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公開番号
2024142101
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-10
出願番号
2023054100
出願日
2023-03-29
発明の名称
粘性壁
出願人
住友理工株式会社
代理人
弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類
F16F
15/023 20060101AFI20241003BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約
【課題】振動減衰機能が向上した粘性壁を提供する。
【解決手段】建物の上側構造体2と下側構造体3との間に配置される粘性壁1であって、下側構造体3に固定される箱状壁体10と、箱状壁体10の内部に充填される粘性流体20と、上側構造体2に固定され、箱状壁体10に挿入された状態で少なくとも一部が粘性流体20に浸漬され、箱状壁体10に挿入された状態で、板面に沿う第一方向に移動可能に配置された抵抗板30と、を備え、抵抗板30は、粘性流体20に浸漬され、第一方向への移動により粘性抵抗を発生させるように構成された抵抗板本体31と、抵抗板30のうち抵抗板本体31の上方に固定され、抵抗板本体31から少なくとも第一方向に突出して、抵抗板30の第一方向への移動に伴って粘性流体20が上方へ移動することを抑制する可動抑制部32と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
建物の上側構造体と下側構造体との間に配置される粘性壁であって、
前記下側構造体に固定されるとともに、上方に開口する箱状壁体と、
前記箱状壁体の内部に充填される粘性流体と、
前記上側構造体に固定されるとともに下方に垂下する板状に形成され、前記箱状壁体に挿入された状態で少なくとも一部が前記粘性流体に浸漬され、前記箱状壁体に挿入された状態で、板面に沿う第一方向に移動可能に配置された抵抗板と、を備え、
前記抵抗板は、
前記粘性流体に浸漬され、前記第一方向への移動により粘性抵抗を発生させるように構成された抵抗板本体と、
前記抵抗板のうち前記抵抗板本体の上方に固定され、前記抵抗板本体から少なくとも前記第一方向に突出して、前記抵抗板の前記第一方向への移動に伴って前記粘性流体が上方へ移動することを抑制する可動抑制部と、を備える、粘性壁。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記可動抑制部は、さらに、前記抵抗板本体から前記抵抗板の板面に交差する第二方向に突出して構成される、請求項1に記載の粘性壁。
【請求項3】
前記箱状壁体の内壁面のうち前記粘性流体が充填された部分には、前記箱状壁体の内方に突出するとともに、前記可動抑制部の下面の少なくとも一部に対向する固定部材が固定されている、請求項2に記載の粘性壁。
【請求項4】
前記可動抑制部の下面が、前記固定部材の上面を摺動する、請求項3に記載の粘性壁。
【請求項5】
前記箱状壁体は、前記第二方向について前記抵抗板との間隔が狭い幅狭部と、前記幅狭部よりも上方に配置されて前記第二方向について前記抵抗板との間隔が前記幅狭部よりも広い幅広部と、を備え、
前記箱状壁体のうち前記幅広部の底壁が前記固定部材を構成し、
前記第一方向について、前記幅広部の差渡し寸法は、前記幅狭部の差渡し寸法よりも大きく形成されており、
前記可動抑制部は前記幅広部に配置されており、
前記第一方向について、前記可動抑制部の一方の端部から他方の端部までの差渡し寸法は、前記幅狭部の差渡し寸法よりも大きく形成されており、
前記第二方向について、前記可動抑制部の一方の端部から他方の端部までの差渡し寸法は、前記幅狭部の差渡し寸法よりも大きく形成されている、請求項4に記載の粘性壁。
【請求項6】
前記固定部材の上面に、上方に突出するとともに前記可動抑制部を下方から支持する支持部材を備える、請求項5に記載の粘性壁。
【請求項7】
前記支持部材は、前記幅狭部の開口部を、閉じた環状に囲う形状に形成されており、
前記可動抑制部の下面は、前記支持部材の全周と接触している、請求項6に記載の粘性壁。
【請求項8】
前記箱状壁体は、前記可動抑制部の上方の位置に、少なくとも前記可動抑制部が上方に移動したときに上方から当接して前記可動抑制部が上方に移動することを抑制する押さえ部材を備える、請求項7に記載の粘性壁。
【請求項9】
前記抵抗板は前記箱状壁体に組付けられた状態で前記第一方向に移動可能に配置されており、
前記抵抗板が前記第一方向に移動可能な全領域にわたって、前記可動抑制部は、前記幅狭部の開口部を塞ぐ、請求項8に記載の粘性壁。
【請求項10】
前記押さえ部材は常に前記可動抑制部に上方から当接しており、
前記押さえ部材に上方から押圧されることにより、前記可動抑制部と、前記支持部材と、が液密に密着する、請求項9記載の粘性壁。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性壁に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
建物の下側の梁、床などの下側構造体に固定した箱状壁体の内部に粘性流体を充填し、粘性流体中に抵抗板を挿入するとともに、この抵抗板を建物の上側の梁、床などの上側構造体に固定し、この上側構造体を介して伝達される建物の振動エネルギーを抵抗板の受ける粘性流体の流速抵抗と面抵抗によって減衰させる粘性壁として、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平5-86744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術によると、地震等の荷重によって抵抗板が粘性流体中を水平移動するに伴い粘性流体が抵抗板の一方の端部で押されることにより粘性流体の液面が隆起する。このように抵抗板に荷重が加わったときに粘性流体が移動することにより、抵抗板と粘性流体との間に加わる荷重が低下し、振動減衰機能が低下する恐れがある。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、振動減衰機能が向上した粘性壁を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
建物の上側構造体と下側構造体との間に配置される粘性壁であって、
前記下側構造体に固定されるとともに、上方に開口する箱状壁体と、
前記箱状壁体の内部に充填される粘性流体と、
前記上側構造体に固定されるとともに下方に垂下する板状に形成され、前記箱状壁体に挿入された状態で少なくとも一部が前記粘性流体に浸漬され、前記箱状壁体に挿入された状態で、板面に沿う第一方向に移動可能に配置された抵抗板と、を備え、
前記抵抗板は、
前記粘性流体に浸漬され、前記第一方向への移動により粘性抵抗を発生させるように構成された抵抗板本体と、
前記抵抗板のうち前記抵抗板本体の上方に固定され、前記抵抗板本体から少なくとも前記第一方向に突出して、前記抵抗板の前記第一方向への移動に伴って前記粘性流体が上方へ移動することを抑制する可動抑制部と、を備える、粘性壁にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、抵抗板が第一方向に移動したときに、粘性流体が上方に移動することを抑制できる。これにより、抵抗板本体から粘性流体に加えられた荷重が上方に逃げることが抑制されるので、抵抗板の振動減衰機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施形態1の粘性壁が上側構造体と下側構造体の間に配置された状態を示す正面図。
実施形態1の粘性壁を示す、図3のII-II線断面図。
実施形態1の粘性壁を示す、図2のIII-III線断面図。
実施形態1の粘性壁を示す、平面図。
実施形態1の抵抗板が左方に移動したときの作用効果を説明するための断面図。
実施形態2の粘性壁を示す、図7のVI-VI線断面図。
実施形態2の粘性壁を示す、図6のVII-VII線断面図。
実施形態2の箱状壁体を示す、平面図。
実施形態2の粘性壁を示す、平面図。
実施形態2の抵抗板が左方に移動した状態を示す断面図。
実施形態2の抵抗板が右方に移動した状態を示す断面図。
実施形態3の粘性壁を示す断面図。
実施形態4の粘性壁を示す断面図。
実施形態5の粘性壁を示す断面図。
実施形態6の粘性壁を示す断面図。
実施形態6の粘性壁を示す断面図。
実施形態6の粘性壁を示す平面図。
実施形態7の粘性壁を示す断面図。
実施形態7の粘性壁を示す断面図。
実施形態8の粘性壁を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
1.粘性壁1の概略構造
図1を参照して、実施形態1に係る粘性壁1について説明する。粘性壁1は、図示しない建物の上側構造体2と下側構造体3との間に配置される。上側構造体2および下側構造体3としては、建物を構成する梁、床等が挙げられる。粘性壁1は、例えば、建物の壁の内部に設けられた空間内に配置される。
【0010】
図1に示すように、粘性壁1は、下側構造体3に固定される箱状壁体10と、箱状壁体10に充填される粘性流体20と、上側構造体2に固定される抵抗板30と、を備える。
(【0011】以降は省略されています)
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