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公開番号2024146557
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023059536
出願日2023-03-31
発明の名称熱処理油組成物
出願人出光興産株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C21D 1/58 20060101AFI20241004BHJP(鉄冶金)
要約【課題】耐熱性、及び減圧環境下での冷却性に優れる、熱処理油組成物を提供する。
【解決手段】多価アルコールと、炭素数10~30の脂肪酸から選択される1種以上の脂肪酸(A)とのポリオールエステル(P)を含む、熱処理油組成物である。前記多価アルコールの価数が、3価以上であることが好ましい。また、前記ポリオールエステル(P)の分子量が、500以上であることが好ましい。また、光輝性改良剤、酸化防止剤、及び冷却性向上剤からなる群から選択される1種以上を含有することが好ましい。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
多価アルコールと、炭素数10~30の脂肪酸から選択される1種以上の脂肪酸(A)とのポリオールエステル(P)を含む、熱処理油組成物。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記多価アルコールの価数が、3価以上である、請求項1に記載の熱処理油組成物。
【請求項3】
前記ポリオールエステル(P)の分子量が、500以上である、請求項1又は2に記載の熱処理油組成物。
【請求項4】
光輝性改良剤、酸化防止剤、及び冷却性向上剤からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱処理油組成物。
【請求項5】
蒸気膜破断剤の含有量が、前記熱処理油組成物の全量基準で、5質量%未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱処理油組成物。
【請求項6】
前記ポリオールエステル(P)の含有量が、前記熱処理油組成物の全量基準で、80質量%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱処理油組成物。
【請求項7】
圧力が大気圧よりも低い減圧環境下で用いられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱処理油組成物。
【請求項8】
焼入油又は焼戻油として用いられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱処理油組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の熱処理油組成物を、焼入油又は焼戻油として使用する、使用方法。
【請求項10】
多価アルコールと、炭素数10~30の脂肪酸から選択される1種以上の脂肪酸(A)とのポリオールエステル(P)を配合する工程を含む、熱処理油組成物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理油組成物に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
金属材料の焼入れ等の熱処理加工は、通常熱処理液を用いて金属材料に所望の硬さを付与するために行われる。そのため、熱処理液には、金属材料の硬さを高め得る、優れた冷却性能を有することが必要である。
冷却能力に非常に優れた液体は水であるが、水系の熱処理液は、冷却性能が高過ぎて金属材料に焼割れが生ずる危険性があり、焼入れ歪みも大きい。そのため、金属材料の焼入れ等の熱処理加工では、油系の熱処理液、すなわち熱処理油が一般的に使用されている。
【0003】
熱処理油の冷却性を示す指標としては、JIS K2242:2012で規定される冷却曲線において、800℃から300℃までの冷却時間から算出する、焼入強烈度(H値)が広く用いられている。
【0004】
ここで、焼入れの1種として、真空浸炭炉を用いた真空浸炭法が知られている。
真空浸炭法とは、減圧環境下で、炭化水素系ガスを供給し、その後熱処理加工を行うことにより、金属材料の表面に活性炭素を浸透させる熱処理加工方法である。
真空浸炭法は、ガス浸炭法と比べて雰囲気ガス中に混入する酸素が少ないため、浸炭時に金属材料表面が酸素と反応しにくい。したがって、酸化物生成による表面硬度低下及び強度低下が起きにくいという利点がある。
【0005】
また、金属材料の焼入れに関し、加熱された金属材料を熱処理油に投入した場合、冷却速度は一定ではなく、通常以下の(1)~(3)の三つの段階を経て冷却される。
(1)金属材料が熱処理油の蒸気で包まれる第1段階(蒸気膜段階)。
(2)蒸気膜が破れて沸騰が起こる第2段階(沸騰段階)。
(3)金属材料の温度が熱処理油の沸点以下となり、対流により熱が奪われる第3段階(対流段階)。
上記の三つの段階のうち、冷却速度は第2段階の沸騰段階が最も大きい。そして、第1段階の蒸気膜段階が終了するまでの時間(JIS K2242:2012に準拠した冷却性試験における「特性秒数」)が長いと、焼入れ歪を招きやすい。したがって、特性秒数を短くするため、蒸気膜破断剤を含む熱処理油が知られている。
そこで、例えば、特許文献1には、冷却性を向上させるため、蒸気膜破断剤として用いられるエチレンとα-オレフィンとの共重合体を含有し、基油として鉱油を含む熱処理油組成物が開示されている。
また、特許文献2には、熱処理油に適用可能であり、基油としてエステル化合物を含有する潤滑油組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平8-302377号公報
特開2018-100369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されるような鉱油及び蒸気膜破断剤を含む熱処理油組成物では、H値が低く、減圧環境下での冷却性が十分ではないという問題がある。
また、特許文献2では、芳香環を含むエステル化合物が用いられている。しかしながら、芳香族化合物を含有する熱処理油組成物は、冷却性や溶解性が不十分という問題がある。
更に、熱処理油組成物は、繰り返しの焼き入れによる劣化への耐性、即ち耐熱性に優れることが求められている。
【0008】
そこで、本発明は、耐熱性、及び減圧環境下での冷却性に優れる、熱処理油組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、多価アルコールと、炭素数10~30の脂肪酸から選択される1種以上の脂肪酸とのポリオールエステルを含む熱処理油組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、下記[1]及び[2]を提供する。
[1] 多価アルコールと、炭素数10~30の脂肪酸から選択される1種以上の脂肪酸(A)とのポリオールエステル(P)を含む、熱処理油組成物。
[2] 多価アルコールと、炭素数10~30の脂肪酸から選択される1種以上の脂肪酸(A)とのポリオールエステル(P)を配合する工程を含む、熱処理油組成物の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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