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公開番号
2024131457
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-30
出願番号
2023041726
出願日
2023-03-16
発明の名称
測定力調整機構及びそれを備える測定装置
出願人
株式会社東京精密
代理人
スプリング弁理士法人
主分類
G01B
5/02 20060101AFI20240920BHJP(測定;試験)
要約
【課題】測定装置において、小型でありながらばねに余分なトルクを発生させない、外部から調整可能な測定力調整機構を実現する。
【解決手段】測定装置が備える測定力調整機構300は、引張りばね146と、ばねの一端が係止する上側ばね係止具160と、ばねの反対端が係止する下側ばね係止具312とを備える。上側ばね係止具では、ばねが係止する側とは反対端にねじ部160aが形成されており、このねじ部にかみ合うねじが形成され、ねじ形成部とは反対端側が測定装置の外部に露出した袋ナット320を有する。袋ナットの露出した部分に工具が嵌合可能な工具係止部322を設け、袋ナットの側面にシール溝334を形成する。袋ナットが回動しても、自身の軸周りに回転することなく上下動することが可能な回動規制手段160eを上側ばね係止具に形成した。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
液体が封入される測定装置が備える測定力調整機構において、
ばねと、前記ばねの一端が係止する上側ばね係止具と、前記ばねの反対端が係止する下側ばね係止具とを備え、
前記上側ばね係止具の前記ばねが係止する側とは反対端にねじを形成し、
前記ねじにかみ合うねじが形成されたねじ部を有し、前記ねじ部とは反対端側が前記測定装置の外部に露出した袋ナットを設け、
前記袋ナットは、露出部分に工具が係合可能な工具係止部を有し、かつ側面にシール溝を有し、
前記上側ばね係止具に、前記袋ナットが回動しても、自身の軸周りに回転することなく上下動することが可能な回動規制手段を形成したことを特徴とする測定力調整機構。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
前記工具係止部は、前記袋ナットの上部外表面に形成したボルト頭であるかもしくはドライバ溝であることを特徴とする請求項1に記載の測定力調整機構。
【請求項3】
前記上側ばね係止具は、軸方向に上から順に、前記ねじ部、小径部、を有し、前記袋ナットのねじが形成された高さ位置であって、前記上側ばね係止具の前記小径部の軸半径と同じかそれより大きくかつ前記上側ばね係止具の前記ねじ部の外半径よりは短い距離だけ前記袋ナットの軸から半径方向に離れた位置に、軸方向に略直角な方向に延びる、ピンを挿通可能な穴を形成したことを特徴とする請求項2に記載の測定力調整機構。
【請求項4】
前記上側ばね係止具は、軸直角断面が円の一部を切り欠いた切り欠き面を有しており、この切り欠き面は前記回動規制手段を構成することを特徴とする請求項1に記載の測定力調整機構。
【請求項5】
前記下側ばね係止具は、ばね係止部が断面矩形の平板部であり、前記平板部が嵌合する溝が形成された台座を有することを特徴とする請求項1に記載の測定力調整機構。
【請求項6】
一端に測定子が取り付けられたアームと、前記アームに連接するレバーと、前記レバーを液密に収納する密閉ケースと、前記密閉ケース内に配設されたリトラクト機構と、前記リトラクト機構に隣り合い前記密閉ケースに配設された測定力調整機構と、前期密閉ケースに配設され前記リトラクト機構を挟んで前記測定力調整機構とは反対側に配設された作動トランスとを含み、被測定物であるワークに前記測定子を当接させて被測定物を測定する測定装置において、
前記測定力調整機構は、引張りばねと、この引張りばねの両端がそれぞれ係止する上側ばね係止具及び下側ばね係止具と、前記上側ばね係止具の上部に位置し、内部にねじが形成された袋ナットとを備え、
前記上側ばね係止具は、前記引張りばねが係止する側とは反対端に前記袋ナットに形成されたねじにかみ合うねじを有し、
前記袋ナットはねじが形成された開放端とは反対端側が、前記測定装置の外部に露出しており、前記袋ナットの露出した部分に工具が係合可能な工具係止部が形成されており、さらに前記袋ナットの側面にシール溝が形成されており、
前記上側ばね係止具は、前記袋ナットが回動しても、前記リトラクト機構の外側面と協働して、自身の軸周りに回転することなく上下動することが可能であることを特徴とする測定装置。
【請求項7】
前記上側ばね係止具は、軸方向に上から順に、ねじ部、小径部、ばね係止部を有し、
前記袋ナットに、軸方向に直角な方向に延びるピンを挿通可能な穴を形成し、前記穴の軸方向位置は前記袋ナット内に形成されたねじ部内であり、前記穴の半径方向位置は、前記上側ばね係止具の小径部の軸半径と同じかそれより大きくかつ前記上側ばね係止具の前記ねじ部の外半径よりは短い距離だけ前記袋ナットの軸心から離れた位置であることを特徴とする請求項6に記載の測定装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに当接させる測定子の測定力を調整する測定力調整機構及びそれを備える測定装置に係り、特に、測定子の当接に空気圧シリンダを利用する場合に好適な測定力調整機構及びそれを備える測定装置に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
軸部材の外径等を電気的に計測および寸法チェックするために、空気圧シリンダを備える寸法測定装置がしばしば用いられる。例えば、機械部品の長さ寸法をチェックするために、ゲージヘッドまたは測定ヘッドを用いることが特許文献1に記載されている。そして、測定ヘッドは、溝と長手方向の幾何学的な軸を規定するケーシングを備えた支持構造材と、アームおよびフィーラを備えた支持構造材に対して移動可能なアームセットと、アームと支持構造材との間に配置され、横断軸を中心にして支持構造材に対してアームの移動を可能にする支点と、アームと支持構造材との間に配置され、検査対象の機械部品の表面に向かってフィーラを付勢するスラスト装置と、アームおよび支持構造材に連結され、支持構造材に対してアームの位置に応じた信号を供給する変換器を有している。これにより、測定ヘッドは高水準の繰り返し精度を保障している。
【0003】
特許文献2には、測定ヘッドのアームを簡単な構造でリトラクトさせるために、測定ヘッドがリトラクト機構として形状記憶合金アクチュエータを備えることが開示されている。形状記憶合金アクチュエータは、形状記憶合金製のコイルばねとバイアスばね等を含み、コイルばねとバイアスばねはロッドの両端部からロッドの中途部に固定されたフランジに向けて挿通されたのち、バイアスばねが収縮された状態でホルダーに保持される。コイルばねに通電されてコイルばねが変態温度以上に加熱されると、コイルばねが変形し、ロッドが押し下げ板を押し下げ、コンタクトがリトラクトされる。
【0004】
さらに特許文献3には、空気圧シリンダ内で結露が発生するのを防止するために、空気圧シリンダが、シリンダと、シリンダ内部を第1室、第2室に区画するピストンとを備える。さらに、ピストンまたはシリンダの内面に、第1室と第2室間を一方向連通する結露手段を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2011-64694号公報
特開2001-27503号公報
特開2020-112212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、空気圧シリンダを用いた寸法測定装置(測定ヘッド)では、測定対象である被測定物の材質や表面処理、大きさ等の性状に応じて、被測定物へ与える測定力を変化させて、高精度な寸法測定を実現している。そのため、測定圧を付加する測定圧調整機構を寸法測定ヘッドに設け、寸法測定ヘッドを実際に被測定物に接触もしくは手近に置きながら、測定圧調整機構を外部から調整できることが望まれている。なお、寸法測定装置であるので計測のしやすさから、被測定物に直接接触する接触子部分を含めた装置全体が小型であることも求められている。市販の測定ヘッドの主要部の各辺は100mmを超え無い大きさに設定されているものがほとんどである。
【0007】
上記特許文献1に記載の寸法検査用ヘッドには、測定力を調整する装置としてスラスト装置が設けられている。スラスト装置は、検査対象の機械部品の表面に接触子を押し付けるために、上下に配置された第1、第2のフッキング要素とそれら要素間に配設されたばねを備える。ばねの両端は、フッキング要素に形成された貫通穴に保持されている。下側に配置されたフッキング要素は、ばね下端を上端部で保持する袋ねじ(ガイドネック)と、この袋ねじに螺合する雄ねじが形成された調整ねじを有する。なお袋ねじは、第2のフッキング要素の軸方向の回転を阻止するための正方形の断面を有している。ケーシングの外部から調整ねじのヘッドを回転させると、第2のフッキング要素が上下動し、ばねのバイアスが変化してアームに加える測定力が変化する。
【0008】
この特許文献1に記載の検査用ヘッドでは、ばねの回転を阻止することや、検査用ヘッド内部に充満されるシリコンオイル等の液体が検査用ヘッドから外部に漏れるのを防止するシール、外部からのばね力の調整を可能にすることまで考慮されているので、実用性が高いが、それらをすべて満たすために構造が複雑になるとともに、ばねに許容される空間が少なくなり対応できるばね力が制限を受ける。また、シール部とばね力調整位置が近接せざるを得ず、必ずしも小型化することが容易ではない。
【0009】
また特許文献2に記載の測定ヘッドでは、アーム16にL字状の突出部を形成し、スプリングを介してヘッド本体に突出部を支持している。スプリングの付勢力によって突出部が上方に引っ張られ、測定用アームを介して接触子が十字ばねを支点として測定方向に移動する。その結果、スプリングの付勢力によって接触子に測定用圧力が付与される。
この公報に記載の測定ヘッドでは、ねじに測定圧調整用のスプリングの端部を引っ掛ける構造であるので、ばね力を調整するためにねじを回動させると、スプリングもねじとともに回動する。スプリングが回動するとスプリングのレバーへの取り付け端側では捩じれトルクが発生する。そして、レバーの揺動方向とレバーに引っ掛けられるスプリング端部のフックの向きが一致するまで回動すると、フックの応力の増大により長期の使用ではスプリングの破損に至る虞があるし、破損しなくても、接触子に過大な測定用圧力が付与される虞がある。
【0010】
特許文献3には、ケース内であって軸の保持台よりも反測定子側に引張りバネを配設し、引張りバネの一端側をケースの内側に突出した支軸に係止し、引張りバネの他端側を軸の長手方向中間部に設けた係止具に係止している。これにより、引張りバネはその位置で軸を引き寄せるように作用し、軸は揺動軸を中心に揺動し、次いでアーム234を下方に押し付ける。これにより、計測力が付加される。この引っ張りばねは、特許文献2に記載のものと同様の構成であるから、引っ張りばねの調整のために係止具を調整すると、係止具とともに引っ張りばねが回動し、引っ張りばねに余分なねじれトルクが発生する。
本発明は上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、小型でありながらばねに余分なトルクを発生させない、外部から調整可能な測定力調整機構を実現することにある。本発明の他の目的は測定ヘッド内部に充填されるシリコンオイル等の緩衝液の外部への漏れを阻止しながら、小型で簡素な構成の外部から調整可能な測定力調整機構を実現することにある。そしてこれら目的の少なくともいずれかを達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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