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公開番号2025150760
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-09
出願番号2024051816
出願日2024-03-27
発明の名称小麦粉及び小麦粉組成物
出願人株式会社ニップン
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A23L 7/10 20160101AFI20251002BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】本発明は、栄養価が優れ、かつ小麦粉から製造する加工食品製造時の良好な作業性を与える小麦粉及びそれを含む小麦粉組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粉を粉砕してなる小麦粉であって、所定の工程により求めた乳化力が一定値以上である小麦粉を含むことを特徴とする、加工食品用小麦粉組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粒を粉砕してなる小麦粉であって、下記工程1~5により求めた乳化力が7以上である小麦粉を含むことを特徴とする、加工食品用小麦粉組成物。
工程1:50mL容遠心チューブに小麦粉1gと蒸留水15mLとを投入して懸濁する;
工程2:工程1の懸濁後、更に50mL容遠心チューブに常温液体油20mLを加え、乳化するまで混合する;
工程3:工程2の混合後、50mL容遠心チューブを振とう機(TAITEC社、SR-2S)に装着し、300rpmで10分間振とうする;
工程4:工程3の振とう後、50mL容遠心チューブを高速遠心分離機に装着し、1600gで10分間遠心分離する;
工程5:工程4の遠心分離後、50mL容遠心チューブを鉛直方向に直立させて乳化層の界面が水平になるまで静置し、乳化層の容積Y(cm
3
)を測定し、Yを前記小麦粉の乳化力とする。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
加工食品が、ベーカリー食品である、請求項1に記載の小麦粉組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の小麦粉組成物を含む、加工食品用プレミックス粉。
【請求項4】
請求項1若しくは2に記載の小麦粉組成物又は請求項3に記載のプレミックス粉を含む、加工食品用生地。
【請求項5】
請求項4に記載の生地を加熱してなる加工食品。
【請求項6】
灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粒を準備し、これを粉砕して、灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下であり、かつ下記工程1~5により求めた乳化力が7以上である小麦粉を製造することを含む、前記小麦粉を含む小麦粉組成物の製造方法:
工程1:50mL容遠心チューブに小麦粉1gと蒸留水15mLとを投入して懸濁する;
工程2:工程1の懸濁後、更に50mL容遠心チューブに常温液体油20mLを加え、乳化するまで混合する;
工程3:工程2の混合後、50mL容遠心チューブを振とう機(TAITEC社、SR-2S)に装着し、300rpmで10分間振とうする;
工程4:工程3の振とう後、50mL容遠心チューブを高速遠心分離機に装着し、1600gで10分間遠心分離する;
工程5:工程4の遠心分離後、50mL容遠心チューブを鉛直方向に直立させて乳化層の界面が水平になるまで静置し、乳化層の容積Y(cm
3
)を測定し、Yを前記小麦粉の乳化力とする。
【請求項7】
小麦粉中の灰分が全て原料の剥皮小麦粒中の灰分に由来する、請求項6記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の小麦粉及びそれを含む小麦粉組成物、並びにこれらの製造方法を提供する。
続きを表示(約 5,100 文字)【背景技術】
【0002】
市販されている小麦粉の大部分は、製粉工程で小麦の皮部(ふすま)や胚芽を取り除き製造されているが、近年、健康意識の高まりからふすまや胚芽を取り除くことなく粉砕した小麦全粒粉も使用されている。しかし、小麦全粒粉はビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富ではあるが、ふすまや胚芽を含むため、生地がベタついて作業性が悪い、製品ボリュームが出づらいという問題があった。
このような問題に対し、特許文献1は、原料小麦の粗粉砕物を微粉画分と粗粉画分(ふすま画分)とに分離し、粗粉画分(ふすま画分)を湿熱処理した後に衝撃式微粉砕機で微粉砕し、得られた微粉砕物を再度分離して分取した微粉画分(ふすま画分の微粉砕物)を原料小麦の粗粉砕物の微粉画分と混合する小麦全粒粉の製造方法を開示している。
特許文献2は、小麦粒を粗粉砕した後、分級して特定の粒度未満の画分と当該粒度以上の画分に分離し、当該粒度以上の画分を衝撃式微粉砕機で微粉砕し、得られた微粉砕物を再度、分級して、上記の特定の粒度未満の画分と混合する小麦全粒粉の製造方法を開示している。
特許文献3は、損傷澱粉を12.0~18.0質量%含有し、平均粒径が30~100μmであり、粒度125μm以下の画分が80%以上である、臼挽き小麦粉の製造方法を開示している。
しかしながら、これらの方法により製造された画分は依然として、栄養価に優れかつ加工食品製造時に良好な作業性を与えるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007-082541
特開2007-061813
特開2021-052691
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、栄養価が優れ、かつ小麦粉から製造する加工食品製造時の良好な作業性を与える小麦粉及びそれを含む小麦粉組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、栄養価が優れ、かつ小麦粉から製造する加工食品製造時の良好な作業性と良好な製品ボリュームを与える小麦粉及びそれを含む小麦粉組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、一定量の灰分を有する剥皮小麦粉を粉砕した小麦粉であり、かつ一定の乳化力を有する小麦粉及びそれを含む小麦粉組成物を用いることにより、上記課題が解決されることを見出した。
本発明は以下の態様を提供する。
〔1〕灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粒を粉砕してなる小麦粉であって、下記工程1~5により求めた乳化力が7以上である小麦粉を含むことを特徴とする、加工食品用小麦粉組成物:
工程1:50mL容遠心チューブに小麦粉1gと蒸留水15mLとを投入して懸濁する;
工程2:工程1の懸濁後、更に50mL容遠心チューブに常温液体油20mLを加え、乳化するまで混合する;
工程3:工程2の混合後、50mL容遠心チューブを振とう機(TAITEC社、SR-2S)に装着し、300rpmで10分間振とうする;
工程4:工程3の振とう後、50mL容遠心チューブを高速遠心分離機に装着し、1600gで10分間遠心分離する;
工程5:工程4の遠心分離後、50mL容遠心チューブを鉛直方向に直立させて乳化層の界面が水平になるまで静置し、乳化層の容積Y(cm
3
)を測定し、Yを前記小麦粉の乳化力とする。
〔2〕加工食品が、ベーカリー食品である、〔1〕に記載の小麦粉組成物。
〔3〕〔1〕又は〔2〕に記載の小麦粉組成物を含む、加工食品用プレミックス粉。
〔4〕〔1〕若しくは〔2〕に記載の小麦粉組成物又は〔3〕に記載のプレミックス粉を含む、加工食品用生地。
〔5〕〔4〕に記載の生地を加熱してなる加工食品。
〔6〕灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粒を準備し、これを粉砕して、灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下であり、かつ下記工程1~5により求めた乳化力が7以上である小麦粉を製造することを含む、前記小麦粉を含む小麦粉組成物の製造方法:
工程1:50mL容遠心チューブに小麦粉1gと蒸留水15mLとを投入して懸濁する;
工程2:工程1の懸濁後、更に50mL容遠心チューブに常温液体油20mLを加え、乳化するまで混合する;
工程3:工程2の混合後、50mL容遠心チューブを振とう機(TAITEC社、SR-2S)に装着し、300rpmで10分間振とうする;
工程4:工程3の振とう後、50mL容遠心チューブを高速遠心分離機に装着し、1600gで10分間遠心分離する;
工程5:工程4の遠心分離後、50mL容遠心チューブを鉛直方向に直立させて乳化層の界面が水平になるまで静置し、乳化層の容積Y(cm
3
)を測定し、Yを前記小麦粉の乳化力とする。
〔7〕小麦粉中の灰分が全て原料の剥皮小麦粒中の灰分に由来する、〔6〕記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、栄養価に優れ、加工食品製造時に作業性が良好である小麦粉及びそれを含む小麦粉組成物が提供される。
また本発明によれば、栄養価に優れ、製造時のベタつきが抑制されて作業性が良好であり、優れた製品ボリュームを有するベーカリー食品を得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<小麦粉及び小麦粉組成物並びにそれらの製造方法>
本発明の第1の態様は、灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粒を粉砕してなる小麦粉であって、後述する工程1~5により求めた乳化力が7以上である小麦粉を含むことを特徴とする、加工食品用小麦粉組成物である。
本発明の第2の態様は、灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粒を準備し、これを粉砕して、灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下であり、かつ後述する工程1~5により求めた乳化力が7以上である小麦粉を製造することを含む、前記小麦粉を含む小麦粉組成物の製造方法である。
【0008】
本発明の小麦粉の原料となる小麦は特に限定されず、軟質小麦、中間質小麦、硬質小麦等を用いることができる。また、普通系小麦、二粒系小麦等が挙げられ、それらの混合物であっても良い。
本明細書において小麦粉組成物は、本発明の小麦粉を含むか、又は本発明の小麦粉からなる組成物である。小麦粉組成物は、本発明の小麦粉を主要な量、具体的には50質量%以上含めばよく、好ましくは80質量%以上含み、さらに好ましくは100質量%からなるものであってもよい。
本発明の小麦粉組成物に含まれる小麦粉は、灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粒を粉砕してなるものであり、かつ後述する方法で測定した乳化力が7以上を有するものである。当該小麦粉の特徴は、剥皮と粉砕工程の組合せにより達成することができる。剥皮とは、小麦粒の最外部から外層を除く処理である。剥皮方法は特に限定されず、研削式や摩擦式等の方式を用いることができる。2種類以上の精麦機を組み合わせて剥皮しても良い。剥皮によって表皮を適量削ることで、灰分を0.7質量%を超え1.6質量%以下に調整する。
剥皮した小麦の粉砕方式は特に限定されず、ロール式、気流式、ピン式(衝撃式)、ハンマー式、サイクロン式、超遠心式、ターボミル式、挽き臼式、胴搗式等の公知の製粉方法を使用することができる。2種類以上の粉砕機を組み合わせて粉砕しても良い。粉砕方法や粉砕の強弱を工夫し、乳化力が異なる試料を得ることができる。
本発明の小麦粉は、灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粒、好ましくは灰分が0.8~1.5質量%の剥皮小麦粒を粉砕してなるものである。本発明の小麦粉中の灰分は、原料の剥皮小麦粒の灰分に全て由来するものであることが好ましい。よって、灰分が0.7質量%を超え1.6質量%以下の剥皮小麦粒を粉砕してなる小麦粉の灰分は0.7質量%を超え1.6質量%以下であり、好ましくは0.8~1.5質量%である。小麦粉における灰分含有量は、小麦粉中における食物繊維やミネラルの含有量と相関しており、概ね正の比例関係にある。小麦粉中における灰分含有量が0.7質量%以下の場合、小麦粉組成物中に食物繊維やミネラルなどが健康志向を満足させるには少なく、該成分において栄養価が不十分で不適である。しかしながら、灰分含有量が高くなりすぎると、加工食品の製造時の作業特性に影響を与える。灰分自体は直接作業性に影響を与えるものではないため、灰分量と相関する別の物質が作業性に影響を与えており、灰分量がその指標となっていると考えられる。
なお、一般的に市販されている小麦粉の灰分は、0.3~0.7質量%程度であり、前述の灰分の値は、酢酸マグネシウム添加灰化法により測定したものである。
【0009】
<乳化力>
本発明において乳化力とは、油と水を混合する際に界面においてどの程度混ざり合うかを示す指標である。乳化力が高いほど、水と油をよく混ぜ合わせることができる。小麦粉にも水と油の界面においてエマルションを形成させる乳化作用を示す乳化力がある。これは、小麦粉から溶出される水溶性成分あるいは油溶性成分に両親媒性の特性を有している成分が含まれているためであると考えられる。
小麦粉を水や油脂やその他の材料を加えて得られるパン生地や麺生地等から製造される食品に用いた際、生地のベタつきや油脂の混ざりにくさが生じて作業性が悪くなることがある。これらを改善するために、乳化剤が使用されることがあるが、小麦粉自身がもつ乳化力を粉砕工程によって高めることにより補填することができる。また、製パン時における窯伸びを改善するために乳化剤を使用することがあるが、こちらも小麦粉自身が持つ乳化力を高めることにより補填することができる。
【0010】
<乳化力の定義及び測定方法>
本明細書において小麦粉の「乳化力」は下記工程1~5によって決定されるYで示される値である。
工程1:50mL容遠心チューブに小麦粉1gと蒸留水15mLとを投入して懸濁する;
工程2:工程1の懸濁後、更に50mL容遠心チューブに常温液体油20mLを加え、乳化するまで混合する;
工程3:工程2の混合後、50mL容遠心チューブを振とう機(TAITEC社、SR-2S)に装着し、300rpmで10分間振とうする;
工程4:工程3の振とう後、50mL容遠心チューブを高速遠心分離機に装着し、1600gで10分間遠心分離する;
工程5:工程4の遠心分離後、50mL容遠心チューブを鉛直方向に直立させて乳化層の界面が水平になるまで静置し、乳化層の容積Y(cm
3
)を測定し、これを前記小麦粉の乳化力とする。
上記工程1において使用する蒸留水は周囲温度でよい。遠心チューブは、ボルテックスミキサー等による混合、振とう機による振とう、遠心分離機による遠心などの処理に用いることができればいずれの素材のものでもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック製、強化ガラス製などいずれのものでもよい。
上記工程2における混合は、乳化するまで十分に混合すればよく、例えば、ボルテックスミキサーを用いて10秒間程度撹拌することにより乳化する。ボルテックスミキサーはいずれを用いてもよい。例えば、TAIYO社 S-100を用いて、10秒間混合を行ってもよい。
上記工程3において使用する振とう機はいずれを用いてもよいが、例えば、TAITEC社製:SR-2Sが挙げられる。
上記工程4において高速遠心分離機はいずれの装置を用いてもよい。
・工程5:工程4の遠心分離後、50mL容遠心チューブを鉛直方向に直立させて乳化層の界面が水平になるまで静置し、乳化層の容積Y(cm
3
)を測定する。
(【0011】以降は省略されています)

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