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公開番号
2025037224
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-17
出願番号
2024066266
出願日
2024-04-16
発明の名称
過酸化水素生成用炭素触媒の製造方法
出願人
三菱瓦斯化学株式会社
,
国立大学法人東京科学大学
代理人
個人
,
個人
主分類
B01J
37/02 20060101AFI20250310BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】高過酸化水素濃度、高触媒活性、及び高反応効率を両立する2電子還元触媒を安価かつ簡易に得られる、触媒性能の最適化が容易な炭素触媒の製造方法を提供すること。
【解決手段】上記課題は、含窒素複素環化合物と、コバルトまたはコバルト塩とを、2:1から10:1の等量比で溶媒中に分散または溶解させて、触媒前駆体液を調製する工程と、導電性炭素を含む担体の表面に、前記触媒前駆体液を接触させて、前記含窒素複素環化合物とコバルトまたはコバルト塩とからなる触媒前駆体を担持する工程と、前記触媒前駆体を担持した担体を350℃から900℃の温度範囲で加熱して過酸化水素生成用炭素触媒を製造する工程と、を含む過酸化水素生成用炭素触媒の製造方法であって、前記含窒素複素環化合物が、ビピリジン、ポルフィリン、(オリゴ)ピリジン、(オリゴ)ピロール、フェナントロリン、ターピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、トリアジン、及び窒化ホウ素からなる群より選択される1以上を含む、前記製造方法によって解決することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
含窒素複素環化合物と、コバルトまたはコバルト塩とを、2:1から10:1の等量比で溶媒中に分散または溶解させて、触媒前駆体液を調製する工程と、
導電性炭素を含む担体の表面に、前記触媒前駆体液を接触させて、前記含窒素複素環化合物とコバルトまたはコバルト塩とからなる触媒前駆体を担持する工程と、
前記触媒前駆体を担持した担体を350℃から900℃の温度範囲で加熱して過酸化水素生成用炭素触媒を製造する工程と、
を含む過酸化水素生成用炭素触媒の製造方法であって、
前記含窒素複素環化合物が、ビピリジン、ポルフィリン、(オリゴ)ピリジン、(オリゴ)ピロール、フェナントロリン、ターピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、トリアジン、及び窒化ホウ素からなる群より選択される1以上を含む、前記製造方法。
続きを表示(約 520 文字)
【請求項2】
前記含窒素複素環化合物が、2,2’-ビピリジン又はテトラフェニルポルフィリンを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記コバルト塩が、硝酸コバルト、炭酸コバルト、塩化コバルト、ヘキサアンミンコバルト、クロロペンタアンミンコバルト、トリス(エチレンジアミン)コバルト、及びジクロロビス (エチレンジアミン)コバルト塩化物からなる群より選択される1以上を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記担体が、導電性カーボンブラック、導電性メソポーラスカーボン、炭素ナノチューブ、及びグラフェンからなる群より選択される1以上を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール、(オリゴ)エチレングリコール、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフランからなる群より選択される1以上を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記炭素触媒が、導電性のガス拡散層もしくはイオン伝導体に担持させ、酸素を還元して過酸化水素を生成するための電気化学触媒として使用される、請求項1に記載の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素の電解合成に用いる金属および窒素を含む炭素触媒の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
過酸化水素は、クリーンな酸化剤として化学合成、パルプ漂白、医療、食品、繊維、半導体等の分野で広く使用されている有用な化学物質である。過酸化水素の主な工業的製造法は、置換アントラキノンを用いた自動酸化法(以下、「アントラキノン法」と呼称する)(特許文献1)と呼ばれる多段合成法である。アントラキノン法は製造行程で多量の有機溶媒を使用する、分離精製工程等でのエネルギー消費が大きい、反応で生じる熱の有効利用が難しい、といった不利な点がある。
【0003】
アントラキノン法の課題を解決し得る過酸化水素の合成方法として電解合成法が挙げられる。ここで述べる電解合成法とは、過硫酸塩等を中間体として経由する旧来の電解合成法や水を2電子酸化して過酸化水素を合成する電解酸化法ではなく、酸素とプロトンの2電子還元により直接過酸化水素を得る合成法を意味する。電解合成法は水素と酸素、もしくは水の電気分解により生じたプロトンと酸素から直接過酸化水素を合成する方法であるため、分離精製等の工程でのエネルギー消費を抑えることが可能である。特に、ガス拡散電極等を用いて気体状の酸素を2電子還元する方法(特許文献2)は、高濃度かつ高純度な過酸化水素水が得られるため濃縮や精製に必要なエネルギーが小さく、産業的な過酸化水素水の製造に好適である。
【0004】
電解合成法の大きな未解決の課題の1つとして、酸素を2電子還元する電解触媒(以下、「2電子還元触媒」と呼称する)の性能向上が挙げられる。工業的に実用性のある電解合成のためには、高濃度な過酸化水素を高反応効率でかつ多量に合成する必要があるが、2電子還元触媒は過酸化水素を更に還元して水に変換する反応も触媒してしまうため、過酸化水素の濃度や触媒活性と反応効率とがトレードオフになってしまうことが多い。水への4電子還元が進行してしまうとファラデー効率(電流あたりの過酸化水素の生成効率)が低下するため、通常の燃料電池反応のカソード触媒(特許文献3)とは異なり高選択な2電子還元反応が求められる。特に、高濃度な過酸化水素水を生成させる場合には水への還元が進行し易く、反応効率の低下が顕著となる場合が多いため、水への4電子還元反応を抑制しながら2電子還元反応の活性を向上させるための触媒の開発が盛んに試みられている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0005】
高過酸化水素濃度、高触媒活性と高反応効率とを一定程度両立できる触媒の作製方法として、コバルトテトラフェニルポルフィリン(特許文献2、特許文献4)やコバルトフタロシアニン(特許文献5)等のコバルト錯体を前駆体とし、導電性の炭素担体と共に焼成して作製する方法が報告されている。導電性の炭素担体にコバルト及び窒素を導入することで高い2電子還元選択性と反応活性を両立した触媒であるが、コバルトと配位子の数比が一定であるため触媒性能のチューニング性に乏しいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第4735500号
特許第5386684号
WO2012/096022
特開2021-181587号
WO2022/067377
【非特許文献】
【0007】
ACS Catal. 2020, 10, 14, 7495-7511,
Cell Reports Physical Science 3, 100987, 2022
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高過酸化水素濃度、高触媒活性、及び高反応効率を両立する2電子還元触媒を安価かつ簡易に得られる、触媒性能の最適化が容易な炭素触媒の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の本発明により上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 含窒素複素環化合物と、コバルトまたはコバルト塩とを、2:1から10:1の等量比で溶媒中に分散または溶解させて、触媒前駆体液を調製する工程と、
導電性炭素を含む担体の表面に、前記触媒前駆体液を接触させて、前記含窒素複素環化合物とコバルトまたはコバルト塩とからなる触媒前駆体を担持する工程と、
前記触媒前駆体を担持した担体を350℃から900℃の温度範囲で加熱して過酸化水素生成用炭素触媒を製造する工程と、
を含む過酸化水素生成用炭素触媒の製造方法であって、
前記含窒素複素環化合物が、ビピリジン、ポルフィリン、(オリゴ)ピリジン、(オリゴ)ピロール、フェナントロリン、ターピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、トリアジン、及び窒化ホウ素からなる群より選択される1以上を含む、前記製造方法である。
<2> 前記含窒素複素環化合物が、2,2’-ビピリジン又はテトラフェニルポルフィリンを含む、上記<1>に記載の製造方法である。
<3> 前記コバルト塩が、硝酸コバルト、炭酸コバルト、塩化コバルト、ヘキサアンミンコバルト、クロロペンタアンミンコバルト、トリス(エチレンジアミン)コバルト、及びジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト塩化物からなる群より選択される1以上を含む、上記<1>に記載の製造方法である。
<4> 前記担体が、導電性カーボンブラック、導電性メソポーラスカーボン、炭素ナノチューブ、及びグラフェンからなる群より選択される1以上を含む、上記<1>に記載の製造方法である。
<5> 前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール、(オリゴ)エチレングリコール、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフランからなる群より選択される1以上を含む、上記<1>に記載の製造方法である。
<6> 前記炭素触媒が、導電性のガス拡散層もしくはイオン伝導体に担持させ、酸素を還元して過酸化水素を生成するための電気化学触媒として使用される、上記<1>に記載の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高過酸化水素濃度、高触媒活性、及び高反応効率を両立する2電子還元触媒を安価かつ簡易に得られる、触媒性能の最適化が容易な炭素触媒の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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