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公開番号
2025025404
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-21
出願番号
2023130139
出願日
2023-08-09
発明の名称
免震層特性の探索システム、及び免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物
出願人
大成建設株式会社
代理人
園田・小林弁理士法人
主分類
E04H
9/02 20060101AFI20250214BHJP(建築物)
要約
【課題】セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態を探索することを可能とする。
【解決手段】免震層特性の探索システムは、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として免震層の特性を探索するものであり、特性は剛性であり、免震層は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化され、免震層の初期固有周期、接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔、及び複数の更新値を、設計変数とし、下部構造に対する上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が小さくなるように、設計変数を更新しつつ探索して、免震層の剛性を決定する、探索部2を備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として前記免震層の特性を探索する免震層特性の探索システムであって、
前記特性は剛性であり、
前記免震層の下方と上方にはそれぞれ、前記免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、前記免震層は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化され、
前記免震層の諸元の初期値を決定するための前記免震層の初期固有周期、前記接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の前記時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における前記接線剛性の更新値を、設計変数とし、
前記下部構造に対する前記上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、前記変位、前記速度、または前記加速度が小さくなるように、前記設計変数を更新しつつ探索して、前記免震層の前記剛性を決定する、探索部を備えている
ことを特徴とする免震層特性の探索システム。
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【請求項2】
前記探索部は、前記設計変数を変数として、前記変位、前記速度、または前記加速度を目的関数とする最適化問題を解くことにより、前記設計変数を探索する
ことを特徴とする請求項1に記載の免震層特性の探索システム。
【請求項3】
免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として前記免震層の特性を探索する免震層特性の探索システムであって、
前記免震層の下方と上方にはそれぞれ、前記免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、前記免震層は、能動的に前記特性を更新するようにモデル化され、
前記免震層の諸元の初期値を決定するための前記免震層の初期固有周期、前記特性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の前記時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における前記特性の更新値を、設計変数とし、
前記下部構造に対する前記上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、前記変位、前記速度、または前記加速度が小さくなるように、前記設計変数を更新しつつ探索して、前記免震層の前記特性を決定する、探索部を備えている
ことを特徴とする免震層特性の探索システム。
【請求項4】
前記特性は、減衰特性か、慣性質量のいずれか、または前記減衰特性、前記慣性質量、および剛性のうち、2つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の免震層特性の探索システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の免震層特性の探索システムを用いて決定された前記設計変数を実現するように、前記免震層の特性を調整する、特性調整機構を備えていることを特徴とする、免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として免震層の特性を探索する免震層特性の探索システム、及び免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)
【背景技術】
【0002】
構造物に対して作用する、地震動や風による影響を抑えるため、構造物に免震層を設けて、免震構造物とすることがある。このような免震層は、一般には、免震層よりも上方に位置する上部構造の質量や、免震層が変形した後の復元力特性、及び減衰力特性等の構造諸元が固定値である前提で、設計されることが多い。これに対し、地震動や風の大きさに応じて、例えば復元力特性や減衰力特性等を状況に応じて切り替えて、複数の異なる態様で地震動や風に対応するように、免震構造物を設計することがある。
【0003】
例えば特許文献1には、免震層を複数備えた複層免震建物が開示されている。この複層免震建物においては、下側から上側に向かって、下部構造物、下部免震層、中間構造物、中間免震層、及び上部構造物が連結されて構成されている。下部免震層及び中間免震層のいずれか一方の免震層は、水平剛性が他方の免震層より小さく設定され、かつ、一方の免震層の変形に伴って一方の免震層の水平剛性を上昇させる剛性付与機構を備えている。他方の免震層は、地震動発生時に剛性付与機構により一方の免震層の水平剛性が上昇した状態で変形する。
また、特許文献2には、フェールセーフ機構を備える免震建物が開示されている。この免震建物は、免震機構と、免震機構よりも上の上部構造体にフェールセーフ機構を備えている。フェールセーフ機構は、免震建物の2次以上の固有振動モードの少なくとも1つに対して同調効果を発揮する同調型マスダンパーを含む。
【0004】
特に近年においては、より能動的に、上記のような構造物の諸元を切り替えることで、免震性能の更なる向上を目指す、セミアクティブ制御による免震構造や制振構造が提案され、実用化されている。
これに関し、特許文献3には、次のような可変構造セミアクティブ免震システムが開示されている。この可変構造セミアクティブ免震システムは、免震構造物の上下部構造間に設けられた可変減衰ダンパと、上下部構造の応答を検出するセンサ等と、その検出信号に基づいて可変減衰ダンパへの指令信号を演算・出力するコンピュータを備えた制御手段と、上記指令信号により減衰力を切り換える切換手段とを備えている。コンピュータは、免震構造物の状態方程式に、可変減衰ダンパの減衰力設定値と実際に発生する減衰力との関係式を連成させた全体システムの状態方程式に対して双線形最適制御理論により求めた制御則としての切換え超平面に基づいて可変減衰ダンパの減衰係数を切り換えて上部構造物の応答変形および/または応答加速度を制御する可変構造制御法を採用する。
【0005】
特許文献3のようなセミアクティブ制御を基本とする免震層を設計、開発する際に検討すべき項目として、制御機構(「何を」制御するか)、及び制御則(「どのように」制御するか)、が挙げられる。これらの制御機構や制御則に関しては、免震層を最適に制御した場合の応答値を一概には定義することができないため、免震層を設計する際に、その目標を明確に設定することが難しい。したがって、設計された免震層の性能評価は、既存の制御方法に対してどの程度向上したか、といった、相対的なものとならざるを得ない。もし、免震層を設計する際に、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の層剛性等の特性の形態が、事前に判明していれば、この最適に近い状態を目標値とし、目標値と設計値との間の差異を評価して、この差異を縮めるように、目標値を目指して免震層の設計を進めることも可能である。
セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の層剛性等の特性の形態を探索することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第7125902号公報
特開2022-68948号公報
特許第4747336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態を探索することが可能な、免震層特性の探索システム、及び免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として前記免震層の特性を探索する免震層特性の探索システムであって、前記特性は剛性であり、前記免震層の下方と上方にはそれぞれ、前記免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、前記免震層は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化され、前記免震層の諸元の初期値を決定するための前記免震層の初期固有周期、前記接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の前記時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における前記接線剛性の更新値を、設計変数とし、前記下部構造に対する前記上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、前記変位、前記速度、または前記加速度が小さくなるように、前記設計変数を更新しつつ探索して、前記免震層の前記剛性を決定する、探索部を備えていることを特徴とする免震層特性の探索システムを提供する。
上記のような構成によれば、免震層は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化されている。このような、セミアクティブ制御を行う免震層に関し、免震層の設計変数は、免震層の初期固有周期、接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔と、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における接線剛性の更新値を含む。免震層の初期固有周期が決まれば、免震層の諸元の初期値を決定して、接線剛性の初期値を決定することができる。複数の時間刻み間隔のなかの、最初の時間刻み間隔が経過した後には、上記の接線剛性の初期値に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな接線剛性を設定し、更新することができる。その後、更に次の時間刻み間隔が経過した後に、上記のようにして更新された接線剛性に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな接線剛性を設定し、更新することができる。このようにして、上記のような免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数とすることで、時間経過に伴う接線剛性の変化を定義することができる。探索部は、下部構造に対する上部構造の変位、速度、加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が、すなわち応答量が小さくなるように、上記のような設計変数を、値を更新しつつ探索して、免震層の剛性を決定する。このようにして、免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数として、応答量が小さくなるような設計変数の値を探索することで、どの時刻で、どのように剛性を制御すれば、応答が改善されるのかが探索される。したがって、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の層剛性の形態が、みつけやすくなる。
したがって、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の層剛性の形態を探索することが可能となる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記探索部は、前記設計変数を変数として、前記変位、前記速度、または前記加速度を目的関数とする最適化問題を解くことにより、前記設計変数を探索する。
上記のような構成によれば、設計変数を変数として、変位、速度、または加速度を目的関数とする最適化問題を解くことにより、設計変数が探索される。したがって、設計変数として、最適に近い解を導出することができる。
【0010】
また、本発明は、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として前記免震層の特性を探索する免震層特性の探索システムであって、前記免震層の下方と上方にはそれぞれ、前記免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、前記免震層は、能動的に前記特性を更新するようにモデル化され、前記免震層の諸元の初期値を決定するための前記免震層の初期固有周期、前記特性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の前記時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における前記特性の更新値を、設計変数とし、前記下部構造に対する前記上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、前記変位、前記速度、または前記加速度が小さくなるように、前記設計変数を更新しつつ探索して、前記免震層の前記特性を決定する、探索部を備えていることを特徴とする免震層特性の探索システムを提供する。
上記のような構成によれば、免震層は、能動的に特性を更新するようにモデル化されている。このような、セミアクティブ制御を行う免震層に関し、免震層の設計変数は、免震層の初期固有周期、特性が更新される複数の時間刻み間隔と、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における特性の更新値を含む。免震層の初期固有周期が決まれば、免震層の諸元の初期値を決定して、特性の初期値を決定することができる。複数の時間刻み間隔のなかの、最初の時間刻み間隔が経過した後には、上記の特性の初期値に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな特性を設定し、更新することができる。その後、更に次の時間刻み間隔が経過した後に、上記のようにして更新された特性に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな特性を設定し、更新することができる。このようにして、上記のような免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数とすることで、時間経過に伴う特性の変化を定義することができる。探索部は、下部構造に対する上部構造の変位、速度、加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が、すなわち応答量が小さくなるように、上記のような設計変数を、値を更新しつつ探索して、免震層の特性を決定する。このようにして、免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数として、応答量が小さくなるような設計変数の値を探索することで、どの時刻で、どのように特性を制御すれば、応答が改善されるのかが探索される。したがって、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態が、みつけやすくなる。
したがって、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態を探索することが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)
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