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公開番号
2025038353
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-19
出願番号
2023144905
出願日
2023-09-07
発明の名称
制振建物
出願人
大成建設株式会社
代理人
園田・小林弁理士法人
主分類
E04H
9/02 20060101AFI20250312BHJP(建築物)
要約
【課題】連層耐震壁を構成する壁柱周辺に床スラブを設けられないような場合であっても、壁柱間で水平方向に作用する地震力を伝達可能であり、かつ制振梁によりエネルギーを効率的に吸収可能な、制振建物を提供する。
【解決手段】制振建物1は、連層耐震壁30が設けられる制振建物1であって、同一面内に配置される第1壁柱31Aと第2壁柱31Bを備えた連層耐震壁30と、第1壁柱31Aと第2壁柱31Bとの間に架設され、第1壁柱31Aと第2壁柱31Bとの間で、軸力のみを伝達する軸力伝達梁部材40と、第1壁柱31Aと第2壁柱31Bとの間に架設され、第1壁柱31Aと第2壁柱31Bとの間に作用するエネルギーを吸収する吸収部54を備える制振梁50と、を備え、制振梁50は、第1壁柱31Aと第2壁柱31Bとの間における軸力の伝達を抑制する軸力伝達抑制機構55を備えている。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
連層耐震壁が設けられる制振建物であって、
同一面内に配置される第1壁柱と第2壁柱を備えた前記連層耐震壁と、
前記第1壁柱と前記第2壁柱との間に架設され、前記第1壁柱と前記第2壁柱との間で、軸力のみを伝達する軸力伝達梁部材と、
前記第1壁柱と前記第2壁柱との間に架設され、前記第1壁柱と前記第2壁柱との間に作用するエネルギーを吸収する吸収部を備える制振梁と、
を備え、
前記制振梁は、前記第1壁柱と前記第2壁柱との間における前記軸力の伝達を抑制する軸力伝達抑制機構を備えている
ことを特徴とする制振建物。
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【請求項2】
前記軸力伝達梁部材は、コンクリート部と、前記コンクリート部の内部に、軸方向に延在するように、アンボンド状態で埋設して設けられた、鋼材と、を備え、
前記第1壁柱と前記第2壁柱はコンクリート部を備え、
前記鋼材の両端部が、前記軸力伝達梁部材の端部から突出して、前記第1壁柱と前記第2壁柱に固定され、
前記軸力伝達梁部材の前記コンクリート部と、前記第1壁柱と前記第2壁柱の前記コンクリート部の各々とが、互いに当接して設けられて、ピン接合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の制振建物。
【請求項3】
前記制振梁は、前記第1壁柱側に位置する第1梁部と、前記第2壁柱側に位置する第2梁部と、を備え、
前記吸収部は、前記第1梁部と前記第2梁部のいずれか一方または双方に設けられ、
前記軸力伝達抑制機構により、前記第1梁部と前記第2梁部は、前記制振梁の軸方向に相対移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の制振建物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、連層耐震壁が設けられる制振建物に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)
【背景技術】
【0002】
建物の耐振性能を高めるための手法の一つとして、連層耐震壁を用いたものがある。
例えば特許文献1には、同一面内に離間して立設された2つの連層耐震壁と、2つの連層耐震壁の向かい合う端部同士を接合する複数の境界梁と、からなる制振構造が開示されている。この制振構造において、各連層耐震壁は、その下端部の一点において回動自在にピン支承され、各連層耐震壁の他点と下部構造物との間に、エネルギー吸収部材が介設されている。
また、特許文献2には、一定の間隔をあけて配設された連層耐震壁間に、複数の境界梁が上下方向に所定の間隔毎に設けられるとともに、境界梁には、その両側の連層耐震壁どうしの鉛直方向の相対変位を抑える曲げ変形吸収ダンパーが備えられ、連層耐震壁には、架構の剪断変形を抑える剪断変形吸収ダンパーが備えられている制振架構が開示されている。
また、特許文献3には、二つの連層耐震壁同士の間に配置され、エネルギー吸収部を備えた境界梁と、境界梁の上方に配置され、境界梁と分離された床スラブと、を備え、境界梁は、二つの連層耐震壁が回転変形したときに、エネルギー吸収部で変形エネルギーを吸収する制振建物が開示されている。
【0003】
このような連層耐震壁において、壁柱間に作用する水平方向の地震力は、壁柱の間に設けられた床スラブにより伝達されるのが一般である。
ここで、建物が、例えば高層の集合住宅である場合においては、複数の壁柱を、間隔をおきつつ平面視したときに矩形状となるように配置して、連層耐震壁を形成し、連層耐震壁の内側にエレベータシャフト等のコアルームを配置し、設備配管と、廊下を形成するための床スラブを、連層耐震壁の外側に配置して、廊下の外側に住戸を設けるように、建物を構築することがある。このような場合においては、連層耐震壁の周囲に設備配管を設ける必要があるため、設備配管と床スラブの取り合いが複雑なものとなり、各壁柱間の周囲に床スラブが取り付くように床スラブを設けることができず、地震力を壁柱間で水平方向に十分に伝達できないことがある。
【0004】
また、上記のような水平方向の地震力が、壁柱間を伝達する制振梁に軸力として作用すると、この軸力は、制振梁に設けられたダンパーに対して、制振梁の軸方向への力として作用する。ここで、地震が生じて隣り合う壁柱が同じ方向に傾こうとすると、これらの間に設けられた制振梁のダンパーには、上下方向のせん断力が作用する。本来であれば、このせん断力が生じることで、ダンパー部でエネルギーが吸収される。しかし、せん断力に加えて上記のような軸力がダンパーに作用すると、軸力は上記のようにせん断力とは異なる方向で作用するため、この影響で、ダンパーがエネルギーを十分に吸収できなくなる可能性がある。
したがって、連層耐震壁を構成する壁柱周辺に床スラブを設けられないような場合であっても、壁柱間で水平方向に作用する地震力を伝達可能であり、かつ制振梁によりエネルギーを効率的に吸収可能な制振建物が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第4167624号公報
特開2000-328810号公報
特開2022-120226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、連層耐震壁を構成する壁柱周辺に床スラブを設けられないような場合であっても、壁柱間で水平方向に作用する地震力を伝達可能であり、かつ制振梁によりエネルギーを効率的に吸収可能な、制振建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、床開口部を含む部分でも高い制振性能が確保される制振建物として、壁柱間を跨ぐように軸力のみを伝達する軸力伝達梁部材と、軸力は伝達せずにせん断力のみを伝達する制振梁を一対形式で配置することで、制振梁に組み込まれた制振装置の挙動を阻害することなく、各階に作用する地震力を効果的に吸収・制御できる点に着眼し、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の制振建物は、連層耐震壁が設けられる制振建物であって、同一面内に配置される第1壁柱と第2壁柱を備えた前記連層耐震壁と、前記第1壁柱と前記第2壁柱との間に架設され、前記第1壁柱と前記第2壁柱との間で、軸力のみを伝達する軸力伝達梁部材と、前記第1壁柱と前記第2壁柱との間に架設され、前記第1壁柱と前記第2壁柱との間に作用するエネルギーを吸収する吸収部を備える制振梁と、を備え、前記制振梁は、前記第1壁柱と前記第2壁柱との間における前記軸力の伝達を抑制する軸力伝達抑制機構を備えていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、制振建物の連層耐震壁を構成する第1壁柱と第2壁柱の間には、軸力伝達梁部材が設けられており、この軸力伝達梁部材は、軸力伝達梁部材が延伸する軸方向への軸力、すなわち圧縮力や引張力を伝達する。このため、第1壁柱と第2壁柱に対してこれらを連結するように床スラブが設けられていない場合であっても、地震が生じた際に、水平方向の力は軸力伝達梁部材によって第1壁柱と第2壁柱の間で十分に伝達され、地震に対して第1壁柱と第2壁柱が一体となって抗することができる。
また、地震が生じた際には、第1壁柱と第2壁柱が同じ方向に傾斜しようとするが、その結果として、これら第1壁柱と第2壁柱の間に設けられた制振梁には、上下方向のせん断力が作用する。これに対し、制振梁には、エネルギーを吸収する吸収部を備えているため、この吸収部により、エネルギーは吸収される。
ここで、上記のようにして軸力伝達梁部材が軸力を伝達するに際し、軸力伝達梁部材は、僅かなりとも伸長、圧縮する可能性がある。この場合に、上記のような水平方向の力は、制振梁に対しても、制振梁が延伸する軸方向への軸力として作用し得る。ここで、制振梁は、第1壁柱と第2壁柱との間における軸力の伝達を抑制する軸力伝達抑制機構を備えているため、制振梁の、エネルギーを吸収する吸収部に対する、軸力の作用が抑制される。吸収部に対してせん断力は上下方向に作用するところ、上下方向に直交する方向の力である軸力の、吸収部に対する作用が、上記のように抑制されるため、吸収部がエネルギーを吸収する際における軸力の影響が抑制され、吸収部におけるエネルギーの吸収能力が十分に発揮される。
また、軸力伝達梁部材は、軸力のみを伝達する。換言すれば、軸力伝達梁部材は、曲げ応力やせん断力の伝達は抑制される。このため、軸力伝達梁部材の降伏が抑制される。また、軸力伝達梁部材が曲げ応力を負担するように構成した場合においては、第1壁柱や第2壁柱が傾斜しようとした場合に、曲げ戻し効果によって軸力伝達梁部材が傾斜を抑えるように作用し、結果として制振梁に作用するせん断力が低減して、吸収部による減衰効果が低減する。これに対し、上記のように、軸力伝達梁部材が軸力のみを伝達するように構成されることで、軸力伝達梁部材による曲げ戻し効果が抑制され、吸収部による減衰効果の低減が抑制される。
上記のような効果が相乗し、制振梁によりエネルギーを効率的に吸収することができる。
このようにして、連層耐震壁を構成する壁柱周辺に床スラブを設けられないような場合であっても、壁柱間で水平方向に作用する地震力を伝達可能であり、かつ制振梁によりエネルギーを効率的に吸収可能な制振建物を、提供することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記軸力伝達梁部材は、コンクリート部と、前記コンクリート部の内部に、軸方向に延在するように、アンボンド状態で埋設して設けられた、鋼材と、を備え、前記第1壁柱と前記第2壁柱はコンクリート部を備え、前記鋼材の両端部が、前記軸力伝達梁部材の端部から突出して、前記第1壁柱と前記第2壁柱に固定され、前記軸力伝達梁部材の前記コンクリート部と、前記第1壁柱と前記第2壁柱の前記コンクリート部の各々とが、互いに当接して設けられて、ピン接合されている。
このような構成によれば、軸力伝達梁部材のコンクリート部の内部に、アンボンド状態で埋設された鋼材の両端部が、第1壁柱と第2壁柱に固定されている。したがって、この鋼材を介して、引張力を、第1壁柱と第2壁柱の間で伝達することができる。
また、軸力伝達梁部材のコンクリート部と、第1壁柱と第2壁柱のコンクリート部の各々とが、互いに当接して設けられている。したがって、軸力伝達梁部材のコンクリート部を介して、圧縮力を、第1壁柱と第2壁柱の間で伝達することができる。
更に、軸力伝達梁部材のコンクリート部と、第1壁柱と第2壁柱のコンクリート部の各々とがピン接合された構成となっているため、第1壁柱と第2壁柱の間における、軸力伝達梁部材による曲げ応力やせん断力の伝達が抑制される。例えば鋼材の伸長等により、軸力伝達梁部材の内部において鋼材とコンクリート部が相対変位しようとしても、鋼材は、コンクリート部の内部に、アンボンド状態で埋設されているため、この相対変位は許容される。このように、軸力伝達梁部材は、ピン接合された部分における軸力伝達梁部材の変位を阻害しにくい構造となっているため、第1壁柱と第2壁柱の間における、軸力伝達梁部材による曲げ応力やせん断力の伝達は、効率的に抑制される。
このようにして、軸力伝達梁部材による、曲げ応力、及びせん断力の伝達が抑制され、軸力伝達梁部材が軸力のみを伝達する構成とすることができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記制振梁は、前記第1壁柱側に位置する第1梁部と、前記第2壁柱側に位置する第2梁部と、を備え、前記吸収部は、前記第1梁部と前記第2梁部のいずれか一方または双方に設けられ、前記軸力伝達抑制機構により、前記第1梁部と前記第2梁部は、前記制振梁の軸方向に相対移動可能に設けられている。
このような構成によれば、制振梁が、第1壁柱側に位置する第1梁部と、第2壁柱側に位置する第2梁部と、を備え、軸力伝達抑制機構により、第1梁部と第2梁部が、制振梁の軸方向に相対移動可能に設けられている。このため、制振梁に圧縮力や引張力が作用しても、第1梁部と第2梁部が軸方向に相対移動することで、制振梁における圧縮力や引張力の伝達が抑制され、これにより、第1梁部と第2梁部のいずれか一方または双方に設けられている、制振梁の吸収部への、圧縮力や引張力の作用も抑制される。したがって、吸収部におけるエネルギーの吸収能力が十分に発揮され、制振梁によりエネルギーを効率的に吸収することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、連層耐震壁を構成する壁柱周辺に床スラブを設けられないような場合であっても、壁柱間で水平方向に作用する地震力を伝達可能であり、かつ制振梁によりエネルギーを効率的に吸収可能な、制振建物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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