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公開番号
2025100487
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-03
出願番号
2024224669
出願日
2024-12-20
発明の名称
高分子に対する溶媒探索システム、モデル作成システム、溶解性予測システム、高分子に対する溶媒探索方法、及びプログラム
出願人
国立大学法人 宮崎大学
,
株式会社ダイセル
代理人
弁理士法人秀和特許事務所
主分類
G16C
20/30 20190101AFI20250626BHJP(特定の用途分野に特に適合した情報通信技術)
要約
【課題】高分子を溶解する溶媒の探索効率を向上させる。
【解決手段】高分子に対する溶媒探索システムは、分子動力学シミュレーションにより、学習対象の溶媒に対する所定の高分子の溶解性を表す指標値を算出する学習データ生成処理と、学習対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量と、所定の高分子の溶解性を表す指標値との関係を機械学習により学習し、予測対象の溶媒に対する所定の高分子の溶解性を表す予測値を出力する予測モデルを作成するモデル作成処理と、所定のアルゴリズムに基づいて予測対象の溶媒を決定するとともに、当該予測対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量及び予測モデルを用いて予測値を出力させることを繰り返す探索処理とを実行する1以上のコンピュータを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
分子動力学シミュレーションにより、学習対象の溶媒に対する所定の高分子の溶解性を表す指標値を算出する学習データ生成処理と、
前記学習対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量と、前記所定の高分子の溶解性を表す指標値との関係を機械学習により学習し、予測対象の溶媒に対する前記所定の高分子の溶解性を表す予測値を出力する予測モデルを作成するモデル作成処理と、
所定のアルゴリズムに基づいて前記予測対象の溶媒を決定するとともに、当該予測対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量及び前記予測モデルを用いて前記予測値を出力させることを繰り返す探索処理と、
を実行する1以上のコンピュータを含む、高分子に対する溶媒探索システム。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記予測値が所定の基準を満たすと判断された前記予測対象の溶媒について、前記学習データ生成処理における前記分子動力学シミュレーションを行い、前記学習データ生成処理、前記モデル作成処理及び前記探索処理を繰り返す
請求項1に記載の溶媒探索システム。
【請求項3】
前記分子動力学シミュレーションは、前記学習対象の溶媒及び前記所定の高分子の三次元構造に基づく力場を用いて行われ、
前記探索処理において前記予測値が前記所定の基準を満たすと判断された前記予測対象の溶媒の三次元構造を表す情報が、前記学習データ生成処理へ入力される
請求項2に記載の溶媒探索システム。
【請求項4】
前記予測対象の溶媒はイオン液体を含む
請求項1から3の何れか一項に記載の溶媒探索システム。
【請求項5】
前記所定の高分子は、結晶性高分子である
請求項1から3の何れか一項に記載の溶媒探索システム。
【請求項6】
前記所定の高分子は、セルロース及び/又はその誘導体である
請求項1から3の何れか一項に記載の溶媒探索システム。
【請求項7】
前記指標値は、前記所定の高分子内もしくは前記所定の高分子間で形成される水素結合の数又は結合エネルギー、前記学習対象の溶媒の自己拡散係数、前記学習対象の溶媒中の前記所定の高分子の平均二乗変位、前記学習対象の溶媒と前記所定の高分子との間の第1の動径分布関数のピーク値、前記第1の動径分布関数のピーク値に対する自由エネルギー変化量、前記学習対象の溶媒が複数の成分を含む場合における2つの成分間の第2の動径分布関数のピーク値、及び前記第2の動径分布関数のピーク値に対する自由エネルギー変化量の少なくとも何れかを含む
請求項1から3の何れか一項に記載の溶媒探索システム。
【請求項8】
前記学習対象の溶媒はイオン液体であり、前記指標値はカチオンとアニオンとの間の動径分布関数のピーク値、又は当該ピーク値に対する自由エネルギー変化量を含む
請求項7に記載の溶媒探索システム。
【請求項9】
前記学習対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量及び前記予測対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量は、分子記述子ベースのモデル又はグラフベースのモデルにより表される
請求項1から3の何れか一項に記載の溶媒探索システム。
【請求項10】
分子動力学シミュレーションにより、学習対象の溶媒に対する所定の高分子の溶解性を
表す指標値を算出することと、
前記学習対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量と、前記所定の高分子の溶解性を表す指標値との関係を機械学習により学習し、予測対象の溶媒に対する前記所定の高分子の溶解性を表す予測値を出力する予測モデルを作成することと、
を実行する1以上のコンピュータを含むモデル作成システム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、高分子に対する溶媒探索システム、モデル作成システム、溶解性予測システム、高分子に対する溶媒探索方法、及びプログラムに関する。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、セルロースを溶解させる溶媒として、イオン液体が知られている。例えば、溶解メカニズムの研究として非特許文献1が挙げられる。当該研究では、例えば、分子動力学アプローチによりイミダゾリウムベースのイオン液体におけるモデルのセルロース結晶構造の溶解を解析した結果として、溶解にはイオン液体の浸透によるセルロース分子鎖間の水素結合の切断が関与しているとされている。また、高溶解力を有するイオン液体ではアニオンとカチオンの両者が分子間の水素結合の切断に寄与するが、可溶性の低いイオン液体ではこの切断が十分に起こらないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
Takuya Uto, Kazuya Yamamoto, and Jun-ichi Kadokawa, Cellulose crystal dissolution in imidazolium-based ionic liquids, The Journal of Physical Chemistry B, 2018, Volume 122, Issue 1, pp.258-266, Publication Date (Web):December 21, 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、高分子に適した溶媒を効率的に探索することは困難であった。すなわち、様々な溶媒に対する高分子の溶解性を分子動力学シミュレーションにより求めるためには時間を要する。本開示は、高分子を溶解する溶媒の探索効率を向上させるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の態様により実現することができる。
(態様1)
分子動力学シミュレーションにより、学習対象の溶媒に対する所定の高分子の溶解性を表す指標値を算出する学習データ生成処理と、
前記学習対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量と、前記所定の高分子の溶解性を表す指標値との関係を機械学習により学習し、予測対象の溶媒に対する前記所定の高分子の溶解性を表す予測値を出力する予測モデルを作成するモデル作成処理と、
所定のアルゴリズムに基づいて前記予測対象の溶媒を決定するとともに、当該予測対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量及び前記予測モデルを用いて前記予測値を出力させることを繰り返す探索処理と、
を実行する1以上のコンピュータを含む、高分子に対する溶媒探索システム。
(態様2)
前記予測値が前記所定の基準を満たすと判断された前記予測対象の溶媒について、前記学習データ生成処理における前記分子動力学シミュレーションを行い、前記学習データ生成処理、前記モデル作成処理及び前記探索処理を繰り返す
態様1に記載の溶媒探索システム。
(態様3)
前記分子動力学シミュレーションは、前記学習対象の溶媒及び前記所定の高分子の三次
元構造に基づく力場を用いて行われ、
前記探索処理において前記予測値が前記所定の基準を満たすと判断された前記予測対象の溶媒の三次元構造を表す情報が、前記学習データ生成処理へ入力される
態様2に記載の溶媒探索システム。
(態様4)
前記予測対象の溶媒はイオン液体を含む
態様1から3の何れか一つに記載の溶媒探索システム。
(態様5)
前記所定の高分子は、結晶性高分子である
態様1から4の何れか一つに記載の溶媒探索システム。
(態様6)
前記所定の高分子は、セルロース及び/又はその誘導体である
態様1から5の何れか一つに記載の溶媒探索システム。
(態様7)
前記指標値は、前記所定の高分子内もしくは前記所定の高分子間で形成される水素結合の数又は結合エネルギー、前記学習対象の溶媒の自己拡散係数、前記学習対象の溶媒中の前記所定の高分子の平均二乗変位、前記学習対象の溶媒と前記所定の高分子との間の第1の動径分布関数のピーク値、前記第1の動径分布関数のピーク値に対する自由エネルギー変化量、前記溶媒が複数の成分を含む場合における2つの成分間の第2の動径分布関数のピーク値、及び前記第2の動径分布関数のピーク値に対する自由エネルギー変化量の少なくとも何れかを含む
態様1から6の何れか一つに記載の溶媒探索システム。
(態様8)
前記所定の溶媒はイオン液体であり、前記指標値はカチオンとアニオンとの間の動径分布関数のピーク値、又は当該ピーク値に対する自由エネルギー変化量を含む
態様7に記載の溶媒探索システム。
(態様9)
前記学習対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量及び前記予測対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量は、分子記述子ベースのモデル又はグラフベースのモデルにより表される
態様1から8の何れか一つに記載の溶媒探索システム。
(態様10)
分子動力学シミュレーションにより、学習対象の溶媒に対する所定の高分子の溶解性を表す指標値を算出することと、
前記学習対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量と、前記所定の高分子の溶解性を表す指標値との関係を機械学習により学習し、予測対象の溶媒に対する前記所定の高分子の溶解性を表す予測値を出力する予測モデルを作成することと、
を実行する1以上のコンピュータを含むモデル作成システム。
(態様11)
予測対象の溶媒の化学構造を表す情報を取得することと、
学習対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量と、分子動力学シミュレーションにより算出した、前記学習対象の溶媒に対する所定の高分子の溶解性を表す指標値との関係を機械学習により学習して作成した予測モデル、及び前記予測対象の溶媒の化学構造に基づく特徴量を用いて、前記予測対象の溶媒に対する前記所定の高分子の溶解性を表す予測値を出力することと、
を実行する1以上のコンピュータを含む溶解性予測システム。
【0006】
なお、課題を解決するための手段の内容は、コンピュータ等の装置若しくは複数の装置を含むシステム、1以上のコンピュータが実行する方法、又は1以上のコンピュータに実行させるプログラムとして提供することができる。なお、プログラムを保持する記録媒体を提供するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、高分子を溶解する溶媒の探索効率を向上させるための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、実施形態の概要を説明するための図である。
図2は、実施形態に係るシステムの一例を表す図である。
図3は、学習データ生成処理の一例を示す処理フロー図である。
図4は、PDB(Protein Data Bank)形式のデータの一例である。
図5は、予測モデル作成処理の一例を示す処理フロー図である。
図6は、溶媒探索処理の一例を示す処理フロー図である。
図7は、一般的なイオン液体について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。
【0010】
図1は、実施形態の概要を説明するための図である。本実施形態においては、機械学習により溶媒に対する高分子の溶解性を予測するための予測モデルを作成し、予測モデルを用いて高分子の溶解性が良好な溶媒を探索する。具体的には、分子動力学法(以下、「MD(Molecular Dynamics)法」とする)による学習データ生成(図1:(1))、学習データを用いた予測モデル作成(図1:(2))、予測モデルを用いた溶媒探索(図1:(3))を行う。また、見つかった溶媒を用いて学習データを作成し、学習データを用いて予測モデルを再構築する。すなわち、上記(1)から(3)までの処理を繰り返す(図1:(4))。
(【0011】以降は省略されています)
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