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公開番号2024151410
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-25
出願番号2023064679
出願日2023-04-12
発明の名称繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸及びそれを用いた成形体の製造方法
出願人東洋紡株式会社,東洋紡せんい株式会社
代理人個人,個人
主分類D02G 3/38 20060101AFI20241018BHJP(糸;糸またはロープの機械的な仕上げ;整経またはビーム巻き取り)
要約【課題】成形体を製造する場合に芯部を構成する連続強化繊維の単繊維同士の間に溶融した熱可塑性樹脂が浸透し易く、成形性が良く、得られた成形体の強度が高い繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸、及びそれを使用した成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】連続強化繊維からなる芯部と熱可塑性短繊維からなる鞘部から形成された実質的に無撚りの繊維束に、熱可塑性長繊維が巻付けられている複合紡績糸。この複合紡績糸を、金型に充填率100~350%で充填し、熱可塑性短繊維及び熱可塑性長繊維の融点のうち高い方の融点より高い温度で加熱して、熱可塑性短繊維及び熱可塑性長繊維を溶融させることを含む成形体の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
連続強化繊維からなる芯部と熱可塑性短繊維からなる鞘部から形成された実質的に無撚りの繊維束に、熱可塑性長繊維が巻付けられていることを特徴とする繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
熱可塑性短繊維及び熱可塑性長繊維の各々が、ポリアミド、ポリプロピレン,ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、及びフェノキシからなる群から選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる繊維であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
【請求項3】
連続強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維、PBO繊維、及びアラミド繊維からなる群から選択される少なくとも一種の繊維であり、連続強化繊維の混率が20~80質量%であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
【請求項4】
複合紡績糸の総繊度が200~500000dtexであることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
【請求項5】
熱可塑性長繊維が、実質的に無撚りの繊維束に撚数1~1000T/mで巻付けられていることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸を、金型に充填率100~350%で充填し、熱可塑性短繊維及び熱可塑性長繊維の融点のうち高い方の融点より高い温度で加熱して、熱可塑性短繊維及び熱可塑性長繊維を溶融させることを含むことを特徴とする成形体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、連続強化繊維と熱可塑性繊維からなる繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸、及びそれを用いた成形体の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
自動車や飛行機、義足等の軽量で強度が必要な用途の物品の構成材料としては、従来、金属が使用されていたが、最近では金属から、特に軽量性、高剛性、高強度、耐久性等に優れる炭素繊維やガラス繊維を混用した繊維強化プラスチック(FRP)に置き換えられてきている。FRPに用いられる強化用繊維の形態としては、長繊維、短繊維、ウィスカー等が使用され、マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が主流であるが、一部でナイロン、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂が使用されている。
【0003】
熱可塑性樹脂をマトリックスとして用いた場合は、強化用繊維として主に短繊維が使用され、射出成型法により製造されるが、強化用繊維の長さが短いために剛性と強度が低く、それを補う為に肉厚になって重量が重くなる問題があった。
【0004】
近年、強化用繊維として長繊維を使用した繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)も一部に見られる。FRTPでは、その長繊維の特性を反映して、従来の短繊維を使用したFRPでは達成し得なかった耐衝撃性、振動減衰性などの特性が発現できると期待されている。例えば、特許文献1では、強化用長繊維とマトリックス樹脂となる熱可塑性長繊維とを引き揃えたFRTPが提案されている。しかし、このFRTPは、強化用長繊維と熱可塑性繊維を単に繊維束同士で合糸しただけであり、強化用長繊維が表面に露出するため、製糸中に強化用長繊維が折れたりして、取り扱いが難しい問題があった。
【0005】
強化用長繊維が複合紡績糸の表面に出現するのを防止するために、例えば特許文献2,3では、熱可塑性樹脂フィルムのスリットヤーンを用いて強化用長繊維を被覆した複合紡績糸が提案されている。しかし、スリットヤーンで被覆する方法は、強化用長繊維が炭素繊維やガラス繊維である場合、強化用長繊維に対してスリットヤーンが滑りやすく、繊維束の結束が不十分であり、繊維束を湾曲させた場合に糸がずれて擦れ合い、繊維束の毛羽立ちが生じやすくなる欠点があった。また、被覆する際に繊維束に無理な力が加わりやすくなって、繊維束が折れたりするおそれがあった。更には、スリットヤーンで被覆した複合紡績糸は非常に硬くなるため、取り扱いに難点があった。更には、特許文献2,3のような熱可塑性樹脂フィルムのスリットヤーンを用いて強化用長繊維を被覆した複合紡績糸では、複合紡績糸を加熱してスリットヤーンを溶融させて成形体を製造する場合に、芯部を構成する強化用長繊維の単繊維同士の間に溶融したスリットヤーンの熱可塑性樹脂が浸透しにくく、成形性に劣る問題や、得られた成形体が強度に劣る問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開昭60-56545号公報
特開昭60-28543号公報
WO2009/131149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術の問題を解消するために創案されたものであり、その目的は、繊維束の結束が十分で、糸ずれや毛羽立ちが生じにくく、更には、成形体を製造する場合に芯部を構成する強化用長繊維(連続強化繊維)の単繊維同士の間に溶融した熱可塑性樹脂が浸透し易く、成形性が良く、得られた成形体の強度が高い繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸、及びそれを使用した成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、連続強化繊維からなる芯部と熱可塑性短繊維からなる鞘部から形成される芯鞘構造の繊維束に熱可塑性長繊維が巻付けられた複合紡績糸の形態とすることにより、巻付いた長繊維の熱可塑性樹脂が繊維束をしっかりと結束するため、糸ずれや毛羽立ちを生じにくくすることができること、そしてかかる複合紡績糸を金型内に充填して熱可塑性短繊維及び熱可塑性長繊維を加熱溶融させた場合に繊維束の芯部の連続強化繊維の単繊維同士の間に鞘部の短繊維の熱可塑性樹脂が十分に浸透し、成形性及び強度に優れた均一な物性の成形体が得られること、さらにこの熱可塑性樹脂の浸透は、繊維束を実質的に無撚りとすることによりさらに迅速かつ均一に行わせることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下の(1)~(6)の構成を有するものである。
(1)連続強化繊維からなる芯部と熱可塑性短繊維からなる鞘部から形成された実質的に無撚りの繊維束に、熱可塑性長繊維が巻付けられていることを特徴とする繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
(2)熱可塑性短繊維及び熱可塑性長繊維の各々が、ポリアミド、ポリプロピレン,ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、及びフェノキシからなる群から選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる繊維であることを特徴とする(1)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
(3)連続強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維、PBO繊維、及びアラミド繊維からなる群から選択される少なくとも一種の繊維であり、連続強化繊維の混率が20~80質量%であることを特徴とする(1)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
(4)複合紡績糸の総繊度が200~500000dtexであることを特徴とする(1)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
(5)熱可塑性長繊維が、実質的に無撚りの繊維束に撚数1~1000T/mで巻付けられていることを特徴とする(1)に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸。
(6)(1)~(5)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸を、金型に充填率100~350%で充填し、熱可塑性短繊維及び熱可塑性長繊維の融点のうち高い方の融点より高い温度で加熱して、熱可塑性短繊維及び熱可塑性長繊維を溶融させることを含むことを特徴とする成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の繊維強化熱可塑性プラスチック用複合紡績糸は、連続強化繊維を芯部とし、FRTPにしたときにマトリックス樹脂となる熱可塑性短繊維を前記芯部の周囲に被覆して、連続強化繊維の周りに熱可塑性短繊維が直接被覆された芯鞘構造の繊維束とし、更にこの繊維束に熱可塑性長繊維を巻付けて結束しているので、連続強化繊維とその周囲の熱可塑性樹脂の接触面積を大きくすることができる。そのため、長短二種の熱可塑性繊維を形成する熱可塑性樹脂の融点より高い温度に加熱して溶融したときに、この溶融した熱可塑性樹脂が連続強化繊維の単繊維同士の間に十分に浸透し、連続強化繊維と熱可塑性樹脂の一体化を均一に行うことができる。その結果、成形性が良く、強度が高く、均一な物性の繊維強化プラスチック成形体を容易に得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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