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公開番号2025128161
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-02
出願番号2025086152,2021556168
出願日2025-05-23,2020-11-13
発明の名称バーコード化された細胞外小胞のライブラリー
出願人国立大学法人 東京大学
代理人弁理士法人 津国
主分類C12N 5/10 20060101AFI20250826BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】バーコード化された細胞外小胞のライブラリー、その製造方法ならびにその使用方法を提供する。
【解決手段】バーコードRNAを含む細胞外小胞のライブラリーを作製する方法は、(1)細胞外小胞に存在するタンパク質とRNA結合タンパク質を含む融合タンパク質を発現させた、細胞外小胞分泌細胞に、(a)複数種の、バーコードRNAを発現させる発現ベクター、又は(b)複数種のバーコードRNAを導入する工程;(2)細胞外小胞分泌細胞を培養液中で培養する工程;及び(3)細胞外小胞分泌細胞の培養上清から、前記融合タンパク質に結合したバーコードRNAを含む細胞外小胞を回収する工程を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
バーコードRNAを含む細胞外小胞のライブラリーを作製する方法であって、
(1)細胞外小胞に存在するタンパク質とRNA結合タンパク質を含む融合タンパク質を発現させた、細胞外小胞分泌細胞に、(a)複数種の、バーコードRNAを発現させる発現ベクター、又は(b)複数種のバーコードRNAを導入する工程;
(2)細胞外小胞分泌細胞を培養液中で培養する工程;及び
(3)細胞外小胞分泌細胞の培養上清から、前記融合タンパク質に結合したバーコードRNAを含む細胞外小胞を回収する工程を含む、方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記バーコードRNAが、
(1)細胞外小胞内又はその表面に存在する、内在性タンパク質の量を変化させる核酸;
(2)細胞外小胞の分泌を促進又は阻害する核酸;
(3)細胞外小胞膜を構成する脂質膜を合成するための酵素をコードする核酸;及び
(4)細胞外小胞内又はその表面に、外来性のタンパク質を存在させるための核酸;からなる群から選択される核酸を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バーコードRNAが、細胞外小胞の分泌を促進又は阻害する因子の発現を負又は正に制御する核酸である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
因子のスクリーニング方法であって、請求項1に記載の方法における工程(1)~(3)を含み、
前記バーコードRNAが、前記因子の発現を負又は正に制御する核酸であって、
さらに、
(4)複数種のバーコードRNAの配列を決定し、各バーコードRNAの量比を算出する工程;及び
(5)量比に変化のあるバーコードRNAに含まれる配列の情報から、前記因子を同定する工程を含む、方法。
【請求項5】
前記因子が、細胞外小胞の分泌を促進又は阻害する因子である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記因子が、特定のタンパク質がその表面に局在している(localized)細胞外小胞の分泌を促進又は阻害する因子、もしくは、特定のタンパク質の細胞外小胞の膜表面への局在に関与する因子である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記因子が、細胞外小胞の体液中での安定性に寄与する因子、あるいは細胞外小胞の体液中への分泌を促進又は阻害する因子である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
(1)細胞外小胞に存在するタンパク質とRNA結合タンパク質を含む融合タンパク質と、前記融合タンパク質と結合したバーコードRNAを含む細胞外小胞を複数種含むライブラリーを用意する工程;
(2)前記複数種の細胞外小胞を含むライブラリーを投与された対象から単離された組織又は体液から、RNAを抽出する工程;そして
(3)抽出されたRNAから、バーコードRNAを検出する工程;
を含むスクリーニング方法。
【請求項9】
工程(3)で検出された各バーコードRNAの量比と、工程(1)で用意した複数種の細胞外小胞中の各バーコードRNAの量比と比較して、量比の変化のあるバーコードRNAを同定し、同定されたバーコードRNAに含まれる配列の情報から、因子を同定する工程をさらに含む、
請求項8に記載のスクリーニング方法。
【請求項10】
前記組織又は体液が、唾液、尿、便、又は精液である、請求項8又は9に記載のスクリーニング方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
<Cross Reference>
本出願は、2019年11月15日出願の日本特許出願(特願2019-207329)からの優先権を享受し、その内容全体を引用により本明細書に含める。
続きを表示(約 2,500 文字)【0002】
本発明は、バーコード化された細胞外小胞のライブラリーに関する。
【背景技術】
【0003】
細胞から分泌される小胞(細胞外小胞(Extracellular Vesicles;EV))については、その由来や特徴によっていくつかの種類があることが明らかになっている。そのヘテロ性から、数多くの分類法があるが、サイズの観点から、直径200nm以下のEV(smallEV)とこれより大きなlargeEVに大まかに分けることができ、前者は、直径約30~200nmの膜小胞であり、その膜が主にエンドソームに由来すると考えられているエクソソームを多く含む。エクソソームの中にもヘテロ性があるが、主に、RabGTPase、SNARE、アネキシン、フロリチンといったエンドソーム結合タンパク質や、膜貫通タンパク質ファミリーであるテトラスパニン(CD63、CD81、CD9など)を豊富に含むものが多いとされている。largeEVは、主に細胞膜の構成成分が膜の主成分であると考えられている微小小胞体(Microvesicles;MV;或いはエクトソームともいう)や、アポトーシスの際の細胞の断片化によって形成されるアポトーシス小体などを含む(非特許文献1、2、3)。
MVは細胞膜から直接くびり取られる形で形成され、大きさが約200nm~1000nmの小胞であり、MVにはインテグリン、セレクチン、CD40等が含まれる。
アポトーシス小体も同様に細胞膜から直接くびり取られる形で形成されるが、大きさが500nm~2000nmの小胞であり、断片化されたゲノムDNAやヒストンタンパク質等を内包している。
【0004】
エクソソームは、近接または遠距離細胞間コミュニケーションに関与することが報告されている。
例えば免疫系においては、細胞から放出されたエクソソームが抗原提示小胞として機能し、抗腫瘍免疫における応答や、炎症を抑制する免疫寛容性などを誘導する(非特許文献4)。
神経変性疾患においては、プリオンやβアミロイドペプチドなどの病原性タンパク質が、他の細胞への伝播するときにエクソソームを利用していることが知られている。
【0005】
エクソソームは免疫原性が低く、また血液脳関門を透過するといった特性を有し、その内部にタンパク質以外にもさまざまな核酸(mRNA、miRNA、shRNA,ncRNAなど)を含み、エクソソーム受領細胞内でこれらの核酸が機能し、エクソソーム受領細胞の機能に影響を与えることが知られている。
それ故、エクソソーム受領細胞の機能改変による治療効果を期待して、近年エクソソームをDDS(ドラッグデリバリーシステム)に用いる研究が盛んにおこなわれている(非特許文献5)。
たとえば、エクソソームの膜表面に、エクソソーム受容細胞によって認識されるペプチドやタンパク質を発現しエクソソーム受領細胞へのターゲティングの効率を高めることや、エクソソーム内膜側にRNA結合タンパク質を発現し、細胞質のRNAを効率的にリクルーティングすることで、DDSの効率を上げる試みも行われている(非特許文献6~9、特許文献1)。
【0006】
本願発明者らも、DDSに適したエクソソームを開発していた(非特許文献10)。
【0007】
また、がん細胞においては、がん細胞自身が分泌するエクソソームによって転移先をプログラミングし、自らが転移するのに有利な環境を構築するといったことが提唱されている。それ故、がん細胞で選択的にエクソソームの分泌を阻害することができれば、抗がん剤が開発可能と示唆する論文も存在する(非特許文献11、12)。それによると、エクソソーム表面に存在するインテグリンの種類と、がんが転移する臓器の種類が関係していることが示唆されている。
【0008】
細胞外小胞は動物特有のものだけでなく、植物にも存在し、病原体等に対する生体防御(植物免疫)に重要な役割を果たしていることが示唆されているが、細胞外小胞の機能についてはよくわかっていない(非特許文献13)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
米国2015/0093433公開公報
【非特許文献】
【0010】
eLife(2018);7:e41460
Journal of Extracellular Vesicles(2015);4:26316
Journal of Extracellular Vesicles(2018);7:1535750
Immunological Reviews(2013);Vol.251:p125-142
NATURE (2017);VOL546:p498-521
Nano letters (2019);19:19-28
Journal of Extracellular Vesicles(2016);5:31027
Journal of Extracellular Vesicles(2016);5:31053
Nature Biotechnology(2011);29:341-345
NATURE COMMUNICATIONS(2018);9:1305
NATURE(2015);VOL527(7578):p329-35
Sci.Rep.(2018);8:8161
Plant Physiology (2017);Vol. 173:p728-741
NATURE COMMUNICATIONS(2017);8:15178
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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