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公開番号2025100656
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2025064105,2021558479
出願日2025-04-09,2020-11-20
発明の名称ヘリカーゼ阻害剤に対するがん細胞の感受性を予測する方法
出願人中外製薬株式会社
代理人弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
主分類C12Q 1/02 20060101AFI20250626BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 機能欠失型変異が生じているがん細胞をも特異的に標的とすることが可能な治療戦略の開発、より具体的には、TTKの変異及び/又はRad50の変異が生じているがん細胞を特異的に標的とする治療戦略の開発。
【解決手段】 がん細胞の、ヘリカーゼ阻害剤に対する感受性を予測する方法であり、
TTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異が検出されたがん細胞を、ヘリカーゼ阻害剤に対して感受性があると予測する工程を含む方法、並びに、
RAD50の変異、MRE11の変異、NBNの変異、DNA2の変異、及びRBBP8の変異からなる第2群から選択される少なくとも1種の変異が検出されたがん細胞を、ヘリカーゼ阻害剤に対して感受性があると予測する工程を含む方法。
【選択図】 なし

特許請求の範囲【請求項1】
がん細胞の、ヘリカーゼ阻害剤に対する感受性を予測する方法であり、
TTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異が検出されたがん細胞を、ヘリカーゼ阻害剤に対して感受性があると予測する工程、
を含む、方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
がん細胞の、ヘリカーゼ阻害剤に対する感受性を予測する方法であり、
(a)がん細胞におけるTTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異の有無を検出する工程と、
(b)前記変異が検出されたがん細胞を、ヘリカーゼ阻害剤に対して感受性があると予測する工程と、
を含む、方法。
【請求項3】
がん患者の、ヘリカーゼ阻害剤による治療に対する感受性を予測する方法であり、
がん患者由来の試料に含まれるがん細胞においてTTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異が検出されたがん患者を、ヘリカーゼ阻害剤による治療に対して感受性があると予測する工程、
を含む、方法。
【請求項4】
がん患者の、ヘリカーゼ阻害剤による治療に対する感受性を予測する方法であり、
(a)がん患者由来の試料に含まれるがん細胞におけるTTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異の有無を検出する工程と、
(b)前記がん細胞において前記変異が検出されたがん患者を、ヘリカーゼ阻害剤による治療に対して感受性があると予測する工程と、
を含む、方法。
【請求項5】
ヘリカーゼ阻害剤によるがん治療の対象とするがん患者を選別する方法であり、
がん患者由来の試料に含まれるがん細胞においてTTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異が検出されたがん患者を、ヘリカーゼ阻害剤によるがん治療の対象として選別する工程、
を含む、方法。
【請求項6】
ヘリカーゼ阻害剤によるがん治療の対象とするがん患者を選別する方法であり、
(a)がん患者由来の試料に含まれるがん細胞におけるTTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異の有無を検出する工程と、
(b)前記がん細胞において前記変異が検出されたがん患者を、ヘリカーゼ阻害剤によるがん治療の対象として選別する工程と、
を含む、方法。
【請求項7】
がんを治療する方法であり、
がん患者由来の試料に含まれるがん細胞においてTTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異が検出されたがん患者に対して、ヘリカーゼ阻害剤を投与する工程、
を含む、方法。
【請求項8】
がんを治療する方法であり、
(a)がん患者由来の試料に含まれるがん細胞におけるTTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異の有無を検出する工程と、
(b)前記がん細胞において前記変異が検出されたがん患者に対して、ヘリカーゼ阻害剤を投与する工程と、
を含む、方法。
【請求項9】
前記ヘリカーゼ阻害剤が、WRN阻害剤である、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記がん細胞が、MSH3の変異がさらに検出されるがん細胞である、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘリカーゼ阻害剤に対するがん細胞の感受性を予測する方法に関する。また本発明は、ヘリカーゼ阻害剤による治療に対するがん患者の感受性を予測する方法、ヘリカーゼ阻害剤によるがん治療の対象とするがん患者を選別する方法、がんの治療方法、がんの治療に用いる化合物のスクリーニング方法、及びがん治療剤に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、ゲノムシークエンス技術の急速な進歩によって、がん細胞における固有の遺伝子変異を含むゲノム情報を解読することが可能となっている。その中で、抗がん剤開発では、EGFR遺伝子変異、BRAF遺伝子変異、ALK融合遺伝子等に代表されるような、機能獲得型の遺伝子変異が生じたがん細胞に特異的に、その機能を阻害する阻害剤の創薬がなされている(非特許文献1~3)。これらの遺伝子変異を有するがん細胞を標的とする、同がん細胞に特異的な治療方法は、がんへの選択性が高く、効果の高い治療方法である。
【0003】
また、例えば、MSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)を示すがん細胞においては、その生存がWRN(ウェルナーシンドロームプロテイン)に依存することが報告されており(非特許文献4~7)、WRNを阻害する治療が、かかるMSI-Hを示すがん細胞を特異的に標的にできると考えられている。
【0004】
一方で、ヒトのがん細胞で発見される遺伝子変異には、上記の機能獲得型のみならず、逆に機能欠失型の遺伝子変異も含まれる。機能欠失型の遺伝子変異は、その遺伝子変異特異的な創薬が困難であり、機能獲得型の遺伝子変異を有するがん細胞を標的とする治療とは異なる治療戦略が必要である。
【0005】
機能欠失型変異が生じているがん細胞を特異的に標的化できた数少ない成功例としては、BRCA1/2欠損型腫瘍に対するPARP阻害剤が挙げられる(非特許文献8)。しかしながら、これ以外の機能欠失型変異が生じているがん細胞を特異的に標的とする治療戦略は、現在のところ、依然として開発されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Makoto Maemondoら,NEJM 2010 Jun 24;362(25),p.2380-2388
Paul B.Chapmanら,NEJM 2011 Jun 30;364(26),p.2507-2516
D.Ross Camidgeら,J Thorac Oncol.2019 Jul;14(7),p.1233-1243
Lorn Kategayaら,iScience 13,March 29,2019,p.488-497
Simone Liebら,eLife 2019,8:e43333,DOI:https://doi.org/10.7554/eLife.43333
Edmond M.Chanら,Nature.2019 April,568(7753),p.551-556
Fiona M Behanら,Nature.2019 April,568(7753),p.511-516
K.Mooreら,NEJM 2018 Dec 27;379(26),p.2495-2505
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたものである。本発明は、機能欠失型変異が生じているがん細胞をも特異的に標的とすることが可能な治療戦略の開発を目的とするものであり、より具体的には、TTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異、及び/又は、RAD50の変異、MRE11の変異、NBNの変異、DNA2の変異、及びRBBP8の変異からなる第2群から選択される少なくとも1種の変異が検出されるがん細胞を特異的に標的とする治療戦略の開発を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね、先ず、約70株のがん細胞株について網羅的に、siRNAによるWRNの発現抑制をおこない、増殖の抑制が確認された細胞株に共通する変異を解析した。その結果、TTKの変異及びRAD50の変異からなる第1群から選択される少なくとも1種の変異(好ましくは、機能欠失型変異)が生じているがん細胞に共通して、WRN等のヘリカーゼの発現抑制や機能阻害を行うと、当該がん細胞の増殖が顕著に抑制される一方、TTKの変異及びRAD50の変異のうちのいずれも生じていない細胞においては、このような増殖抑制が生じないことを見出した。
【0009】
さらに本発明者らは、対象のがん細胞株を追加し、上記約70株のがん細胞株を含む約200株のがん細胞株について網羅的に解析した。その結果、上記第1群から選択される変異に加えて、RAD50の変異、MRE11の変異、NBNの変異、DNA2の変異、及びRBBP8の変異からなる第2群から選択される少なくとも1種の変異(好ましくは、機能欠失型変異)が生じているがん細胞においても共通して、ヘリカーゼの発現抑制や機能阻害を行うと、当該がん細胞の増殖が抑制されることを見出した。
【0010】
また、上記の変異は、例えば、MSI-Hを示すがん細胞でも高頻度で確認される変異の一部である。上記のように、MSI-Hは、ヘリカーゼであるWRNを阻害する治療の標的となるがん細胞選択のための指標とできると考えられている(例えば、非特許文献4~7)。しかしながら、本発明者らは、MSI-Hを示していても、上記の変異、特に、上記第2群から選択される変異のうちのいずれも生じていないがん細胞においては、上記の増殖抑制が生じないことを見出した。よって、上記の新たに見出された変異は、MSI-Hを示すか否かに関わらず、ヘリカーゼを阻害する治療の標的となるがん細胞選択のための指標とすることができ、かつ、MSI-Hよりも前記がん細胞選択のためのより特異的な指標とすることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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