特許ウォッチ

公開番号2025033569
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023139360
出願日2023-08-29
発明の名称トルク制御方法及びトルク制御装置
出願人日産自動車株式会社
代理人弁理士法人後藤特許事務所
主分類B60W 10/02 20060101AFI20250306BHJP(車両一般)
要約【課題】有段変速機で変速する際の車両のショックを抑制すること。
【解決手段】内燃エンジン1と、有段の自動変速機3と、変速動作が開始されたら点火時期リタードによりエンジントルクを制限することにより締結要素の滑りを抑制する第1トルク制限制御と、動力伝達系の回転軸捩じり方向の振動周期に合わせて点火時期リタードすることによりエンジントルクを目標トルクより低く制限したトルクプロフィールで変化させる第2トルク制限制御と、を実行するコントローラ10と、を備える車両のトルク制御方法において、第2トルク制限制御の実行中に変速する場合には、コントローラ10は、変速動作のイナーシャフェーズが開始されたら、少なくとも変速動作が終了するまでは第2トルク制限制御のトルクプロフィールのトルク変化の傾きを変速動作中の締結要素の締結容量の急増に起因するショックを抑制する第1所定トルク傾きに制限する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
内燃エンジンと、
前記内燃エンジンに連結され、複数の摩擦要素を有し、前記複数の摩擦要素のうち解放要素を開放し締結要素を締結する架け替えにより変速を実行する有段の自動変速機と、
前記自動変速機を変速させる際の制御であって、変速動作が開始されたら点火時期リタードにより前記内燃エンジンのトルクであるエンジントルクを制限することにより前記締結要素の滑りを抑制する第１トルク制限制御と、前記内燃エンジンの目標トルクが変化した際の制御であって、動力伝達系の回転軸捩じり方向の振動周期に合わせて点火時期リタードすることにより前記エンジントルクを前記目標トルクより低く制限したトルクプロフィールで変化させる第２トルク制限制御と、を実行するコントローラと、
を備える車両のトルク制御方法において、
前記第２トルク制限制御の実行中に変速する場合には、
前記コントローラは、前記変速動作のイナーシャフェーズが開始されたら、少なくとも前記変速動作が終了するまでは前記第２トルク制限制御の前記トルクプロフィールのトルク変化の傾きを前記変速動作中の前記締結要素の締結容量の急増に起因するショックを抑制する第１所定トルク傾きに制限することを特徴とする、トルク制御方法。
続きを表示（約 960 文字）【請求項２】
請求項１に記載のトルク制御方法において、
前記変速動作の終了後に前記エンジントルクの制限を解除する際も、トルク変化の傾きを前記エンジントルクの急増に起因するショックを抑制する第２所定トルク傾きに制限する、トルク制御方法。
【請求項３】
請求項１に記載のトルク制御方法において、
前記コントローラは、前記第１所定トルク傾きをアクセル開度に応じて定まる最終的な前記目標トルク及び変速比に応じて設定する、トルク制御方法。
【請求項４】
請求項３に記載のトルク制御方法において、
前記第１所定トルク傾きは、最終的な前記目標トルクが大きいほど大きい、トルク制御方法。
【請求項５】
請求項３に記載のトルク制御方法において、
前記第１所定トルク傾きは、最終的な前記変速比が大きいほど小さい、トルク制御方法。
【請求項６】
内燃エンジンと、
前記内燃エンジンに連結され、複数の摩擦要素を有し、前記複数の摩擦要素のうち解放要素を開放し締結要素を締結する架け替えにより変速を実行する有段の自動変速機と、
前記自動変速機を変速させる際の制御であって、変速動作が開始されたら点火時期リタードにより前記内燃エンジンのトルクであるエンジントルクを制限することにより前記締結要素の滑りを抑制する第１トルク制限制御と、前記内燃エンジンの目標トルクが変化した際の制御であって、動力伝達系の回転軸捩じり方向の振動周期に合わせて点火時期リタードすることにより前記エンジントルクを前記目標トルクより低く制限したトルクプロフィールで変化させる第２トルク制限制御と、を実行するコントローラと、
を備える車両のトルク制御装置において、
前記コントローラは、前記第２トルク制限制御の実行中に変速する場合には、前記変速動作のイナーシャフェーズが開始されたら、少なくとも前記変速動作が終了するまでは前記第２トルク制限制御の前記トルクプロフィールのトルク変化の傾きを前記変速動作中の前記締結要素の締結容量の急増に起因するショックを抑制する第１所定トルク傾きに制限するようプログラムされていることを特徴とする、トルク制御装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両のトルク制御方法及びトルク制御装置に関する。
続きを表示（約 1,800 文字）【背景技術】
【０００２】
燃料カットからの復帰時のように内燃エンジンのトルクが変化する場合には、動力伝達系の回転軸に捩じり振動が生じ、この振動により車両にショックが発生するおそれがある。特許文献１には、燃料カットからの復帰時にはトルクを漸増させることとし、その際に、トルクの漸増開始から漸増終了までの時間を動力伝達系の回転軸捩じり方向の振動周期の整数倍とするトルクプロフィールを採用することで車両のショックを抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開２０１３－１４２３０７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
変速機の変速比は動力伝達系の回転軸捩じり方向の振動周期を決める要因の一つであり、有段自動変速機のように変速により変速比が急変する場合には、振動周期も急変することとなる。このため、有段変速機の変速中に上記文献に記載の制御を実行すると、変速比の変化に合わせてトルクプロフィールが急変する。一般的に、変速中における自動変速機の締結要素の締結容量は内燃エンジンのトルクに応じて変化するよう制御される。したがって、トルクプロフィールが急変すると締結容量も急変することとなり、ショックが発生するおそれがある。
【０００５】
そこで本発明は、上記問題に鑑み、有段変速機で変速する際に、車両のショックを抑制し得るトルク制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明のある態様によれば、内燃エンジンと、内燃エンジンに連結され、複数の摩擦要素を有し、複数の摩擦要素のうち解放要素を開放し締結要素を締結する架け替えにより変速を実行する有段の自動変速機と、自動変速機を変速させる際の制御であって、変速動作が開始されたら点火時期リタードにより内燃エンジンのトルクであるエンジントルクを制限することにより締結要素の滑りを抑制する第１トルク制限制御と、内燃エンジンの目標トルクが変化した際の制御であって、動力伝達系の回転軸捩じり方向の振動周期に合わせて点火時期リタードすることによりエンジントルクを目標トルクより低く制限したトルクプロフィールで変化させる第２トルク制限制御と、を実行するコントローラと、を備える車両のトルク制御方法が提供される。この方法において、第２トルク制限制御の実行中に変速する場合には、コントローラは、変速動作のイナーシャフェーズが開始されたら、少なくとも変速動作が終了するまでは第２トルク制限制御のトルクプロフィールのトルク変化の傾きを変速動作中の締結要素の締結容量の急増に起因するショックを抑制する第１所定トルク傾きに制限する。
【発明の効果】
【０００７】
上記態様によれば、有段変速機で変速する際に、車両のショックを抑制し得るトルク制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
図１は、車両の駆動系の概略構成図である。
図２は、アクセルペダルの踏み増しにより車速が上昇してアップシフトが行われる場合のタイミングチャートの比較例である。
図３は、ダウンシフトが行われる場合のタイミングチャートの比較例である。
図４は、アップシフトの途中でアクセルペダルから足が離れた場合のタイミングチャートの比較例である。
図５は、図２と同じ状況で本発明の実施形態を実行した場合のタイミングチャートである。
図６は、図３と同じ状況で本発明の実施形態を実行した場合のタイミングチャートである。
図７は、図４と同じ状況で本発明の実施形態を実行した場合のタイミングチャートである。
図８は、本発明の実施形態に係る制御のフローチャートの前半部分である。
図９は、本発明の実施形態に係る制御のフローチャートの後半部分である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【００１０】
図１は、本発明の実施形態を適用する車両１００の駆動系の概略構成図である。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許