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公開番号2025069267
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-30
出願番号2025012634,2021567124
出願日2025-01-29,2020-12-02
発明の名称発酵生成物の製造方法、及びそれに使用されるセンサー装置
出願人味の素株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12P 13/12 20060101AFI20250422BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】液体に混入している気泡のセンサーの測定結果への影響を抑制すると共に、液体中で生成される結晶がセンサー近傍に堆積するのを防止して液体及び固体の特性を測定する発酵生成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、発酵槽により発酵生成物を生成する製造方法であって、発酵槽及びセンサー装置を準備する段階と、発酵槽に液体を投入する段階と、発酵槽を発酵運転すると共に、発酵槽中の液体の特性を測定して、運転条件を調整する段階と、を有し、センサー装置は、液体の特性を測定するセンサーと、センサー用のカバー本体と、を有し、カバー本体の下側の面には、液体及び液体中の結晶を通す下側透過部が設けられ、上側の面には、液体及び液体中の結晶を通す上側透過部が設けられ、下側透過部及び上側透過部には微細孔が夫々形成されており、上側透過部に設けられた微細孔は、下側透過部に設けられた微細孔以上の大きさを有することを特徴としている。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
気泡が混入されていると共に、液中に平均粒子径5μm以上の結晶が生成される発酵槽を発酵運転することにより発酵生成物を生成する、発酵生成物の製造方法であって、
発酵槽、及びこの発酵槽中の液体の特性を測定するためのセンサー装置を準備する段階と、
上記発酵槽に発酵させるべき液体を投入する段階と、
上記発酵槽を発酵運転すると共に、上記センサー装置により、上記発酵槽中の液体の特性を測定し、測定結果に基づいて発酵運転の条件を調整する段階と、を有し、
上記センサー装置は、液体の特性を測定するセンサーと、このセンサーを取り囲むように配置されたセンサー用のカバー本体と、を有し、
上記カバー本体の下側の面の少なくとも一部には、液体及び液体中の結晶の少なくとも一部を通す下側透過部が設けられ、上記カバー本体の上側の面の少なくとも一部には、液体及び液体中の結晶の少なくとも一部を通す上側透過部が設けられ、
上記下側透過部及び上記上側透過部には、液体を通すための多数の微細孔が夫々形成されており、上記上側透過部に設けられた微細孔は、上記下側透過部に設けられた微細孔以上の大きさを有することを特徴とする発酵生成物の製造方法。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
上記発酵槽の液体中に混入している気泡の平均径は50μm以上である請求項1記載の発酵生成物の製造方法。
【請求項3】
上記発酵槽は、発酵槽内に気体を送り込むための通気管を有し、この通気管の出口の孔径は1μm以上である請求項1又は2に記載の発酵生成物の製造方法。
【請求項4】
上記発酵槽は、発酵槽内に気体を送り込むための通気管を有し、この通気管を介して1時間当たりに上記発酵槽内に送り込まれる気体の体積は、上記発酵槽での発酵開始時における培地体積の2倍以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載の発酵生成物の製造方法。
【請求項5】
上記カバー本体は略円筒形に形成され、その内部の軸線方向に上記センサーが延びている請求項1乃至4の何れか1項に記載の発酵生成物の製造方法。
【請求項6】
上記下側透過部は略円筒形の上記カバー本体の下側半円部全面に設けられ、上記上側透過部は上記カバー本体の上側半円部全面に設けられている請求項5記載の発酵生成物の製造方法。
【請求項7】
上記カバー本体は金属製の薄板から形成され、上記下側透過部及び上記上側透過部に設けられた微細孔は、金属製の薄板に設けた略円形の穴である請求項1乃至6の何れか1項に記載の発酵生成物の製造方法。
【請求項8】
上記上側透過部に設けられている微細孔の径は、上記下側透過部に設けられている微細孔の径の1倍乃至5倍である請求項1乃至7の何れか1項に記載の発酵生成物の製造方法。
【請求項9】
上記下側透過部に設けられている微細孔の径は、540μm乃至750μmである請求項1乃至8の何れか1項に記載の発酵生成物の製造方法。
【請求項10】
上記発酵槽を発酵運転することにより生成される発酵生成物はシステインであり、このシステインの少なくとも一部が酸化することにより、上記発酵槽内にはシスチンが蓄積される請求項1乃至9の何れか1項に記載の発酵生成物の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵生成物の製造方法に関し、特に、気泡が混入されていると共に、液中に平均粒子径5μm以上の結晶が生成される発酵槽を発酵運転することにより発酵生成物を生成する、発酵生成物の製造方法、及びそれに使用されるセンサー装置に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
種々の発酵生成物の製造において、発酵槽内の液体の導電率や、濁度、液体中に含まれる特定成分の濃度等、種々の液体の特性を測定する必要がある。特許第3074781号(特許文献1)には、L-リジンの製造方法が記載されている。この製造方法においては、培養液中の炭素源の濃度を5g/L以下に保持するように炭素源を添加している。即ち、この方法では、適時培養液をサンプリングして炭素源濃度を直接分析したり、pHや溶存酸素濃度を測定し、その変化から炭素源の欠乏状態を感知したりして炭素源濃度を測定し、培地のフィードを制御している。
【0003】
特許文献1記載の発明のように、製造工程から測定すべき液体の一部を取り出して、液体の特性を測定することは比較的容易であるが、製造工程から液体を取り出すことなくインラインで測定することが、製造効率の観点からは好ましい。しかしながら、測定すべき液体中に気泡が混入している場合や、液体中に結晶が生成される場合には、特にインラインで液体の特性を測定することが困難になることがある。例えば、通気培養を行っている培養液中には、供給された酸素や空気の気泡や、培養中の微生物自体の代謝産物である炭酸ガスの気泡が混入しており、これらの気泡が測定値にノイズを混入させたり、測定誤差を増大させたりする場合がある。
【0004】
特許第4420168号公報(特許文献2)には、濁度センサーが記載されている。この濁度センサーは、ステンレス製の中空半円筒の部材を有し、その下部に被検液の取り込み口と自動的に開閉するスイングバルブが設けられ、上部には泡抜き用の孔が設けられている。さらに、中空半円筒の内部の先端位置には、レーザ濁度計の接液測光部が配置されている。この濁度センサーによる測定時においては、まず、スイングバルブを開弁して中空半円筒内部の被検液を置換する。次いで、スイングバルブを閉弁し、中空半円筒内の気泡が泡抜き用の孔から排出されて、検出される濁度が安定するのを待ってから濁度の測定を実行する。特許文献2記載の発明では、このようにして被検液中の気泡の影響を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第3074781号
特許第4420168号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2記載の濁度センサーにおいては、スイングバルブを閉弁した後、検出値が安定するのを待つ必要があり、リアルタイムで検出を行うのが困難である。また、濁度センサーを液体中に結晶が生成される液体に適用した場合には、スイングバルブ等の可動部に結晶が堆積し、故障の原因となる虞がある。さらに、特許文献2記載の濁度センサーでは、遠隔操作により開閉されるスイングバルブ等が必要であるため構造が複雑になると共に、長期間に亘って安定動作させるためのメンテナンスにも手間がかかるという問題がある。
【0007】
一方で、また液体中に結晶が生成される液体にセンサーを適用した場合、その影響を抑制するだけでなく、発酵生成物の液相中の濃度が溶解度を超えて析出したとき、析出した固体の量も液相と同時に分析する必要がある。ここで、気泡の影響を抑制するためにセンサーにセンサーカバーを設けると、センサーの近傍や、センサーカバー内に結晶が堆積し、生成物の濃度を正確に測定することが困難となる。このため、例えばセンサーカバー内で析出した結晶を適宜排出するなど、発酵槽内の結晶濃度とセンサー周辺の結晶濃度を同等にして堆積させない工夫が必要になる。
【0008】
従って、本発明は、シンプルな構造で、液体に混入している気泡のセンサーの測定結果への影響を抑制すると共に、液体中で生成される結晶がセンサー近傍やセンサーカバー内で堆積することを防止して、発酵槽中の液体及び固体の特性を測定し、それに基づいて発酵運転を行うことができる発酵生成物の製造方法及びそれに使用されるセンサー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、気泡が混入されていると共に、液中に平均粒子径5μm以上の結晶が生成される発酵槽を発酵運転することにより発酵生成物を生成する、発酵生成物の製造方法であって、発酵槽、及びこの発酵槽中の液体の特性を測定するためのセンサー装置を準備する段階と、発酵槽に発酵させるべき液体を投入する段階と、発酵槽を発酵運転すると共に、センサー装置により、発酵槽中の液体の特性を測定し、測定結果に基づいて発酵運転の条件を調整する段階と、を有し、センサー装置は、液体の特性を測定するセンサーと、このセンサーを取り囲むように配置されたセンサー用のカバー本体と、を有し、カバー本体の下側の面の少なくとも一部には、液体及び液体中の結晶の少なくとも一部を通す下側透過部が設けられ、カバー本体の上側の面の少なくとも一部には、液体及び液体中の結晶の少なくとも一部を通す上側透過部が設けられ、下側透過部及び上側透過部には、液体を通すための多数の微細孔が夫々形成されており、上側透過部に設けられた微細孔は、下側透過部に設けられた微細孔以上の大きさを有することを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明によれば、発酵槽内の液体の特性を測定するセンサー装置が、センサーを取り囲むように配置されるカバー本体を有する。このカバー本体には、液体及び液体中の結晶の少なくとも一部を通す下側透過部及び上側透過部が設けられているので、測定すべき液体はカバー本体に絶えず流入、流出することができる。この結果、カバー本体内の液体は常に置換され、カバー本体内に配置されたセンサーは、リアルタイムで連続的に液体の特性を測定することができる。また、カバー本体の下側透過部及び上側透過部が、液体中の結晶の少なくとも一部を通すので、液体中で生成された結晶がカバー本体に堆積しにくく、カバー本体の清掃等のメンテナンスを行うことなく長時間発酵運転を継続することができる。また、上側透過部に設けられた微細孔は、下側透過部に設けられた微細孔以上の大きさを有するので、カバー本体の下方から浮き上がってきた気泡は、下側透過部の微細孔を通過しにくく、カバー本体内への気泡の侵入を効果的に抑制することができる。一方、上側透過部の微細孔は下側透過部の微細孔以上の大きさに形成されているので、カバー本体内に侵入した気泡はカバー本体内で浮き上がり、上側透過部を通って排出されやすい。この結果、カバー本体内に侵入した気泡がカバー本体内に滞留し、センサーの測定値に悪影響を及ぼすのを抑制することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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