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公開番号2025041757
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-26
出願番号2024224609,2023134348
出願日2024-12-20,2023-08-22
発明の名称窒化ケイ素焼結体、絶縁回路基板、および半導体装置
出願人株式会社MARUWA
代理人弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
主分類C04B 35/587 20060101AFI20250318BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】熱伝導率や曲げ強度などの特性異方性が緩和された窒化ケイ素焼結体を提供する。
【解決手段】窒化ケイ素焼結体は、基板厚み方向のND方向に対して直交する面内において、互いに直交するRD方向およびTD方向を有する基板からなる窒化ケイ素焼結体であって、RD方向は、窒化ケイ素焼結体のグリーンシートの圧延方向として定められ、RD方向の曲げ強度σxおよびRD方向に直交するTD方向の曲げ強度σyが、それぞれ600MPa以上であり、且つ、曲げ強度σxに対する、曲げ強度σxと曲げ強度σyとの差の割合(|σy-σx|/σx)が、10%以下であることを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
基板厚み方向のND方向に対して直交する面内において、互いに直交するRD方向およびTD方向を有する基板からなる窒化ケイ素焼結体であって、前記RD方向は、前記窒化ケイ素焼結体のグリーンシートの圧延方向として定められ、
前記RD方向の曲げ強度σxおよび前記RD方向に直交する前記TD方向の曲げ強度σyが、それぞれ600MPa以上であり、且つ、前記曲げ強度σxに対する、前記曲げ強度σxと前記曲げ強度σyとの差の割合(|σy-σx|/σx)が、10%以下であることを特徴とする窒化ケイ素焼結体。
続きを表示(約 270 文字)【請求項2】
前記RD方向の熱伝導率λxに対する、基板厚み方向の熱伝導率λzと前記RD方向の熱伝導率λxとの差の割合(|λz-λx|/λx)が、6%以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化ケイ素焼結体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の前記窒化ケイ素焼結体と、前記窒化ケイ素焼結体の表面に接合された金属板と、を備えることを特徴とする絶縁回路基板。
【請求項4】
請求項3に記載の絶縁回路基板と、前記絶縁回路基板の金属板上に実装された半導体素子と、を備えることを特徴とする半導体装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ケイ素焼結体、絶縁回路基板、および半導体装置に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、電子機器や半導体デバイスの高密度化、高出力化に伴い、パワーモジュールの発熱密度が増加している。パワーモジュールの温度上昇は、素子の動作不良を引き起こしたり、絶縁回路基板の割れを引き起こしたりする要因となる。そのため、絶縁回路基板には、比較的に熱伝導率が高い材料であるアルミナや窒化アルミニウムなどのセラミック基板が用いられてきた。しかしながら、アルミナや窒化アルミニウムには、機械的強度が低いという欠点が存在する。それ故、熱応力が強くかかる厚銅をセラミック基板へ直接接合することが出来ず、パワーモジュールの構造に制約を与えてきた。具体的には、銅やアルミニウムなどの放熱板(金属板)を絶縁回路基板に対して、はんだ接合する必要が生じることから、パワーモジュールが大型化することが問題として挙げられる。そこで、絶縁回路基板として注目されているのが窒化ケイ素(Si



)材料である。窒化ケイ素焼結体は、アルミナや窒化アルミニウム焼結体と比較して強度や破壊靭性が高いことから、絶縁回路基板へ直接厚銅を接合することが可能となり、モジュールの小型化に貢献する。そのため、機械的強度とともに熱伝導性能を改良した窒化ケイ素焼結体の開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1は、機械的特性および熱伝導性能を改良した窒化ケイ素質焼結体基板の製造方法を開示する。この製造方法では、Al含有量が0.1重量%以下の窒化ケイ素粉末に、Mg,Ca,Sr,Ba,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybのうちから選ばれる1種または2種以上の元素の焼結助剤を1重量%以上15重量%以下の範囲内で添加して成形した後、1気圧以上500気圧以下の窒素ガス圧下で、1700℃以上2300℃以下の温度で焼成する。該製造方法によって得られた窒化ケイ素質焼結体基板は、85重量%以上99重量%以下のβ型窒化ケイ素粒と残部が酸化物または酸窒化物の粒界相とから構成される。また、粒界相中にMg,Ca,Sr,Ba,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybのうちから選ばれる1種または2種以上の金属元素を0.5重量%以上10重量%以下含有する。そして、粒界相中のAl原子含有量が1重量%以下であり、気孔率が5%以下でかつ焼結体の微構造についてβ型窒化ケイ素粒のうち短軸径5μm以上を持つものの割合が10体積%以上60体積%以下である。すなわち、高熱伝導性の窒化ケイ素焼結体基板を得るためには焼結助剤として希土類化合物や酸化マグネシウムを加え、それらの混合比や添加量によって熱伝導率や機械的強度を向上できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平9-30866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
窒化ケイ素焼結体の主要な結晶相であるβ型窒化ケイ素結晶粒は、c軸方向に伸長した柱状結晶粒であることが知られている。そのため、窒化ケイ素焼結体は、完全にランダムな結晶粒の配向からなることはなく、原料の粒度、形状、成形方法等によって、特定の方向へ結晶粒の配向が偏った結晶相分布を示すことが多い。窒化ケイ素焼結体における結晶粒の配向の偏りは、窒化ケイ素焼結体の熱伝導率や曲げ強度等に特性異方性を生じさせる。具体的には、β型窒化ケイ素結晶粒は、a軸方向とc軸方向で熱伝導率に異方性があることが知られているが、特定の方向へ結晶粒の配向が偏ることで、窒化ケイ素焼結体に熱伝導率の異方性が生じる。また、特定の方向への結晶粒配向は、β型窒化ケイ素結晶粒の複合化にも影響を与え、クラックの偏向や伸長が変化することで機械的強度の異方性が生じる。特に、成形時にせん断力が発生するようなドクターブレードや押出成形などでは、β型窒化ケイ素結晶粒の添加量が少量であっても、スラリーの流動時に成形方向へ結晶粒が配向し、成形方向と、成形方向に対して直交する方向との異方性を大きく生じさせる要因となる。一方で、原料としてSi粉末を使用する反応焼結法においても、同様に異方性の問題が生じる。反応焼結法による焼結体作製では窒化時の発熱反応によって、局所的にSiが融解したり、窒化ケイ素のβ化が進行したりするため、焼結体の特性にむらが生じやすくなる。そのため、原料混合時に希釈剤として窒化ケイ素粉末を添加することで窒化反応を制御することが行われることが一般的であるが、この時に添加した窒化ケイ素粉末が焼結体の結晶粒配向に影響を与え、特定の方向へ結晶粒が優先配向されることになる。このような窒化ケイ素焼結体の特性異方性は、デバイスの用途によってはデバイス設計に影響を与えることから緩和されることが望ましい。
【0006】
発明者らは、従来の窒化ケイ素焼結体に対し、その製造方法を見直すとともに、窒化ケイ素焼結体の集合組織構造の制御に着目して、窒化ケイ素焼結体の熱伝導率や曲げ強度などの特性異方性を抑制することを課題とした。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、その目的は、熱伝導率や曲げ強度などの特性異方性が緩和された窒化ケイ素焼結体を提供することにある。さらに、本発明の目的は、当該窒化ケイ素焼結体を用いた絶縁回路基板、および半導体装置をも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態の窒化ケイ素焼結体は、基板表面のEBSD法によるβ型窒化ケイ素結晶粒の集合組織解析から得られた、各結晶粒の結晶方位の分布状態を示すテクスチャ指数Jが1.2~1.7であることを特徴とする。
【0009】
本発明の一形態の窒化ケイ素焼結体は、基板厚み方向をND方向としたときに、基板表面のEBSD法によるβ型窒化ケイ素結晶粒の集合組織解析から得られた結晶方位分布をBungeの定義によるオイラー角(φ1,Φ,φ2)で表したときに、φ2=0°、Φ=0°、φ1=0~60°の範囲における密度プロファイル(MUD)の最大値が1.0~1.6であり、且つ、φ2=0°、Φ=90°、φ1=0~180°の範囲における密度プロファイル(MUD)の最大値が2.0~7.0であることを特徴とする。
【0010】
本発明の一形態の窒化ケイ素焼結体は、基板厚み方向をND方向としたときに、基板表面のEBSD法によるβ型窒化ケイ素結晶粒の集合組織解析から得られた極点図におけるβ型窒化ケイ素結晶粒の{1 0 -1 0}面のND方向からの傾きが70°以内となる結晶方位を有するβ型窒化ケイ素結晶粒の面積率が、全てのβ型窒化ケイ素結晶粒に対して90~98%であることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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