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公開番号2024132932
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-01
出願番号2024032827
出願日2024-03-05
発明の名称ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法
出願人DIC株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C08G 75/0286 20160101AFI20240920BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】ポリアリーレンスルフィド(PAS)オリゴマーを再利用して、高分子量化した線状PAS樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】有機極性溶媒中で、ポリハロ芳香族化合物とスルフィド化剤とを反応させて、少なくとも、PAS樹脂、PASオリゴマー(b)、アルカリ金属ハロゲン化物及び有機極性溶媒を含む粗反応混合物を得る工程(1)、前記粗反応混合物から固液分離して、少なくともPAS樹脂、PASオリゴマー(b)、及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む混合物(A)を得る工程(2)、前記混合物Aを洗浄して少なくともPAS樹脂、PASオリゴマー(b)を含む混合物(B)を得る工程(3)、及び前記混合物Bを不活性ガス雰囲気下で加熱処理する工程(4)を有し、かつ、前記工程(2)及び/または(3)において、PASオリゴマー(c)を10質量%以上含む組成物を添加することを特徴とするPAS樹脂の製造方法。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
有機極性溶媒中で、ポリハロ芳香族化合物と、(i)アルカリ金属硫化物とを、又は、(ii)アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させて、少なくとも、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a)、オリゴアリーレンスルフィド(b)、アルカリ金属ハロゲン化物及び有機極性溶媒を含む粗反応混合物を得る工程(1)、
前記粗反応混合物から、フラッシュ法による固液分離で液相成分を除去して、少なくともポリアリーレンスルフィド樹脂(a)、オリゴアリーレンスルフィド(b)、及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む混合物(A)を得る工程(2)、
前記混合物(A)を洗浄し、アルカリ金属ハロゲン化物を除去して少なくともポリアリーレンスルフィド樹脂(a)、オリゴアリーレンスルフィド(b)を含む混合物(B)を得る工程(3)、及び
前記混合物(B)を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する工程(4)を有し、かつ、
前記工程(2)及び/または(3)において、前記粗反応混合物と、前記混合物(A)との少なくとも1つに、オリゴアリーレンスルフィド(c)を10質量%以上含む組成物(C)を添加すること、
前記オリゴアリーレンスルフィド(c)が鎖状オリゴアリーレンスルフィド及び環状オリゴアリーレンスルフィドを含むものであることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記工程(2)及び/又は(3)におけるオリゴアリーレンスルフィド(c)の添加量が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a)に対して0.1~30質量%の範囲である、請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記組成物(C)が、
前記工程(1)と、
前記粗反応混合物から、固液分離により固相成分を除去して、少なくとも、オリゴアリーレンスルフィド(c)を含む液相成分を得る工程(5)と、
を有する製造方法によって得られたものである、請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記オリゴアリーレンスルフィド(c)が、鎖状オリゴアリーレンスルフィドを10~90質量%含むものである、請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
【請求項5】
工程(1)~(4)を経たポリアリーレンスルフィド樹脂の、300℃で測定した溶融粘度(V6)が10~2000〔Pa・s〕の範囲である、請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
(ただし、溶融粘度(V6)は、フローテスターを用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の溶融粘度を表す。)
【請求項6】
工程(4)の加熱処理前後における、ポリアリーレンスルフィド樹脂の化学発光強度の減少率が45%以下である、請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
(ただし、化学発光強度は、150℃、酸素雰囲気下における測定値である。)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSという)樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASという)樹脂は、耐熱性、耐薬品性等に優れ、電気電子部品、自動車部品、給湯機部品、繊維、フィルム用途等に幅広く利用されている。なかでも、高分子量PAS樹脂は、靭性等の機械的特性に優れることから近年需要が高まっている。
【0003】
従来の高分子量PAS樹脂の製造方法としては、例えば、線状PAS樹脂を気相酸化性雰囲気下で融点以下の温度に加熱して処理することで、酸化架橋させて得る方法が開示されている(特許文献1)。しかしながら、このようにして得られる架橋型の高分子量PAS樹脂は、高分子鎖の分岐構造に起因して粘度のせん断速度依存性が比較的大きい傾向にあることから、紡糸や製膜等の成形を行う際の加工性に課題があった。また、一般的に再結晶化温度が低く結晶化に時間がかかる傾向にあることから、溶融成形時のサイクルタイムの増加等にもつながっていた。
【0004】
一方、PAS樹脂の製造工程で副生されるオリゴアリーレンスルフィド(以下、PASオリゴマーという)は、一般的にPAS樹脂の結晶化速度を小さくしたり、発生ガス量を増加させたりするため、PAS重合における精製工程で除去されているが、それによる原単位ロスが課題であった。これまでにPASオリゴマーの活用方法としては、例えば、酸化性雰囲気下で反応させて架橋型ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、このようにPASオリゴマーを反応原料として用いるためには、重合阻害反応を抑制するために、PASオリゴマー以外の副生物を除去する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-84132号公報
特開2012-116918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、PASオリゴマーを再利用して、高分子量化した線状PAS樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは種々の検討を行った結果、PAS樹脂の製造工程において、重合反応後の混合物にPASオリゴマーを含む組成物を添加し、それを洗浄後に不活性ガス雰囲気下で加熱処理することで、PAS樹脂を直鎖構造を維持したまま高分子量化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
有機極性溶媒中で、ポリハロ芳香族化合物と、(i)アルカリ金属硫化物とを、又は、(ii)アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させて、少なくとも、PAS樹脂(a)、PASオリゴマー(b)、アルカリ金属ハロゲン化物及び有機極性溶媒を含む粗反応混合物を得る工程(1)、
前記粗反応混合物から、フラッシュ法による固液分離で液相成分を除去して、少なくともPAS樹脂(a)、PASオリゴマー(b)、及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む混合物(A)を得る工程(2)、
前記混合物(A)を洗浄し、アルカリ金属ハロゲン化物を除去して少なくともPAS樹脂(a)、PASオリゴマー(b)を含む混合物(B)を得る工程(3)、及び
前記混合物(B)を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する工程(4)を有し、かつ、
前記工程(2)及び/または(3)において、前記粗反応混合物と、前記混合物(A)との少なくとも1つに、PASオリゴマー(c)を10質量%以上含む組成物(C)を添加すること、
前記PASオリゴマー(c)が鎖状PASオリゴマー及び環状PASオリゴマーを含むものであることを特徴とするPAS樹脂の製造方法に関する。
【0009】
なお、本開示において、繰り返し単位2~50(2量体~50量体の混合物)を有する高分子化合物を「オリゴマー」と称することがある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、PASオリゴマーを再利用して、高分子量化した線状PAS樹脂の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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