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公開番号2025018445
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-06
出願番号2023122142
出願日2023-07-27
発明の名称皮膚バリア機能改善剤
出願人国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構,小川香料株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類A61K 8/9789 20170101AFI20250130BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】 タイトジャンクション形成促進剤、TRPV4 活性化剤 、肌の弾力維持や肌をなめらかで潤いのある状態に改善させる皮膚バリア機能改善剤、およびそれを含有する化粧料を提供する。
【解決手段】スダチおよびシークワーサーから得られるアロマウォーターを使用する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
スダチおよび/またはシークワーサーから得られるアロマウォーターを有効成分とするタイトジャンクション形成促進剤。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
スダチおよび/またはシークワーサーから得られるアロマウォーターを有効成分とするTRPV4活性化剤。
【請求項3】
スダチおよび/またはシークワーサーから得られるアロマウォーターを有効成分とする皮膚バリア機能改善剤。
【請求項4】
スダチおよび/またはシークワーサーから得られるアロマウォーターを含む香料組成物。
【請求項5】
スダチおよび/またはシークワーサーから得られるアロマウォーターが、スダチ果皮および/またはシークワーサー果皮1質量部に1~10質量部の水を加え、果皮1kgに対し150~3000g/hの蒸気流速で水蒸気蒸留を行い、得られた留出液を0~10℃に冷却して珪藻土濾過することで得られた濾液である、請求項1~3のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
スダチおよび/またはシークワーサーから得られるアロマウォーターが、スダチ果皮および/またはシークワーサー果皮1質量部に1~10質量部の水を加え、果皮1kgに対し150~3000g/hの蒸気流速で水蒸気蒸留を行い、得られた留出液を0~10℃に冷却して珪藻土濾過することで得られた濾液である、請求項4に記載の香料組成物。
【請求項7】
スダチ果皮および/またはシークワーサー果皮1質量部に1~10質量部の水を加え、果皮1kgに対し150~3000g/hの蒸気流速で水蒸気蒸留を行い、得られた留出液を0~10℃に冷却して珪藻土濾過することで得られた濾液をアロマウォーターとして配合することを特徴とする皮膚バリア機能改善用化粧料。
【請求項8】
スダチ果皮および/またはシークワーサー果皮1質量部に1~10質量部の水を加え、果皮1kgに対し150~3000g/hの蒸気流速で水蒸気蒸留を行い、得られた留出液を0~10℃に冷却して珪藻土濾過することで得られた濾液をアロマウォーターとして配合することを特徴とする皮膚バリア機能改善用化粧料の製造方法。
【請求項9】
スダチおよび/またはシークワーサーから得られるアロマウォーターであって、スダチ果皮および/またはシークワーサー果皮1質量部に1~10質量部の水を加え、果皮1kgに対し150~3000g/hの蒸気流速で水蒸気蒸留を行い、得られた留出液を0~10℃に冷却して珪藻土濾過することで得られる、スダチおよび/またはシークワーサーアロマウォーター。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、スダチおよび/またはシークワーサーのアロマウォーターを含有し、タイトジャンクション形成促進剤、TRPV4活性化剤、肌の弾力維持や肌をなめらかで潤いのある状態に改善させる皮膚バリア機能改善剤、およびそれを含有する化粧料に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
肌は人目に触れる頻度が高く、肌の状態を健全に保つことは多くの人にとって大きな関心事である。
【0003】
肌を構成する皮膚は、熱や痛みなどの外部刺激を生体内に伝える感覚器官であるとともに、体内の水分の蒸散を防ぎ、外部環境からの細菌感染や有害物質などの侵入を防ぎ、生体を保護する生体機能維持としての重要なバリア機能を有している。
このような皮膚におけるバリア機能は、温度、湿度、皮膚の過度の摩擦、生活リズムの変調、ストレスや冬場の乾燥や過度の紫外線を浴びるなどにより、その機能が低下することが知られている。さらに、バリア機能の低下により、体外からの細菌や有害物質の侵入による直接的な障害、アレルギ-反応などの誘因により、アトピ-性皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹などの皮膚障害の発症に繋がるといわれている。
皮膚を美しく保つためには、保湿による皮膚状態の改善とともに、皮膚のバリア機能を維持することや向上を図ることが重視されている。
【0004】
皮膚におけるバリア機能は、細胞同士の密着化による接着構造の形成によって強化されることが知られている。細胞同士の密着化による接着構造とは、隣り合った細胞同士を密着させることにより細胞間隙を塞がれた細胞間接着構造体のことを意味するが、皮膚の表皮組織(上皮組織)において細胞間接着構造の形成が促進されると、角化細胞等の表皮細胞同士が密着し、外部の異物が細胞間隙を通じて組織内に入り込むことが防止され、同時に、体液が細胞間隙を通じて外部へ流出することも防止される。すなわち、皮膚の表皮組織における細胞間接着構造の形成を促進することにより、皮膚におけるバリア機能が強化されることとなる。
そして、脊椎動物に存在する代表的な細胞間接着構造の一つとして、タイトジャンクションが広く知られている。
タイトジャンクションは細胞の周囲にベルト状に存在し、隣り合った細胞同士をぴったりと密着させて細胞間隙をシールする役割を有している。したがって、タイトジャンクションの形成促進によって、皮膚におけるバリア機能が強化されることとなる。
【0005】
さらに、皮膚バリア機能改善に関しては、表皮細胞に存在するTRPV4レセプターが4α-ホルボ-ルエステル(以下、「4α-PDD」という。)により活性化され、皮膚の角化細胞内のCa濃度を上昇させ皮膚バリア機能を亢進することが報告されている(例えば、非特許文献1)。
TRPV4とは、非選択性陽イオンチャネルのTRP(Transient receptor potential)チャネルに属する9種類の温度感受性受容体の一つであり、細胞膜貫通型カルシウム流入チャネルとして機能する。TRPV4は、皮膚の表皮細胞のほか、感覚神経、視床下部、腎臓、肺、内耳などの様々な組織で発現し、温度刺激だけではなく、浸透圧刺激、機械刺激による痛みや炎症性の痛みの伝達に重要な役割を果たしている(特許文献4)。活性化されたTRPV4は、βカテニンという物質と相互作用することにより、角化細胞間におけるタイトジャンクション等の細胞間接着構造の発達及び形成を促進する(非特許文献2)。また、TRPV4を活性化することでタイトジャンクションの形成が促進されることは非特許文献1に、表皮バリア機能においてTRPV4が重要な役割を有していること
は非特許文献7に、それぞれ記載されている。
【0006】
その他にも、皮膚におけるバリア機能を改善する試みとしては、ウマノスズクサ科に属するケイリンサイシン(学名:Asiasarum heterotropoides F.)又はウスバサイシン(学名:Asiasarum sieboldi F.)の根茎及び根、又は根つき全草を乾燥したもの及び/又はキョウチクトウ科のラフマ(学名:Apocynum venetum L.)の葉及び茎を乾燥したものからの抽出物の使用(特許文献1)、マンダリンオレンジ果皮を溶媒抽出したエキスの使用(特許文献2)、柑橘類から抽出されたβ―クリプトキサンチンの使用(特許文献3)などが知られている。
しかしながら、特許文献2においては、マンダリンオレンジ以外の柑橘類のエキスの有効性についての言及はないし、また、有効成分を得る手法として、溶媒抽出以外の手法は示されていない。また、特許文献3においては、柑橘類からのβ―クリプトキサンチンの抽出方法についての具体的な記載はないが、β―クリプトキサンチンは、水への溶解性が低く、クロロホルムやベンゼン、ピリジン、二硫化炭素に易溶のカロテノイド色素である(非特許文献3)。
【0007】
さらに、特許文献5には、ミカン科カンキツ属植物の水蒸気蒸留水を含有する化粧料組成物が記載されていて、これを塗布することで乾燥肌を改善し、皮膚にツヤ・張りをあたえることも記載されている。しかしながら、皮膚におけるバリア機能を改善する作用があることは記載されていないし、示唆もされていない。また、タイトジャンクション形成促進、TRPV4活性化についての作用の記載も示唆もされていない。
特許文献6には、柑橘類の外皮の細胞水を含む保湿剤が記載されていて、斯かる細胞水は、柑橘類の外皮を温度25~40℃かつ圧力-98~-93kPaの条件で減圧蒸留することも記載されている。特許文献6に記載の方法によれば、斯かる細胞水には水不溶性成分も含有されるものである。特許文献6には、皮膚におけるバリア機能を改善する作用があることは記載されていないし、示唆もされていないし、また、タイトジャンクション形成促進、TRPV4活性化についての作用も記載も示唆もされていない。
特許文献7には、マンダリンオレンジ抽出物を有効成分として含有する、タイトジャンクション形成促進剤が記載されている。マンダリンオレンジ抽出物は、マンダリンオレンジの果皮又は果実を生のまま又は乾燥したものを粉砕後搾取したもの、あるいは、生のまま又は乾燥したものを粉砕後、溶媒で抽出したものである。特許文献7には、マンダリンオレンジ以外の柑橘系植物からの抽出物を用いても、タイトジャンクション形成促進剤があることは記載も示唆もされておらず、また、タイトジャンクション形成促進剤を抽出以外の手法で得ることについての記載も示唆もない。
【0008】
皮膚は非常に敏感であるため、皮膚に塗布する化粧料原料には、刺激性がないことや安全性はもちろん、農薬などの化学物質を極力含まない天然由来の成分が望まれている。そのため皮膚に塗布する化粧用原料には、栽培時から農薬等の使用をきちんと管理された一定の品質の農産物のみを使用することが重要で、栽培、収穫、加工まで一貫して管理された農産物を原料に製造することが望まれる。
【0009】
また、スダチに含有されているスダチチンには、抗炎症作用、体重増加抑制、糖・脂質代謝改善作用があることが、また、シークワーサーに含有されているノビレチンには、抗炎症作用、肝炎抑制作用、抗肥満・抗糖尿病作用があることが知られている(非特許文献4~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2007-001914号公報
WO2019/078370号パンフレット
特開2014-12718号公報
WO2012/144080号パンフレット
特開2001-213719号公報
特開2009-196898号公報
特開2016-222558号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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