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公開番号2024179236
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-26
出願番号2023097929
出願日2023-06-14
発明の名称横すべり角算出装置
出願人株式会社デンソー,トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類B60W 40/103 20120101AFI20241219BHJP(車両一般)
要約【課題】より適正に横すべり角を算出可能な横すべり角算出装置を提供する。
【解決手段】横すべり角算出装置は、変数調整部22と、算出部23とを含む。ヨーレートをω、車速をV、重力加速度をg、車体のロール角をφとした場合に、算出部23は、α=ωV-gφ-kに、変換係数GBを乗算することにより、横すべり角βを算出する。変換係数GBは、車速Vの2乗に反比例する変数である。変数調整部22は、αを構成する勾配パラメータkの値をロール角φに応じて変更する。変数調整部22はφ=0である場合には、k=0に設定し、φ>0且つωV<gφである場合にはk=gφ-ωVに設定し、φ>0且つωV≧gφである場合には、kを非ゼロの所定値に設定する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
車載センサの出力信号に基づいて、車両の車速(V)、回転角速度(ω)、及びロール角(φ)を取得する通信部(14)と、
前記車両のホイールベースの想定値(L)と、前記ホイールベースの想定値に対する後輪軸から重心までの距離の比率を表す重心パラメータ(d

)と、正規化されたコーナリングパワー(C)と、重力加速度(g)と、を記憶している記憶部(25)と、
走行路の横断勾配による横すべり角(β)への影響を補正するための変数である勾配パラメータ(k)の値を、前記ロール角(φ)に応じて調整する調整部(22)と、
前記車速(V)、前記回転角速度(ω)、前記ロール角(φ)、前記ホイールベースの想定値(L)、前記重心パラメータ(d

)、前記コーナリングパワー(C)、前記勾配パラメータ(k)、及び、前記重力加速度(g)を用いて、前記横すべり角(β)を算出する算出部(23)と、を備え、
前記算出部は、
前記車速(V)と前記回転角速度(ω)の乗算値である第1乗算値と、前記ロール角(φ)と前記重力加速度(g)の乗算値である第2乗算値と、前記勾配パラメータ(k)とに基づいて、前記車両の横方向に作用する力に関連する第1パラメータを算出し、
前記車速(V)と前記ホイールベースの想定値(L)と、前記重心パラメータ(d

)と、前記重力加速度(g)と、前記コーナリングパワー(C)とをもとに、前記第1パラメータを前記横すべり角に近似させる係数である第2パラメータを算出し、
前記第1パラメータに前記第2パラメータを乗じることで前記横すべり角を算出するように構成されている横すべり角算出装置。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記算出部は、以下の式を用いて前記横すべり角(β)を算出するように構成されている、請求項1に記載の横すべり角算出装置。
TIFF
2024179236000008.tif
17
169
【請求項3】
前記調整部は、
前記ロール角が所定値未満である場合には、前記勾配パラメータの値を所定の基本値に設定し、
前記ロール角が所定値以上である場合には、前記勾配パラメータの値を、前記ロール角と前記重力加速度の乗算値である第2乗算値から、前記車速と前記回転角速度の乗算値である第1乗算値を引いた値に設定するように構成されている、請求項1に記載の横すべり角算出装置。
【請求項4】
前記調整部は、
前記ロール角が所定値未満である場合には、前記勾配パラメータの値を所定の基本値に設定し、
前記ロール角が所定値以上であり且つ前記車速が所定値未満である場合には、前記勾配パラメータを前記ロール角と前記重力加速度の乗算値である第2乗算値から、前記車速と前記回転角速度の乗算値である第1乗算値を引いた値に設定し、
前記ロール角が所定値以上であり且つ前記車速が所定値以上である場合には、前記勾配パラメータを前記基本値とは異なる所定値に設定するように構成されている、請求項1に記載の横すべり角算出装置。
【請求項5】
前記基本値は0である、請求項3又は4に記載の横すべり角算出装置。
【請求項6】
前記調整部は、前記車速が0である場合には前記勾配パラメータを、前記ロール角と前記重力加速度の乗算値である第2乗算値から前記車速と前記回転角速度の乗算値である第1乗算値を引いた値に設定するように構成されている、請求項3又は4に記載の横すべり角算出装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記車速(V)に応じて、前記第2パラメータを算出するための式を変更するように構成されている請求項1から4の何れか1項に記載の横すべり角算出装置。
【請求項8】
前記算出部である第1算出部に加えて、
前記車速(V)と前記回転角速度(ω)の乗算値に、近似係数(Kv)を乗算することで、前記横すべり角を算出する第2算出部(30)を備え、
前記第1算出部は、前記第1算出部が算出する前記横すべり角である第1推定値(β1)と、前記第2算出部が算出する前記横すべり角である第2推定値(β2)との差が一定である状態が所定時間継続したことに基づいて、前記第1推定値(β1)と前記第2推定値(β2)の差が小さくなるように、前記コーナリングパワー(C)の設定値を変更するように構成されている、請求項1から4の何れか1項に記載の横すべり角算出装置。
【請求項9】
前記車両に作用している横加速度(a)を前記車速(V)で除算した進行角速度(a/V)から前記回転角速度(ω)を減算してなる横すべり角微分値を、積分することにより前記横すべり角を算出する第3算出部(40)をさらに備え、
前記第2算出部は、前記第3算出部が算出した前記横すべり角である第3推定値(β3)を、前記車速(V)と前記回転角速度(ω)の乗算値で除算した値を、前記近似係数として採用するように構成されており、
前記第1算出部は、前記第1推定値と前記第2推定値の差が一定である状態が所定時間継続したことに基づいて、前記コーナリングパワーの設定値を変更するように構成されている、請求項8に記載の横すべり角算出装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の横すべり角を算出するための横すべり角算出装置に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
車両が旋回するときには、横すべり角が発生する。ヨーレートでは車両の向いている方向しか検出できず、車両の進行方向を推定するためには、車両の横すべり角を推定する必要がある。特許文献1には、ヨーレートと、走行速度と、多数の車両パラメータとを組み合わせることにより、横すべり角を推定する手法が示されている。車両パラメータは、車両の質量、車両の重心から前車軸までの距離、及び重心から後車軸までの距離、コーナリングパワーなどである。
【0003】
特許文献2には、車速とヨーレートの乗算値に対して、車両パラメータに相当する係数をさらに乗算することによって、横すべり角を推定する装置が記載されている。非特許文献1の13項~19項には、車両パラメータを正規化して取り扱うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第3368713号公報
特開2023-23180号公報
【非特許文献】
【0005】
「自動車の操縦性安定性の基本設計とこれに基づくシャシー制御に関する研究」山本真規、東京大学、博士論文 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の構成では、車両パラメータの正しい値が必要である。横すべり角の算出に使用する車両パラメータの値が、実際の値とずれていると、横すべり角の誤差が増大する。また、横すべり角は、走行路の横断勾配(いわゆるカント)の影響を受けうる。特許文献1、2等に開示の算出方法では、横断勾配の影響が考慮されていない。
【0007】
本開示は、上記の検討又は着眼点に基づいて成されたものであり、その目的の1つは、より適正に横すべり角を算出可能な横すべり角算出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示される横すべり角算出装置は、車載センサの出力信号に基づいて、車両の車速(V)、回転角速度(ω)、及びロール角(φ)を取得する通信部(14)と、車両のホイールベースの想定値(L)と、ホイールベースの想定値に対する後輪軸から重心までの距離の比率を表す重心パラメータ(d

)と、正規化されたコーナリングパワー(C)と、重力加速度(g)と、を記憶している記憶部(25)と、走行路の横断勾配による横すべり角(β)への影響を補正するための変数である勾配パラメータ(k)の値を、ロール角(φ)に応じて調整する調整部(22)と、車速(V)、回転角速度(ω)、ロール角(φ)、ホイールベースの想定値(L)、重心パラメータ(d

)、コーナリングパワー(C)、勾配パラメータ(k)、及び、重力加速度(g)を用いて、横すべり角(β)を算出する算出部(23)と、を備え、算出部は、車速(V)と回転角速度(ω)の乗算値である第1乗算値と、ロール角(φ)と重力加速度(g)の乗算値である第2乗算値と、勾配パラメータ(k)とに基づいて、車両の横方向に作用する力に関連する第1パラメータを算出し、車速(V)とホイールベースの想定値(L)と、重心パラメータ(d

)と、重力加速度(g)と、コーナリングパワー(C)とをもとに、第1パラメータを横すべり角に近似させる係数である第2パラメータを算出し、第1パラメータに第2パラメータを乗じることで横すべり角を算出するように構成されている。
【0009】
上記の構成によれば、第1パラメータを構成する勾配パラメータ(k)の値が、ロール角に応じて変更される。車両のロール角は、横断勾配に由来するパラメータである。よって、上記構成によれば、横断勾配の影響を考慮した、より適正な横すべり角が算出可能となる。
【0010】
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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