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公開番号2024157706
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023072224
出願日2023-04-26
発明の名称防煙垂れ壁装置
出願人文化シヤッター株式会社
代理人個人
主分類A62C 2/06 20060101AFI20241031BHJP(人命救助;消防)
要約【課題】防煙垂れ壁の降下時の回転力を減衰させるための減衰手段の取付位置(納まり(取り合い))の自由度を大きくでき、設計自由度の高い防煙垂れ壁装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る防煙垂れ壁装置1は、天井19側に位置されて面2aが横方向に延長する非作動状態と一端21側を回転中心として回転して他端22側が降下することによって一端側から他端側に向けて垂れ下がって壁面となる面2aが上下方向に延長する作動状態とに状態変化可能に構成された防煙垂れ壁2と、当該防煙垂れ壁2の降下時の回転力を減衰させる減衰手段5とを備えた防煙垂れ壁装置であって、減衰手段5がロータリーダンパ5Aであることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
天井側に位置されて面が横方向に延長する非作動状態と一端側を回転中心として回転して他端側が降下することによって一端側から他端側に向けて垂れ下がって壁面となる面が上下方向に延長する作動状態とに状態変化可能に構成された防煙垂れ壁と、当該防煙垂れ壁の降下時の回転力を減衰させる減衰手段と、
を備えた防煙垂れ壁装置であって、
前記減衰手段がロータリーダンパであることを特徴とする防煙垂れ壁装置。
続きを表示(約 290 文字)【請求項2】
前記防煙垂れ壁の他端側と天井側に設けられた前記ロータリーダンパとを連結する不燃材料により形成された可撓性連結部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の防煙垂れ壁装置。
【請求項3】
前記防煙垂れ壁を前記作動状態に維持する維持手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の防煙垂れ壁装置。
【請求項4】
前記ロータリーダンパが天井側に設けられ、
前記ロータリーダンパの回転中心軸に設けられたギヤと前記防煙垂れ壁の一端側に設けられたギヤとが噛み合うように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の防煙垂れ壁装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、火災の発生の際に作動させて煙の流動を防止する防煙垂れ壁を備えた防煙垂れ壁装置に関する。
続きを表示(約 6,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、壁面を構成する面が横方向に延長するように天井側に位置される非作動状態と壁面を構成する面が上下方向に延長するように天井側から垂れ下がる作動状態とに設定される防煙垂れ壁を備えた防煙垂れ壁装置が知られている。
即ち、非作動状態においては、天井側において面が横方向に延長する状態となるように維持され、火災の発生の際に、煙感知器から出力される解除信号に基づいて回動して、あるいは、手動操作で出力される解除信号に基づいて回動して、壁面が上下方向に延長するように垂れ下がる作動状態に設定される防煙垂れ壁を備えた防煙垂れ壁装置が知られている。
当該防煙垂れ壁装置としては、防煙垂れ壁の回動動作時の衝撃を吸収するためにオイルダンパ(ショックアブソーバ)を備えた構成のものが知られている(特許文献1等参照)。
【0003】
また、従来、例えば図4に示すように、回動式の板状部材により構成された防煙垂れ壁2が、実線で示した非作動状態と一点鎖線で示した作動状態とに設定される防煙垂れ壁装置100も知られている。
図4に示した従来の防煙垂れ壁装置100は、一端21側を回動中心として回動可能なように天井19側に取付けられた板状部材により構成された防煙垂れ壁2と、天井19側において防煙垂れ壁2の他端22側を係止して当該防煙垂れ壁2の下側の板面(防煙垂れ壁2の作動状態において壁面となる面)2aが横方向に延長する状態となって例えば天井面20aを形成するように当該防煙垂れ壁2を維持する係止装置3と、煙感知器25からの解除信号に基づいて係止装置3が防煙垂れ壁2の他端22側の係止を解除した場合に、当該防煙垂れ壁2が一端21側から他端22側に向けて垂れ下がって板面(壁面を構成する面)2aが上下方向に延長する作動状態の防煙垂れ壁2に設定するための防煙垂れ壁設定手段4とを備えて構成される。
尚、図4及び後述する図5は断面図であるが、断面ハッチングは省略してある。
また、図4,図5に示した防煙垂れ壁装置100は、例えばユニット化されており、図4,図5の紙面と直交する方向に沿って、複数のユニット化された防煙垂れ壁装置100,100…が連続して並ぶように配置されて天井19側に設置されている。
【0004】
防煙垂れ壁2は、不燃材により構成されたものである。
防煙垂れ壁2は、例えば、四角形の平板部を備えて構成され、当該四角形の平板部における四角形の一辺側が一端21側となり、当該四角形の一辺と対向する他辺側が他端22側となる。
防煙垂れ壁2は、一端21側を回動中心として回動可能なように一端21側がヒンジ23等の回転支持部材を介して天井19側に取付けられている。具体的には、防煙垂れ壁2の一端21側と後述する装置基台110に設けられた回転支持ブラケット115とがヒンジ23を介して連結されている。
防煙垂れ壁2は、非作動状態においては、係止装置3によって、天井19側において面(下側の板面(表面))2aが水平面に沿って延長する状態となって例えば天井面20aを形成するように設定されるとともに、火災発生時においては、ヒンジ23を回転中心として回動して、防煙垂れ壁設定手段4によって、図4に一点鎖線で示したように、壁面となる面2aが垂直面に沿って延長する作動状態の防煙垂れ壁2として機能するように設定される。
つまり、非作動状態においては、係止装置3によって、天井19側において防煙垂れ壁2の面2aが横方向に延長する状態、即ち、天井19側において防煙垂れ壁2の面2aが水平面上又は略水平面上に位置されるように設定される。
例えば、天井面20aとなる防煙垂れ壁2の面(下側の板面)2aと天井面20aとなる天井板20の下側の板面とが同一水平面上に位置されたり、あるいは、天井面20aとなる防煙垂れ壁2の面(下側の板面)2aと天井面20aとなる天井板20の下側の板面とが互いに平行な水平面上に位置されて、防煙垂れ壁2が天井板として機能するように設定される。
【0005】
係止装置3は、例えば、図4の紙面と直交する方向の一方の端部側に位置される一方端部側の防煙垂れ壁装置100に設けられた自動閉鎖装置3Aと、当該一方端部側の防煙垂れ壁装置100以外のその他の各防煙垂れ壁装置100,100…にそれぞれ設けられたキャッチ3B,3B…とで構成される。
自動閉鎖装置3Aは、一方端部側の防煙垂れ壁装置100の防煙垂れ壁2の他端22側を係止して当該防煙垂れ壁2の面2aが横方向に延長する状態となるように当該防煙垂れ壁2を維持するとともに、当該係止状態を電気的に解除できるように構成された図外の係止手段を備え、火災時において、煙感知器25からの解除信号に基づいて自動閉鎖装置3A内の制御手段が当該係止手段による係止状態を解除するように構成されているものである。当該係止手段による係止状態が解除された場合、防煙垂れ壁2が一端21側を回転中心として下方に向けて回転して垂れ下がる。
各防煙垂れ壁装置100,100…のキャッチ3B,3B…は、隣の防煙垂れ壁装置100の防煙垂れ壁2の他端22側と図外の係止解除用のワイヤで繋がれている。
キャッチ3Bは、その他の各防煙垂れ壁装置100,100…にそれぞれ設けられた防煙垂れ壁2の他端22側に設けられたキャッチ受3Cに係止して当該防煙垂れ壁2の面2aが横方向に延長する状態となるように当該防煙垂れ壁2を維持する。
そして、火災時において、一方端部側の防煙垂れ壁装置100の自動閉鎖装置3Aによる係合状態が解除された防煙垂れ壁2が垂れ下がった場合に、当該防煙垂れ壁2の他端22側と当該一方端部側の防煙垂れ壁装置100の隣の防煙垂れ壁装置100のキャッチ3Bとに繋がれた図外の係止解除用のワイヤによって当該キャッチ3Bが図4の左側に移動することで、キャッチ3Bとキャッチ受3Cとの係止状態が解除される。従って、一方端部側の防煙垂れ壁装置100の隣の防煙垂れ壁装置100の防煙垂れ壁2が垂れ下がる。以後、同様に、順次、隣の防煙垂れ壁装置100のキャッチ3Bとキャッチ受3Cの係止状態が解除されて防煙垂れ壁2が垂れ下がる動作が、連動して行われることで、各防煙垂れ壁装置100,100…の各防煙垂れ壁2,2…が、一端21側を回転中心として下方に向けて回転して垂れ下がって、作動状態に設定されることになる。
【0006】
以上のように、火災時においては、一方端部側の防煙垂れ壁装置100の防煙垂れ壁2から順番に隣り合う各防煙垂れ壁装置100,100…の防煙垂れ壁2の係止状態が解除されていくことにより、各防煙垂れ壁装置100,100…の各防煙垂れ壁2,2…が、一端21側から他端22側に向けて垂れ下がった作動状態になる。
即ち、自動閉鎖装置3A、及び、キャッチ3Bは、共に、防煙垂れ壁2の他端22側を係止する手段であるが、自動閉鎖装置3Aは、例えば天井側の設けられた煙感知器25が煙を感知した場合に当該煙感知器25から出力される解除信号を受けて電気的に防煙垂れ壁2を開放する電気制御式の係止手段であり、キャッチ3Bは、隣の防煙垂れ壁2の動きに連動して機械的に防煙垂れ壁2を開放する機械式の係止手段である。
尚、当該自動閉鎖装置3Aの「閉鎖」の意味は、防煙垂れ壁2の他端22側の係止を解除して防煙垂れ壁2を作動させることを意味しており、いわゆるシヤッターの自動閉鎖装置に合わせた名称となっている。
つまり、「閉鎖」はシヤッター等が閉鎖して火や煙を留める区画を作ると言う意味で防災装置が作動する動作を示す用語として用いられる。当該防煙垂れ壁2の場合、防煙垂れ壁2の下方が空間となるので、閉鎖されるわけではないが、シヤッターと共通の用語を用いて自動閉鎖装置と呼ばれているものである。
【0007】
防煙垂れ壁設定手段4は、一端21側を回動中心として下方に回動した当該防煙垂れ壁2を垂直状態に維持して防煙垂れ壁として機能するように設定するものである。
当該防煙垂れ壁設定手段4は、ガススプリング(ショックアブソーバ)101と、ばね102と、ねじ103と、を備え、火災発生の際に、防煙垂れ壁2の一端21側を回動中心として下方に回動して垂れ下がった当該防煙垂れ壁2の面2aを垂直な状態に維持することにより、当該防煙垂れ壁2を作動状態に設定する手段である。
ガススプリング101は、防煙垂れ壁2の降下時の回転力を減衰させて回動動作時の衝撃を吸収するための減衰手段であり、例えば、一端側としてのシリンダ基端側101aが、防煙垂れ壁装置100の装置基台110に設けられたブラケット111に回転可能に連結されるとともに、他端側としてのピストン先端側101bが、防煙垂れ壁2の他端22側に回転可能に連結されている。尚、ガススプリング101の他端側は、例えば、防煙垂れ壁2の裏面2b(面2aとは反対側の板面)に設けられたブラケット200の他端側に回転可能に連結されている。
ばね102は、一端側がブラケット111に回転可能に連結され、他端側がガススプリング101のシリンダ側に連結された引張コイルバネである。
当該ばね102は、防煙垂れ壁2の回転降下時の初期時の急激な降下を防ぐとともに、防煙垂れ壁2が垂直になるようにガススプリング101を所定位置に維持する手段である。
また、当該ばね102は、一端側の回転中心軸102cが、ヒンジ23の回転中心軸とずれるように設置されている。これにより、防煙垂れ壁2の面2aが横方向に延長する状態から防煙垂れ壁2の他端22側が下方に回動する際(つまり、図4の実線で示した非作動状態の防煙垂れ壁2が図4の一点鎖線で示した作動状態の防煙垂れ壁2となるように回動する際)には、ばね102の引っ張り力によって、防煙垂れ壁2に力F1(図4において時計回りの力F1)が付与される。また、防煙垂れ壁2が下方に回動した状態から防煙垂れ壁2の面2aが横方向に延長する状態に回動する際(つまり、図4の一点鎖線状態の防煙垂れ壁2が実線状態の防煙垂れ壁2となるように回動する際)には、ばね102の引っ張り力によって、防煙垂れ壁2に力F2(図4においての反時計回りの力F2)が付与されるようになっている。
ねじ103は、例えば、ヒンジ23の上方側に位置において、下方に回動した状態の防煙垂れ壁2の一端側に先端103tが接触して、下方に回動した状態の防煙垂れ壁2に力F2(図4においての反時計回りの力F2)を付与するものである。
また、図4に示す防煙垂れ壁装置100によれば、煙感知器25が煙を感知して、防煙垂れ壁2が一端21側のヒンジ23を回動中心として下方に回動した際には、ばね102の引っ張り力によって、防煙垂れ壁2に力F1が付与されるとともに、ねじ103の先端103tが防煙垂れ壁2の一端21側に接触して防煙垂れ壁2に力F2が付与されることによって、壁面となる面2aが垂直状態に維持された防煙垂れ壁2が形成される。
即ち、図4に示した防煙垂れ壁装置100は、上述した防煙垂れ壁設定手段4を備えていることにより、火災の際に係止装置3が解除された場合に、防煙垂れ壁2が一端21側のヒンジ23を回動中心として下方に回動し、防煙垂れ壁2が一端21側から他端22側に向けて垂れ下がって当該防煙垂れ壁2の壁面となる面2aが垂直状態に維持される防煙垂れ壁2が形成されるように構成されているものである。
【0008】
図5は、防煙垂れ壁装置100におけるガススプリング101の動作を説明した図である。図5(a)は、防煙垂れ壁2の非動作状態時のガススプリング101を示し、図5(b)は、防煙垂れ壁2の動作状態時のガススプリング101を示す。
尚、図5に示す防煙垂れ壁装置100では、防煙垂れ壁2は、裏面2bに、ブラケット200と一端側の連結部201とを備えた構成のものを例示している。
また、ガススプリング101は、一端側(シリンダ基端側)101aが装置基台110に設けられたブラケット111に回転可能に連結されて、他端(ピストン先端側)101bがブラケット200に設けられた取付ブラケット112に回転可能に連結された構成のものを例示している。
また、一端側の連結部201は、図5の紙面と直交する方向に延長するように設けられて、当該連結部201と装置基台110に設けられた回転支持ブラケット115とがヒンジ23を介して連結されたことにより、防煙垂れ壁2が、一端21側を回動中心として回動可能なように構成されたものを例示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
実開昭49-116814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したように、防煙垂れ壁の降下時の回転力を減衰させる減衰手段としてガススプリング(ショックアブソーバ)101を用いる場合は、図5に示すように、ガススプリング101の両端101a,101b(シリンダ基端側101a,ピストン先端側101b)の取付位置が決まってしまう。
従って、防煙垂れ壁2の非作動状態時におけるガススプリング101の取付位置間距離D(図5参照)よりも、防煙垂れ壁2の非作動状態時における図5紙面左右方向の長さ寸法(以下、「防煙垂れ壁長さ寸法」という)が小さい防煙垂れ壁を持つ防煙垂れ壁装置100を作製したい場合、当該取付位置間距離Dのガススプリング101を用いることはできないので、防煙垂れ壁長さ寸法よりも取付位置間距離が小さいガススプリングを選定して使用しなければならない。
例えば、防煙垂れ壁2は、作動状態において、天井面から下方に50cm以上突出させる必要があるが、建物によっては、一部に下がり壁等が形成されており、不足分の高さのみを垂れ壁によって補いたいといった場合がある。このような場合、下がり壁等の部分では防煙垂れ壁長さ寸法が短い防煙垂れ壁を有した防煙垂れ壁装置も必要となることから、防煙垂れ壁長さ寸法が異なる複数種類の防煙垂れ壁装置を作製することになり、この場合、取付位置間距離が異なる複数種類のガススプリングが必要になる可能性がある。
即ち、防煙垂れ壁の降下時の回転力を減衰させて回動動作時の衝撃を吸収するための減衰手段としてガススプリングを用いる場合、ガススプリングの取付位置間距離<防煙垂れ壁長さ寸法という条件を満たす必要があり、防煙垂れ壁長さ寸法によって使用可能なガススプリングが制約されてしまう。
換言すれば、減衰手段としてガススプリングを用いる場合は、ガススプリングの取付位置が決まってしまうため、防煙垂れ壁長さ寸法に応じて、使用するガススプリングのサイズを変更しなければならない。
つまり、防煙垂れ壁の降下時の回転力を減衰させるための減衰手段としてガススプリングを用いる場合、減衰手段の取付位置(納まり(取り合い))の自由度が小さい(自由が利かない)ため、防煙垂れ壁長さ寸法に応じて適した寸法のガススプリングを選定して使用しなければならず、設計自由度が低いという課題があった。
(【0011】以降は省略されています)

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