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公開番号2025037395
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-18
出願番号2023144304
出願日2023-09-06
発明の名称既存建物の免震化方法、及び柱構造
出願人大成建設株式会社
代理人園田・小林弁理士法人
主分類E04G 23/02 20060101AFI20250311BHJP(建築物)
要約【課題】既存建物の既存柱に新たに免震装置を取り付けて免震化するに際し、構造をコンパクトにして施工コストを低減することができる、既存建物の免震化方法、及び柱構造を提供する。
【解決手段】既存建物1の免震化方法は、既存柱2の外周囲に外郭鋼板21を配置し、既存柱2と外郭鋼板21との間にコンクリートを充填して外郭鋼板付きコンクリート体20を構築する柱補強工程と、外郭鋼板21の外側に、ジャッキ受け部材50を仮固定し、ジャッキ受け部材50と、ジャッキ受け部材50の上方に位置する上側躯体12との間にジャッキ70を設置する、ジャッキ設置工程と、ジャッキ70を作動させて上側躯体12を支持した状態で、既存柱2の一部を撤去して、免震装置40を挿入する、免震装置設置工程と、ジャッキ70とジャッキ受け部材50を撤去する、仮設部材撤去工程と、を含む。
【選択図】図14
特許請求の範囲【請求項1】
既存建物の既存柱に新たに免震装置を取り付けて免震化する、既存建物の免震化方法であって、
前記既存柱の外周囲に外郭鋼板を配置し、前記既存柱と前記外郭鋼板との間にコンクリートを充填して外郭鋼板付きコンクリート体を構築する、柱補強工程と、
前記外郭鋼板の外側に、ジャッキ受け部材を仮固定し、前記ジャッキ受け部材と、前記ジャッキ受け部材の上方に位置する上側躯体との間にジャッキを設置する、ジャッキ設置工程と、
前記ジャッキを作動させて前記上側躯体を支持した状態で、前記既存柱の一部を撤去して、前記免震装置を挿入する、免震装置設置工程と、
前記ジャッキと前記ジャッキ受け部材を撤去する、仮設部材撤去工程と、
を含むことを特徴とする既存建物の免震化方法。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
前記ジャッキ受け部材は、前記既存柱の周囲に複数が設けられ、
前記外郭鋼板は、前記外郭鋼板の上側に、複数の前記ジャッキ受け部材の各々を係止して仮固定し、支持する、複数の支持鋼板部と、前記既存柱を囲うように設けられて、対向するように位置している前記支持鋼板部同士を連結する連結鋼板部と、を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の既存建物の免震化方法。
【請求項3】
既存柱に免震装置が取り付けられた柱構造であって、
前記既存柱は鉄筋コンクリート造であり、
前記既存柱の、前記免震装置よりも下側には、前記既存柱の外周囲に外郭鋼板が配置され、前記既存柱と前記外郭鋼板との間にコンクリートが充填されて外郭鋼板付きコンクリート体が構築され、
前記外郭鋼板は、鋼板本体と、前記鋼板本体の上側に設けられた、前記鋼板本体より板厚が大きい支持鋼板部を備え、前記支持鋼板部の内部表面側には欠込み部が設けられていることを特徴とする柱構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、既存建物の既存柱に新たに免震装置を取り付けて免震化する、既存建物の免震化方法、及び柱構造に関する。
続きを表示(約 5,300 文字)【背景技術】
【0002】
近年、頻発する地震に備え、既に施工が完了し、運用されている既存建物の、特定の階層に免震装置を新設することにより、既存建物を免震化することが行われている。
これに関し、特許文献1には、杭基礎で支持された既存建物の下方を掘削して基礎及び杭の頭部を露出させた後、掘削底に耐圧盤を築造し、その上に立設した、鋼材とジャッキとで構成される仮受け支柱で上部構造を仮受けし、この状態で上部構造と下部構造の間の軸力伝達部材である杭頭部を切断除去し、除去された軸力伝達部材が負担していた軸力の伝達径路中に、免震装置を設置して、仮受け支柱から免震装置へ建物荷重を移行させることにより、既存建物を免震改修する既存建物の免震化工法が開示されている。
特許文献1に記載されているように、既存建物を免震化するには、柱や杭等の既存の構造の周囲にジャッキを設け、既存の構造に作用する荷重をジャッキで仮受けした状態で、既存の構造を切断し、免震装置を挿入した後、ジャッキを撤去する、という手順を踏むのが一般である。
【0003】
ここで、既存柱に対して免震装置を設けるに際し、免震装置を設ける階層における、既存柱の上端と下端部分に、キャピタル等の、既存柱から側方に突出して既存柱との間で荷重を伝達し得る躯体部分が設けられていない場合には、既存柱の周囲にジャッキを設けたとしても、既存柱に作用する荷重をジャッキで仮受けすることができない。このため、このような場合においては、既存柱の上端と下端部分にキャピタル等を新設し、上下のキャピタル間にジャッキを設置することができるようにして、既存柱を切断した際に、荷重が、上のキャピタルからジャッキを介して下のキャピタルへと伝達される状態とする必要がある。既存柱の上端と下端部分にキャピタル等が仮に設けられていたとしても、キャピタルが小さく、平面視したときにジャッキを設置しようとする位置がキャピタルの外側である場合においては、上記の場合と同様に、上下のキャピタル間にジャッキを設置することができないため、キャピタルを拡大する必要がある。
上記のようなキャピタルの新設や拡大の作業は、大きな施工コストを要するものとなるため、キャピタルを新設しないで済むようにするか、拡大するとしても拡大量をできるだけ小さくして、施工コストをできるだけ低減するのが望ましい。
【0004】
これに関し、特許文献2には、既存建物の軸力材の外周に、少なくとも免震装置を挿入すべき範囲を残して増し打ちコンクリートを打設するとともに、下側の増し打ちコンクリートの上面と上側の増し打ちコンクリートの下面との間に複数本の仮設サポートを介装し、次いで、免震装置を挿入すべき範囲の軸力材を切断した後に、軸力材の切断部位に免震装置を挿入し、仮設サポートを撤去する既存建物の免震化工法が開示されている。
また、特許文献3には、既存柱の周囲に鉄筋コンクリートを打設した後、免震装置を挿入する既存柱の部位の既存柱を撤去し、撤去された既存柱部位にできた空間に免震装置を挿入し、挿入された免震装置を囲む鉄筋コンクリートの部位の複数箇所を撤去し、撤去された鉄筋コンクリート部位にできた複数空間において、下側の鉄筋コンクリートの上面と上側の鉄筋コンクリートの下面の間に、それぞれジャッキをセットし、複数のジャッキ間に存在する残りの鉄筋コンクリートを撤去した後、ジャッキを撤去する免震化工法が開示されている。
【0005】
既存柱に免震装置を設けるためには、少なくとも免震装置のフランジプレートを含んで、施工後に柱が免震装置を十分に支持することができるよう、既存柱の周囲にコンクリートを増し打ちして、柱を太くする必要がある。特許文献2、3においては、上記のように、既存柱の上側と下側の周囲に増し打ちコンクリートを設けるに際し、平面視したときの増し打ちコンクリートの大きさが、免震装置のフランジプレートよりも十分に大きくなるように増し打ちコンクリートを形成して、フランジプレートの外輪郭と増し打ちコンクリートの外輪郭との間に一定の領域を確保している。そして、この領域内に仮設サポートやジャッキを設置して、上下の増し打ちコンクリート間で仮設サポートやジャッキにより荷重を伝達する構造としている。このような構成においては、仮設サポートやジャッキは、既存柱の周囲ではなく、既存柱に設けられた増し打ちコンクリートに設けられるため、キャピタルは、既存柱に設けられた増し打ちコンクリートを支持する範囲まで拡大すれば、基本的には十分である。したがって、特許文献1の構成に比べると、キャピタルの拡大量が低減する可能性はある。
しかし、特許文献2、3の構成においては、少なくとも、免震装置のフランジプレートよりも外側に仮設サポートやジャッキを設置するための領域が確保される程度の大きさには、増し打ちコンクリートを形成する必要がある。この増し打ちコンクリートを小さくすることができれば、施工コストをより低減できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2013-53407号公報
特許第3731682号公報
特開2013-147910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、既存建物の既存柱に新たに免震装置を取り付けて免震化するに際し、構造をコンパクトにして施工コストを低減することができる、既存建物の免震化方法、及び柱構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の既存建物の免震化方法は、既存建物の既存柱に新たに免震装置を取り付けて免震化する、既存建物の免震化方法であって、前記既存柱の外周囲に外郭鋼板を配置し、前記既存柱と前記外郭鋼板との間にコンクリートを充填して外郭鋼板付きコンクリート体を構築する、柱補強工程と、前記外郭鋼板の外側に、ジャッキ受け部材を仮固定し、前記ジャッキ受け部材と、前記ジャッキ受け部材の上方に位置する上側躯体との間にジャッキを設置する、ジャッキ設置工程と、前記ジャッキを作動させて前記上側躯体を支持した状態で、前記既存柱の一部を撤去して、前記免震装置を挿入する、免震装置設置工程と、前記ジャッキと前記ジャッキ受け部材を撤去する、仮設部材撤去工程と、を含むことを特徴とする。
上記のような構成によれば、外郭鋼板付きコンクリート体を既存柱の周囲に設け、外郭鋼板に対してジャッキ受け部材を仮固定し、ジャッキ受け部材と上側躯体との間にジャッキを設置して、ジャッキを作動させる。すると、荷重は、上側躯体から、ジャッキとジャッキ受け部材を介して、外郭鋼板付きコンクリート体と、下側の既存柱へと伝達し得る。このように、既存柱を介さずとも、上側躯体の荷重が下側躯体へと伝達し得る状態となるため、既存柱の一部の撤去と、既存柱の撤去された部分への免震装置の挿入の、各々の作業を、確実に行うことができる。
ここで、ジャッキが設置されるジャッキ受け部材は、外郭鋼板付きコンクリート体の外郭鋼板の外側に位置するように設けられる。このため、ジャッキは、平面視したときに外郭鋼板付きコンクリート体よりも外方へと突出するような位置に、設けることができる。このように、ジャッキは、少なくともその全体が外郭鋼板付きコンクリート体によって支持されなくとも良いため、外郭鋼板付きコンクリート体を構築するに際し、免震装置よりも外側にジャッキを設置することを考慮して、外郭鋼板付きコンクリート体を過剰に大きくする必要がない。したがって、外郭鋼板付きコンクリート体を、例えば免震装置の下部フランジプレートが収まる程度の、コンパクトなサイズで形成することができる。
このようにして、既存建物の既存柱に新たに免震装置を取り付けて免震化するに際し、構造をコンパクトにして施工コストを低減することが可能となる。
また、ジャッキ受け部材は、外郭鋼板に仮固定されるため、施工後には取り外して、他の既存柱の施工に再利用することが可能となる。これにより、施工コストを、更に低減することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記ジャッキ受け部材は、前記既存柱の周囲に複数が設けられ、前記外郭鋼板は、前記外郭鋼板の上側に、複数の前記ジャッキ受け部材の各々を係止して仮固定し、支持する、複数の支持鋼板部と、前記既存柱を囲うように設けられて、対向するように位置している前記支持鋼板部同士を連結する連結鋼板部と、を備えている。
このような構成によれば、外郭鋼板の外側に仮固定したジャッキ受け部材と、ジャッキ受け部材の上方に位置する上側躯体との間にジャッキを設置することができる。ジャッキを作動させると、荷重は、上側躯体から、ジャッキとジャッキ受け部材を介して、外郭鋼板付きコンクリート体と、下側の既存柱へと伝達し得る状態となる。この荷重による軸力がジャッキ受け部材に作用すると、支持鋼板部は、下方へ押圧される。外郭鋼板の内側にはコンクリートが充填されており、支持鋼板部は内側からコンクリートによって支持されているため、軸力は、支持鋼板部に対し、既存柱とは反対側の、外側の方向への応力として作用する。これにより、支持鋼板部が内側に位置するコンクリートから外側へと離間して、変形、変位しようとする。これに対し、対向するように位置している支持鋼板部が連結鋼板部によって連結されているので、支持鋼板部に作用する外側の方向に向かって発生するはらみだし応力に連結鋼板部が抵抗し、支持鋼板部の変形、変位を抑制することができる。また、連結鋼板部を設けることで、はらみだし応力を軽減させ、構造物の強度や耐久性を確保することができる。
【0010】
本発明の一態様においては、本発明の柱構造は、既存柱に免震装置が取り付けられた柱構造であって、前記既存柱は鉄筋コンクリート造であり、前記既存柱の、前記免震装置よりも下側には、前記既存柱の外周囲に外郭鋼板が配置され、前記既存柱と前記外郭鋼板との間にコンクリートが充填されて外郭鋼板付きコンクリート体が構築され、前記外郭鋼板は、鋼板本体と、前記鋼板本体の上側に設けられた、前記鋼板本体より板厚が大きい支持鋼板部を備え、前記支持鋼板部の内部表面側には欠込み部が設けられていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、次のような手順を踏むことで、既存柱に免震装置を取り付けた柱構造を構築することができる。まず、外郭鋼板付きコンクリート体を既存柱の周囲に構築する。次に、外郭鋼板の外側に位置するように、外郭鋼板に対して、ジャッキを支持するジャッキ受け部材を仮固定する。この仮固定は、外郭鋼板の上側に設けられた支持鋼板部の内部表面側に設けられた欠込み部に、ジャッキ受け部材を係止することで行うことができる。そして、ジャッキ受け部材と、ジャッキ受け部材の上方に位置する上側躯体との間にジャッキを設置し、ジャッキを作動させる。これにより、荷重は、上側躯体から、ジャッキとジャッキ受け部材を介して、外郭鋼板付きコンクリート体と、下側の既存柱へと伝達し得る状態となるため、既存柱の一部を撤去し、免震装置を挿入して固定することができる。
このように、ジャッキが設置されるジャッキ受け部材は、外郭鋼板付きコンクリート体の外郭鋼板の外側に位置するように設けられ得る。このため、ジャッキは、平面視したときに外郭鋼板付きコンクリート体よりも外方へと突出するような位置に、設けることができる。このように、ジャッキは、少なくともその全体が外郭鋼板付きコンクリート体によって支持されなくとも良いため、外郭鋼板付きコンクリート体を構築するに際し、免震装置よりも外側にジャッキを設置することを考慮して、外郭鋼板付きコンクリート体を過剰に大きくする必要がない。したがって、外郭鋼板付きコンクリート体を、例えば免震装置の下部フランジプレートが収まる程度の、コンパクトなサイズで形成することができる。
このようにして、既存建物の既存柱に新たに免震装置を取り付けて免震化するに際し、構造をコンパクトにして施工コストを低減することが可能となる。
また、ジャッキ受け部材は、外郭鋼板に仮固定されるため、施工後には取り外して、他の既存柱の施工に再利用することが可能となる。これにより、施工コストを、更に低減することができる。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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