TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025004711
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-15
出願番号2023104580
出願日2023-06-26
発明の名称静水圧による脱細胞化組織又は臓器の製造方法
出願人国立大学法人 東京大学
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類A61L 27/36 20060101AFI20250107BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】短期間に組織又は臓器の脱細胞化が完了でき、かつ得られた脱細胞化組織又は臓器の構造維持に優れた脱細胞化組織又は臓器の製造方法を提供する。
【解決手段】動物由来の組織又は臓器にDNA分解酵素を取り込ませる工程、および
前記DNA分解酵素を取り込ませた動物由来の組織又は臓器に、前記DNA分解酵素を含有する媒体中で、100~500MPaの静水圧を印加する工程を含む脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
動物由来の組織又は臓器にDNA分解酵素を取り込ませる工程、および
前記DNA分解酵素を取り込ませた動物由来の組織又は臓器に、前記DNA分解酵素を含有する媒体中で、100~500MPaの静水圧を印加する工程を含む脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記動物由来の組織又は臓器にDNA分解酵素を取り込ませる工程は、動物由来の組織又は臓器をDNA分解酵素を含有する媒体中に浸漬することを含む請求項1に記載の脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
【請求項3】
前記媒体が界面活性剤を含まない請求項1に記載の脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
【請求項4】
前記DNA分解酵素を取り込ませた動物由来の組織又は臓器を、印加する工程が、6時間以内に終了する請求項1に記載の脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
【請求項5】
前記印加する工程の後に得られた脱細胞化組織又は臓器中のDNA量が、脱細胞化処理をしない天然の組織又は臓器中のDNA量と比較して、50%以下である請求項1に記載の脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
【請求項6】
細胞外マトリックスを有する脱細胞化組織であって、
脱細胞化組織中のDNA量が、脱細胞化処理をしない天然の組織又は臓器中のDNA量と比較して、10%以下であり、かつ
下記の(i)~(vii)のうちの少なくとも一つを満たす、脱細胞化組織。
(i)脱細胞化組織中のヒドロキシプロリンの量の、脱細胞化処理をしない天然組織中のヒドロキシプロリンに対する変化率が、±30%以内である
(ii)脱細胞化組織中のエラスチンの量の、脱細胞化処理をしない天然組織中のエラスチンの量に対する変化率が、±30%以内である
(iii)脱細胞化組織中のエクソソームが、蛍光色素で染色後に、蛍光顕微鏡下で観察可能な量で存在する
(iv)脱細胞化組織の0.1~10%以下の範囲の歪みに対する貯蔵弾性率の、脱細胞化処理をしない天然組織の0.1~10%以下の範囲の歪みに対する貯蔵弾性率に対する変化率が、±30%以内である
(v)脱細胞化組織の0.1~5[1/s]以下の範囲の周波数に対する貯蔵弾性率の、脱細胞化処理をしない天然組織の0.1~5[1/s]以下の範囲の周波数に対する貯蔵弾性率に対する変化率が、±30%以内である
(vi)脱細胞化組織の0.1~10%以下の範囲の歪みに対する損失弾性率の、脱細胞化処理をしない天然組織の0.1~10%以下の範囲の歪みに対する損失弾性率に対する変化率が、±30%以内である
(vii)脱細胞化組織の0.1~5[1/s]以下の範囲の周波数に対する損失弾性率の、脱細胞化処理をしない天然組織の0.1~5[1/s]以下の範囲の周波数に対する損失弾性率に対する変化率が、±30%以内である
【請求項7】
前記脱細胞化組織は、DNA分解酵素を100ng/ml以上の濃度で含有する請求項6に記載の脱細胞化組織。
【請求項8】
生物活性物質が前記細胞外マトリックスに組み込まれている、請求項6に記載の脱細胞化組織。
【請求項9】
請求項6に記載の脱細胞化組織を粉末化してなる粉末組織。
【請求項10】
請求項6に記載の脱細胞化組織の破砕物を液体媒体に懸濁してなる組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、脱細胞化組織又は臓器の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
臓器移植では、臓器提供者(ドナー)の生体組織を臓器移植を受ける者(レシピエント)に移植する場合に拒絶反応や異物反応が起こるが、脱細胞化臓器には細胞が含まれていないため、臓器移植に代わるモデルとして脱細胞化臓器モデルが注目されている。
【0003】
以前の研究において、発明者らは、組織全体に均一に負荷することのできる状態量として静水圧という物理的負荷を用いて、ラットから摘出した子宮を脱細胞化し、子宮の欠損部位に移植したところ、静水圧を使用して作製した脱細胞化組織が良好な組織再生能をもつことを見出した(非特許文献1)。この文献では、伝達流体を入れたチャンバの伝達流体にラット子宮サンプルを収容し塩溶液で満たしたポリエチレンバッグを浸漬し、980MPaの静水圧で10分間保持して脱細胞化を行っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
PLoS One 2014 July 24;9(7):e103201, doi: 10.1371/journal.pone.0103201
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1において、組織内の細胞を死滅させるには30分以内の静水圧負荷で十分であったが、細胞核に内存するDNAは簡単には除去できない問題があった。また、脱細胞化を、静水圧(HP)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、及びTriton X-100をそれぞれ用いた3つの方法で行っているが、いずれにおいても、脱細胞化後に、7 日間のDNA分解酵素を含有する洗浄バッファによる洗浄が必要であった。
【0006】
脱細胞化後の長期の組織洗浄は、脱細胞化組織そのもののマトリックス変性などのリスクを上げる可能性がある。脱細胞化組織製造のコストや生産性においても大きなデメリットがあるまた、SDSやTriton X-100などの界面活性剤を用いた化学的な脱細胞化方法では組織に対する毒性が強い。
【0007】
静水圧という物理的な手段を用いながらも、脱細胞化組織の洗浄工程の時間を大幅に短縮でき、組織又は臓器の構造維持に優れた脱細胞化組織又は臓器の製造方法が望まれる。
【0008】
本発明が解決すべき課題は、短期間に組織又は臓器の脱細胞化が完了でき、かつ得られた脱細胞化組織又は臓器の構造維持に優れた脱細胞化組織又は臓器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
項1.
動物由来の組織又は臓器にDNA分解酵素を取り込ませる工程、および
前記DNA分解酵素を取り込ませた動物由来の組織又は臓器に、前記DNA分解酵素を含有する媒体中で、100~500MPaの静水圧を印加する工程を含む脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
項2.
前記動物由来の組織又は臓器にDNA分解酵素を取り込ませる工程は、動物由来の組織又は臓器をDNA分解酵素を含有する媒体中に浸漬することを含む項1に記載の脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
項3.
前記媒体が界面活性剤を含まない項1に記載の脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
項4.
前記印加する工程が、6時間以内に終了する項1に記載の脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
項5.
前記印加する工程の後に得られた脱細胞化組織又は臓器中のDNA量が、脱細胞化処理をしない天然の組織又は臓器中のDNA量と比較して、50%以下である項1に記載の脱細胞化組織又は臓器の製造方法。
項6.
細胞外マトリックスを有する脱細胞化組織であって、
脱細胞化組織中のDNA量が、脱細胞化処理をしない天然の組織又は臓器中のDNA量と比較して、10%以下であり、かつ
下記の(i)~(viii)のうちの少なくとも一つを満たす、脱細胞化組織。
【0010】
(i) 脱細胞化組織中のヒドロキシプロリンの量の、脱細胞化処理をしない天然組織中のヒドロキシプロリンに対する変化率が、±30%以内である
(iii) 脱細胞化組織中のエラスチンの量の、脱細胞化処理をしない天然組織中のエラスチンの量に対する変化率が、±30%以内である
(iv)脱細胞化組織中のエクソソームが、蛍光色素で染色後に、蛍光顕微鏡下で観察可能な量で存在する
(v)脱細胞化組織の0.1~10%以下の範囲の歪みに対する貯蔵弾性率の、脱細胞化処理をしない天然組織の0.1~10%以下の範囲の歪みに対する貯蔵弾性率に対する変化率が、±30%以内である
(vi)脱細胞化組織の0.1~5[1/s]以下の範囲の周波数に対する貯蔵弾性率の、脱細胞化処理をしない天然組織の0.1~5[1/s]以下の範囲の周波数に対する貯蔵弾性率に対する変化率が、±30%以内である
(vii)脱細胞化組織の0.1~10%以下の範囲の歪みに対する損失弾性率の、脱細胞化処理をしない天然組織の0.1~10%以下の範囲の歪みに対する損失弾性率に対する変化率が、±30%以内である
(viii)脱細胞化組織の0.1~5[1/s]以下の範囲の周波数に対する損失弾性率の、脱細胞化処理をしない天然組織の0.1~5[1/s]以下の範囲の周波数に対する損失弾性率に対する変化率が、±30%以内である
項7.
前記脱細胞化組織は、DNA分解酵素を100ng/ml以上の濃度で含有する項6に記載の脱細胞化組織。
項8.
生物活性物質が前記細胞外マトリックスに組み込まれている、項6に記載の脱細胞化組織。
項9.
項6に記載の脱細胞化組織を粉末化してなる粉末組織。
項10.
項6に記載の脱細胞化組織の破砕物を液体媒体に溶解又は懸濁してなる組成物。
項11.
項6に記載の脱細胞化組織を備えた固形臓器。
項12.
項6に記載の脱細胞化組織、項9に記載の粉末組織、項10に記載の組成物、又は項11に記載の固形臓器の、細胞増殖のサポート、細胞再生の促進、血管新生の促進、組織置換術のための移植物としての、組織の修復又は再生のための移植物としての、又は皮膚移植及び/又は皮膚再生手術用の移植物としての、使用。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

個人
健康器具
2日前
個人
歯茎みが品
26日前
個人
歯の掃除具
3か月前
個人
脈波測定方法
5日前
個人
導電香
19日前
個人
身体牽引装置
3か月前
個人
マッサージ機
13日前
個人
塗り薬塗り具
2か月前
個人
乗馬テラピー
3か月前
個人
片足歩行支援具
1か月前
個人
収納容器
2か月前
個人
クリップ
1か月前
個人
発熱器具
3か月前
個人
染毛方法
3か月前
個人
健康器具
2か月前
個人
動体視力強化装置
4か月前
個人
眼科診療車
1か月前
株式会社コロナ
脱臭機
5か月前
個人
磁器治療器
3か月前
個人
口内洗浄具
5日前
東レ株式会社
下肢着用具
3か月前
株式会社ナカニシ
生検針
3か月前
株式会社コーセー
化粧料
1か月前
個人
避難困難者救出台車
1か月前
個人
血管硬化度算出方法
4か月前
東レ株式会社
吸収制御剤
2か月前
株式会社コーセー
美爪料
1か月前
個人
除菌システム
1か月前
株式会社 MTG
浴用剤
20日前
株式会社ファンケル
化粧料
3か月前
株式会社ダリヤ
皮膚洗浄剤
5か月前
株式会社ファンケル
化粧料
2か月前
大正製薬株式会社
内服液剤
3か月前
株式会社MIC
陰茎補助具
2か月前
株式会社ニデック
眼科装置
5か月前
株式会社ニデック
眼科装置
1か月前
続きを見る