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公開番号2025153978
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024056723
出願日2024-03-29
発明の名称不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法、および、不飽和カルボン酸合成用触媒
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類B01J 37/00 20060101AFI20251002BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】 反応温度が低くても得られる不飽和カルボン酸の選択率や収率を高くすることが可能な不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法および触媒の提供。
【解決手段】 モリブデンを含む複数の触媒成分元素の供給源化合物と、硫黄含有無機化合物とを、水系液体に、溶解および/または分散させて、出発原料混合液を得る調液工程、出発原料混合液を乾燥し、第一の粉体を得る第一粉体化工程、第一の粉体を加熱処理により乾燥物を得る乾燥工程、ならびに、乾燥物を第二の粉体とし、および/または、乾燥物から第二の粉体を得て、第二の粉体を、粒塊状の担体に担持させ、および/または、リング状に成型し、触媒前駆体とする成型工程を含む不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法であって、第一の粉体の250℃における灼熱減量と第一の粉体の500℃における灼熱減量との差が16質量%以上27質量%以下の範囲内である、方法。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
モリブデンを含む複数の触媒成分元素の供給源化合物と、硫黄含有無機化合物とを、水系液体に、溶解および/または分散させて、出発原料混合液を得る調液工程、
前記出発原料混合液を乾燥し、第一の粉体を得る第一粉体化工程、
前記第一の粉体を加熱処理により乾燥物を得る乾燥工程、ならびに、
前記乾燥物を第二の粉体とし、および/または、前記乾燥物から第二の粉体を得て、前記第二の粉体を、粒塊状の担体に担持させ、および/または、リング状に成型し、触媒前駆体とする成型工程
を含む不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法であって、
前記第一の粉体の250℃における灼熱減量と、前記第一の粉体の500℃における灼熱減量との差が16質量%以上27質量%以下の範囲内である、不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
灼熱減量(%)=[(W

-W

)/W

]×100(W

:第一の粉体の加熱前の質量(g)、W

:第一の粉体の加熱後の質量(g))
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記硫黄含有無機化合物が、硫酸銅を含まない、請求項1に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
【請求項3】
前記供給源化合物の少なくとも一部を前記水系液体に添加した後に、前記硫黄含有無機化合物を添加する、請求項1または2に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
【請求項4】
前記硫黄含有無機化合物が硫酸塩を含む、請求項1または2に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
【請求項5】
前記不飽和カルボン酸合成用触媒の触媒成分元素の組成式が式(1)で表される、請求項1または2に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
Mo
12




Cu



Sb



Si





(1)
(式(1)中、XはNbおよび/またはWを示し、YはMg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、ZはFe、Co、NiおよびBiからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示す。a~iはそれぞれの元素の原子比を示し、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500の範囲にあり、iは他の元素の酸化状態を満足させる値である。)
【請求項6】
前記乾燥工程における加熱処理を、酸素濃度が10%以下の雰囲気下で行う、請求項1または2に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
【請求項7】
前記加熱処理における加熱処理温度が330℃以上450℃以下である、請求項1または2に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
【請求項8】
前記硫黄含有無機化合物が、硫酸銅を含まず、かつ、硫酸塩を含み、
前記供給源化合物の少なくとも一部を前記水系液体に添加した後に、前記硫黄含有無機化合物を添加し、
前記不飽和カルボン酸合成用触媒の触媒成分元素の組成式が式(1)で表され、
前記乾燥工程における加熱処理を、酸素濃度が10%以下の雰囲気下で行い、
前記加熱処理における加熱処理温度が330℃以上450℃以下である、請求項1に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
Mo
12




Cu



Sb



Si





(1)
(式(1)中、XはNbおよび/またはWを示し、YはMg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、ZはFe、Co、NiおよびBiからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示す。a~iはそれぞれの元素の原子比を示し、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500の範囲にあり、iは他の元素の酸化状態を満足させる値である。)
【請求項9】
前記不飽和カルボン酸合成用触媒は、アクリル酸合成用触媒である、請求項1、2または8に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
【請求項10】
請求項1、2または8に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法で得られた不飽和カルボン酸合成用触媒。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法、および、不飽和カルボン酸合成用触媒に関する。
続きを表示(約 4,400 文字)【背景技術】
【0002】
アクロレインを気相接触酸化してアクリル酸を製造する際に用いられる触媒が古くから検討されている(特許文献1~3)。
例えば、特許文献3には、式(1)(Mo)
12
(V)

(W)

(Cu)

(Sb)

(X)

(Y)

(Z)

(O)

(1)(式中、Mo、V、W、Cu、Sb、およびOはそれぞれ、モリブデン、バナジウム、タングステン、銅、アンチモンおよび酸素を示し、Xはアルカリ金属、およびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Yはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよび亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Zはニオブ、セリウム、すず、クロム、マンガン、鉄、コバルト、サマリウム、ゲルマニウム、チタンおよび砒素からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素をそれぞれ示す。またa、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比を示し、モリブデン原子12に対して、aは0<a≦10、bは0≦b≦10、cは0<c≦6、dは0<d≦10、eは0≦e≦0.5、fは0≦f≦1、gは0≦g<6を表す。また、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子数である。)で示される触媒活性成分の組成を有する触媒であって、前記触媒活性成分についての銅のKα線を用いたX線回折の2θ値(θはX線回折における回折角度をさす。)において、22.2±0.3度のピーク強度が最大である触媒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第3786297号
特公昭41-1775号公報
特公昭44-12129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、不飽和カルボン酸合成用触媒は、例えば、以下の方法で製造される。図1は、不飽和カルボン酸合成用触媒の製造スキームの一例であって、(1)は出発原料であり、(8)は不飽和カルボン酸合成用触媒を示している。図1においては、(1)出発原料は、(2)調液工程、(3)第一粉体化工程、(4)乾燥工程、(5)第二粉体化工程、(6)成型工程、および、(7)焼成工程を得て、(8)不飽和カルボン酸合成用触媒が得られる。
ここで、アクロレイン等の不飽和アルデヒドから、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸を合成する際に、不飽和カルボン酸合成用触媒の種類によっては、反応温度を高くしないと、不飽和アルデヒドが十分に転化しなかったり、得られる不飽和カルボン酸の選択率や収率が低かったりする場合があった。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、不飽和アルデヒドから不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる不飽和カルボン酸合成用触媒であって、反応温度が低くても、不飽和アルデヒドを十分に転化させ、得られる不飽和カルボン酸の選択率や収率を高くすることが可能な不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法、および、不飽和カルボン酸合成用触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、不飽和カルボン酸合成用触媒の製造において、硫黄含有無機化合物を用い、かつ、前記第一粉体化工程において、第一の粉体が500℃程度で分解が進むものを用いることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
[1]モリブデンを含む複数の触媒成分元素の供給源化合物と、硫黄含有無機化合物とを、水系液体に、溶解および/または分散させて、出発原料混合液を得る調液工程、
前記出発原料混合液を乾燥し、第一の粉体を得る第一粉体化工程、
前記第一の粉体を加熱処理により乾燥物を得る乾燥工程、ならびに、
前記乾燥物を第二の粉体とし、および/または、前記乾燥物から第二の粉体を得て、前記第二の粉体を、粒塊状の担体に担持させ、および/または、リング状に成型し、触媒前駆体とする成型工程
を含む不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法であって、
前記第一の粉体の250℃における灼熱減量と、前記第一の粉体の500℃における灼熱減量との差が16質量%以上27質量%以下の範囲内である、不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
灼熱減量(%)=[(W

-W

)/W

]×100(W

:第一の粉体の加熱前の質量(g)、W

:第一の粉体の加熱後の質量(g))
[2]前記硫黄含有無機化合物が、硫酸銅を含まない、[1]に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
[3]前記供給源化合物の少なくとも一部を前記水系液体に添加した後に、前記硫黄含有無機化合物を添加する、[1]または[2]に記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
[4]前記硫黄含有無機化合物が硫酸塩を含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
[5]前記不飽和カルボン酸合成用触媒の触媒成分元素の組成式が式(1)で表される、[1]~[4]のいずれか1つに記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
Mo
12




Cu



Sb



Si





(1)
(式(1)中、XはNbおよび/またはWを示し、YはMg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、ZはFe、Co、NiおよびBiからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示す。a~iはそれぞれの元素の原子比を示し、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500の範囲にあり、iは他の元素の酸化状態を満足させる値である。)
[6]前記乾燥工程における加熱処理を、酸素濃度が10%以下の雰囲気下で行う、[1]~[5]のいずれか1つに記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
[7]前記加熱処理における加熱処理温度が330℃以上450℃以下である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
[8]前記硫黄含有無機化合物が、硫酸銅を含まず、かつ、硫酸塩を含み、
前記供給源化合物の少なくとも一部を前記水系液体に添加した後に、前記硫黄含有無機化合物を添加し、
前記不飽和カルボン酸合成用触媒の触媒成分元素の組成式が式(1)で表され、
前記乾燥工程における加熱処理を、酸素濃度が10%以下の雰囲気下で行い、
前記加熱処理における加熱処理温度が330℃以上450℃以下である、[1]~[7]のいずれか1つに記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
Mo
12




Cu



Sb



Si





(1)
(式(1)中、XはNbおよび/またはWを示し、YはMg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、ZはFe、Co、NiおよびBiからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示す。a~iはそれぞれの元素の原子比を示し、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500の範囲にあり、iは他の元素の酸化状態を満足させる値である。)
[9]前記不飽和カルボン酸合成用触媒は、アクリル酸合成用触媒である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、不飽和アルデヒドから不飽和カルボン酸を合成する際に用いられる不飽和カルボン酸合成用触媒であって、反応温度が低くても、不飽和アルデヒドを十分に転化させ、得られる不飽和カルボン酸の選択率や収率を高くすることが可能な不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法、および、不飽和カルボン酸合成用触媒を提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、不飽和カルボン酸合成用触媒の製造スキームの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本発明」という)について詳細に説明する。なお、以下の本発明は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の記載に限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。また、本明細書における数値の上限値と下限値は、前記上限値と下限値のいずれの組み合わせについても、本発明の一例として挙げられる。
【0009】
本明細書において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有割合を示す。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
【0010】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。本明細書に記載の全ての工程は、本明細書に特に記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、好適ないずれの順序でも行うことができる。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2024年1月1日時点における規格に基づくものとする。本明細書で示す規格で説明される測定方法等が2024年1月1日時点で廃止となっている場合、廃止時点の規格に基づくものとする。
(【0011】以降は省略されています)

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