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公開番号2025067585
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-24
出願番号2023177683
出願日2023-10-13
発明の名称細胞培養用シリコーンゴムシート及びその製造方法
出願人信越ポリマー株式会社
代理人個人,個人
主分類C08J 9/00 20060101AFI20250417BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】貫通孔の水透過性が向上した細胞培養用シリコーンゴムシート、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】細胞培養の用途で使用される、複数の貫通孔が形成されたシリコーンゴムシートであり、前記シリコーンゴムシートの一方の主面に開口する前記複数の貫通孔の平均開口径が0.4~30μmであり、前記シリコーンゴムシートの厚さが5~200μmであり、前記厚さ/前記平均開口径で表されるアスペクト比が2以上であり、前記シリコーンゴムシートは、主剤としてシリコーンゴムを含み、添加剤として非水溶性ポリマーを含み、前記非水溶性ポリマーは、窒素、硫黄及びリンを含まないノニオン性の官能基からなる親水部と、前記親水部と共有結合により結合されている疎水性の構造からなる疎水部と有し、前記シリコーンゴムに相溶可能であり、前記貫通孔の内壁面の化学的組成と、前記貫通孔の外の前記一方の主面の化学的組成とが同一である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
細胞培養の用途で使用される、複数の貫通孔が形成されたシリコーンゴムシートであり、
前記シリコーンゴムシートの一方の主面に開口する前記複数の貫通孔の平均開口径が0.4μm以上30μm以下であり、
前記シリコーンゴムシートの厚さが5μm以上200μm以下であり、
前記厚さ/前記平均開口径で表されるアスペクト比が2以上であり、
前記シリコーンゴムシートは、主剤としてシリコーンゴムを含み、添加剤として非水溶性ポリマーを含み、
前記非水溶性ポリマーは、窒素、硫黄及びリンを含まないノニオン性の官能基からなる親水部と、前記親水部と共有結合により結合されている疎水性の構造からなる疎水部と有し、前記シリコーンゴムに相溶可能であり、
前記貫通孔の内壁面の化学的組成と、前記貫通孔の外の前記一方の主面の化学的組成とが同一である、細胞培養用シリコーンゴムシート。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
前記シリコーンゴムは、付加硬化型シリコーンゴムである熱硬化性液状シリコーンゴム、或いは、過酸化物硬化型又は付加硬化型であるミラブル状シリコーンゴムである、請求項1に記載の細胞培養用シリコーンゴムシート。
【請求項3】
前記シリコーンゴムシートにおいて、前記シリコーンゴム100質量部に対して、前記非水溶性ポリマーが0.1~20質量部で含まれる、請求項2に記載の細胞培養用シリコーンゴムシート。
【請求項4】
前記シリコーンゴムシートの一方の主面における前記貫通孔以外の箇所の表面の接触角をJIS R3257:1999(基板ガラス表面のぬれ性試験方法:静滴法)に準拠して測定したとき、水については80°以下、エチレングリコールについては80°以下、酢酸カルビトールについては50°の接触角の値が、測定開始後30秒以降で24時間以上連続して維持される、請求項3に記載の細胞培養用シリコーンゴムシート。
【請求項5】
前記シリコーンゴムシートが透明又は半透明である、請求項4に記載の細胞培養用シリコーンゴムシート。
【請求項6】
主剤であるシリコーンゴムの原料に、添加剤である非水溶性ポリマーを配合し、混練及び撹拌し、原料組成物を得る工程と、
シート状の凹部と、前記凹部の底面に形成された複数の柱状の凸部とを備えた成形型を準備し、
前記成形型の凹部から溢れる程度に前記原料組成物を前記凹部内に注入し、前記原料組成物を硬化させる工程と、
前記凹部から硬化したシリコーンゴムシートを脱型し、前記シリコーンゴムシートに付いて硬化した余分な部分を切削することにより、複数の貫通孔が形成された細胞培養用シリコーンゴムシートを得る工程と、を含み、
前記非水溶性ポリマーは、窒素、硫黄及びリンを含まないノニオン性の官能基からなる親水部と、前記親水部と共有結合により結合されている疎水性の構造からなる疎水部と有し、前記シリコーンゴムの原料に相溶可能である、
細胞培養用シリコーンゴムシートの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の貫通孔を有する細胞培養用シリコーンゴムシート及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、複数の貫通孔を有する細胞培養用シリコーンゴムシートが提案されている(特許文献1)。貫通孔の開口部及び内壁面がシリコーンゴムによって形成されており、シリコーンゴムは一般に表面自由エネルギーが低いので、水や種々の液性媒体が貫通孔を透過することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2021/256452号
特開2006-181407号公報
国際公開第2020/137065号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の問題に対して、本発明者らは、シリコーンゴムシートの表面を活性化する処理(特許文献1)やコーティング処理(特許文献2)を行って表面自由エネルギーを高める方法を検討した。しかし、その処理工程が煩雑であり、その表面処理の有効性が経時的に漸減する等の問題があった。
【0005】
一方、シートの主原料であるシリコーンゴムに、ポリエーテル変性シリコーンオイルからなる親水性基含有化合物を添加することにより、シリコーンゴムシートの親水性を強化する方法が知られている(特許文献3)。しかし、別の乾式表面処理工程と併用する必要があり、上記の化合物の添加のみでは貫通孔の透過性がなかなか向上しないという問題があった。また、この化合物を多く添加すると、シリコーンゴムの弾性や剛性が変化したり、化合物のブリードアウトが発生したりする問題があった。これらの問題は、細胞培養の用途に適さない場合がある。
【0006】
本発明は、貫通孔の水透過性が向上した細胞培養用シリコーンゴムシート、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 細胞培養の用途で使用される、複数の貫通孔が形成されたシリコーンゴムシートであり、前記シリコーンゴムシートの一方の主面に開口する前記複数の貫通孔の平均開口径が0.4μm以上30μm以下であり、前記シリコーンゴムシートの厚さが5μm以上200μm以下であり、前記厚さ/前記平均開口径で表されるアスペクト比が2以上であり、前記シリコーンゴムシートは、主剤としてシリコーンゴムを含み、添加剤として非水溶性ポリマーを含み、前記非水溶性ポリマーは、窒素、硫黄及びリンを含まないノニオン性の官能基からなる親水部と、前記親水部と共有結合により結合されている疎水性の構造からなる疎水部と有し、前記シリコーンゴムに相溶可能であり、前記貫通孔の内壁面の化学的組成と、前記貫通孔の外の前記一方の主面の化学的組成とが同一である、細胞培養用シリコーンゴムシート。
[2] 前記シリコーンゴムは、付加硬化型シリコーンゴムである熱硬化性液状シリコーンゴム、或いは、過酸化物硬化型又は付加硬化型であるミラブル状シリコーンゴムである、[1]に記載の細胞培養用シリコーンゴムシート。
[3] 前記シリコーンゴムシートにおいて、前記シリコーンゴム100質量部に対して、前記非水溶性ポリマーが0.1~20質量部で含まれる、[1]又は[2]に記載の細胞培養用シリコーンゴムシート。
[4] 前記シリコーンゴムシートの一方の主面における前記貫通孔以外の箇所の表面の接触角をJIS R3257:1999(基板ガラス表面のぬれ性試験方法:静滴法)に準拠して測定したとき、水については80°以下、エチレングリコールについては80°以下、酢酸カルビトールについては50°の接触角の値が、測定開始後30秒以降で24時間以上連続して維持される、[1]~[3]のいずれかに記載の細胞培養用シリコーンゴムシート。
[5] 前記シリコーンゴムシートが透明又は半透明である、[1]~[4]のいずれかに記載の細胞培養用シリコーンゴムシート。
[6] 主剤であるシリコーンゴムの原料に、添加剤である非水溶性ポリマーを配合し、混練及び撹拌し、原料組成物を得る工程と、シート状の凹部と、前記凹部の底面に形成された複数の柱状の凸部とを備えた成形型を準備し、前記成形型の凹部から溢れる程度に前記原料組成物を前記凹部内に注入し、前記原料組成物を硬化させる工程と、前記凹部から硬化したシリコーンゴムシートを脱型し、前記シリコーンゴムシートに付いて硬化した余分な部分を切削することにより、複数の貫通孔が形成された細胞培養用シリコーンゴムシートを得る工程と、を含み、前記非水溶性ポリマーは、窒素、硫黄及びリンを含まないノニオン性の官能基からなる親水部と、前記親水部と共有結合により結合されている疎水性の構造からなる疎水部と有し、前記シリコーンゴムの原料に相溶可能である、細胞培養用シリコーンゴムシートの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、貫通孔の水透過性が向上した細胞培養用シリコーンゴムシート、及びその製造方法を提供することができる。
【0009】
本発明は、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に資すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
各例で作製した細胞培養用シリコーンゴムシートの貫通孔の形状が整っていることを確認した拡大写真である。
各例で作製した基材シート(貫通孔が無いシリコーンゴムシート)の表面の水接触角の経時的な変化を撮影した拡大写真である。
各例で作製した基材シートの表面の水接触角を経時的に測定したグラフである。このグラフは測定時点の複数のプロットを結んだ曲線である。
各例で作製した細胞培養用シリコーンゴムシートが有する貫通孔を、水が透過する様子を経時的に撮影した拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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