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公開番号
2025009777
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-20
出願番号
2024032355
出願日
2024-03-04
発明の名称
盛土安定化工法、及び盛土構造
出願人
株式会社地盤リスク研究所
代理人
個人
主分類
E02D
17/20 20060101AFI20250109BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約
【課題】記録的豪雨や地震等の自然災害に対し、盛土土塊の地すべり的変動を低コストでもって効果的に抑止することができる盛土安定化工法とその盛土構造を実現する。
【解決手段】盛土土塊の抵抗力が滑動力よりも大きくなるように盛土5の側面抵抗を踏まえた安定解析を行うと共に、有孔管8を滑動方向Xに沿って埋め込み、地震時等に発生する過剰間隙水圧が消散した消散領域9を有孔管8の周囲に形成し、かつ高強度の側面抵抗を有する擬似側壁10を消散領域9上に形成し、擬似側壁10によって盛土5を複数の盛土領域5a、5bに分割し、盛土5の幅寸法と深さ寸法との比を擬似側壁10が存在しない場合に比べて小さくすることにより、盛土全体の抵抗力のうち、相対的に大きな抵抗力を有する側面抵抗の割合を擬似側壁10によって増加させ、盛土全体におけるすべり面の平均強度を高めて地すべり的変動を抑止する。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
長手方向に多数の開口部が形成された少なくとも一つ以上の長尺の管状部材を盛土の底部に埋め込んで谷埋め型盛土の地すべり的変動を抑止する盛土安定化工法であって、
盛土土塊の抵抗力が自然災害が生じたときの前記盛土土塊の滑動力よりも大きくなるように、前記盛土の側面抵抗を踏まえた安定解析を行い、
前記安定解析に基づいて前記管状部材を滑動方向に沿って埋め込み、
自然災害時に発生し得る過剰間隙水圧が消散した消散領域を前記管状部材の周囲に形成すると共に、
高強度の側面抵抗を有する擬似側壁を前記消散領域上に形成し、前記擬似側壁によって前記盛土全体を複数の盛土領域に分割し、
前記盛土の幅寸法と深さ寸法との比を前記擬似側壁が存在しない場合に比べて小さくすることにより、前記盛土全体の抵抗力のうち、相対的に大きな抵抗力を有する前記側面抵抗の割合を前記擬似側壁によって増加させ、前記盛土全体におけるすべり面の平均強度を高めて地すべり的変動を抑止することを特徴とする盛土安定化工法。
続きを表示(約 870 文字)
【請求項2】
前記消散領域は、前記過剰間隙水圧により前記管状部材に流入した地下水を急速排水して除圧することで形成されることを特徴とする請求項1記載の盛土安定化工法。
【請求項3】
前記消散領域は、前記地すべり的変動の抑止機能を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の盛土安定化工法。
【請求項4】
前記抵抗力を前記滑動力に抗して前記盛土の地すべり的変動を抑止することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の盛土安定化工法。
【請求項5】
前記盛土を前記滑動方向に削孔して掘削穴を形成した後、前記管状部材を前記掘削穴に挿入し、該管状部材を前記盛土の前記底部に埋め込むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の盛土安定化工法。
【請求項6】
長手方向に多数の開口部が形成された少なくとも一つ以上の長尺の管状部材を盛土の底部に埋め込んで谷埋め型盛土の地すべり的変動を抑止する盛土構造であって、
盛土土塊の抵抗力が自然災害が生じたときの前記盛土土塊の滑動力よりも大きくなるように、前記盛土の側面抵抗を踏まえた安定解析を行い、該安定解析に基づいて前記管状部材が滑動方向に沿って埋め込まれると共に、
自然災害時に発生し得る過剰間隙水圧を消散させた消散領域が前記管状部材の周囲に形成され、
かつ、高強度の側面抵抗を有する擬似側壁が前記消散領域上に形成されて前記盛土全体が前記疑似側壁によって複数の盛土領域に分割され、
前記盛土の幅寸法と深さ寸法との比を前記擬似側壁が存在しない場合に比べて小さくすることにより、前記盛土全体の抵抗力のうち、相対的に大きな抵抗力を有する前記側面抵抗の割合を前記擬似側壁によって増加させ、前記盛土全体におけるすべり面の平均強度を高めて地すべり的変動を抑止することを特徴とする盛土構造。
【請求項7】
前記抵抗力が前記滑動力に抗して前記盛土の地すべり的変動が抑止されることを特徴とする請求項6記載の盛土構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、盛土安定化工法、及び盛土構造に関し、より詳しくは既存の盛土であっても記録的豪雨や地震等の自然災害に対し地すべり的変動(滑動崩落)を抑止することができる盛土安定化工法、及び既存の盛土であっても土塊の地すべり的変動の抑止が可能な盛土構造に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
記録的豪雨や地震等の自然災害が多発するわが国では、これらの自然災害に起因して盛土造成地に地すべり災害が発生し易いことから、従来より種々の対策工が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図13に示すように、側面部101a、101bと底面部102とを有する凹形状の谷埋め盛土からなる地すべり土塊に対する地すべり抑止工法であって、少なくとも一つ以上の抵抗体103が、滑動方向xと略平行に底面部102に立設されて擬似側壁を形成し、該擬似側壁によって前記地すべり土塊の側面せん断抵抗を強化し、地すべりを抑止した地すべり抑止工法が提案されている。
【0004】
この特許文献1では、擬似側壁を形成する抵抗体103によって地すべり土塊が複数の領域に分割され、各領域の底面部102a、102bと側面部101a、101b及び抵抗体103によってすべり面が形成されることから、分割された各すべり面における土塊の幅寸法wと深さ寸法dとの比w/dが、抵抗体103を設けていない場合に比べて小さくなり、これにより盛土全体のせん断抵抗が増大することから、土塊全体の単位面積当たりの平均的な抵抗力が大きくなり、地すべり土塊の滑動を抑制しようとしている。
【0005】
また、特許文献2には、図14に示すように、盛土法面111を有する谷埋め盛土部112において、セメント系固化材や石灰系固化材を盛土に添加して固めた区画壁113を谷部方向yと直交する方向zに所定間隔で複数列形成した耐震補強構造が提案されている。
【0006】
この特許文献2には、谷埋め盛土部112の谷部方向yと直交する方向zの横断面において、谷埋め盛土部112の個々の幅wを小さくすることによって、盛土が接する側面(地山と区画壁)の長さ(深さd)の比率を高め、盛土部全体のせん断抵抗を増大させることにより、谷埋め盛土部112の変形、滑動を防止しようとしている。
【0007】
また、この種の対策工としては、地下水位を低下させて盛土の地すべり的変動を抑止しようとした地下水排除工も知られている。
【0008】
例えば、特許文献3には、図15に示すような工法が提案されている。すなわち、地盤121上に造成された盛土122に建築物123が建設された既設の盛土造成地に対し、地盤121と盛土122との境界面124より稍上方であって地下水位125より下方に形成された水みち(ソイルパイプ)又はその近傍に沿うような形態で、盛土122の末端法面126から推進機127を用いて削孔しながらケーシング128を挿入する。一方、断面がドーナツ状で骨材が充填された蛇籠構造からなる透水性を有する外円筒管と、該外円筒管に内接して設けられ地下水を排水する内円筒管とからなる2重管構造のドレーンカートリッジを別途用意する。そして、このドレーンカートリッジを必要に応じて連結させながら前記ケーシング128内に押し込み、これにより地下排水路129を形成し、その後ケーシング128を引き抜くようにした地下排水路129の形成方法が提案されている。
【0009】
この特許文献3では、ドレーンカートリッジを連結して形成された300mm~500mmの大口径の地下排水路129でもって大量の地下水を短時間で系外に排水できるようにし、これにより地震が発生して間隙水圧が急上昇しても地盤121と盛土122との境界面124における滑り抵抗力(底面せん断抵抗力)を確保して地すべり的変動が生じるのを抑制しようとしている。
【0010】
また、この特許文献3には、新設の盛土造成地についても、上述した既設の盛土造成地と略同様の方法で地下排水路を形成することができ、さらに、地下水量が多い場合は、放射状又は並列状に複数本の地下排水路を設置してもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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