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公開番号
2025039294
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-21
出願番号
2023146282
出願日
2023-09-08
発明の名称
精製油脂の製造方法
出願人
地方独立行政法人山口県産業技術センター
,
株式会社吉田総合テクノ
代理人
個人
主分類
C11B
3/12 20060101AFI20250313BHJP(動物性または植物性油,脂肪,脂肪性物質またはろう;それに由来する脂肪酸;洗浄剤;ろうそく)
要約
【課題】油脂に含まれる有害な難揮発性環境汚染物質についての低減効果を飛躍的に向上させ、しかもそれらの油脂に含まれるDHAやEPAの分解を抑止して十分残存させることが可能な精製油脂の製造方法を提供する。
【解決手段】油脂から難揮発性環境汚染物質を分離除去する精製油脂の製造方法は、油脂に水分を添加する工程と、水分の濃度を0.01~1.5%となるように調整する工程と、300Pa以下かつ200℃以下の条件で薄膜蒸留する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
油脂からPCBを分離除去する精製油脂の製造方法であって、前記油脂に水分を添加する工程と、前記水分の濃度を0.01~1.5重量%となるように調整する工程と、300Pa以下かつ200℃以下の条件で薄膜蒸留する工程と、を有することを特徴とする精製油脂の製造方法。
続きを表示(約 110 文字)
【請求項2】
前記油脂は鯨油であることを特徴とする請求項1記載の精製油脂の製造方法。
【請求項3】
前記薄膜蒸留する工程の熱源にエチレングリコールを用いることを特徴とする請求項1記載の精製油脂の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂に含まれる有害な難揮発性環境汚染物質であるPCBを低減した精製油脂の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
鯨油を含む魚油等の海産動物性油脂(以下、本願では便宜上、淡水魚類の魚油を含んで単に海産動物性油脂という。)には、エイコサペンタエン酸(以下、EPAという。)やドコサヘキサエン酸(以下、DHAという。)等の高度不飽和脂肪酸が多く含まれており、血中の中性脂肪やコレステロールの低下効果をはじめ、認知機能の改善効果も認められるようになっているため、積極的に高度不飽和脂肪酸を摂取することが勧められている。
また、種油をはじめとする植物性油脂にも高度不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸やリノール酸が含まれており、特に、α-リノレン酸は人体内でこれを原料としてDHAやEPAを生産することができるため、植物性油脂由来の高度不飽和脂肪酸を摂取することも同様に勧められている。
しかしながら、例えば海洋や河川において食物連鎖の頂点に近い位置にいる鯨や海水魚や淡水魚を含む魚類では、工業用水等に混入して河川から海洋に放出されたポリ塩化ビフェニル(以下、PCBという。)等の人体に有害なPCB等の難揮発性環境汚染物質がいわゆる生物濃縮によって蓄積され、これらを人が摂食してPCBが蓄積されると全身倦怠感やしびれ感あるいは食欲不振等の健康被害を発生させることが知られている。
また、PCBが使用された代表的な電気機器等は地上でも使用あるいは保管されていたため、土壌が汚染されていることもあり、過去には植物性油脂に対する混入も生じており、吹出物や色素沈着等の皮膚症状等を引き起こしたこともあった。
【0003】
PCBはその毒性と環境汚染・生物汚染が社会問題化しており、すでに製造禁止、使用禁止となっている。しかしながら、PCBを含有するトランス・コンデンサー等の利用や保管が継続していることもありPCBの環境・生態系汚染に明瞭な濃度低減に至っていない。PCBは親油性が高いため、とくに油脂中に含まれるPCBは、低減させることが極めて困難である。通常の油脂の精製法である水洗、吸着処理、水蒸気蒸留ではほとんど効果が期待できない。しかも、油脂は食品や化粧品の原料となる等、人類の生活に大きな影響を与えるため、油脂中のPCBの低減技術開発が望まれていた。
例えば、特許文献1には、薄膜蒸留によってコプラナーPCBを含むダイオキシン類を低減させた水産油脂の製造技術が開示されている。
また、特許文献2には食用海産物油に水を添加して向流水蒸気蒸留水することで効率的に臭気成分等比較的低沸点の化合物を除去する技術が開示されている。
非特許文献1では、分子蒸留によってタラ肝油や鯨油を含めた他の魚油からジクロロジフェニルトリクロロエタン(以下、DDTという。)を低減させた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2022-132317号公報
特開2014-128273号公報
【非特許文献】
【0005】
K. Julshamn, L. Karlsen and O.R. Braekkan, Fiskeridirektoratets skrifter; Serie teknologiske undersokelser, Vol. 5 No. 15 (1973)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では200℃~270℃の範囲で薄膜蒸留を行うものであり、DHAやEPAあるいはα-リノレン酸がその温度範囲で分解される可能性が高いことを考慮すると、特許文献1に開示された発明では、DHA、EPAやリノレン酸等の高度不飽和脂肪酸の分解は避けられず、これらの高度不飽和脂肪酸を残存させたまま海産動物性油脂や植物性油脂を精製することは困難であるとうい課題があった。
また、特許文献2に開示される発明では、低温で向流水蒸気蒸留して食用海産物油を調製しているものの、PCBは親油性が高いため、油脂中に含まれるPCBを低減することが困難であるという課題があった。
【0007】
非特許文献1に開示される発明では、PCB等の難揮発性環境汚染物質の低減については何等開示されておらず、また、DHAやEPAあるいはα-リノレン酸等の高度不飽和脂肪酸の分解抑止に関しても言及や示唆がなく、これらの高度不飽和脂肪酸を残存させながらPCBを低減させることができないという課題があった。
本発明は、かかる従来の課題に対処してなされたものであり、鯨油を含む魚油等の海産動物性油脂をはじめとして、牛脂、豚脂、鶏油、馬脂、羊脂等の動物性油脂、あるいはオリーブオイルやひまわり油、チアシードオイル、パーム油、米油等の植物性油脂、水素添加油脂、エステル交換油脂等の加工油脂に含まれる有害なPCBについて、その低減効果を飛躍的に向上させることが可能な精製油脂の製造方法を提供することを目的とする。なお、油脂の化学構造は脂肪酸トリグリセリドの他、極性脂質を含んでいてもよい。
また、それらの油脂のうち、特に、海産動物性油脂に含まれるDHAやEPAあるいは種油等の植物性油脂に含まれるリノレン酸等、熱的に不安定な有効成分の分解を抑止して十分残存させながらPCBを低減することが可能な精製油脂の製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の発明である精製油脂の製造方法は、油脂からPCBを分離除去する精製油脂の製造方法であって、前記油脂に水分を添加する工程と、前記水分の濃度を0.01~1.5重量%となるように調整する工程と、300Pa以下かつ200℃以下の条件で薄膜蒸留する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
第2の発明である精製油脂の製造方法は、第1の発明において、前記油脂は鯨油であることを特徴とするものである。
【0010】
第3の発明である精製油脂の製造方法は、第1の発明において、前記薄膜蒸留する工程の熱源にエチレングリコールを用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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