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公開番号2024161712
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-20
出願番号2023076659
出願日2023-05-08
発明の名称構造物用コーティング剤および赤外線による計測システム
出願人公立大学法人秋田県立大学,ダウ・東レ株式会社
代理人個人,個人
主分類C09D 201/00 20060101AFI20241113BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】本発明は、コンクリート等からなる構造物の内部におけるクラック等の損傷をより簡便かつ高精度に検出することができ、かつ、当該構造物の耐久性を改善し得る構造物用コーティング剤を提供する。
【解決手段】硬化性樹脂組成物と、外線により検出可能な金属粉末と、含む、構造物用コーティング剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
硬化性樹脂組成物と、
赤外線により検出可能な金属粉末と、
を含む、構造物用コーティング剤。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
前記金属粉末は、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、クローム、白金、スズおよび鉄からなる群から選択される1種以上の金属粉末を含む、請求項1に記載のコーティング剤。
【請求項3】
前記金属粉末は、アルミニウム粉末を含む、請求項1または2に記載のコーティング剤。
【請求項4】
レーザー回折・散乱法により測定された、前記金属粉末の平均一次粒子径が、5~50μmの範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載のコーティング剤。
【請求項5】
前記コーティング剤は、前記コーティング剤の全量基準で0.1~10質量%の量で前記金属粉末を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーティング剤。
【請求項6】
前記硬化性樹脂組成物は、硬化により、ゲル状またはエラストマー状の硬化物を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載のコーティング剤。
【請求項7】
前記硬化性樹脂組成物は、硬化により、JIS K 2220に規定される1/4ちょう度が10~150の範囲であるゲル状の硬化物を形成する、請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティング剤。
【請求項8】
前記硬化性樹脂組成物は、硬化により、JIS A硬度が20~90の範囲であるエラストマー状の硬化物を形成する、請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティング剤。
【請求項9】
前記硬化性樹脂組成物は、硬化性シリコーン樹脂組成物および硬化性ウレタン樹脂組成物からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のコーティング剤。
【請求項10】
前記硬化性樹脂組成物は、硬化性シリコーン樹脂組成物を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコーティング剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物用コーティング剤および赤外線による計測システムに関する。
続きを表示(約 5,300 文字)【背景技術】
【0002】
ビル、橋およびトンネル等の建物、構造物およびインフラストラクチャー(以下、これらを「構造物」と総称する)は、建設から数十年経過しているものが多く存在し、今後、このような構造物の老朽化はさらに進行すると予想されている。そのため、構造物の健全性を確認または評価するモニタリング技術の開発は、社会的に極めて重要な意義を有する。
従来、構造物の健全性評価および補修の必要性を判定する検査方法として、作業者がテストハンマーによる擦過音を聴覚で診断する打診検査や音響試験、目視による検査等により、例えば、壁面タイルの剥離の危険性等を判定する方法が行われてきた。
しかしながら、打診検査や目視検査は、作業者の長年の経験の有無、構造物周辺の騒音等による検査精度のばらつきという問題を抱えていた。また、構造物周辺の環境によっては、作業者の安全性確保という点も問題になり得る。さらに、少子高齢化を含む社会構造の変化に伴い、検査を担う人員、構造物の製造や建設に当たる人員等の十分な確保はますます困難となることが予測される。
【0003】
特許文献1には、蛍光体と、シリコーン系オリゴマー又はシリコーン系オリゴマーとオリゴエステルアクリレートとの混合物と、重合開始剤とを含むことを特徴とする重合性蛍光シール剤が開示されている。
また、特許文献2には、X線造影能力をもつ炭酸セシウム水溶液を混入したことを特徴とするコンクリートのひび割れの補修材が開示されている。
このように、構造物の補修の必要性を評価することを目的として、蛍光体やX線造影剤を用いて構造物のクラックを検出することが知られている。しかし、これらの方法は、無人で、簡便かつ高精度に実施できるものではない。また、多数かつ広範囲に設置された構造物を、無人で、AI等を用いて点検する技術として普及し得るものでもない。これは、道路、鉄道、橋梁、トンネル、低層または高層建築物、風力タービン、堤防、ダムおよびパイプライン等の構造物の保守管理に実装するに当たり、コスト、作業時間および人員不足等の課題を依然として抱えているためである。
【0004】
このような背景から、構造物の健全性の管理において、自動化や省力化は、検査精度の向上という観点のみならず、今後の社会全体における持続可能性という観点でも必須の技術要素になると考えられる。とりわけ、壁面検査用ロボットやドローンを用いた検査に対応可能な技術が、社会実装の観点から求められている。
そして、構造物の健全性のモニタリング技術の開発に加え、構造物自体の長寿命化や耐久性向上も強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2000-219869号公報
特開平7-139190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、コンクリート等からなる構造物の内部におけるクラック等の損傷をより簡便かつ高精度に検出することができる構造物用コーティング剤を提供する。また、本発明は、当該構造物の耐久性を改善し得る構造物用コーティング剤も提供する。
さらに、本発明は、当該構造物用コーティング剤の塗布により形成された硬化物を含む構造物、構造物の損傷の検出方法、および構造物の健全性のモニタリングシステムも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
より具体的には、本発明は、以下の態様を提供する。
[1]硬化性樹脂組成物と、
赤外線により検出可能な金属粉末と、
を含む、構造物用コーティング剤。
[2]前記金属粉末 は、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、クローム、白金、スズおよび鉄からなる群から選択される1種以上の金属粉末を含む、[1]に記載のコーティング剤。
[3]前記金属粉末は、アルミニウム粉末を含む、[1]または[2]に記載のコーティング剤。
[4]レーザー回折・散乱法により測定された、前記金属粉末の平均一次粒子径が、5~50μmの範囲である、[1]~[3]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
[5]前記コーティング剤は、前記コーティング剤の全量基準で0.1~10質量%の量で前記金属粉末を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
[6]前記硬化性樹脂組成物は、硬化により、ゲル状またはエラストマー状の硬化物を形成する、[1]~[5]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
[7]前記硬化性樹脂組成物は、硬化により、JIS K 2220に規定される1/4ちょう度が10~150の範囲であるゲル状の硬化物を形成する、[1]~[6]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
[8]前記硬化性樹脂組成物は、硬化により、JIS A硬度が20~90の範囲であるエラストマー状の硬化物を形成する、[1]~[6]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
[9]前記硬化性樹脂組成物は、硬化性シリコーン樹脂組成物および硬化性ウレタン樹脂組成物からなる群から選択される1種以上を含む、[1]~[8]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
[10]前記硬化性樹脂組成物は、硬化性シリコーン樹脂組成物を含む、[1]~[9]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
[11]前記硬化性シリコーン樹脂組成物が、
(A)一分子中に、少なくとも2個の硬化反応性基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)任意で、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)硬化剤
を含む、[9]または[10]に記載のコーティング剤。
[12]前記硬化性シリコーン樹脂組成物は、ヒドロシリル化硬化反応、縮合硬化反応、過酸化物硬化反応、光硬化反応および高エネルギー線硬化反応からなる群から選択される1種類以上の硬化反応により硬化する、[9]~[11]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
[13]構造物の損傷を検出するために用いられる、[1]~[12]のいずれか一項に記載のコーティング剤。
[14]赤外線照射 により前記検出を行う、[13]に記載のコーティング剤。
[15]硬化性樹脂組成物と、
赤外線により検出可能な金属粉末と、
を含む構造物用コーティング剤の塗布により形成された硬化物を含む、構造物。
[16]硬化性樹脂組成物に分散された、赤外線により検出可能な金属粉末を含む構造物用コーティング剤を構造物の外部表面に塗布すること、および
前記構造物の外部表面を赤外線照射により撮像すること、
を含む、構造物の損傷の検出方法 。
[17]前記撮像することが、固定または移動可能な赤外線カメラを用いて行われる、[16]に記載の方法。
[18]前記撮像すること が、有線もしくは無線で操作されるロボットもしくはドローン、または自動化されたロボットまたはドローンを用いて行われる、[16]または[17]に記載の方法。
[19]フーリエ変換により、前記撮像することにより得られた画像を解析することをさらに含む、[16]~[18]のいずれか一項に記載の方法。
[20]前記解析することにより、構造物の損傷の有無、損傷の形状、損傷の大きさ、および損傷の深さからなる群から選択される1種以上の状態の解析を行う、[19]に記載の方法。
[21][1]~[14]のいずれか一項に記載の構造物用コーティング剤の硬化物によりその外部表面が被覆されている構造物、
当該構造物の外部表面を赤外線照射により撮像する撮像手段、および
前記撮像により得られた画像を解析し、少なくとも構造物の損傷の有無を判定する判定手段、を備える、
構造物の健全性のモニタリングシステム 。
[22]さらに、
画像情報および/または構造物の損傷の有無の判定結果を受信する受信手段、および
画像情報および/または構造物の損傷の有無の判定結果を表示する表示手段、
を備える、
[21]に記載のシステム。
[23]前記撮像手段が、
撮像した構造物の画像情報および位置情報を送信する有線または無線の通信手段、および
撮像した構造物の画像情報および位置情報を記憶する記憶手段、を備え、
前記判定手段により構造物の損傷が有りと判定された場合、前記表示手段は、損傷が検出された構造物の位置情報および/または損傷が検出された構造物における損傷エリアを表示する、
[22]に記載のシステム。
[24]前記撮像手段が、赤外線カメラを備えたロボットまたはドローンである、[21]~[23]のいずれか一項に記載のシステム。
[25]前記判定手段が、以前に同様の手法を用いて得られた撮像データに基づく機械学習により得た学習結果と、前記撮像手段により得られた画像とを自動的に対比することにより、前記構造物の損傷を検出する分析手段により自動化されている、[21]~[24]のいずれか一項に記載のシステム。
[26]前記判定手段が、フーリエ変換により、前記撮像手段により得られた画像を解析する画像解析手段を備える、[21]~[25]のいずれか一項に記載のシステム。
[27]前記画像解析手段は、構造物の損傷の有無、損傷の形状、損傷の大きさ、および損傷の深さからなる群から選択される1種以上の状態の解析を行う、[26]に記載のシステム。
[28]前記構造物 が、道路、鉄道、橋梁、トンネル、低層または高層建築物、風力タービン、堤防、ダムおよびパイプラインからなる群から選択される1種以上のインフラストラクチャーを含む、[15]に記載の構造物、[16]~[20]のいずれか一項に記載の方法、または[21]~[28]のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、コンクリート等からなる構造物の内部におけるクラック等の損傷をより簡便かつ高精度に検出することができる構造物用コーティング剤を提供できる。また、本発明の一態様によれば、当該構造物の耐久性を改善し得る構造物用コーティング剤も提供できる。さらに、本発明の一態様によれば、当該構造物用コーティング剤の塗布により形成された硬化物を含む構造物、構造物の損傷の検出方法、および構造物の健全性のモニタリングシステムも提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、実施例で用いた試験体の構造の概略図である。
図2は、実施例で用いた試験体A、BおよびCの写真または概略図である。
図3は、実施例で用いた圧力試験機、試験体並びに赤外線カメラおよび可視光カメラの写真である。
図4は、パッシブ計測による熱画像解析の結果を示すグラフである。
図5は、破壊試験後の試験体Bを赤外線カメラおよび可視光カメラを用いて撮像した画像である。
図6は、鉄筋の歪と発熱の関係の評価に用いた器具の概略図および試験系の概念図である。
図7は、破壊試験時の試験体内部の歪と鉄筋の発熱の関係並びに圧力と試験体表面の歪および温度の計測結果を示すグラフである。
図8は、本発明の一態様の構造物の健全性のモニタリングシステムの概念図である。
図9は、本発明の一態様の構造物の健全性のモニタリングシステムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載された数値範囲については、上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「好ましくは30~100、より好ましくは40~80」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。また、例えば、数値範囲として「好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは80以下である」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。
加えて、本明細書に記載された数値範囲として、例えば「60~100」との記載は、「60以上、100以下」という範囲であることを意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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