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公開番号2025067954
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-24
出願番号2025020940,2022093005
出願日2025-02-12,2016-11-30
発明の名称ドコサヘキサエン酸含有油及びその製造方法
出願人株式会社ニッスイ
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C11C 3/00 20060101AFI20250417BHJP(動物性または植物性油,脂肪,脂肪性物質またはろう;それに由来する脂肪酸;洗浄剤;ろうそく)
要約【課題】高濃度にドコサヘキサエン酸を含有し、低温での安定性に優れたドコサヘキサエン酸含有油及びバイオマス、並びにこれらの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】油中の脂肪酸の合計重量の40重量%以上の濃度でドコサヘキサエン酸を含有し、示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークの温度が15℃以下である、ドコサヘキサエン酸含有油、及びこれを含むバイオマス;このドコサヘキサエン酸含有油を生成し得るアウランティオキトリウム属微生物を培養してバイオマスを得ること、培養後のバイオマスを回収すること、回収後のバイオマスから油を抽出することを含む、ドコサヘキサエン酸含有油の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
油中の脂肪酸の合計重量の40重量% 以上の濃度でドコサヘキサエン酸を含有し、
示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークの温度が15℃ 以下であり、
かつ25℃における沈殿物量が7重量%以下であることを特徴とする高濃度DHA含有油。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークの温度が、10℃以下である請求項1記載のドコサヘキサエン酸含有油。
【請求項3】
ドコサヘキサエン酸の濃度が油中の脂肪酸の合計重量の40重量%~98重量%である請求項1又は請求項2記載のドコサヘキサエン酸含有油。
【請求項4】
示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークの温度が-50℃~10℃である請求項1~請求項3のいずれか1項記載のドコサヘキサエン酸含有油。
【請求項5】
微生物油である請求項1~請求項4のいずれか1項記載のドコサヘキサエン酸含有油。
【請求項6】
微生物油が、オピストコンタ(Opisthokonta)、アーケプラスチダ(Archaeplastida)、エクスカバータ(Excavata)、SAR、並びにこれらに分類されないハプト藻類(Haptophyta)及びクリプト藻類(Cryptophyta)に属する微生物、並びに細菌(Bacterium)からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の微生物油である請求項5記載のドコサヘキサエン酸含有油。
【請求項7】
微生物油が、ストラメノパイル(Stramenopiles)に属する微生物の微生物油である請求項5記載のドコサヘキサエン酸含有油。
【請求項8】
微生物油が、ラビリンチュラ綱(Labyrinthulea)に属する微生物の微生物油である請求項5記載のドコサヘキサエン酸含有油。
【請求項9】
微生物油が、ヤブレツボカビ類(Thraustochytrid)に属する微生物の微生物油である請求項5記載のドコサヘキサエン酸含有油。
【請求項10】
微生物油が、アウランティオキトリウム(Aurantiochytrium)属微生物の微生物油である請求項5記載のドコサヘキサエン酸含有油。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ドコサヘキサエン酸含有油及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)【背景技術】
【0002】
n-3系不飽和脂肪酸(以下、n-3系PUFA)であるエイコサペンタエン酸(以下、EPAと略すことがある)、ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略すことがある)等は、様々な生理作用を持ち、医薬品、健康食品、食品素材などとして利用されている。DHAを含む魚油を添加した飲料は特定保健用食品としても認可されている。n-3系PUFAは、国内外においてサプリメントとしての需要も非常に高い。これに伴い、高純度で大量に多価不飽和脂肪酸を生産することが求められている。このようなn-3系PUFAのひとつであるDHAを工業的に効率よく得るには、蒸留技術等を用いてDHA含有油中のDHAを高濃度に濃縮する手法が用いられているが、その一方で、このような濃縮手法を適用する前の原料油としても、DHAを高濃度に含有する油を得ることが提案されている。
【0003】
例えば、特開2015-509733号公報は、所定の照明条件を組み合わせた培養条件でシゾキトリウム属に属する菌株を培養することにより、脂肪酸組成で40%超のDHAを含有する脂質を産生する微生物を開示している。
特開平10-72590号公報は、海洋性微生物として単離された特定のスラウストキトリウム属微生物から、DHA含量40%超のDHA含有油が得られることを開示している。
【0004】
一方、食品用油脂においては、結晶化の挙動に関する指標として示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークを測定することがある(例えば、特開平6-14710号公報及び特開2005-507028号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DHAを高濃度で含有する油であっても、DHA以外の他の飽和又は不飽和脂肪酸の存在に起因して、異なる性状を示すことがある。例えば、同様の高濃度でDHAを含有する油であっても、室温から温度が降下していくと、他の飽和又は不飽和脂肪酸の種類及び濃度によって、より低温時でDHA含有油の性状が変化し又は結晶化が生じて、固化し、その結果、配管目詰まりなどの取り扱い性が低下することがある。
DHAを高濃度で含有するバイオマスも、DHA以外の他の飽和又は不飽和脂肪酸の存在に起因して、異なる性状を示すことがある。例えば、同様の高濃度でDHAを含有する油を含有するバイオマスであっても、他の飽和又は不飽和脂肪酸の種類及び濃度によってバイオマス全体の性状が変化し、粘度が上昇し、その結果、高圧下での混練時にエクストルーダー等の装置の目詰まりを起こしやすいなどの取り扱い性が低下することがある。
【0006】
本開示は、高濃度にドコサヘキサエン酸を含有し、低温での安定性に優れたドコサヘキサエン酸含有油及びバイオマス、並びにこれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は以下の各態様を含む。
[1] 油中の脂肪酸の合計重量の40重量%以上の濃度でドコサヘキサエン酸を含有し、示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークの温度が15℃以下である、ドコサヘキサエン酸含有油。
[2] 示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークの温度が、10℃以下である[1]に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[3] ドコサヘキサエン酸の濃度が油中の脂肪酸の合計重量の40重量%~98重量%である[1]又は[2]に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[4] 示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークの温度が-50℃~10℃である[1]~[3]のいずれか1に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[5] 微生物油である[1]~[4]のいずれか1に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[6] 微生物油が、オピストコンタ(Opisthokonta)、アーケプラスチダ(Archaeplastida)、エクスカバータ(Excavata)、SAR、並びにこれらに分類されないハプト藻類(Haptophyta)及びクリプト藻類(Cryptophyta)に属する微生物、並びに細菌(Bacterium)からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の微生物油である[5]に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[7] 微生物油が、ストラメノパイル(Stramenopiles)に属する微生物の微生物油である[5]に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[8] 微生物油が、ラビリンチュラ綱(Labyrinthulea)に属する微生物の微生物油である[5]に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[9] 微生物油が、ヤブレツボカビ類(Thraustochytrid)に属する微生物の微生物油である[5]に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[10] 微生物油が、アウランティオキトリウム(Aurantiochytrium)属微生物の微生物油である[5]に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[11] 微生物油が、アウランティオキトリウム・リマシナム(Aurantiochytrium limacinum)のドコサヘキサエン酸生成変異株の微生物油である[5]に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[12] 微生物油が、アウランティオキトリウム・リマシナム(Aurantiochytrium limacinum)NiD2株(受託番号FERM BP-22296)、NiD3株(受託番号FERM BP-22297)又は、当該株と実質的に同一の菌学的性質を有する菌株の微生物油である[5]に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[13] 微生物油の粗油である[1]~[12]のいずれか1に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[14] 微生物油の精製油である[1]~[12]のいずれか1に記載のドコサヘキサエン酸含有油。
[15] [1]~[13]のいずれか1に記載のドコサヘキサエン酸含有油を含む微生物のバイオマス。
[16] ドコサヘキサエン酸の蓄積量が、培養物1リットルあたりの乾燥バイオマス重量の18重量%以上である[15]に記載のバイオマス。
[17] 乾燥バイオマスである[15]又は[16]に記載のバイオマス。
[18] [1]~[14]のいずれか1に記載のドコサヘキサエン酸含有油を生成し得るアウランティオキトリウム属微生物。
[19] アウランティオキトリウム・リマシナム(Aurantiochytrium limacinum)NiD2株(受託番号FERM BP-22296)、又はNiD3株(受託番号FERM BP-22297)である[18]に記載のアウランティオキトリウム属微生物。
[20] NiD2株(受託番号FERM BP-22296)、又はNiD3株(受託番号FERM BP-22297)と実質的に同一の菌学的性質を有する[19]に記載のアウランティオキトリウム属微生物。
[21] [18]~[20]のいずれか1に記載のアウランティオキトリウム属微生物を培養して、バイオマスを得ること、培養後のバイオマスを回収すること、を含む、[15]~[17]のいずれか1に記載のバイオマスの製造方法。
[22] 培養後に得られたバイオマスを乾燥することを更に含む[21]に記載のバイオマスの製造方法。
[23] [18]~[20]のいずれか1に記載のアウランティオキトリウム属微生物を培養して、バイオマスを得ること、培養後のバイオマスを回収すること、回収後のバイオマスから油を抽出すること、を含み、抽出された油から、油中の脂肪酸の合計重量の40重量%以上の濃度でドコサヘキサエン酸を含有し、示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークの温度が15℃以下であるドコサヘキサエン酸含有油が得られる、ドコサヘキサエン酸含有油の製造方法。
[24] 得られたドコサヘキサエン酸含有油が粗油である[23]に記載の製造方法。
[25] 抽出された油を精製することを更に含む[23]に記載の製造方法。
[26] 微生物の培養を10℃~40℃で行う[21]~[25]のいずれか1に記載の製造方法。
[27] [1]~[14]のいずれか1に記載のドコサヘキサエン酸含有油、又は[15]~[17]のいずれか1に記載のバイオマスを含有する、食品、サプリメント、医薬品、化粧品、又は飼料。
[28] [1]~[14]のいずれか1に記載のドコサヘキサエン酸含有油、又は[15]~[17]のいずれか1に記載のバイオマスの、食品、サプリメント、医薬品、化粧品、又は飼料の製造方法における使用。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、高濃度にドコサヘキサエン酸を含有し、低温での安定性に優れたドコサヘキサエン酸含有油及びバイオマス、並びにこれらの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態におけるドコサヘキサエン酸含有油は、油中の脂肪酸の合計重量の40重量%以上の濃度でドコサヘキサエン酸を含有し、示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱ピークの温度が15℃以下のドコサヘキサエン酸含有油である。一実施形態における微生物のバイオマスは、当該ドコサヘキサエン酸含有油を含むバイオマスであり、一実施形態における微生物は、当該ドコサヘキサエン酸含有油を生成しうる微生物である。
【0010】
本実施形態におけるドコサヘキサエン酸含有油は、高濃度にドコサヘキサエン酸を含むと共に、油中のドコサヘキサエン酸以外の他の成分、例えば、他の飽和又は不飽和脂肪酸が含まれていたとしても、性状が変化しにくく、また結晶化の速度及び挙動が適度に調整されて、低温で固化しにくい。このため、本実施形態におけるドコサヘキサエン酸含有油は、低温での安定性に優れ、適切な粘度を有し、広い温度範囲で滑らかな性状を示すことができる。この結果、ドコサヘキサエン酸含有油それ自体で、良好な取り扱い性を示すことができ、別途、粘度調整剤等の添加剤を併用する必要性を排除することができる。本実施形態に係るバイオマス及び乾燥バイオマスは、本実施形態に係るドコサヘキサエン酸を含有する油をバイオマス内に保持しているので、DHAを高濃度に含有し、低温での安定性に優れたドコサヘキサエン酸含有油を効率よく得るために好適である。本明細書における低温とは、室温、即ち25℃よりも低い温度を意味し、例えば、15℃以下、10℃以下、又は5℃以下を指し、場合によって0℃以下であってもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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