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公開番号2024131351
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023041558
出願日2023-03-16
発明の名称ピッチ含有水の処理方法およびピッチ除去効率向上剤
出願人栗田工業株式会社
代理人個人,個人
主分類D21C 9/08 20060101AFI20240920BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】ピッチ含有水に含まれるピッチを、クリーナーによって有効に除去することを可能とし、それによりピッチの除去効率を向上させることが可能な、ピッチ含有水の処理方法およびピッチ除去効率向上剤を提供する。
【解決手段】ピッチ含有水の処理方法は、ピッチ含有水中の異物を、クリーナーの遠心力を利用して除去するピッチ含有水の処理方法であって、炭素数が16以上である高級アルコール、炭化水素成分、ポリエーテルおよびポリオルガノシロキサンからなる群から選択される1種以上のピッチ除去効率向上成分と、非イオン系界面活性剤として作用しうる親水成分と、を含有し、O/W型エマルション構造を有するピッチ除去効率向上剤をピッチ含有水に添加して被処理水を得る工程と、前記被処理水を前記クリーナーで処理する工程とを含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ピッチ含有水中の異物を、クリーナーの遠心力を利用して除去するピッチ含有水の処理方法であって、
炭素数が16以上である高級アルコール、炭化水素成分、ポリエーテルおよびポリオルガノシロキサンからなる群から選択される1種以上のピッチ除去効率向上成分と、
非イオン系界面活性剤として作用しうる親水成分と、を含有し、O/W型エマルション構造を有するピッチ除去効率向上剤を、ピッチ含有水に添加して被処理水を得る工程と、
前記被処理水を前記クリーナーで処理する工程と
を含む、ピッチ含有水の処理方法。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
前記ピッチ除去効率向上成分は、炭素数16以上の高級アルコールを含有する、請求項1に記載のピッチ含有水の処理方法。
【請求項3】
ピッチ含有水中の異物を、クリーナーの遠心力を利用して除去するピッチ含有水の処理方法であって、
非イオン系界面活性剤として作用しうるポリエーテルを含有し、O/W型エマルション構造を有する成分を、ピッチ除去効率向上成分および親水成分として含有するピッチ除去効率向上剤を、ピッチ含有水に添加して被処理水を得る工程と、
前記被処理水を前記クリーナーで処理する工程と
を含む、ピッチ含有水の処理方法。
【請求項4】
前記ピッチ除去効率向上剤は、脂肪酸エステル、高級ケトンおよび樹脂酸エステルからなる群から選択される1種以上をさらに含有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のピッチ含有水の処理方法。
【請求項5】
ピッチ含有水中の異物を、クリーナーの遠心力を利用して除去するために用いられるピッチ除去効率向上剤であって、
炭素数16以上の高級アルコール、炭化水素成分、ポリエーテルおよびポリオルガノシロキサンからなる群から選択される1種以上のピッチ除去効率向上成分と、
非イオン系界面活性剤として作用しうる親水成分と、を含有し、O/W型エマルション構造を有する、ピッチ除去効率向上剤。
【請求項6】
前記ピッチ除去効率向上成分は、炭素数16以上の高級アルコールを含有する、請求項5に記載のピッチ除去効率向上剤。
【請求項7】
ピッチ含有水中の異物を、クリーナーの遠心力を利用して除去するために用いられるピッチ除去効率向上剤であって、
非イオン系界面活性剤として作用しうるポリエーテルを含有し、O/W型エマルション構造を有する成分を、ピッチ除去効率向上成分および親水成分として含有する、ピッチ除去効率向上剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッチ含有水の処理方法およびピッチ除去効率向上剤に関し、特に、ピッチ含有水中のピッチを含む異物を除去するクリーナーの分別効率を向上する、ピッチ含有水の処理方法およびピッチ除去効率向上剤に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
製紙は、パルプ原料を水に分散させた原料スラリーを抄紙する抄紙工程を経ることによって行われる。この抄紙工程では、パルプなどの微細繊維および填料を含む水が、抄紙機などから多量に排出される。ここで排出されたパルプ含有水は、水資源の有効活用を促進する観点から、水回収工程などによって回収された後で再使用されており、抄紙工程内で循環して使用される。
【0003】
このように、パルプ含有水を繰り返し循環して使用する場合、パルプ含有水には、製紙工程で発生したピッチが多く含まれるようになる。特に、古紙や低品質のパルプにはピッチの原因となる成分が多く含まれているため、古紙や低品質のパルプを原料として用いる調成工程や、それ以降の抄紙工程では、パルプ含有水にピッチが多く含まれやすい。
【0004】
一般に、ピッチとしては、パルプ由来の樹脂成分や、再生古紙中の合成粘着物質、製紙工程で使用される添加薬剤に由来する有機物を主体とする疎水性の粘着性物質が挙げられる。ピッチは、水中でコロイドとして分散して存在しているが、大きなせん断力の変化や、pH変化、水温変化、薬剤の添加などによってコロイド状態が破壊されることで水中に析出し、微細なピッチ同士で、あるいは炭酸カルシウムなどの填料や微細繊維などとの間で、凝集物を形成しやすい。また、ピッチは疎水性が高いため、ワイヤーやフェルトなどの抄紙用具に付着する傾向がある。その結果、ピッチは、製品へのピッチ由来の凝集物の混入や、搾水不良、断紙などを引き起こす場合がある。このため、ピッチに起因して、製品の品質および歩留まりの低下や、操業を停止して抄紙用具などを洗浄することによる生産性の低下などの問題が発生する。このような、ピッチによる製品品質および生産効率が低下する障害は、ピッチ障害と呼ばれている。
【0005】
このため、製紙工程におけるピッチを抑制できるような薬剤が種々検討されており、例えば合成ポリマー、無機凝集剤などがピッチ抑制剤として用いられている。ピッチ抑制剤には、凝集物を形成させないように、ピッチの粘着性を低下させる効果や、ピッチ同士を分散させる効果、マイナスに荷電しているピッチを荷電中和によりパルプ繊維に定着させる効果などが期待されているが、ピッチを系外に排出する効果を有するものは知られていない。
【0006】
ここで、異物を系外に排出させる抄紙工程内の装置としては、クリーナーが用いられている。クリーナーは、被処理水(パルプ含有水)中の、パルプ繊維と、パルプ繊維よりも見かけ比重の大きい異物とを、遠心力を利用して分離することによって異物を除去する装置であり、一般的には金属や砂などの異物を除去するのに用いられる装置である。しかしながら、パルプ含有水中に含まれるピッチは、パルプ繊維との見かけ比重の差が小さいため、ピッチをクリーナーによって積極的に除去することは、現状では行なわれていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、パルプ含有水を繰り返し循環して使用するため、製品の品質および歩留まりの低下抑制の観点から、パルプ含有水に含まれるピッチを除去することが必要であり、特に、ピッチを効率よく系外に排出することができる処理方法を開発することが望ましい。
【0008】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、ピッチ含有水に含まれるピッチを、クリーナーによって有効に除去することを可能とし、それによりピッチの除去効率を向上させることが可能な、ピッチ含有水の処理方法およびピッチ除去効率向上剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、炭素数が16以上である高級アルコール、炭化水素成分、ポリエーテルおよびポリオルガノシロキサンからなる群から選択される1種以上のピッチ除去効率向上成分と、非イオン系界面活性剤として作用しうる親水成分と、を含有し、O/W型エマルション構造を有するピッチ除去効率向上剤をピッチ含有水に添加して被処理水を得るとともに、この被処理水をクリーナーで処理することで、ピッチをクリーナーによって有効に除去することが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
【0010】
(1)ピッチ含有水中の異物を、クリーナーの遠心力を利用して除去するピッチ含有水の処理方法であって、炭素数が16以上である高級アルコール、炭化水素成分、ポリエーテルおよびポリオルガノシロキサンからなる群から選択される1種以上のピッチ除去効率向上成分と、非イオン系界面活性剤として作用しうる親水成分と、を含有し、O/W型エマルション構造を有するピッチ除去効率向上剤をピッチ含有水に添加して被処理水を得る工程と、前記被処理水を前記クリーナーで処理する工程とを含む、ピッチ含有水の処理方法。
(【0011】以降は省略されています)

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