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公開番号2024138557
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-08
出願番号2024117645,2019139565
出願日2024-07-23,2019-07-30
発明の名称改良されたウイルス検出方法
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類C12Q 1/04 20060101AFI20241001BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 遠心分離操作を行わず不溶性物質を含む試料から、一酵素系1ステップRT-PCR法でRNAウイルスの存在を検査する手段を提供すること。
【解決手段】 本発明は、以下の工程:(1)事前の遠心分離操作をおこなわず不溶性物質を含む試料と、分子量5~500kDaのポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含む一酵素系1ステップRT-PCR反応液とを混合した混合液を調製する工程、並びに、(2)反応容器を密閉後、1ステップRT-PCR反応を実施する工程、を含むことを特徴とする、試料中のRNAウイルスの存在を検査するための方法を提供する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の工程を含むことを特徴とする、試料中のRNAウイルスの存在を検査するための方法:
(1)事前の遠心分離操作をおこなわず不溶性物質を含む試料と、分子量5~500kDaのポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含む一酵素系1ステップRT-PCR反応液とを混合した混合液を調製する工程、並びに、
(2)反応容器を密閉後、1ステップRT-PCR反応を実施する工程。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
前記混合液中における不溶性物質の濁度がOD660にて0.01Abs/μL以上である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一酵素系1ステップRT-PCR反応液に含まれる分子量5~500kDaのポリペプチドが、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、Blocking peptide fragment(以下BPF)、及びセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記混合液が、該混合液中終濃度で前記分子量5~500kDaのポリペプチドとして、0.5mg/mL以上のウシ血清アルブミン、5mg/mL以上のゼラチン、5mg/mL以上のBlocking peptide fragment(以下BPF)、及び5mg/mL以上のセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1から3いずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記工程(1)において使用する不溶性物質を含む試料が、核酸の単離処理も加熱処理も行っていない試料である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記工程(1)及び(2)が同一容器で行われることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記工程(2)において反応容器を密閉後、一度も蓋を開閉することなく1ステップRT-PCR反応を実施することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記工程(2)において、サイクル反応の前及び/又はサイクル反応中に、ウイルスを破砕してウイルス内の核酸を露出させるため及び/又は核酸増幅反応においてホットスタート酵素を活性化させるために熱処理を実施することを含む請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記試料が血液試料、糞便試料、及び/又は拭き取り検査試料である請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記試料が水、生理食塩水または緩衝液に懸濁された懸濁液である請求項1から9のいずれかに記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸増幅によるRNAウイルスの検出法に関する。より具体的には、事前の遠心分離操作を実施せず不溶性物質を含む試料と、一酵素系のリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)の反応液とを混合することによるRNAウイルスの検出に関する。本発明の方法は、例えば、糞便試料、血液試料、環境拭き取り試料等におけるRNAウイルスを検出することが可能である。本発明は、生命科学研究、臨床診断や食品衛生検査、環境検査等にも利用できる。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられている。代表的な核酸増幅法は、PCR(Polymerase Chain Reaction)である。PCRは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。アニーリングと伸長を同温度で、2ステップで行う場合もある。
【0003】
RNAを分析する場合、このPCRの前段として、鋳型RNAをcDNAに変換する逆転写(Reverse Transcription;RT)を実施する。これをRT-PCRという。このRT-PCRは、(1)RT、PCRを非連続に実施する2ステップRT-PCR、(2)RT、PCRを、単一酵素を利用して連続して実施する一酵素系1ステップRT-PCR、(3)逆転写酵素とDNAポリメラーゼの2種類の酵素を利用して、RT、PCRを連続的に実施する二酵素系1ステップRT-PCRの3つに大別される。
【0004】
RT-PCRのうち、遺伝子検査やウイルス検査では、処理能力の高さや、反応途中での反応容器の開閉によるコンタミネーションを回避するため、1ステップRT-PCRが好まれる。二酵素系1ステップRT-PCRでは、逆転写酵素とDNAポリメラーゼの少なくとも2種類の酵素が使用される。一方で、一酵素系1ステップRT-PCRでは、Tth DNAポリメラーゼなどの逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼが利用される。しかし、DNAポリメラーゼの逆転写酵素活性は一般に、レトロウイルス由来の逆転写酵素の逆転写効率には劣ることから、二酵素系1ステップRT-PCRの方が、一酵素系RT-PCRに比べて感度が高いとされている(非特許文献1)。従って、一酵素系1ステップRT-PCRは、二酵素系RT-PCRに比べて高感度化が難しいと考えられてきた。
【0005】
ウイルス検査の代表例として、病原性RNAウイルスの一つであるノロウイルスが挙げられる。ノロウイルスは、急性胃腸炎の原因となる1本鎖RNAウイルスである。感染力が強く、集団食中毒や集団感染を引き起こすことから、公衆衛生上関心の高いウイルスである。ノロウイルスはGenogroupI(GI)及びGenogroupII(GII)の2つの遺伝子群に分類される。ノロウイルスの病原体検査では、組織培養法が確立できておらず、電子顕微鏡法、ELISAによる免疫学的抗原検出法、または核酸増幅技術を利用したウイルス遺伝子の検出法が開発されてきた。このうち、日本においては、厚生労働省医薬食品局安全部監視安全課の通知(食安監1105001号)に基づくRT-PCR法が公定法として普及している。
【0006】
ノロウイルスの感染の原因として主にノロウイルスに汚染された食品を飲食することによるが、ヒトの手を介した感染が多いため、調理施設、医療現場、老人介護施設及び保育園などでは定期的な検便検査が求められている。大量調理施設衛生管理マニュアルには、調理従事者等の検便検査に、月に1回以上又は必要に応じノロウイルスの流行期である10月から3月についてノロウイルスの検査を含めることが追加されている。これはウイルスに感染していても症状がでない人(健康保因者)が少なからず存在し、これらの人たちが知らず知らずのうちに感染を広げる可能性があるためである。さらに、下痢や嘔吐などの症状がある調理従事者は医療機関を受診し、ノロウイルスに感染していることが判明した場合はリアルタイムPCR等の高感度検査を実施し、ノロウイルスを保有していないことが確認されるまでは食品に直接触れる調理作業を控えるなどの適切な処置をとることが望まれている。
【0007】
ノロウイルスは、ウイルスRNAゲノムが約30nmのキャプシドタンパク質からなる正二十面体の内部に封入された、キャプシド構造を有する。キャプシド構造は、ウイルスが消化管などの過酷な環境でも生存できるように、胃酸による不活性化や胆汁酸の界面活性作用等に耐性を持つ。通常の界面活性剤や70%エタノールに代表されるウイルス不活化剤では、このキャプシド構造を破壊できず、ウイルスの感染能が維持される。キャプシド構造を破壊するには、少なくとも85℃以上、1分以上の過酷な条件での熱処理が必要とされている(非特許文献2)。
【0008】
従来、糞便試料からのノロウイルスの検出は、例えば糞便の10%懸濁液を作製し、遠心上清から市販のウイルスRNA抽出キットを用いてRNAを抽出・精製し、このRNA抽出液を用いてノロウイルスの検出が行われてきた(食安監1105001号)。しかし、短時間で多数の検体を検査するには、このRNA抽出作業は煩雑である。
【0009】
そこで、近年、糞便試料中のノロウイルスのキャプシドを、加熱処理を含む前処理によって破壊し、ウイルスRNAを露出させた処理液をRT-PCRに供することでウイルスの有無を検出する手法が知られる(特許文献1)。この手法では、試料に前処理液を添加後、熱処理を加えることで、糞便試料や拭き取り検査の濃縮試料から事前にRNAの単離を実施せずにウイルスキャプシドを破壊し、ウイルスRNAの有無を検出できる。さらにウイルスRNAの検出までの作業を簡略化するため、加熱処理をおこなわず、糞便試料を前処理液に添加するだけでウイルスRNAを露出させ、処理液をRT-PCRに供することでさらに効率よくウイルスの有無を検出する手法が知られる(非特許文献3)。
【0010】
この際、RNAの抽出を省略することで、糞便試料中に含まれる、多糖類などのPCR反応阻害物質が持ち込まれる。これらの影響を低減するような工夫がPCR反応液になされている。便試料にスパイクされたDNAを検出する際のPCR阻害は、マグネシウム存在下で夾雑耐性を持つrTth DNAポリメラーゼの使用によって、改善されることが報告されている(非特許文献4)。特許文献1に記載の方法では、前記rTth DNAポリメラーゼを使用して、夾雑耐性を強化した二酵素系1ステップRT-PCR系を利用している。
(【0011】以降は省略されています)

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