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公開番号2024148511
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023061700
出願日2023-04-05
発明の名称小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法
出願人大和製罐株式会社
代理人個人,個人
主分類B21D 51/26 20060101AFI20241010BHJP(本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き)
要約【課題】小容量アルミニウムボトル型缶の薄肉化を可能にする製造方法を提供する。
【解決手段】共通接線L0の傾斜角度θが50°以上70°以下となり、屈曲部13から接地部6との境界となっている第1境界点P1と接地部6における断面円弧の第1曲率中心O6とを結んだ線と、第1曲率中心O6を通り平面Gに垂直な鉛直線との間の第1挟角αと、コーナ部12と傾斜部11との境界となっている第2境界点P2とコーナ部12の第2曲率中心O12とを結んだ線と、第2曲率中心O12を通り平面Gに垂直な鉛直線との間の第2挟角との差(α-β)が20°以上40°以下となり、屈曲部13の高さMが、胴部3の下端部の高さHの半分以下となるように成形加工し、かつ胴部3の外面のうち第2曲率中心O12の高さより高い位置から屈曲部13までの外面を保持面15aに接触させて保持面で荷重を受けさせる。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
板厚が0.26mm以上かつ0.31mm以下のアルミニウム合金板もしくは樹脂被覆アルミニウム合金板を素材として、底部と胴部と前記胴部の上側に続く肩部と前記肩部から上方に延び出ている口首部とを一体に成形し、かつ前記胴部の径が40mm以上かつ50mm以下で、前記口首部の外径が28mmになっている小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法であって、
前記胴部の下端部に、外側に向けて凸湾曲した断面円弧状のコーナ部に続けて前記胴部の内側に向けて傾斜した傾斜部を形成し、
前記傾斜部に続けて、前記胴部の内側に向けて凸湾曲した断面円弧状の屈曲部を形成し、
前記屈曲部に続けて、下向きに凸湾曲した断面円弧状をなすとともに全体として環状をなす接地部を形成し、
前記コーナ部と前記接地部とに共通の共通接線と、前記接地部を接地させる平面とのなす角度が50°以上70°以下となり、
前記屈曲部から前記接地部に延びている部分と前記接地部との境界となっている第1境界点と前記接地部における断面円弧の第1曲率中心とを結んだ線と、前記第1曲率中心を通り前記平面に垂直な鉛直線との間の角度を第1挟角とし、かつ前記コーナ部と前記傾斜部との境界となっている第2境界点と前記コーナ部の円弧の第2曲率中心とを結んだ線と、前記第2曲率中心を通り前記平面に垂直な鉛直線との間の角度を前記第1挟角より小さい第2挟角とした場合の前記第1挟角と前記第2挟角との差が20°以上40°以下となり、
前記第1境界点における接線と前記第2境界点における接線とが交差する交点の前記平面からの高さが、前記共通接線と前記胴部の外周面の延長面との交点の前記平面からの高さの半分以下となるように成形加工し、かつ
前記胴部に前記胴部の軸線方向の荷重が掛かる加工の際に、前記胴部の外面のうち前記第2曲率中心の前記平面からの高さより高い位置から前記屈曲部までの外面を保持面に接触させて前記保持面で荷重を受けさせる
ことを特徴とする小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法。
続きを表示(約 520 文字)【請求項2】
請求項1に記載の小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法であって、
前記コーナ部における前記第2曲率中心からの半径が1.5mm以上3.0mm以下であり、
前記接地部の前記第1曲率中心からの半径が1.0mm以上2.0mm以下であり、
前記共通接線と前記胴部の外周面の延長面との交点の前記平面からの高さが3.0mm以上6.0mm以下である
ことを特徴とする小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法であって、
前記屈曲部における断面円弧の曲率半径は、0.3mm以上1.0mm以下である
ことを特徴とする小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法であって、
前記保持面で荷重を受ける範囲は、前記第2曲率中心の前記平面からの高さより高い位置から前記屈曲部までであり、前記屈曲部よりも前記接地部側の部分では前記保持面で荷重を受けさせない
ことを特徴とする小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り・しごき成形により缶底部と缶胴部とを一体に成形し、その胴部開口端側にドーム状に湾曲した肩部と小径円筒状の口頸部を成形し、その口頸部にねじ部およびカール部を形成したアルミニウム製のボトル型缶の製造方法に関し、特に、総内容積が70ml~190ml程度の小容量のボトル型缶の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
この種のボトル型缶においても低コスト化や資源の有効利用などからの要請で、素材の厚さを薄くすることが求められている。ボトル型缶を薄板化(もしくは薄肉化)すれば、ボトル型缶を構成している素材の剛性が低下するから、ボトル型缶の各部の形状を工夫して缶全体としての剛性あるいは強度を向上させる必要が生じる。成形加工やキャッピング時に掛かるいわゆる垂直荷重による応力は、缶胴部から缶底部に到る箇所や肩部あるいは肩部から口頸部に到る箇所などの径が変化する箇所に集中し、これらの箇所で変形が生じやすい。
【0003】
薄板化による強度の低下を回避もしくは抑制するように構成したボトル型缶を、本出願人は特許文献1によって既に提案した。そのボトル型缶は、総内容積が70ml以上かつ190ml以下の小容量のねじ付き缶であって、缶胴部の内径に対する口頸部の外径の比率、缶胴部の高さ、缶胴部の内径に対する総内容積の比率、さらに缶胴部の最小壁厚およびその最小壁厚に対する缶底中央部の板厚の比率を特定することにより、いわゆる垂直荷重に対する強度を高くしたボトル型缶である。また、その好ましい構成として、口頸部の外径ならびに口頸部の高さを特定してある。さらには、ドーム状をなす肩部の上端側での傾斜角度すなわち凸湾曲している母線の接線の角度や、缶胴の下側でリムと称されることのある接地部に向けて絞ってある傾斜部の角度を特定し、これらの部分の垂直荷重に対する強度を向上させてある。
【0004】
一方、特許文献2には、口部(上端開口部)を缶蓋で密閉するためのフランジおよびその下側に続くネック部を設けたDI缶であって、ネッキング加工時における圧縮力(垂直荷重)によってヒール部外側が変形することを防止する方法が記載されている。DI缶の底部には、胴部の外径より小径の接地部が設けられ、胴部からその接地部に向けて絞られている部分がヒール部外側とされ、また接地部の内周側は胴部の内部に向けて盛り上がっている(凸となっている)ドーム部とされている。胴部にネッキング加工による圧縮力が掛かった場合、ヒール部外側が下側および半径方向で外側に変形する可能性があるので、特許文献2に記載された方法では、そのヒール部外側の全体に接触するボトムパッドでヒール部外側を支持し、その状態でネッキング加工を行うこととしている。すなわち、特許文献2に記載された方法では、ヒール部外側の下向きおよび半径方向での外側への変形を生じさせる荷重をボトムパッドで受けることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第4800023号公報
特開平8-52525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
接地部(リム部と称することもある。)の径を缶胴部より小径とし、缶胴部から接地部に繋がっている部分を内側に絞り込んだ缶底部の形状が、特許文献1や特許文献2に記載されている。このような缶底部の構成であれば、接地部の内周側に形成されているドーム部の外径が缶胴部より小さくなるので、缶の内圧などによる変形(バックリング)に対する強度が向上する。しかしながら、接地部を絞り込んで形成したことに伴う傾斜部に、ネッキング加工やロールオンキャッピングなどの際の荷重が掛かると、接地部を内周側に押す作用と、接地部を下向きに押す力に対する反力でドーム部を上側に押し上げる作用とが生じる。缶素材(ブランク)の板厚(元厚)を薄くし、それに伴って缶の各部の板厚を薄くすると、このような作用による変形に対する強度が低下する。
【0007】
特許文献1に記載の発明では、缶底中央部の板厚を0.17mm以下に特定し、また缶胴部と接地部に繋がる傾斜部との境界部分を所定の曲率半径の接続部とし、その接続部と接地部との共通接線の水平面(接地面)に対する傾斜角度を40°~50°に特定している。このようなパラメータの特定は、特許文献1に開示されている元厚とした場合には有効と考えられる。しかしながら、軽量化や資源の有効利用のために元厚あるいは缶の各部の板厚を更に薄くするとすれば、接地部の変形による缶高さのバラツキやドーム部の変形あるいはそれに伴う内容積のバラツキなどの課題が生じる可能性がある。元厚の薄肉化による接地部やそれに伴うドーム部の変形などの技術的課題については、特許文献1に記載された発明および特許文献2に記載された発明のいずれも着目しておらず、ましてや課題解決のための示唆はない。
【0008】
さらに、特許文献1には、傾斜部に缶底保持具を接触させて、成形荷重による変形を防止することが記載されている。これは、特許文献2に記載されているボトムパッドを用いる方法と同様である。しかしながら、これら缶底保持具あるいはボトムパッドは、傾斜部や接地部の外向きおよび下向きの変形に対するものであり、元厚を薄くすることにより缶胴部の剛性の低下に対しては特には機能しない。そのため、傾斜部や接地部を拘束することによる反力の増大もしくは材料流動の抑制などの影響で、缶胴部が缶底保持具あるいはボトムパッドの上側の部分で外周側に膨らむ変形が生じる可能性がある。このような変形は、製品としての缶の外観を損なうだけでなく、缶同士が接触した際にデントを生じさせる要因になるが、従来ではこのような技術的課題に着目されていない。
【0009】
本発明は、上述した技術的課題に着目してなされたものであって、缶胴部の径や高さが小さい小容量のアルミニウムボトル型缶を、元厚を薄くした場合であっても、接地部や缶胴部などの変形や形状のバラツキを生じさせることなく製造することのできる方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために、板厚が0.26mm以上かつ0.31mm以下のアルミニウム合金板もしくは樹脂被覆アルミニウム合金板を素材として、底部と胴部と前記胴部の上側に続く肩部と前記肩部から上方に延び出ている口首部とを一体に成形し、かつ前記胴部の径が40mm以上かつ50mm以下で、前記口首部の外径が28mmになっている小容量アルミニウムボトル型缶の製造方法であって、前記胴部の下端部に、外側に向けて凸湾曲した断面円弧状のコーナ部に続けて前記胴部の内側に向けて傾斜した傾斜部を形成し、前記傾斜部に続けて、前記胴部の内側に向けて凸湾曲した断面円弧状の屈曲部を形成し、前記屈曲部に続けて、下向きに凸湾曲した断面円弧状をなすとともに全体として環状をなす接地部を形成し、前記コーナ部と前記接地部とに共通の共通接線と、前記接地部を接地させる平面とのなす角度が50°以上70°以下となり、前記屈曲部から前記接地部に延びている部分と前記接地部との境界となっている第1境界点と前記接地部における断面円弧の第1曲率中心とを結んだ線と、前記第1曲率中心を通り前記平面に垂直な鉛直線との間の角度を第1挟角とし、かつ前記コーナ部と前記傾斜部との境界となっている第2境界点と前記コーナ部の円弧の第2曲率中心とを結んだ線と、前記第2曲率中心を通り前記平面に垂直な鉛直線との間の角度を前記第1挟角より小さい第2挟角とした場合の前記第1挟角と前記第2挟角との差が20°以上40°以下となり、前記第1境界点における接線と前記第2境界点における接線とが交差する交点の前記平面からの高さが、前記共通接線と前記胴部の外周面の延長面との交点の前記平面からの高さの半分以下となるように成形加工し、かつ前記胴部に前記胴部の軸線方向の荷重が掛かる加工の際に、前記胴部の外面のうち前記第2曲率中心の前記平面からの高さより高い位置から前記屈曲部までの外面を保持面に接触させて前記保持面で荷重を受けさせることを特徴とする方法である。
(【0011】以降は省略されています)

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