TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024125662
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-19
出願番号2023033628
出願日2023-03-06
発明の名称ブロック共重合体組成物、積層シート、および積層フィルム
出願人デンカ株式会社
代理人SK弁理士法人,個人,個人
主分類C08L 53/02 20060101AFI20240911BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】積層シートや積層フィルムの製造工程において、積層シートや積層フィルムの端切品を中間層に戻しながら積層シートや積層フィルムを製膜した場合においても、中間層と表裏層との層間接着強度が優れたものとすることができる、ブロック共重合体組成物を提供する。
【解決手段】ビニル芳香族系単量体単位と共役ジエン系単量体単位とを含むブロック共重合体を少なくとも1種含有する、ブロック共重合体組成物であって、前記ブロック共重合体の少なくとも1種は、その構造や分子量において特定の条件を満たすブロック共重合体Aであり、ブロック共重合体組成物100質量部に対しポリエチレンテレフタレート樹脂を25質量部含む基準樹脂組成物となした場合に、基準樹脂組成物の引張破壊呼び歪みが400%以上となり、基準樹脂組成物の曲げ弾性率が300MPa以上となり、基準樹脂組成物のガラス転移温度が110℃以下となる、ブロック共重合体組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ビニル芳香族系単量体単位と共役ジエン系単量体単位とを含むブロック共重合体を少なくとも1種含有する、ブロック共重合体組成物であって、
前記ブロック共重合体の少なくとも1種は、下記(i)~(iii)を満たすブロック共重合体Aであり、
前記ブロック共重合体組成物100質量部に対しポリエチレンテレフタレート樹脂を25質量部含む基準樹脂組成物となした場合に、
前記基準樹脂組成物の、JIS K7161に従い測定した引張破壊呼び歪みが、400%以上となり、
前記基準樹脂組成物の、JIS K7171に従い測定した曲げ弾性率が、300MPa以上となり、
前記基準樹脂組成物の、JIS K7244に従い測定したガラス転移温度が、110℃以下となる、
ブロック共重合体組成物。
(i)前記ブロック共重合体に含有される前記ビニル芳香族系単量体単位と前記共役ジエン系単量体単位の合計質量を100質量%とした場合に、前記共役ジエン系単量体単位を30質量%以上60質量%以下である
(ii)前記ブロック共重合体の重量平均分子量が5万以上20万以下である
(iii)前記ブロック共重合体が、以下の式(1)で示される構造を有する
(S1)

-(B1)

-(S2)
n
式(1)
[前記式(1)中、
(S1)および(S2)のそれぞれは、ビニル芳香族系単量体単位の含有率が85質量%以上100質量%以下の重合ブロックであり、
(B1)は、共役ジエン系単量体単位の含有率が90質量%以上100質量%以下の重合ブロックであり、
l、mおよびnのそれぞれは、1以上の整数であり、
(S1)ブロックと(S2)ブロックの質量比率がS1/S2=0.5~2.0である]
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
以下の式(2)で示される構造を有するブロック共重合体Bをさらに含有する、請求項1に記載のブロック共重合体組成物。
(S3)o-(R1)p-(B2)q-(R2)r-(S4)s 式(2)
[前記式(2)中、
(S3)および(S4)のそれぞれは、ビニル芳香族系単量体単位の含有率が95質量%以上100質量%以下の重合ブロックであり、
(B2)は、共役ジエン系単量体単位の含有率が90質量%以上100質量%以下の重合ブロックであり、
(R1)および(R2)のそれぞれは、ビニル芳香族系単量体単位の含有率が75質量%以上95質量%以下の重合ブロックであり、
o、p、q、rおよびsのそれぞれは、1以上の整数であり、
(S3)ブロックと(S4)ブロックの質量比率がS3/S4=0.5~2.0である]
【請求項3】
前記ブロック共重合体組成物100質量%に含有される、前記ブロック共重合体Aの含有量が、50~100質量%である、請求項1または請求項2に記載のブロック共重合体組成物。
【請求項4】
第一のポリエステル樹脂を羅に含有し、
前記ブロック共重合体組成物100質量部に対し、前記第一のポリエステル樹脂を5~30質量部の割合で含む、
請求項1または請求項2に記載のブロック共重合体組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のブロック共重合体組成物からなる第一の層と、前記第一の層に接着層を介さずに積層された第二のポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂組成物からなる第二の層とを含む、積層シート。
【請求項6】
JIS K6854に従い測定した、TD方向において引張速度500mm/minで、前記第一の層と前記第二の層を180度方向に剥離させたときの層間接着強度が4.0N/15mm以上である、請求項5に記載の積層シート。
【請求項7】
請求項4に記載のブロック共重合体組成物からなる第一の層と、前記第一の層の両面に接着層を介さずに積層された第二のポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂組成物からなる第二の層とを含み、少なくとも1方向に延伸してなる積層フィルム。
【請求項8】
JIS K6854に従い測定した、TD方向において引張速度500mm/minで、前記第一の層と前記第二の層を180度方向に剥離させたときの層間接着強度が0.8N/15mm以上である、請求項7に記載の積層フィルム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック共重合体組成物、積層シート、および積層フィルムに関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
ペットボトル容器のラベルには、ビニル芳香族系化合物と共役ジエン系化合物を重合してなるブロック共重合体を含有するブロック共重合体組成物から得られるシートやフィルムが広く用いられている。また、ポリエステル樹脂を表裏層とし、前記ブロック共重合体組成物を中間層とした積層シートや積層フィルムが提案されている。なお本明細書では、厚みの違いにおいて「シート」と「フィルム」の語を区別して用いるものでなく、両者をまとめて「フィルム」と称することもある。また延伸等の操作により厚みが変化する(薄くなる)場合、薄くなる前のものを「シート」と称することがある。
【0003】
積層シートや積層フィルムとしては、ポリエステル樹脂の表裏層とブロック共重合体組成物の中間層から構成され、これらの層間に接着層を介在させたものが知られている。(例えば、特許文献1)しかしながら、接着層を介在させた積層シートや積層フィルムでは、接着層を形成する工程が必要となるためにコスト高となり、また接着層がシートやフィルムの収縮に追従できずに剥離してしまうおそれもあった。
【0004】
他方、接着層を介在させない積層シートや積層フィルムにおいては、特定の樹脂を選択すること等によって、中間層と表裏層との間の層間接着強度を向上させることが提案されている。(例えば、特許文献2~5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6154765号
特許第6803751号
特許第5739814号
特許第6154706号
特開2012-210717号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、積層シートや積層フィルムの製造工程において、フィルム両端部を裁断して製品原反を得る際に、端材として残るフィルムの端切品を中間層に戻しながら積層シートや積層フィルムを製膜すると、中間層と表裏層との間の層間接着強度が低下してしまう問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ポリエステル樹脂の表裏層とブロック共重合体組成物の中間層から構成される積層シートや積層フィルムの製造工程において、積層シートや積層フィルムの端切品を中間層に戻しながら積層シートや積層フィルムを製膜した場合においても、中間層と表裏層との間の層間接着強度に優れたものとすることができる、ブロック共重合体組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が鋭意検討を行ったところ、
ビニル芳香族系単量体単位と共役ジエン系単量体単位とを含むブロック共重合体を少なくとも1種含有する、ブロック共重合体組成物であって、
前記ブロック共重合体の少なくとも1種は、
前記ブロック共重合体に含有される前記ビニル芳香族系単量体単位と前記共役ジエン系単量体単位の合計質量を100質量%とした場合に、前記共役ジエン系単量体単位の含有量の範囲、前記ブロック共重合体の重量平均分子量の範囲、及び前記ブロック共重合体の構造に関する要件を満たすブロック共重合体Aであり、
前記ブロック共重合体組成物100質量部に対しポリエチレンテレフタレート樹脂を25質量部含む基準樹脂組成物となした場合に、前記基準樹脂組成物が示す引張破壊呼び歪み、曲げ弾性率、及びガラス転移温度の範囲が所定の条件を満たすことによって、積層シートや積層フィルムの製造工程において、積層シートや積層フィルムの端切品を中間層に戻しながら積層シートや積層フィルムを製膜した場合においても、中間層と表裏層との間の層間接着強度に優れたものとすることができる、ブロック共重合体組成物が得られることを見出し、本発明の完成に到った。
【0009】
以下の発明が提供される。
[1] ビニル芳香族系単量体単位と共役ジエン系単量体単位とを含むブロック共重合体を少なくとも1種含有する、ブロック共重合体組成物であって、
前記ブロック共重合体の少なくとも1種は、下記(i)~(iii)を満たすブロック共重合体Aであり、
前記ブロック共重合体組成物100質量部に対しポリエチレンテレフタレート樹脂を25質量部含む基準樹脂組成物となした場合に、
前記基準樹脂組成物の、JIS K7161に従い測定した引張破壊呼び歪みが、400%以上となり、
前記基準樹脂組成物の、JIS K7171に従い測定した曲げ弾性率が、300MPa以上となり、
前記基準樹脂組成物の、JIS K7244に従い測定したガラス転移温度が、110℃以下となる、
ブロック共重合体組成物。
(i)前記ブロック共重合体に含有される前記ビニル芳香族系単量体単位と前記共役ジエン系単量体単位の合計質量を100質量%とした場合に、前記共役ジエン系単量体単位を30質量%以上60質量%以下である
(ii)前記ブロック共重合体の重量平均分子量が5万以上20万以下である
(iii)前記ブロック共重合体が、以下の式(1)で示される構造を有する
(S1)

-(B1)

-(S2)
n
式(1)
[前記式(1)中、
(S1)および(S2)のそれぞれは、ビニル芳香族系単量体単位の含有率が85質量%以上100質量%以下の重合ブロックであり、
(B1)は、共役ジエン系単量体単位の含有率が90質量%以上100質量%以下の重合ブロックであり、
l、mおよびnのそれぞれは、1以上の整数であり、
(S1)ブロックと(S2)ブロックの質量比率がS1/S2=0.5~2.0である]
[2] 以下の式(2)で示される構造を有するブロック共重合体Bをさらに含有する、[1]に記載のブロック共重合体組成物。
(S3)o-(R1)p-(B2)q-(R2)r-(S4)s 式(2)
[前記式(2)中、
(S3)および(S4)のそれぞれは、ビニル芳香族系単量体単位の含有率が95質量%以上100質量%以下の重合ブロックであり、
(B2)は、共役ジエン系単量体単位の含有率が90質量%以上100質量%以下の重合ブロックであり、
(R1)および(R2)のそれぞれは、ビニル芳香族系単量体単位の含有率が75質量%以上95質量%以下の重合ブロックであり、
o、p、q、rおよびsのそれぞれは、1以上の整数であり、
(S3)ブロックと(S4)ブロックの質量比率がS3/S4=0.5~2.0である]
[3] 前記ブロック共重合体組成物100質量%に含有される、前記ブロック共重合体Aの含有量が、50~100質量%である、[1]または[2]に記載のブロック共重合体組成物。
[4] 第一のポリエステル樹脂を羅に含有し、
前記ブロック共重合体組成物100質量部に対し、前記第一のポリエステル樹脂を5~30質量部の割合で含む、
[1]または[2]に記載のブロック共重合体組成物。
[5] [4]に記載のブロック共重合体組成物からなる第一の層と、前記第一の層に接着層を介さずに積層された第二のポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂組成物からなる第二の層とを含む、積層シート。
[6] JIS K6854に従い測定した、TD方向において引張速度500mm/minで、前記第一の層と前記第二の層を180度方向に剥離させたときの層間接着強度が4.0N/15mm以上である、[5]に記載の積層シート。
[7] [4]に記載のブロック共重合体組成物からなる第一の層と、前記第一の層の両面に接着層を介さずに積層された第二のポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂組成物からなる第二の層とを含み、少なくとも1方向に延伸してなる積層フィルム。
[8] JIS K6854に従い測定した、TD方向において引張速度500mm/minで、前記第一の層と前記第二の層を180度方向に剥離させたときの層間接着強度が0.8N/15mm以上である、[7]に記載の積層フィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明のブロック共重合体組成物は、積層シートや積層フィルムの製造工程において、積層シートや積層フィルムの端切品を中間層に戻しながら積層シートや積層フィルムを製膜した場合においても、中間層と表裏層との間の層間接着強度に優れたものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

デンカ株式会社
アクチュエータ
11日前
デンカ株式会社
組成物
13日前
デンカ株式会社
ブロック共重合体組成物、積層シート、および積層フィルム
4日前
デンカ株式会社
球状金属Siフィラー、及びその製造方法、並びに樹脂組成物
3日前
デンカ株式会社
球状金属Siフィラー、及びその製造方法、並びに樹脂組成物
3日前
デンカ株式会社
Al含有球状金属Siフィラー、及びその製造方法、並びに樹脂組成物
3日前
東レ株式会社
フィルム
11日前
日精株式会社
プリプレグ
1か月前
東ソー株式会社
ゴム組成物
21日前
東レ株式会社
フィルムロール
14日前
東レ株式会社
多孔質フィルム
25日前
東ソー株式会社
エチレン系重合体
3日前
東レ株式会社
ポリエステルフィルム
11日前
東レ株式会社
ポリオレフィン微多孔膜
1か月前
東ソー株式会社
エチレン系重合用触媒
28日前
JNC株式会社
白色熱硬化性樹脂組成物
4日前
株式会社スリーボンド
導電性樹脂組成物
20日前
松本油脂製薬株式会社
粒子及びその用途
1か月前
株式会社大阪ソーダ
熱伝導用素材組成物
13日前
株式会社カネカ
液状ポリオレフィン組成物
3日前
東ソー株式会社
ポリエチレン系樹脂組成物
1か月前
四国化成工業株式会社
難燃剤及びその用途
1か月前
愛媛県
リサイクル炭素繊維の回収方法
3日前
トヨタ自動車株式会社
ホイールキャップ
21日前
信越ポリマー株式会社
アロイ樹脂
1か月前
豊田合成株式会社
使用済樹脂の再生方法
3日前
帝人株式会社
熱可塑性樹脂および光学部材
25日前
三井化学ファイン株式会社
発泡通気シート
27日前
東京インキ株式会社
食品容器用マスターバッチ
1か月前
旭化成株式会社
ゴム組成物
1か月前
横浜ゴム株式会社
ゴム組成物
24日前
株式会社カネカ
樹脂組成物、成形体および樹脂フィルム
1か月前
東ソー株式会社
水酸基含有塩素化ポリオレフィン組成物
1か月前
東レ株式会社
熱可塑性エラストマー組成物および成形品
14日前
東ソー株式会社
樹脂用改質材及びそれを含む樹脂組成物
3日前
株式会社カネカ
樹脂組成物、成形体および樹脂フィルム
27日前
続きを見る