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公開番号2024164441
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-27
出願番号2023079915
出願日2023-05-15
発明の名称建造物の劣化状態計測方法および建造物の劣化状態計測装置
出願人カナデビア株式会社
代理人個人
主分類G01H 1/00 20060101AFI20241120BHJP(測定;試験)
要約【課題】建造物の劣化状態の判断の精度を向上させることが可能な建造物の劣化状態計測方法を提供する。
【解決手段】この建造物Cの劣化状態計測方法は、建造物Cの健全時の固有振動数である初期固有振動数F0を取得する振動数取得工程と、錘部3の共振曲線における振幅の谷部7に初期固有振動数F0が位置するように、錘部3の質量とバネ部4のバネ定数とを調整して、錘部3の固有振動数を決定する調整決定工程と、錘部3の固有振動数が決定された劣化状態計測装置100を建造物Cに設置して、建造物Cの劣化状態を判断するための指標値としての第1振動センサ5の計測振幅値を出力する出力工程と、を備える。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
錘部と、一端が前記錘部に接続されるとともに他端が建造物側に接続される接続部と、前記錘部の振動の振幅を計測する第1振動センサとを備える劣化状態計測装置を用いて、前記建造物の劣化状態を判断するための計測を行う前記建造物の劣化状態計測方法であって、
前記建造物の健全時の固有振動数である初期固有振動数を取得する振動数取得工程と、
前記錘部の共振曲線における振幅の谷部に前記初期固有振動数が位置するように、または、前記錘部の前記共振曲線における振幅の山部に前記初期固有振動数が位置するように、前記錘部の質量と、前記錘部の振動状態に影響を及ぼす値である前記接続部の振動関連値とを調整して、前記錘部の固有振動数を決定する調整決定工程と、
前記錘部の固有振動数が決定された前記劣化状態計測装置を前記建造物に設置して、前記建造物の劣化状態を判断するための指標値としての前記第1振動センサの計測振幅値を出力する出力工程と、を備える、建造物の劣化状態計測方法。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記劣化状態計測装置は、前記錘部が異なる複数の固有振動数を有する多自由度系に構成され、
前記調整決定工程は、前記共振曲線において隣接する前記錘部の2つの固有振動数の間において、前記錘部の前記共振曲線における振幅の前記谷部に前記初期固有振動数が位置するように、前記錘部の質量と前記接続部の前記振動関連値とを調整して、前記錘部の前記2つの固有振動数を決定する工程を含む、請求項1に記載の建造物の劣化状態計測方法。
【請求項3】
前記接続部は、前記振動関連値であるバネ定数を有するバネ部を含み、
前記錘部は、第1錘部と、前記第1振動センサが設けられる第2錘部とを含み、
前記バネ部は、一端が前記第1錘部に接続されるとともに他端が前記建造物側に接続される第1バネ部と、一端が前記第2錘部に接続されるとともに他端が前記第1錘部に接続される第2バネ部とを含み、
前記劣化状態計測装置は、前記第2錘部が異なる2つの固有振動数を有する2自由度系に構成され、
前記調整決定工程は、前記2つの固有振動数の間において、前記第2錘部の前記共振曲線における振幅の前記谷部に前記初期固有振動数が位置するように、前記第1錘部および前記第2錘部の質量と前記第1バネ部および前記第2バネ部のバネ定数とを調整して、前記第2錘部の前記2つの固有振動数を決定する工程を含む、請求項2に記載の建造物の劣化状態計測方法。
【請求項4】
前記第2錘部の前記2つの固有振動数を決定する前記調整決定工程は、前記2つの固有振動数の間において、前記第2錘部の前記共振曲線における振幅の前記谷部の谷底に前記初期固有振動数が位置するように、前記第1錘部および前記第2錘部の質量と前記第1バネ部および前記第2バネ部のバネ定数とを調整して、前記第2錘部の前記2つの固有振動数を決定する工程を含む、請求項3に記載の建造物の劣化状態計測方法。
【請求項5】
前記出力工程は、前記第1振動センサである加速度センサ、速度センサまたは位置の変位センサの計測振幅値を出力して、前記錘部の加速度の振幅、前記錘部の速度の振幅、または、前記錘部の変位の振幅を取得するための工程を含む、請求項1に記載の建造物の劣化状態計測方法。
【請求項6】
前記劣化状態計測装置は、前記建造物の振動の振幅を計測する第2振動センサをさらに含み、
前記出力工程は、前記第1振動センサの計測振幅値と前記第2振動センサの計測振幅値との比を出力する工程を含む、請求項1に記載の建造物の劣化状態計測方法。
【請求項7】
建造物に設置され、前記建造物の劣化状態を判断するための計測を行う前記建造物の劣化状態計測装置であって、
錘部と、
一端が前記錘部に接続されるとともに他端が前記建造物側に接続される接続部と、
前記錘部に設けられ、前記錘部の振動の振幅を計測する振動センサとを備え、
前記錘部の共振曲線における振幅の谷部に前記建造物の健全時の固有振動数である初期固有振動数が位置するように、または、前記錘部の前記共振曲線における振幅の山部に前記初期固有振動数が位置するように、前記錘部の質量と、前記錘部の振動状態に影響を及ぼす値である前記接続部の振動関連値とを調整して前記錘部の固有振動数を決定して、前記建造物の劣化状態を判断するための指標値としての前記振動センサの計測振幅値を出力するように構成されている、建造物の劣化状態計測装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の劣化の進行具合である劣化状態を判断するための建造物の劣化状態計測方法および建造物の劣化状態計測装置に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、建造物の劣化の進行具合である劣化状態を判断するための建造物の劣化状態計測装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、構造物の劣化の進行具体を示す健全度を判断するための固有振動数同定装置が開示されている。また、上記特許文献1には、構造物の健全度の低下に伴い、固有振動数が変化することが開示されている。上記の固有振動数同定装置は、構造物に設置されて、構造物の振動を計測するためのセンサを備えている。固有振動数同定装置は、センサの計測値から振動数解析を利用して構造物の固有振動数を導出して、構造物の健全度の判断を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2022-77092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の固有振動数同定装置では、構造物自体の固有振動数の変化から構造物の健全度(劣化状態)の判断を行っているが、構造物を劣化させる経過時間に伴う構造物の固有振動数の変化は極めて小さいため、構造物の劣化状態を示す健全度の判断の精度が低いという問題点がある。すなわち、構造物の固有振動数を、劣化状態を判断するための指標値とした場合、構造物の健全度の判断の精度が低いという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、建造物の劣化状態の判断の精度を向上させることが可能な建造物の劣化状態計測方法および建造物の劣化状態計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の建造物の劣化状態計測方法では、錘部と、一端が錘部に接続されるとともに他端が建造物側に接続される接続部と、錘部の振動の振幅を計測する第1振動センサとを備える劣化状態計測装置を用いて、建造物の劣化状態を判断するための計測を行う建造物の劣化状態計測方法であって、建造物の健全時の固有振動数である初期固有振動数を取得する振動数取得工程と、錘部の共振曲線における振幅の谷部に初期固有振動数が位置するように、または、錘部の共振曲線における振幅の山部に初期固有振動数が位置するように、錘部の質量と、錘部の振動状態に影響を及ぼす値である接続部の振動関連値とを調整して、錘部の固有振動数を決定する調整決定工程と、錘部の固有振動数が決定された劣化状態計測装置を建造物に設置して、建造物の劣化状態を判断するための指標値としての第1振動センサの計測振幅値を出力する出力工程と、を備える。上記「健全時」とは、少なくとも、建造物の建造当初、および、建造物が補修されて劣化状態が解消した時を含んでいて、建造物が正常であると判断される状態である。
【0008】
この発明の建造物の劣化状態計測方法では、上記のように、錘部の共振曲線における振幅の谷部に建造物の健全時の固有振動数である初期固有振動数が位置するように、または、錘部の共振曲線における振幅の山部に初期固有振動数が位置するように、錘部の質量と、錘部の振動状態に影響を及ぼす値である接続部の振動関連値とを調整して、錘部の固有振動数を決定する調整決定工程と、錘部の固有振動数が決定された劣化状態計測装置を建造物に設置して、建造物の劣化状態を判断するための指標値としての第1振動センサの計測振幅値を出力する出力工程とを設ける。これによって、建造物の固有振動数を劣化状態を判断するための指標値とするのではなく、第1振動センサの計測振幅値を劣化状態を判断するための指標値とすることができる。また、共振曲線の谷部に建造物の初期固有振動数が位置する場合、建造物の劣化に伴い、建造物自体の固有振動数を、振幅の山部のピークを取る錘部の固有振動数に近づけることができる。すなわち、建造物の劣化に伴い、建造物と錘部との振動状態を、共振しない非共振状態から共振状態に向けて変化させることができる。また、共振曲線の山部に建造物の初期固有振動数が位置する場合、建造物の劣化に伴い、振幅の山部のピーク付近の値を取る錘部の固有振動数と建造物の固有振動数とが略一致する状態から、振幅の山部のピーク付近の値を取る錘部の固有振動数と建造物の固有振動数との差を拡大することができる。すなわち、建造物の劣化に伴い、建造物と錘部との振動状態を、共振する共振状態から非共振状態に向けて変化させることができる。以上の結果、建造物の劣化に伴い、振動の振幅の大きな変化を得ることができるので、建造物の劣化状態の判断の精度を向上させることができる。
【0009】
上記建造物の劣化状態計測方法において、好ましくは、劣化状態計測装置は、錘部が異なる複数の固有振動数を有する多自由度系に構成され、調整決定工程は、共振曲線において隣接する錘部の2つの固有振動数の間において、錘部の共振曲線における振幅の谷部に初期固有振動数が位置するように、錘部の質量と接続部の振動関連値とを調整して、錘部の2つの固有振動数を決定する工程を含む。
【0010】
この場合、好ましくは、接続部は、振動関連値であるバネ定数を有するバネ部を含み、錘部は、第1錘部と、第1振動センサが設けられる第2錘部とを含み、バネ部は、一端が第1錘部に接続されるとともに他端が建造物側に接続される第1バネ部と、一端が第2錘部に接続されるとともに他端が第1錘部に接続される第2バネ部とを含み、劣化状態計測装置は、第2錘部が異なる2つの固有振動数を有する2自由度系に構成され、調整決定工程は、2つの固有振動数の間において、第2錘部の共振曲線における振幅の谷部に初期固有振動数が位置するように、第1錘部および第2錘部の質量と第1バネ部および第2バネ部のバネ定数とを調整して、第2錘部の2つの固有振動数を決定する工程を含む。
(【0011】以降は省略されています)

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