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公開番号
2024163095
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-21
出願番号
2024077097
出願日
2024-05-10
発明の名称
テクスチャ圧縮に対する統計的手法を実装するシステムおよび/または方法関連出願の相互参照 この出願は、2023年5月11日に出願された63/465,672の利益を主張し、その全内容は引用により本明細書に援用される。
出願人
任天堂株式会社
代理人
弁理士法人深見特許事務所
,
個人
主分類
G06T
15/04 20110101AFI20241114BHJP(計算;計数)
要約
【課題】レート歪み最適化(RDO)に従う後続の可逆圧縮での使用に適したテクスチャ圧縮のための統計的手法に基づく方法、テクスチャエンコードシステム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】方法は、テクスチャが分割されることによって得られた複数のブロックの各々を、複数のブロックビットストリームにエンコードし、各々のブロック毎に、歪み値が最も小さいブロックビットストリームを選択し、各々の選択したブロックビットストリーム毎に、各々のデータチャンクが、その取得元であるそれぞれの選択したブロックビットストリームの連続区域であるように、データチャンクを取得し、取得したデータチャンク同士の間の衝突を検出し、検出した衝突に基づき、冗長データチャンクを有するマッチチェーンを、各々のマッチチェーン毎にその中の冗長データチャンクが関連のブロックビットストリームの共通の値を表すように形成する。
【選択図】図13
特許請求の範囲
【請求項1】
テクスチャをエンコードする方法であって、
前記テクスチャをデータ記憶部から読み出すことと、
前記テクスチャを複数のブロックに分割することと、
前記ブロックの各々を複数のブロックビットストリームにエンコードすることとを備え、前記ブロックビットストリームの各々は、それぞれのエンコード構成に対応し、かつ前記ブロックビットストリームの各々に関連付けられた歪み値を有し、さらに
各々のブロックごとに、予め定められた数までの別個のブロックビットストリームが選択されるように、それぞれの前記ブロックについて関連の歪み値が最も小さい前記ブロックビットストリームを選択することと、
各々の選択されたブロックビットストリームごとに、各々のデータチャンクが、その取得元であるそれぞれの選択された前記ブロックビットストリームの連続区域であるように、複数のデータチャンクを取得することとを備え、前記それぞれの選択されたブロックビットストリームについての前記データチャンクは、前記それぞれの選択されたブロックビットストリームの各々の位置から始まって、それぞれの前記データチャンクが最小データチャンクサイズを有するように前記それぞれの選択されたブロックビットストリームの終端まで及び、前記選択されたビットストリームについて異なるサイズのデータチャンクが取得可能であり、さらに
取得された前記データチャンク同士の間の衝突を検出することと、
前記検出された衝突に基づいて、各々のマッチチェーンごとに、その中の冗長データチャンクが関連のブロックビットストリームの共通の切り捨て値を表すように、前記冗長データチャンクを有するマッチチェーンを形成することと、
形成された前記マッチチェーンの中から最良のマッチチェーンを反復選択することとを備え、前記最良のマッチチェーンは、ハイパーパラメータを用いて決定され、さらに
反復選択された前記最良のマッチチェーンから前記テクスチャの非可逆エンコードを取得することを備える、方法。
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【請求項2】
可逆(lossless)圧縮器を用いて非可逆エンコード済テクスチャをエンコードすることをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データチャンクは異なるバイトロケーションから始まる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各々のブロックごとに、前記予め定められた数までのできるだけ多くの別個のブロックビットストリームが選択され、
前記方法は、選択されたブロックビットストリームの数が前記予め定められた数未満である各々のブロックごとにインジケータを設けることをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のブロックのうちの1つ以上の特定されたブロックに対する最大歪み値を特定する入力を受けることをさらに備え、
前記1つ以上の特定されたブロックの各々ごとに、前記最大歪み値よりも良好な歪み値を有するブロックビットストリームのみがそれぞれの特定された前記ブロックのために選択可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記最小データチャンクサイズは、前記テクスチャの前記非可逆エンコードを適用すべき可逆圧縮器が使用可能な最小サイズと少なくとも同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記データチャンクを取得することは、
所与の選択されたブロックビットストリームに対して有効なデータチャンクのサブセットを抽出することと、
抽出された前記サブセットから前記所与の選択されたブロックビットストリームのための残余のデータチャンクを生成することと、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ハイパーパラメータは、レートと歪みとのうち片方を得るために他方を犠牲にし、どのマッチチェーンが最良であるかを決定する定義された関数の一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記テクスチャをスライスに分割することをさらに備え、スライスの各々は予め定められた数のブロックを含み、
前記スライスは、別々にブロックに分割される個別のテクスチャとして扱われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反復選択において選択可能でないと判断されるマッチチェーンは、前記マッチチェーンの形成について考慮されない、請求項1に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本明細書中に記載されるある例示的な実施形態は、3次元仮想環境などで用い得るテクスチャ圧縮に関する。より特定的には、本明細書中に記載されるある例示的な実施形態は、レート歪み最適化(RDO)に従う後続の可逆(lossless)圧縮での使用に適した非可逆エンコード済テクスチャを生じさせるテクスチャ圧縮のための統計的手法に関する。
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【背景技術】
【0002】
テクスチャは、たとえばビデオゲームで用いられるような仮想環境における最も重要なアセットの1つである。テクスチャは、仮想環境(たとえば、所望のゲーム内の体裁)で3次元(3D)オブジェクトに所望の体裁を付与するためにその表面を覆う層として作用する材料である。ほとんどのテクスチャは、テクセルと称されることがある画素の2次元(2D)アレイを含むファイルとして記憶される。これらの画素をオブジェクトにマッピングするプロセスはテクスチャマッピングと呼ばれる。
【発明の概要】
【0003】
図1は、3次元オブジェクトを2次元テクスチャで包むことでテクスチャマッピング後オブジェクトを生じさせているのを示す。より特定的には、図1は、3次元球状オブジェクト102と、世界地図である2次元テクスチャ104とを示す。テクスチャマッピングにより、テクスチャマッピング後オブジェクト106は球体のように見える。というのも、2次元テクスチャ104が3次元球状オブジェクト102の周りに巻き付けられるからである。たとえば、生成されるテクスチャマッピング後オブジェクト106に見られるように、図1の例では、3次元オブジェクト102に含まれる照明効果が考慮される。
【0004】
テクスチャは、それらが格納するデータの種類が異なる。「通常マップ」は、たとえば、面法線(オブジェクトの局所面に垂直なベクトル)のX、Y、およびZ座標を格納する。これらの成分を用いて、オブジェクトの異なる区域で光がどのように反射するかを算出することができ、これにより、より詳細な感じが与えられるため、「現実味」が増大する。この意味での「現実味」は、現実世界の環境、またはたとえば(いくつかの仮想ゲーム環境などのような)明らかに「現実」でない設定についてのより没入的な経験を反映し得る。他方、鏡面マップは一般的に、オブジェクトの輝きの制御に用いることができるグレースケール値を格納する。そのような場合、値が大きいほど、区域の反射率はより高くなる。他のよくある種類のテクスチャは、拡散反射マップ、アルベドマップ、ディスプレイスメントマップ、ライトマップ、アンビエントオクルージョンなどを含む。
【0005】
テクスチャデータは一般的に「そのまま」記憶されるわけではない。換言すると、ゲーム世界のような仮想環境で用いられるテクスチャは典型的に、そのような環境で直接に使用可能なフォーマットでは記憶されない。代わりに、テクスチャデータは典型的に、非可逆圧縮フォーマットで記憶される。圧縮フォーマットでのテクスチャデータの記憶により、たとえば「生」のテクスチャデータと比較して、たとえば、必要とされるGPUメモリまたは他のメモリの量の削減およびメモリ帯域幅の使用の削減などのいくつかの技術的利点が与えられる。
【0006】
テクスチャに用いられる圧縮フォーマットは、(JPEGなどの)画像圧縮フォーマットおよび(H.264などの)映像フォーマットで用いられるものとは異なる。1つの相違点は、テクスチャに用いられる圧縮フォーマットが、典型的には、各々のブロックごとに固定サイズの出力を生じさせながら、画素のブロックを独立してエンコードすることである。たとえば、テクスチャを圧縮するのに用いられるBC1フォーマットは、4×4個の画素のブロックをエンコードし、ブロックあたり8バイトのビットストリームを出力する。このように、各々の画素は、固定数のビット(またはビット毎ピクセル(BPP))でエンコードされ、これはランダムGPUアクセスによく適している。すなわち、特定の画素にアクセスするために、GPUは、それが属するブロックのアドレスを演算する。GPUは次に、オンザフライでブロックを復号して画素データを取得する。ビットレートが固定されているため、そのようなフォーマットは一般的に、可変ビットレートのフォーマットと比較して、より低い圧縮比をもたらす。よくある広く用いられているテクスチャ圧縮フォーマットは、たとえば、BC1、BC3、BC4、BC5、BC7、およびアダプティブスケーラブルテクスチャ圧縮(ASTC)のようなブロック圧縮(BC)フォーマットを含み、そのようなフォーマットの典型的なビットレートは8BPPから1BPPの範囲に及ぶ。
【0007】
テクスチャ関連のアセットは一般的に、ゲームの総記憶容量サイズの大部分を占める。多くの状況において、それらのサイズの制限は極めて重要になる。たとえば、あるゲームはカートリッジなどの物理的媒体に格納される。より小さなゲームは、より小さな媒体(たとえば、より小さなカートリッジ)を用いることができ、これにより、製造コストをより低くすることができ、かつ使用可能な媒体の種類をより柔軟にできる。別の例として、デジタルゲームをダウンロードすれば、使用するサーバ帯域幅をより少なくすることができ、サーバ側とクライアント側との両方で必要とされる演算リソースがより少なくなり、またサーバ側での保守要件が潜在的に減少する。
【0008】
テクスチャサイズを制御するさまざまなやり方がある。1つの手法は、可能な場合はより小さいテクスチャを作成することに係る。たとえば、2048×2048個の画素の分解能を有するテクスチャは、実際には1024×1024個の「有用な区域」しか有しないことがある。なぜなら、たとえば、この区域外のデータがGPUによってフェッチされないことがある(たとえば、ゲームまたは他のアプリケーションがそれを使用しないことがある)ためである。この場合、有用な区域外のデータは、画面上にレンダリングされることがなく、また一切のレンダリング演算に用いられない。そのような場合、そのようなデータを記憶する必要がないことがある。同じ傾向で、いくつかのチャネル(たとえば、色チャネル、座標チャネルなど)は、他のチャネルと冗長であってもよく、またはここでもGPUによって全くアクセスされなくてもよい。
【0009】
以上で言及した手法と組み合わせることができる別のよくある手法は、可逆圧縮フォーマットで(圧縮済)テクスチャファイルを保存することである。換言すると、非可逆圧縮済テクスチャファイルを、可逆圧縮を用いてさらに圧縮することができる。これを「超圧縮」と称することがある。可逆フォーマットは迅速に復元されることが多く、これによりロード時間(この場合は、テクスチャが記憶メモリ(たとえば、カートリッジ、SSD、または他の場所)からGPUメモリ(たとえば、VRAM)または他のメモリ場所に移行するのにかかる時間のこと)に追加されるオーバーヘッドは、典型的には、ほとんどないかまたは無視できる程度である。(たとえば、LZ4およびZStandardなどの)可逆圧縮フォーマットは、圧縮比と復元速度との間の技術的に「興味深い」相反関係を与える。
【0010】
(ゲームに関連して提供される仮想環境を含む)仮想環境には、(超圧縮および他の技法を含む)さまざまな圧縮技法が広く用いられているが、さらなる改善が依然として可能である。たとえば、合理的な圧縮および復元時間を潜在的に可能にしながらも、圧縮の量と品質との間の相反関係をよりうまく管理することが望ましいであろう。
(【0011】以降は省略されています)
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