弱するとされており、筋委縮を予防するためには別途筋合成促進経路や分解抑制経路を活性化させる必要がある。
また、特許文献1は身体活動の促進に伴う副次的な効果として筋肉量を増加させるものであるが、直接筋合成を促進しまたは筋分解を抑制するものではない。特許文献2についても、損傷した筋の筋修復を促進させるものであって、筋合成を促進し又は筋分解を抑制するものではない。特許文献3は、筋肉の分解を抑制するものであるが限定的な2種類の乳酸菌が開示されるのみである。また非特許文献2は、特定のビフィズス菌に筋肉増加作用があることが開示されるのみで、乳酸菌に関する記載はない。
さらに上記いずれの文献にも、筋合成促進効果および筋分解抑制効果を併せ持つ乳酸菌については開示されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2016-84358
国際公開2019-230957
特許6339526号公報
【非特許文献】
【0008】
JAMDA 2013, 14, 911-915
Nutrients 2020, 12, 219
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、身体活動を介さずとも直接筋合成を促進しまたは筋分解を抑制することで筋委縮を予防する新規な技術、あるいは筋合成を促進すると同時に筋分解を抑制することで筋委縮を効果的に予防する新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
筋合成は筋肉細胞内におけるAkt-mTOR (mechanistic target of rapamycin)経路の活性化によって促進される。p70S6Kタンパク質はAkt-mTOR経路の下流にあり、リン酸化によって活性化される。したがってリン酸化p70S6K量が筋合成活性化の指標として用いられており、リン酸化p70S6K量の増大は筋合成の活性化を意味する。
一方、筋分解は主としてユビキチン-プロテアソーム系が担っており、筋特異的なユビキチンリガーゼとしてAtrogin-1およびMuRF1 (muscle ring finger 1)が知られている。すなわち、Atrogin-1およびMuRF1の遺伝子発現量が増加すると筋分解が促進され、Atrogin-1およびMuRF1の遺伝子発現量が低下すると筋分解が抑制される。
発明者らは鋭意研究の結果、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス、ラクトバチルス・ラムノーサスまたはラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティスを筋細胞に添加することで筋細胞のリン酸化p70S6K量が増加すること、ラクトバチルス・ムコーサエ、ラクトバチルス・ファーメンタムおよびペディオコッカス・アシディラクティシを添加することで、Atrogin-1およびMuRF1の遺伝子発現量が低下することを見出すとともに、ラクトバチルス・デルブレッキー・サブスピーシーズ・ラクティス、ラクトバチルス・ガセリまたはラクトバチルス・ロイテリを添加すると、筋細胞のリン酸化p70S6K量が増加することに加えAtrogin-1及びMuRF1の遺伝子発現量が低下することを見出し、本発明を完成させた。
(【0011】以降は省略されています)

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