発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、老化細胞除去剤に関する。特に、本発明の一態様は、ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、老化細胞除去剤に関する。 続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】 【0002】 身体を構成する細胞に修復困難なDNA損傷が生じると、細胞は増殖を不可逆的に停止して老化状態に陥る。細胞の老化は、DNA損傷の他、テロメア短縮、ミトコンドリアの機能障害、癌遺伝子の活性化及び/又は酸化ストレス等が要因になり得ることが知られている(非特許文献1)。体内に老化細胞が蓄積すると、最終的に個体の老化へと結びつき、個体において様々な疾患(老化関連疾患)を引き起こす。 【0003】 老化細胞自体は増殖しないため、細胞老化は、重要な癌抑制機構となり得る。一方で、細胞老化は、炎症誘導性タンパク質等を大量に合成・分泌する細胞老化随伴分泌現象(SASP)を特徴とする。このため、細胞老化は、周辺細胞の癌化誘導をはじめ、老化関連疾患の発症原因ともなり得ることが知られている。老化細胞除去効果を有するいくつかの薬剤が開発されており、これらの薬剤によって体内から老化細胞を除去することにより、健康寿命が延伸することが、マウスレベルで証明されている(非特許文献2及び3)。 【0004】 老化細胞除去効果を有する薬剤の開発に加えて、ブドウ種子に含まれる老化細胞除去効果を有する化合物として、プロシアニジンC1(PCC1)が報告された(非特許文献4)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 特許第4892690号公報 特開2022-168636号公報 【非特許文献】 【0006】 Kudlova, N., J. B. De Sanctis & M. Hajduch, 2022年, Cellular Senescence: Molecular Targets, Biomarkers, and Senolytic Drugs. Int J Mol Sci, p. 23 Musi, N., J. M. Valentine, K. R. Sickora, E. Baeuerle, C. S. Thompson, Q. Shen & M. E. Orr, 2018年, Tau protein aggregation is associated with cellular senescence in the brain. Aging Cell, 第17巻, e12840 Schafer, M. J., T. A. White, K. Iijima, A. J. Haak, G. Ligresti, E. J. Atkinson, A. L. Oberg, J. Birch, H. Salmonowicz, Y. Zhu, D. L. Mazula, R. W. Brooks, H. Fuhrmann-Stroissnigg, T. Pirtskhalava, Y. S. Prakash, T. Tchkonia, P. D. Robbins, M. C. Aubry, J. F. Passos, J. L. Kirkland, D. J. Tschumperlin, H. Kita & N. K. LeBrasseur, 2017年, Cellular senescence mediates fibrotic pulmonary disease. Nat Commun, 第8巻, p. 14532 Xu, Q., Q. Fu, Z. Li, H. Liu, Y. Wang, X. Lin, R. He, X. Zhang, Z. Ju, J. Campisi, J. L. Kirkland & Y. Sun, 2021年, The flavonoid procyanidin C1 has senotherapeutic activity and increases lifespan in mice. Nat Metab, 第3巻, p. 1706-1726 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 前記の通り、老化細胞除去効果を有する薬剤の開発が進められている。しかしながら、日本においては、現行の法律上、老化自体は疾患とされていない。このため、老化細胞除去効果を有する薬剤の社会実装は困難である。他方、食経験十分な食品から老化細胞除去効果を有する食品由来成分を見出すことができれば、該食品の摂取を通じて老化関連疾患を予防又は改善できる可能性がある。このような食品又は食品由来成分は、老化関連疾患を有する対象だけでなく、老化関連疾患を有していない健常な対象にも継続的に適用可能である。 【0008】 それ故、本発明は、食品由来の老化細胞除去剤を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、ブルーベリーの処理物が老化細胞除去効果を有することを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。 【0010】 すなわち、本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。 (実施形態1) ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、老化細胞除去剤。 (実施形態2) 老化細胞が関与する1種以上の疾患、症状又は障害を予防、治療又は改善するための、実施形態1に記載の老化細胞除去剤。 (実施形態3) 老化細胞が関与する1種以上の疾患、症状又は障害が、変形性関節症、骨粗鬆症、サルコペニア、肝胆管炎、肺線維症、アルツハイマー病、パーキンソン病、1型糖尿病、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、心不全、癌、腎機能障害、非アルコール性脂肪性肝疾患、免疫機能低下、悪液質及び虚弱からなる群より選択される、実施形態2に記載の老化細胞除去剤。 (実施形態4) ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの茎又は葉の処理物である、実施形態1~3のいずれかに記載の老化細胞除去剤。 (実施形態5) ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの粉砕物、搾汁液及び溶媒抽出物、並びにそれらの分離画分からなる群より選択される1種以上の生成物又は画分である、実施形態1~4のいずれかに記載の老化細胞除去剤。 (実施形態6) ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、変形性関節症、骨粗鬆症、サルコペニア、肝胆管炎、肺線維症、アルツハイマー病、パーキンソン病、1型糖尿病、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、心不全、癌、腎機能障害、非アルコール性脂肪性肝疾患、免疫機能低下、悪液質及び虚弱からなる群より選択される、老化細胞が関与する1種以上の疾患、症状又は障害を有する又はその可能性のある対象における該疾患、症状又は障害を予防又は改善するための食品。 (実施形態7) ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの茎又は葉の処理物である、実施形態6に記載の食品。 (実施形態8) ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの粉砕物、搾汁液及び溶媒抽出物、並びにそれらの分離画分からなる群より選択される1種以上の生成物又は画分である、実施形態6又は7に記載の食品。 【発明の効果】 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する