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公開番号
2025092666
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-19
出願番号
2025058131,2025018089
出願日
2025-03-31,2011-11-30
発明の名称
細胞傷害誘導治療剤
出願人
中外製薬株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
15/13 20060101AFI20250612BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】T細胞による標的癌細胞に対する細胞傷害活性を示すポリペプチド会合体、当該
ポリペプチド会合体の製造方法、および当該ポリペプチド会合体を有効成分として含む細
胞傷害誘導治療剤の提供。当該細胞傷害誘導治療剤を有効成分として含む、様々な癌を治
療または予防するための医薬組成物または当該医薬組成物を用いる治療方法の提供。
【解決手段】(1)抗原結合ドメイン、(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下してい
るFc領域を含むドメイン、及び、(3)T細胞受容体複合体結合ドメイン、を含むポリペ
プチド会合体。ポリペプチド会合体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを保持
する細胞。前記細胞を培養し培養上清からポリペプチド会合体を回収することを含むポリ
ペプチド会合体の製造方法。ポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療
剤、および治療が必要な患者に投与することを特徴とする、治療方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記のドメイン;
(1)抗原結合ドメイン、
(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域を含むドメイン、及び、
(3)T細胞受容体複合体結合ドメイン、
を含むポリペプチド会合体。
続きを表示(約 790 文字)
【請求項2】
T細胞受容体複合体結合ドメインがT細胞受容体結合ドメインである、請求項1に記載の
ポリペプチド会合体。
【請求項3】
T細胞受容体複合体結合ドメインがCD3結合ドメインである、請求項1に記載のポリペプ
チド会合体。
【請求項4】
抗原結合ドメインが二価の抗原結合ドメインである、請求項1から3のいずれかに記載
のポリペプチド会合体。
【請求項5】
二価の抗原結合ドメインがF(ab’)2の構造を有するドメインである、請求項4に記載の
ポリペプチド会合体。
【請求項6】
F(ab’)2の構造を有するドメインの重鎖定常領域を構成する二つのポリペプチドがFc領
域を構成する二つのポリペプチドの各々に連結された、請求項5に記載のポリペプチド会
合体。
【請求項7】
CD3結合ドメインがFc領域を構成する一つ又は二つのCH3に連結された、請求項6に記載
のポリペプチド会合体。
【請求項8】
CD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片がFc領域を構成する一方のCH3に連結され、CD3
結合ドメインを構成する軽鎖Fv断片がFc領域を構成するもう一方のCH3に連結された、請
求項7に記載のポリペプチド会合体。
【請求項9】
CD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片に抗体のCH1ドメイン、及び、軽鎖Fv断片に抗体
のCLドメインが連結された、請求項8に記載のポリペプチド会合体。
【請求項10】
CD3結合ドメインがF(ab’)2を構成する一つ又は二つのCLに連結された、請求項6に記
載のポリペプチド会合体。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、T細胞を標的癌細胞に近接せしめT細胞による標的癌細胞に対する細胞傷害活
性を通じて癌を治療することを可能とするポリペプチド会合体、当該ポリペプチド会合体
の製造方法、および当該ポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤に
関する。また当該細胞傷害誘導治療剤を有効成分として含む、様々な癌を治療または予防
するための医薬組成物または当該医薬組成物を用いる治療方法に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)
【背景技術】
【0002】
これまでに優れた抗腫瘍効果を示す複数の治療用抗体が、癌治療を目的とする医薬品と
して開発されている(非特許文献1)。これらの治療用抗体は、癌細胞の増殖に必要なシ
グナルの阻害、細胞死シグナルの誘発、あるいはADCC(Antibody Dependent Cell-mediat
ed Cytotoxicity;抗体依存性細胞傷害)、CDC(Complement Dependent Cytotoxicity;
補体依存性細胞傷害)によって、癌細胞に対する抗腫瘍効果を発揮することが知られてい
る(非特許文献2)。抗体のFc領域がNK細胞やマクロファージなどのエフェクター細胞上
に存在するFcレセプターに結合することにより、抗体が結合した標的の癌細胞に対してこ
れらのエフェクター細胞が発揮する細胞傷害がADCCである。抗体の構造中に存在する補体
結合部位には補体複合体が結合する。抗体が結合した細胞の細胞膜上に当該複合体中に存
在する補体成分が孔を形成することにより、水やイオンの細胞内への流入が促進され細胞
が破壊されて起こる細胞傷害がCDCである。既存の治療用抗体には優れた作用が認められ
るものの、こうした抗体の投与によって得られる治療成績はまだ満足できるものではない
。そこで、さらに強力な殺細胞活性を発揮する癌に対する治療抗体の開発が望まれている
。
【0003】
上記のNK細胞やマクロファージをエフェクター細胞として動員するADCCをその抗腫瘍効
果のメカニズムとする抗体とは別に、T細胞をエフェクター細胞として動員する細胞傷害
をその抗腫瘍効果のメカニズムとする抗体であるT細胞リクルート抗体(T cell recruiti
ng抗体、TR抗体)も1980年代から知られている(非特許文献3-5)。TR抗体は、T細胞
上のT細胞レセプター(TCR)複合体の構成サブユニットのいずれかに対する抗体、特にCD
3 epsilon鎖に結合する抗体と、標的である癌細胞上の抗原に結合する抗体を含むbi-spec
ific(二重特異性)抗体である。TR抗体がCD3 epsilon鎖と癌抗原に同時に結合すること
により、T細胞が癌細胞に接近する。その結果、T細胞の持つ細胞傷害作用により癌細胞に
対する抗腫瘍効果が発揮されると考えられている。
【0004】
TR抗体の一つとしてtrifunctional抗体と称される抗体も知られている(非特許文献6
、7)。これは、癌抗原に結合するFabとCD3 epsilon鎖に結合するFabがそれぞれ片腕に
含まれるwhole IgG型のbi-specific抗体である。EpCAMに対するtrifunctional抗体である
catumaxomabをEpCAM発現陽性の癌細胞を持つ悪性腹水患者の腹腔内に対して投与すること
により悪性腹水症に対する治療の効果が示されている。EUにおいて上記の治療を目的とす
るcatumaxomabの使用が承認されている。
【0005】
さらに最近になり、BiTE(bispecific T-cell engager)と称されるTR抗体が強い抗腫
瘍作用を示すことが知られるようになった(非特許文献8、9)。BiTEは癌抗原に対する
抗体のscFvとCD3 epsilon鎖に対する抗体のscFvが短いポリペプチドリンカーを介して連
結された分子型を有するTR抗体である。BiTEはそれまでに知られていた様々なTR抗体に比
べて優れた抗腫瘍作用を持つことが報告されている(非特許文献9、10)。すなわちBi
TEは、他のTR抗体に比較し、著しく低い濃度、および低いエフェクター細胞:癌細胞比率
(ETレシオ)の下で抗腫瘍効果を発揮する。またこの効果の発現に、予めエフェクター細
胞をIL-2やCD28アゴニスト抗体などにより活性化させる必要がないことも示されている。
臨床的に優れた効果があることが知られているリツキサンよりもはるかに強いin vitroで
の癌細胞に対する傷害作用をCD19に対するBiTEであるblinatumomab(MT103)が示した。
さらに最近行なわれた第一相臨床試験、第二相臨床試験において極めて優れた抗腫瘍効果
を示したことが報告されている(非特許文献11)。
【0006】
catumaxomabが臨床で薬効を示し治療薬として承認されていること、およびblinatumoma
bを始めとする複数のBiTEが強い抗腫瘍効果を発揮することから、T細胞をエフェクター細
胞として動員するTR抗体には、通常のADCCをその作用機序とする抗体に比べて極めて高い
抗腫瘍薬としてのポテンシャルがあることが示唆された。
【0007】
しかしながら、trifunctional抗体が癌抗原非依存的にT細胞とNK細胞やマクロファージ
などの細胞と同時に結合する結果、これらの細胞に発現する受容体が架橋されることによ
り、癌抗原非依存的な各種サイトカインの発現を誘導することが知られている。こうした
サイトカインの発現の誘導は、trifunctional抗体の全身投与によるサイトカインストー
ム様の副作用の発生につながるものと考えられる。実際、非小細胞肺癌患者に対するcatu
maxomabの全身投与による第一相臨床試験においては、5μg/bodyという極めて低い用量が
最大許容投与量であり、それ以上の用量の投与により様々な重篤な副作用が起こることが
報告されている(非特許文献12)。こうした低い用量のcatumaxomabの投与によっては
、その有効血中濃度には到底達し得ない。すなわち、こうした低い用量のcatumaxomabの
投与によっては期待される抗腫瘍作用が得られない。
【0008】
一方、BiTEはcatumaxomabとは異なりFcγ受容体に対する結合部位を持たないため、癌
抗原非依存的にT細胞とNK細胞やマクロファージなどに発現する受容体が架橋されること
はない。そのため、catumaxomabが投与された場合に観察された癌抗原非依存的なサイト
カインの誘導は起こらないことが示されている。しかしながら、BiTEはFc領域を欠く低分
子量型の改変抗体分子であるために、治療用抗体として通常用いられるIgG型の抗体に比
較して、患者に投与されたBiTEの血中半減期は著しく短いという問題点が存在する。実際
、生体に投与されたBiTEの血中半減期は数時間程度であることが示されており(非特許文
献13、14)、blinatumomabの臨床試験においてはミニポンプを用いた持続静脈内投与
によりblinatumomabの投与が行なわれている。こうした投与は患者にとって著しく利便性
の悪い投与法であるばかりでなく、機器の故障などによる医療事故のリスクも潜在し、望
ましい治療法であるとはいえない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
Clin Cancer Res. (2010) 16 (1), 11-20
Drug Des Devel Ther (2009) 3, 7-16
Nature (1985) 314 (6012), 628-31
Int J Cancer (1988) 41 (4), 609-15.
Proc Natl Acad Sci USA (1986) 83 (5), 1453-7
Cancer Treat Rev. (2010) 36 (6), 458-67
Expert Opin Biol Ther (2010) 10 (8), 1259-69
Proc Natl Acad Sci USA. (1995) 92 (15), 7021-5
Drug Discov Today (2005), 10 (18), 1237-44
Trends Biotechnol (2004) 22 (5), 238-44
Science (2008), 321 (5891), 974-7
Cancer Immunol Immunother (2007) 56 (10), 1637-44
Cancer Immunol Immunother. (2006) 55(5), 503-14
Cancer Immunol Immunother. (2009) 58(1), 95-109
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の情況に鑑みてなされたものであり、T細胞を標的癌細胞に近接せしめT細
胞による標的癌細胞に対する細胞傷害活性を通じて癌を治療することを可能とするポリペ
プチド会合体、当該ポリペプチド会合体の製造方法、および当該ポリペプチド会合体を有
効成分として含む細胞傷害誘導治療剤を提供することを目的とする。また当該細胞傷害誘
導治療剤を有効成分として含む、様々な癌を治療または予防するための医薬組成物または
当該医薬組成物を用いる治療方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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