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公開番号2024172278
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023089880
出願日2023-05-31
発明の名称凍結乾燥製剤及びその製造方法
出願人学校法人 名城大学
代理人弁理士法人 快友国際特許事務所
主分類A61K 35/76 20150101AFI20241205BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】有効成分としてのウイルスベクターの生物学的活性を維持するために有効な凍結乾燥製剤を提供する。
【解決手段】有効成分としてのウイルスベクターと、セルロース誘導体及び/又はジロイシンと、を含有し、凍結及び乾燥による用時溶解製剤とする。セルロース誘導体及び/又はジロイシンは、凍結乾燥及びその後の保存におけるウイルスベクターの生物学的活性の維持に貢献できる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
有効成分としてのウイルスベクターと、
セルロース誘導体及び/又はジロイシンと、
を含有し、
凍結及び乾燥による凍結乾燥製剤である、組成物。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記セルロース誘導体を含有し、前記セルロース誘導体は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記セルロース誘導体1mg当たり、前記ウイルスベクターを、0.25×10
10
GC以上16×10
10
GC以下含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記セルロース誘導体及びジロイシンを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記セルロース誘導体及びジロイシンの総質量1mg当たり、前記ウイルスベクターを、0.25×10
10
GC以上16×10
10
GC以下含有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記セルロース誘導体は、重量平均分子量が10,000以上50,000以下のメチルセルロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記セルロース誘導体は、重量平均分子量が30,000以上800,000以下のヒドロキシプロピルセルロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記セルロース誘導体は、重量平均分子量が、10,000以上200,000以下のカルボキシメチルセルロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルスベクターを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
用時溶解製剤である、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本明細書は、用時溶解して用いる凍結乾燥製剤及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、凍結乾燥(Freeze-Drying;FD)法を用いて、種々の有効成分を含む原料液から乾燥粉末製剤を得ることができることが知られている。FD法によれば、低温で処理されかつ水分量が低減された製剤を得ることができる。このため、有効成分の分解等を抑制して保存安定性の向上を期待できる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2016-199591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FD法は、原料液の凍結と凍結物からの水分の昇華を伴う。このため、遺伝子発現を意図するウイルスベクターを有効成分とする製剤を製造しようとする場合、ウイルスベクターの遺伝子発現活性など、ウイルスベクターの本来の生物学的活性を維持するのは困難な場合もあった。
【0005】
本明細書は、有効成分としてのウイルスベクターの生物学的活性を維持するために有効な凍結乾燥製剤組成物及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、凍結乾燥による乾燥粉末製剤を製造するのにあたって、有効成分としてのウイルスベクターの遺伝子発現活性の維持を意図して種々の成分について検討を行った。その結果、セルロース誘導体及びジロイシンが、ウイルスベクターが有する生物学的活性の維持に有効であることがわかった。さらに、ジロイシンが、凍結乾燥製剤を室温近傍温度で保存する際、ウイルスベクターが有する生物学的活性を維持するのに有効であることがわかった。本明細書によれば、こうした知見に基づき以下の手段が提供される。
【0007】
[1]有効成分としてのウイルスベクターと、
セルロース誘導体及び/又はジロイシンと、
を含有し、
凍結及び乾燥による凍結乾燥製剤である、組成物。
[2]前記セルロース誘導体は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1種又は2種以上である、[1]に記載の組成物。
[3]前記組成物は、前記セルロース誘導体を含有し、前記セルロース誘導体1mg当たり、前記ウイルスベクターを、0.25×10
10
GC(Genome Copies)以上16×10
10
GC以下含有する、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記組成物は、前記セルロース誘導体及びジロイシンを含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]前記セルロース誘導体及びジロイシンの総量1mg当たり、前記ウイルスベクターを、0.25×10
10
GC以上16×10
10
GC以下含有する、[4]に記載の組成物。
[6]前記セルロース誘導体は、重量平均分子量が10,000以上50,000以下のメチルセルロースである、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]前記セルロース誘導体は、重量平均分子量が30,000以上80,0000以下のヒドロキシプロピルセルロースである、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[8]前記セルロース誘導体は、重量平均分子量が、10,000以上200,000以下のカルボキシメチルセルロースである、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[9]前記ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルスベクターを含む、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]用時溶解製剤である、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]-20℃以上25℃以下で保存するための、[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]セルロース誘導体を含有する、ウイルスベクターの凍結乾燥製剤の保護剤。
[13]ジロイシンを含有する、ウイルスベクターの凍結乾燥製剤の保護剤。
[14]凍結乾燥製剤の製造方法であって、
有効成分としてのウイルスベクターと、セルロース誘導体及び/又はジロイシンと、を含有する凍結乾燥原液を凍結する工程と、
凍結した前記原液に含まれる水分を昇華させる工程と、
を備える、製造方法。
[15]前記凍結乾燥原液は、前記ウイルスベクターの凍結及び乾燥による活性の低下を抑制可能な濃度で前記セルロース誘導体及び/又はジロイシンを含有する、[14]に記載の製造方法。
[16]前記凍結乾燥原液は、前記セルロース誘導体及びジロイシンを、総量で2.5mg/ml以上20mg/ml以下含有し、前記ウイルスベクターを、前記セルロース誘導体及びジロイシンの総量1mgあたり0.25×10
10
GC以上16×10
10
GC以下含有する、[15]に記載の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施例における凍結乾燥アデノ随伴ウイルスベクター(AAVV)製剤の組成の概要を示す図である。
各種保護剤候補の使用による凍結乾燥AAVV製剤の遺伝子発現活性及び細胞毒性を示す図である。
セルロース誘導体の種類及びジロイシン並びに他の添加剤との組み合わせによる凍結乾燥AAVV製剤の遺伝子発現活性及び細胞毒性を示す図である。
保護剤候補及びAAVVの混合比の違いによる凍結乾燥AAVV製剤の遺伝子発現活性を示す図である。
AAVVを高含有量で製造した凍結乾燥AAVV製剤の遺伝子発現活性及び細胞毒性を示す図である。
血清型の違いによる凍結乾燥AAVV製剤の遺伝子発現活性を示す図である。
凍結乾燥AAVV製剤の保存条件の検討結果を示す図である。
凍結乾燥AAVV製剤の経肺・経鼻投与後の遺伝子発現部位及びその時間推移を示す図である。
凍結乾燥AAVV製剤の経肺・経鼻投与後の肺内・鼻腔内遺伝子発現量の時間推移を示す図である。
図9の結果から解析した各種遺伝子発現パラメータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示される凍結乾燥製剤である組成物(以下、本組成物ともいう。)の組成及び製造方法について説明する。
【0010】
本組成物は、ウイルスベクターを有効成分とし、ウイルスベクターの生物学的活性を維持するための保護剤としてセルロース誘導体及び/又はジロイシンを含有して凍結乾燥して得られる製剤である。
(【0011】以降は省略されています)

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