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公開番号
2024179119
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-26
出願番号
2023097686
出願日
2023-06-14
発明の名称
電力変換器の制御装置、プログラム
出願人
株式会社SOKEN
,
株式会社デンソー
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
H02P
21/22 20160101AFI20241219BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】回転電機のロータの回転停止状態を維持しつつ、電力変換器のスイッチング制御により熱を発生させる場合におけるNVを改善できる電力変換器の制御装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御装置60は、回転電機30のロータ31から駆動輪12までの動力伝達機構11を構成する一対のギアを備えるシステムに適用される。制御装置60は、ロータ31の発生トルクを、ロータ31の回転停止状態を維持可能なトルクにするとの第1条件、及び電機子巻線34U~34Wに流す交流電流の1周期又は複数周期における発生トルクの時間平均値を0からオフセットさせるとの第2条件を満たすように、d,q軸目標電流を算出する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
蓄電部(10)と、
ロータ(31)及び電機子巻線(34U~34W)を有する回転電機(30)と、
前記蓄電部及び前記電機子巻線を電気的に接続し、上,下アームスイッチ(SUH~SWL)を有する電力変換器(20)と、
前記ロータから回転駆動対象(12)までの動力伝達機構(11)を構成し、前記ロータからの回転動力によって回転するとともに互いに噛み合う少なくとも一対のギア(13,14)と、
を備えるシステムに適用される電力変換器の制御装置(60)において、
前記電機子巻線に流すd,q軸目標電流(Id*,Iq*)を算出する目標値算出部(63,67,163)と、
算出された前記d軸目標電流に前記電機子巻線に流れるd軸電流(Idr)を制御するとともに、算出された前記q軸目標電流に前記電機子巻線に流れるq軸電流(Iqr)を制御すべく、前記上,下アームスイッチのスイッチング制御を行う電機子制御部(68)と、
を備え、
前記目標値算出部は、前記ロータの発生トルクを、前記ロータの回転停止状態を維持可能なトルクにするとの第1条件、及び前記電機子巻線に流す交流電流の1周期又は複数周期における前記発生トルクの時間平均値を0からオフセットさせるとの第2条件を満たすように、前記d,q軸目標電流を算出する、電力変換器の制御装置。
続きを表示(約 1,800 文字)
【請求項2】
前記回転電機は、永久磁石(35)を有する前記ロータを備える永久磁石界磁型の回転電機、又は定電流が流れる界磁巻線(32)を有する前記ロータを備える巻線界磁型の回転電機であり、
前記第2条件は、前記電機子制御部による前記スイッチング制御の実行中において、前記発生トルクを正負方向のうち一方向にオフセットさせるとの条件である、請求項1に記載の電力変換器の制御装置。
【請求項3】
前記目標値算出部(163)は、前記第1条件及び前記第2条件を満たすように、直流の前記d,q軸目標電流を算出する、請求項2に記載の電力変換器の制御装置。
【請求項4】
前記目標値算出部(163)は、前記第1条件及び前記第2条件を満たすように、正弦波状の前記d軸目標電流を算出するとともに、前記d軸目標電流との位相差が0度又は180度となる正弦波状の前記q軸目標電流を算出する、請求項2に記載の電力変換器の制御装置。
【請求項5】
前記電機子制御部による前記スイッチング制御の開始タイミングからの所定期間において用いられる前記d,q軸目標電流である初期d,q軸目標電流(Kt×Id*,Kt×Iq*)を算出する初期目標値算出部(69A)を備え、
前記初期目標値算出部は、前記所定期間において、0から、前記目標値算出部により算出された前記d,q軸目標電流に向かって前記初期d,q軸目標電流を漸増させる、請求項2~4のいずれか1項に記載の電力変換器の制御装置。
【請求項6】
前記電機子制御部による前記スイッチング制御の終了タイミング前の所定期間において用いられる前記d,q軸目標電流である終了時d,q軸目標電流(Kt×Id*,Kt×Iq*)を算出する終了時目標値算出部(69B)を備え、
前記終了時目標値算出部は、前記所定期間において、前記目標値算出部により算出された前記d,q軸目標電流から0に向かって前記終了時d,q軸目標電流を漸減させる、請求項2~4のいずれか1項に記載の電力変換器の制御装置。
【請求項7】
前記回転電機は、界磁巻線(32)を有する前記ロータを備える巻線界磁型の回転電機であり、
前記電力変換器は、第1電力変換器であり、
前記システムには、前記蓄電部及び前記界磁巻線を電気的に接続する第2電力変換器(40)が備えられ、
正弦波状の界磁目標電流(If*)を算出する目標界磁算出部(65)と、
算出された前記界磁目標電流に前記界磁巻線に流れる界磁電流(Ifr)を制御すべく、前記第2電力変換器のスイッチング制御を行う界磁制御部(66)と、
を備え、
前記第2条件は、前記電機子制御部及び前記界磁制御部による前記スイッチング制御の実行中において、前記発生トルクを正負方向のうち一方向にオフセットさせるとの条件である、請求項1に記載の電力変換器の制御装置。
【請求項8】
前記目標値算出部(63,67)は、前記第1条件及び前記第2条件を満たすように、前記界磁目標電流との位相差が180度又は0度となる正弦波状の前記d軸目標電流を算出する、請求項7に記載の電力変換器の制御装置。
【請求項9】
前記目標値算出部は、正弦波状の前記q軸目標電流を算出するとともに、前記q軸目標電流の極性が切り替わる場合に前記d軸電流の大きさが増加方向にオフセットするような前記d軸目標電流を算出する、請求項8に記載の電力変換器の制御装置。
【請求項10】
前記電機子制御部による前記スイッチング制御の開始タイミングからの所定期間において用いられる前記d,q軸目標電流である初期d,q軸目標電流(Kt×Id*,Kt×Iq*)、及び前記所定期間において用いられる前記界磁目標電流である初期界磁目標電流(Kt×If*)を算出する初期目標値算出部(69A)を備え、
前記初期目標値算出部は、前記所定期間において、0から、前記目標値算出部により算出された前記d,q軸目標電流に向かって前記初期d,q軸目標電流を漸増させるとともに、0から、前記目標界磁算出部により算出された前記界磁目標電流に向かって前記初期界磁目標電流を漸増させる、請求項7~9のいずれか1項に記載の電力変換器の制御装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換器の制御装置、及びプログラムに関する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電部と、蓄電部に電気的に接続された電力変換器と、電力変換器に電気的に接続された電機子巻線を有する回転電機とを備えるシステムが知られている。このシステムに適用される制御装置は、電力変換器のスイッチング制御を行うことにより、電機子巻線に流すq軸電流を0としつつ、電機子巻線にd軸電流を流す。これにより、回転電機のロータの回転停止状態を維持しつつ、蓄電部を昇温させる。なお、このような制御装置の例として、特許文献1に開示された制御装置が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5259752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータの回転停止状態を維持しつつ、電力変換器のスイッチング制御により熱を発生させる場合におけるNV(Noise,Vibration)が問題となり得る。
【0005】
本開示は、回転電機のロータの回転停止状態を維持しつつ、電力変換器のスイッチング制御により熱を発生させる場合におけるNVを改善できる電力変換器の制御装置及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、蓄電部と、
ロータ及び電機子巻線を有する回転電機と、
前記蓄電部及び前記電機子巻線を電気的に接続し、上,下アームスイッチを有する電力変換器と、
前記ロータから回転駆動対象までの動力伝達機構を構成し、前記ロータからの回転動力によって回転するとともに互いに噛み合う少なくとも一対のギアと、
を備えるシステムに適用される電力変換器の制御装置において、
前記電機子巻線に流すd,q軸目標電流を算出する目標値算出部と、
算出された前記d軸目標電流に前記電機子巻線に流れるd軸電流を制御するとともに、算出された前記q軸目標電流に前記電機子巻線に流れるq軸電流を制御すべく、前記上,下アームスイッチのスイッチング制御を行う電機子制御部と、
を備え、
前記目標値算出部は、前記ロータの発生トルクを、前記ロータの回転停止状態を維持可能なトルクにするとの第1条件、及び前記電機子巻線に流す交流電流の1周期又は複数周期における前記発生トルクの時間平均値を0からオフセットさせるとの第2条件を満たすように、前記d,q軸目標電流を算出する。
【0007】
本開示では、電機子巻線に流れるd軸電流をd軸目標電流に制御するとともに、電機子巻線に流れるq軸電流をq軸目標電流に制御すべく、電力変換器を構成する上,下アームスイッチのスイッチング制御が行われる。d,q軸目標電流は、ロータの発生トルクを、ロータの回転停止状態を維持可能なトルクにするとの条件を満たすように算出される。
【0008】
本開示において、システムは、ロータから回転駆動対象までの動力伝達経路を構成する少なくとも一対のギアを備えている。一対のギアは、互いに噛み合うとともに、ロータからの回転動力によって回転する。
【0009】
ここで、一対のギアにはバックラッシュが設けられている。上記スイッチング制御によってロータの発生トルクの極性が正負交互に変化すると、ギアの回転方向が交互に変化し、ギアの歯打ちが発生し得る。この場合、ロータの回転停止状態を維持しているにもかかわらず、ギアの歯打ち音が発生する。歯打ち音が大きくなると、システムのNVが悪化してしまう。
【0010】
そこで、本開示では、電機子巻線に流す交流電流の1周期又は複数周期における回転電機の発生トルクの時間平均値を0からオフセットさせるとの条件を満たすように、d,q軸目標電流が算出される。これにより、一対のギアが有する歯同士の押し付け状態を維持して歯打ち音が発生するのを抑制したり、歯打ちが発生したとしても歯打ち音を低減したりすることができる。その結果、NVを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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