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公開番号2024127284
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023036327
出願日2023-03-09
発明の名称繊維束引き出し装置、および繊維複合材料の製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B29C 70/54 20060101AFI20240912BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約【課題】強化繊維束の断面形状を維持したまま引き出し、一定の軌跡で走行させることが可能な繊維束引き出し装置および繊維複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】繊維束1が綾巻されたボビン2から前記繊維束を引き出す装置10であって、ボビンを回転可能な状態で保持するボビンホルダー3と、ボビンから引き出された繊維束を受け取り、繊維束をひねって送出することにより、ボビンの中心軸に平行な方向における、繊維束の軌跡の変化を低減するひねり機構4と、装置における繊維束の経路において、ボビンホルダーとひねり機構との間に設けられる撚り防止機構21とを備え、撚り防止機構は、繊維束と接触する支持部と、回転抑止手段とを有し、回転抑止手段により、繊維束と支持部とが接触する接触領域を正面側としたときの背面側の空気の圧力が、繊維束における接触領域における空気の圧力より高く保たれる、繊維束引き出し装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
繊維束が綾巻されたボビンから前記繊維束を引き出す装置であって:
前記ボビンを回転可能な状態で保持するボビンホルダーと;
前記ボビンから引き出された前記繊維束を受け取り、前記繊維束をひねって送出することにより、前記ボビンの中心軸に平行な方向における、前記繊維束の軌跡の変化を低減するひねり機構と;
前記装置における前記繊維束の経路において、前記ボビンホルダーと前記ひねり機構との間に設けられる撚り防止機構とを備え、
前記撚り防止機構は、前記繊維束と接触する支持部と、回転抑止手段とを有し、
前記回転抑止手段により、前記繊維束と前記支持部とが接触する接触領域を正面側としたときの背面側の空気の圧力が、前記繊維束における前記接触領域における空気の圧力より高く保たれる、繊維束引き出し装置。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
前記回転抑止手段は、圧縮空気を噴出するノズルにより構成され、
前記ノズルは、前記繊維束の経路を介して前記接触領域と略対向する位置に向けて前記圧縮空気が噴出するように配された、請求項1に記載の繊維束引き出し装置。
【請求項3】
前記ノズルは、前記接触領域の法線方向に対し、前記繊維束が走行する工程の下流側に傾斜した空気流を噴出する、請求項2に記載の繊維束引き出し装置。
【請求項4】
繊維束と前記繊維束に含浸された樹脂とを含む繊維複合材料の製造方法であって、
前記繊維束が綾巻された前記ボビンから、請求項1から3のいずれかに記載の繊維束引き出し装置を用いて、前記繊維束を引き出す工程を有する、繊維複合材料の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ボビンに綾巻された繊維束を、撚りを発生させることなく高速で引き出す繊維束引き出し装置に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、炭素繊維複合材料の用途として、水素自動車に用いられる高圧水素タンクの補強材が注目されている。高圧水素タンクの製造には、一般的に「トウプレグ」とよばれる中間材を、ライナーの外周に巻付けて成形する方法が、適用されている。トウプレグは、平坦、すなわち横長の略矩形の断面を有し、熱硬化性樹脂が含浸された炭素繊維束である。高圧水素タンクには均一な耐圧性が要求される。高圧水素タンクにおいて均一な耐圧性を実現するためには、設計値通りの幅および厚みで、トウプレグがライナーに巻き付けられる必要がある。このため、トウプレグには、炭素糸繊維束の折り畳まれや撚りなどの欠陥のない、安定した矩形断面形状を有することが要求される。
【0003】
トウプレグの製造工程においては、炭素繊維束が綾巻されたボビンから繊維束が高速で引き出され、繊維束が熱硬化性樹脂を含浸され、その後、繊維束が他のボビンに巻き取られる。そのため、安定した矩形断面形状を有するトウプレグを製造するためには、ボビンに巻き取られている状態において平坦な矩形断面形状を有している繊維束を、その断面形状を維持したまま引き出し、蛇行のない一定の軌跡で走行させて、樹脂を含浸させることが望ましい。
【0004】
繊維束が綾巻されたボビンから繊維束を引き出す場合、ボビンを固定した状態で、繊維束をボビンの軸方向に沿って引き出すと、以下のような問題が生じる。すなわち、ボビンに巻かれた繊維束の巻き数に応じた撚りが繊維束に発生してしまい、繊維束の断面形状が平坦な矩形形状にならない。綾巻されたボビンから、撚りを生じさせることなく繊維束を引き出すには、以下のように繊維束を引き出す必要がある。すなわち、ボビンの中心軸を中心に回転可能な状態でボビンを保持し、その状態で繊維束をボビンの中心軸に直交する方向に引き出す。しかし、そのようにボビンから繊維束を引き出しても、ボビンに綾振りされて巻かれていた際の軌跡に従って、繊維束が蛇行する。すなわち、繊維束の走行位置が、時間の経過に応じて、ボビンの中心軸方向について変化する。その結果、繊維束を一定の軌跡で走行させることができない。
【0005】
そこで、ボビンの軸方向に沿った繊維束の軌跡の変化、いわゆる「綾振り」を取り除く手段として、特許文献1の技術がある。特許文献1の技術においては、ボビンに対して一定の距離をあけた位置に、ボビンの中心軸に対して90度の向きを有する中心軸を備えた糸条位置規制ガイドが設けられる。繊維束の綾振りは、糸条位置規制ガイドの軸に垂直な面内における、糸条位置規制ガイドへの繊維束の入射角の変化に置き換えられる。糸条位置規制ガイドから送り出される繊維束の軌跡は、糸条位置規制ガイドに対してほぼ一定となる。すなわち、ボビンから綾振りされながら引き出される繊維束は、糸条位置規制ガイドを通過することで、その走行位置を固定される。なお、上記糸条位置規制ガイドは、本開示ではひねりロールに該当する。
【0006】
一方、ボビンに巻き取られている繊維束の全体の外径は、ボビンから繊維束が引き出されることにより、時間の経過とともに小さくなる。このため、繊維束の走行位置は、時間の経過とともに、ボビンの中心軸に近づく。すなわち、ひねりロールが受け入れる繊維束の走行位置は、時間の経過とともに、ひねりロールの中心軸の方向に沿って、変化する。そこで、特許文献2の技術では、ボビンの表面から引き出された繊維束に接触するタッチロールが設けられている。特許文献2には、ひねりロールに該当する機構が存在しないが、かかる技術を応用すれば、タッチロールから繊維束が離れる位置は、ボビンの中心軸に垂直な方向、すなわち、ひねりロールが配される場合は、その中心軸の方向について、固定される。その結果、ボビンに巻き取られている繊維束の全体の外径によらず、ひねりロールが受け入れる繊維束の走行位置は、ひねりロールの軸方向について、一定に保たれることとなる。
【0007】
また、特許文献3の技術においては、繊維束のトラバース方向と平行な回転軸を有し、外周面が太鼓型の案内ローラが、ボビンとガイドローラ17(本開示におけるひねりロールに相当)との間に、設けられる。ボビンから引き出された繊維束は、軌跡の周期的な変化に伴って、案内ローラにおける異なる位置の外周面を通過するが、かかる案内ローラは外周面が太鼓型であることから、特許文献3の構成を用いることで、ボビンからガイドローラまでの繊維束の軌跡の距離の周期的な変化が緩和され、繊維束のたるみによる撚りの発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2012-184279号公報
特開2019-199321号公報
特開2008-156104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、ボビンに繊維束が綾巻されている限り、ボビン上から繊維束が離れる位置は、ボビンの軸方向に往復移動する。このため、ボビンからひねりロールまでの繊維束の軌跡の距離は、周期的に変化する。このため、ボビンとひねりロールとの間において、繊維束の張力が周期的に変化する。その結果、繊維束が緩んだ際に、繊維束が反転し、撚りが発生することがある。この繊維束の緩みによる撚りの発生は、特にボビン端部における繊維束の折り返しのポイントで起こりやすい。
【0010】
特許文献3の技術によっても、ボビンの端部において繊維束が方向転換する際に起こる急激な張力変動を抑えることはできないため、繊維束に撚りが発生する場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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