TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025044147
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-01
出願番号2024150913
出願日2024-09-02
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類G03G 9/097 20060101AFI20250325BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】精密な帯電制御を可能とし、プリンティングプロセスの高速化においても、厳しい高温高湿環境も含め環境に依存しないカブリの解消を達成できるトナー。
【解決手段】結着樹脂を有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子は、トナー母粒子と、該トナー母粒子の表面に存在するケイ素重合体複合物とを有し、該ケイ素重合体複合物はケイ素重合体と特定金属原子とを含有し、該トナーに対するX線電子分光分析より得られる、該特定金属原子の原子個数の割合をMEとし、ケイ素原子の原子個数の割合をSiEとし、該トナーの断面の構成元素のEDSマッピング像において、該トナー母粒子の輪郭より外側の領域における、ケイ素原子及び該特定金属原子の原子個数の和における該特定金属原子の原子個数の割合をMXとしたとき、該ME、該SiE、該MXが特定の関係を満たす。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
結着樹脂を有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は、トナー母粒子と、該トナー母粒子の表面に存在するケイ素重合体複合物とを有し、
該ケイ素重合体複合物は、
ケイ素重合体と、
第3族から第13族に含まれる金属原子からなる群より選択される少なくとも一の特定金属原子と、
を含有し、
該トナーに対するX線電子分光分析より得られる、炭素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子及び該特定金属原子の原子個数の和における、該特定金属原子の原子個数の割合をMEとし、該ケイ素原子の原子個数の割合をSiEとし、
透過型電子顕微鏡で観察される該トナーの断面をエネルギー分散型X線分光器により解析することで得られる該トナーの断面の構成元素のEDSマッピング像において、該トナー母粒子の輪郭より外側の領域における、ケイ素原子及び該特定金属原子の原子個数の和における該特定金属原子の原子個数の割合をMXとしたとき、
該ME、該SiE、該MXが、下記式(1)及び(2)を満たす、
0.50 ≦(ME/SiE)/MX ≦ 2.50 ・・・(1)
5.0×10
-3
≦ MX ≦6.0×10
-2
・・・(2)
ことを特徴とするトナー。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記MXが、下記式(3)を満たす、請求項1に記載のトナー。
1.0×10
-2
≦ MX ≦6.0×10
-2
・・・(3)
【請求項3】
前記ケイ素重合体複合物が、トナー母粒子の表面に凸形状で固着している、請求項1に記載のトナー。
【請求項4】
前記EDSマッピング像において、前記トナー母粒子の像及び前記ケイ素重合体複合物の像が観察され、前記ケイ素重合体複合物の像は前記トナー母粒子の像における前記トナー母粒子の表面に相当する位置に観察され、
前記EDSマッピング像において、下記方法で特定される領域Xに対してラインスキャンを行った際の前記特定金属原子の強度カウントの最大値をMmax、強度カウントの平均値をMaveとしたとき、
該Mmax及び該Maveが、下記式(4)を満たす、請求項3に記載のトナー;
1.00<Mmax/Mave<1.80 ・・・(4);
領域Xの特定方法:
(i)前記ケイ素重合体複合物の像と前記トナー母粒子の像とが形成する界面の端点同士を直線で結び、基線を定める、
(ii)該基線と前記ケイ素重合体複合物の像の外表面とを結ぶ垂線のうち、最大長をとる垂線L1を定める、
(iii)該基線の長さである前記ケイ素重合体複合物の像の幅をWとしたとき、該基線上において、該基線のそれぞれの端部から0.1W内側の2点を直線で結んだ線分L2を定める、
(iv)該垂線L1の中点の位置まで、該線分L2を該垂線L1が延びる方向に該基線と平行に移動したときの移動後の線分が前記ケイ素重合体複合物の像と重なる領域を“領域X”とする。
【請求項5】
前記ケイ素重合体複合物の、周波数10kHzで測定した導電率が、1.0×10
-5
~1.0×10
-2
S/mである、請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項6】
前記ケイ素重合体複合物において、前記特定金属原子の少なくとも一部とケイ素原子の少なくとも一部とが、酸素原子を介して結合している、請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項7】
前記特定金属原子が、チタン、ジルコニウム、銅及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一の金属原子を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項8】
前記特定金属原子が、チタンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項9】
前記ケイ素重合体複合物が、金属原子と多価酸とを含む多価酸金属塩を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項10】
前記トナー母粒子が、有機ケイ素化合物の縮合生成物を含有し、
前記トナー母粒子の飛行時間型二次イオン質量分析TOF-SIMSにおける該縮合生成物に由来する下記式(I)で示されるケイ素イオン(m/z=28)の規格化強度が、7.00×10
-4
~3.00×10
-2
であり、
ケイ素イオン規格化強度(m/z=28)={ケイ素イオンのイオン強度(m/z=28)}/{m/z=0.5~1850における全イオン強度} ・・・(I)
下記(A)条件でArガスクラスターイオンビームAr-GCIBにより該トナー母粒子をスパッタした後の、該飛行時間型二次イオン質量分析による該ケイ素イオン(m/z=28)の規格化強度が、6.99×10
-4
以下である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
(A)条件
加速電圧:5kV、電流:6.5nA、ラスタサイズ:600×600μm、照射時間:5sec/cycle、スパッタ時間:250sec

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、電子写真方式で使用されるトナーに関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、電子写真による画像形成が利用される分野はプリンターや複写機から商業印刷機にいたるまで多岐にわたってきている。それに伴い、電子写真に求められる高画質化、高速化、高耐久性の要求はますます高まってきている。加えて、電子写真の高性能化に伴い、世界的な普及が進み、屋内外を問わず様々な環境で使用されている。そうした様々な環境に対応しつつ、常に高品質の画像を提供することが求められている。
上述した高速化に伴い、トナーと帯電部材との接触時間は短くなる傾向にある。そのため、トナーに帯電付与する時間は短くなり、以下で述べるカブリ発生の課題が顕著に表れてくる。
【0003】
まず、カブリの発生プロセスを説明する。トナーはトナー担持体上に搬送された後、帯電付与部材と摺擦されることで摩擦帯電する。その後、トナー担持体上から静電気力で静電潜像担持体(以下、電子写真感光体又は感光体)上の静電潜像に飛翔することで画像を形成する。トナーが十分かつ均一に摩擦帯電されていない場合、低帯電量のトナーや電荷の絶対値が反転したトナーが多数存在してしまい、帯電分布がブロードになりやすい。その結果、これらのトナーが非画像部に飛翔してしまい、非印字部が着色される画像欠陥(以下、カブリと呼ぶ)が発生してしまう。
上述したプリンティングプロセスの高速化を進めた場合、低帯電量のトナーの生成や電荷の絶対値が反転したトナーの生成などの帯電異常が生じやすくなり、カブリが発生しやすくなる。
【0004】
このようなカブリ改善を目的として、トナー表面に導電性微粒子を存在させることで、従来の摩擦帯電プロセスにおける摩擦帯電に加えて、注入帯電プロセスにおける静電誘導および誘電分極を促進し、帯電立ち上がり性を改善する検討が行われている。ここで、注入帯電プロセスとは、トナーと帯電部材との電位差によって電荷を注入することでトナーを帯電させるプロセスのことである。これらのプロセスにおいては、トナー表面に導電性微粒子を存在させることで、トナー表面の帯電サイトを増やすことができる。そのため、高速化で電荷付与時間が短縮された場合でも、トナーへ十分な帯電を付与することができるため、常温常湿環境下においてはカブリの発生を抑制することができる。
【0005】
しかしながら、導電性微粒子を表面へ添加することによるカブリの抑制は高温高湿下においては効果が得られにくい。これは、導電性微粒子は水分吸着サイトとして働くため、高速化に対応するためにトナー表面の導電性微粒子を増やすと、それに伴い水分がトナー表面に吸着しやすくなるためである。この影響は、トナーが絶対水分量が高い環境下に長時間放置された後に画像形成装置を起動する場合、特に顕著に発生する。
【0006】
これらの課題に対して、特許文献1は、シリカの含有量及びゼータポテンシャルをコントロールしたコアシェル構造のシリカチタニア複合粒子を気相法で作製し、トナー粒子表面に外添することにより帯電安定性を向上してカブリ抑制したトナーが開示されている。
特許文献2は、トナーの外添剤として、強ネガ性材料として知られているシリカ粒子の-Si-Si-結合中に弱ネガ性のアルミニウム(アルミナ)もしくはチタンを導入することにより、画像耐久を通して、安定な帯電特性を付与し、カブリを抑制することが可能なトナーを開示している。
【0007】
特許文献3はトナー粒子表面に、有機ケイ素重合体からなる凸を存在させ、その凸の表面に多価酸金属塩を存在させることで、注入帯電プロセスを実現し、環境による帯電量の変化を抑制したトナーが開示されている。注入帯電プロセスを用いれば、トナー中やトナー間に導電パスを存在させることで、帯電部材と接触している部分だけではなく、トナー全体を均一かつ速やかに帯電させることができる。そのため表面に存在する多価酸金属塩が少量であっても良好な帯電立ち上がりを達成できる。また、注入帯電によれば、電位差を変えることで任意に帯電量を制御できるため、湿度の影響を受けにくい。そのため、環境による帯電量の変化を抑制し、カブリを抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2011-118210号公報
特開2007-017486号公報
特開2021-021791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載のトナーは、チタニアがシリカで覆われたコアシェル構造を有することで、ゼータポテンシャルを制御し、帯電の維持及び立ち上がりを良化させ、カブリを抑制している。しかしながら、上記特許文献1に記載のトナーは、チタニアの添加量が多量であるため、過剰な導電パスが生成しやすく、また、気相法によって作製した複合酸化物は完全にコアシェル構造を制御することは困難である。そのため、一部露出したチタニアを介して電荷がリークして、帯電立ち上がり性が低下する場合がある。
【0010】
上記特許文献2に記載のトナーは、シリカ粒子に少量のチタンをドープすることで、水分吸着サイトを増加させることなく、帯電安定性を達成している。しかしながら、金属ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された複合酸化物はチタンの存在位置を制御できておらず、トナー表面に露出しているチタン量が極めて多い。そのため、高温高湿下において表面のチタンに水分が吸着することによるカブリの課題は残されている。加えて、特許文献2に記載のトナーはチタンを極少量しか含有せず、かつ分散状態の制御がされていないため、摩擦帯電における十分な帯電サイトが存在せず、十分な帯電量を得ることができない。そのため、近年要求されるプリンティングプロセスの高速化においてカブリを解消するには不十分である。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

キヤノン株式会社
撮像装置
1日前
キヤノン株式会社
撮像装置
1日前
キヤノン株式会社
レンズ装置および撮像装置
1日前
キヤノン株式会社
ズームレンズおよび撮像装置
1日前
キヤノン株式会社
画像処理装置、制御方法、並びにプログラム
1日前
キヤノン株式会社
電子機器、電子機器の制御方法、プログラム
1日前
キヤノン株式会社
画像処理システム、制御方法およびプログラム
1日前
キヤノン株式会社
成形システム、成形方法、および物品の製造方法
1日前
キヤノン株式会社
情報処理装置、情報処理方法およびプログラム。
1日前
キヤノン株式会社
画像形成装置及びその制御方法、並びに、プログラム
1日前
キヤノン株式会社
管理システム、管理方法、及びコンピュータプログラム
1日前
キヤノン株式会社
移動体、移動体の制御方法、及びコンピュータプログラム
1日前
キヤノン株式会社
情報処理装置、情報処理装置の制御方法、およびプログラム
1日前
キヤノン株式会社
撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラムおよび記憶媒体
1日前
キヤノン株式会社
ロボット装置、ロボット装置の制御方法、物品の製造方法、プログラム、記録媒体
1日前
キヤノン株式会社
放射線撮影装置、放射線撮影システム、放射線撮影装置の制御方法、及びプログラム
1日前
キヤノン株式会社
撮像装置
1日前
キヤノン株式会社
撮像装置
1日前
個人
露光機振動・MSDの同定方法
22日前
株式会社トプコン
全周カメラ
22日前
株式会社リコー
画像形成装置
26日前
株式会社リコー
画像形成装置
25日前
株式会社リコー
画像形成装置
6日前
株式会社リコー
画像形成装置
14日前
株式会社リコー
画像形成装置
26日前
株式会社リコー
画像形成装置
26日前
キヤノン株式会社
画像形成装置
22日前
シャープ株式会社
画像形成装置
1か月前
シャープ株式会社
画像形成装置
21日前
沖電気工業株式会社
画像形成装置
1日前
沖電気工業株式会社
画像形成装置
5日前
三洋化成工業株式会社
トナーバインダー
25日前
沖電気工業株式会社
画像形成装置
5日前
ダイハツ工業株式会社
移動支援装置
26日前
株式会社電気印刷研究所
金属画像形成方法
7日前
キヤノン株式会社
画像形成装置
1か月前
続きを見る