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公開番号2024143317
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023055930
出願日2023-03-30
発明の名称免疫学的測定法に用いられる検体希釈液
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類G01N 33/569 20060101AFI20241003BHJP(測定;試験)
要約【課題】 免疫学的測定法での唾液検体からのウイルス抗原検査において感度低下を抑制できる唾液検体用の検体希釈液を提供すること。
【解決手段】 本発明は、500mM以上の無機塩類を含み、且つ、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種のアルキル硫酸塩系アニオン界面活性剤を実質的に含まないことを特徴とする、唾液検体に含まれるウイルス抗原を免疫学的測定法で測定する場合に用いられる検体希釈液を提供する。好ましくは、ウイルス抗原はエンベロープウイルスに由来する抗原(例えば、コロナウイルス科ウイルス等に由来する抗原)である。好ましい実施形態では、免疫学的測定法はイムノクロマト法である。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
唾液検体に含まれるウイルス抗原を免疫学的測定法で測定する場合に用いられる検体希釈液であって、500mM以上の無機塩類を含み、且つ、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種のアルキル硫酸塩系アニオン界面活性剤を実質的に含まないことを特徴とする、検体希釈液。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
ウイルス抗原がエンベロープウイルスに由来する抗原である、請求項1に記載の検体希釈液。
【請求項3】
ウイルス抗原がコロナウイルス科ウイルスに由来する抗原である、請求項1に記載の検体希釈液。
【請求項4】
アルキル硫酸塩系アニオン界面活性剤の濃度が0.1%以下である、請求項1に記載の検体希釈液。
【請求項5】
無機塩類が塩化物塩である、請求項1に記載の検体希釈液。
【請求項6】
塩化物塩が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の検体希釈液。
【請求項7】
免疫学的測定法がイムノクロマト法である、請求項1に記載の検体希釈液。
【請求項8】
無機塩類の濃度が500~1500mMである、請求項1に記載の検体希釈液。
【請求項9】
無機塩類の濃度が1000~1500mMである、請求項1に記載の検体希釈液。
【請求項10】
唾液検体に含まれるウイルス抗原を免疫学的測定法で測定する方法であって、以下の工程:
(A)被験体から採取された唾液検体を、500mM以上の無機塩類を含み、且つ、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種のアルキル硫酸塩系アニオン界面活性剤を実質的に含まないことを特徴とする検体希釈液に混合する工程、
を包含する、方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫学的測定法に用いる検体希釈液に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
免疫学的測定法は、臨床検査等において各種生体試料中の微量物質の測定のために広く普及している。このような免疫学的測定法としては、イムノクロマト法、ラテックス凝集法、金属コロイド凝集法、免疫比濁法等これまでに数多くの方法が知られている。なかでも、簡易かつ迅速な検査が可能であることから、ニトロセルロースメンブレン等の試験片を使用したイムノクロマト検出法が広く普及している。
【0003】
イムノクロマト検出法を用いて分析対象物質を測定する手法の一つとしては、抗原抗体反応を利用したサンドイッチ法が挙げられる。このサンドイッチ法では、測定試料中に含まれる分析対象物質は、通常、多孔質支持体の一端(上流側)から展開し、着色粒子等で標識された検出抗体と免疫複合体を形成しながら移動し、多孔質支持体の表面に線状に形成されたテストライン上で捕捉抗体と接触して捕捉され発色する。この発色を目視で判定あるいは光学測定装置を利用して測定することで分析対象物質を容易に検出できる。
【0004】
しかし、免疫学的測定法を実施する場合、測定対象となる検体の種類等によっては、その生体試料に含まれる様々な夾雑物質等が影響して抗原抗体反応が阻害されたり、多孔質支持体での展開不良などが起こり、テストライン上での検出感度が低下したり、偽陰性の結果を生じさせたりする。そこでこれまでにも抗原抗体反応を起こさせる前に、免疫学的測定法に使用する検体を予め所望の効果を付与する所定の検体希釈液で希釈してから、多孔質支持体上に滴下して抗原抗体反応させる等の工夫がなされている。例えば、免疫クロマトグラフィー用ストリップを用いた歯周疾患検査又は診断のために、唾液若しくは洗口吐出液の前処理としてドデシル硫酸塩又はデオキシコール酸塩を含む検体処理液を使用することが提案されている(特許文献1)。また、糞便検体からノロウイルスを検出するイムノアッセイに用いる検体希釈浮遊液として、グリセリン、ポリビニルピロリドン、モノクローナル抗体から選ばれる少なくとも1つの安定剤を含有し、クエン酸緩衝液等の緩衝液により特定の酸性pHに保たれている検体希釈浮遊液を使用すること等も提案されている(特許文献2)。
【0005】
SARS-CoV-2は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであり、2020年初頭より世界中で急速に流行している。SARS-CoV-2は、一般的なコロナウイルスと同様に、ヌクレオカプシド及び当該ヌクレオカプシドを取り囲むエンベロープで構成されている。前記ヌクレオカプシドには、ウイルスゲノム(RNA)及び当該ウイルスゲノムに結合するヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)が含まれている。そして、前記エンベロープには、脂質及び当該脂質に結合するスパイクタンパク質(Sタンパク質)、膜タンパク質(Mタンパク質)、及びエンベロープタンパク質(Eタンパク質)が含まれている。
【0006】
SARS-CoV-2を迅速且つ簡便に検査する手法の一つとして、上記のようなSARS-CoV-2のタンパク質の有無を調べるイムノクロマト法による検査も普及している。例えば、イムノクロマトによりSARS-CoV-2のNタンパク質の有無を検出する際には、スワブ等に採取した鼻咽頭ぬぐい液検体や鼻腔ぬぐい液検体を所定の検体希釈液に浸してウイルスを抽出し、イムノクロマトデバイスへの滴下試料とする方法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第5124211号公報
特許第6004744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、鼻咽頭ぬぐい液や鼻腔ぬぐい液ではなく、唾液検体中に含まれるエンベロープウイルス(SARS-CoV-2)の抗原をイムノクロマトによって検出しようとした際に、鼻咽頭ぬぐい液や鼻腔ぬぐい液を検体に用いた場合には通常観察されない検出感度の著しい低下という現象が頻発することを見出した。唾液には、各種消化酵素の他、ムチンなどのタンパク質や食物由来の成分、高プロリンタンパク質等の唾液固有のタンパク質など多数の成分が混在しており、これらが検出感度に影響した可能性が推察される。そこで、予め唾液検体と混合することで唾液に含まれる成分等による影響を抑えることができ、免疫学的測定法での唾液検体からのウイルス抗原検査における感度低下を抑制できる唾液検体用の検体希釈液の開発が必要である。
【0009】
従って、本発明の一つの目的は、唾液検体中に含まれるウイルス抗原の検出感度低下を改善する検体希釈液組成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、免疫学的測定法による検出、特にイムノクロマト法による検出で、唾液検体中に含まれるウイルス抗原の検出感度低下を改善するためには、一定量以上の無機塩類を含むように検体希釈液を調製し、それを抗原抗体反応を起こす前の唾液検体の前処理に用いればよいことを見出した。さらに、この検体希釈液には特定のドデシル硫酸塩系アニオン界面活性剤を実質的に含有させない方がよいことも突き止め、本発明を完成した。
(【0011】以降は省略されています)

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