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公開番号2024123193
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-10
出願番号2024101633,2021508285
出願日2024-06-25,2019-08-30
発明の名称ウイルスを生成する方法及び組成物
出願人オックスフォード ユニバーシティ イノベーション リミテッド,OXFORD UNIVERSITY INNOVATION LIMITED
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 15/861 20060101AFI20240903BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】ワクチンとして使用するための所望の異種遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルスを生成する方法を提供する。
【解決手段】インビトロでの組換え反応において、末端タンパク質複合体化アデノウイルスゲノムDNA(TPC-Ad gDNA)を、所望の遺伝子をコードし、アデノウイルスゲノムDNAの挿入部位配列に相同な5’及び3’末端を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと組み換えることによって、所望の異種遺伝子をアデノウイルスゲノムに挿入するステップを含む方法を開示する。適切には、前記TPC-Ad gDNAは、血清型が一致した末端タンパク質及びアデノウイルスゲノムを含み、前記所望の遺伝子は、単一のエピトープ、一連のエピトープ、抗原のセグメント、又は完全な抗原タンパク質をコードする。本発明はまた、これらの方法を使用して生成された組換えアデノウイルス及び組成物に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ワクチンとして使用するための所望の異種遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルスを生成する方法であって、
(i)インビトロでの組換え反応において、末端タンパク質複合体化アデノウイルスゲノムDNA(TPC-Ad gDNA)を、前記所望の遺伝子をコードし、かつアデノウイルスゲノムDNAの挿入部位配列に相同な5’及び3’末端を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと組み換えることによって、前記所望の異種遺伝子を前記アデノウイルスゲノムに挿入するステップ、
(ii)個々の容器中で増殖している細胞に、そのような個々の容器の多数が前記所望の異種遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルスに感染した単一細胞を含有するように、(i)からの前記インビトロでの組換え反応混合物の希釈物をトランスフェクトするステップ、及び
(iii)単一細胞が、前記所望の異種遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む前記組
換えアデノウイルスに感染した、これらの個々の容器を同定するステップ
を含む、前記方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、感染性病原体抗原及びがんと関連する腫瘍抗原を含む異種抗原に対する免疫応答、適切には、防御免疫応答の誘導において使用するための組換えアデノウイルスの迅速な生成(generation)に関する。
続きを表示(約 5,000 文字)【背景技術】
【0002】
ヒトセロタイプ5アデノウイルス(HAdV-C5)若しくはその他のヒトアデノウイルス又はサルアデノウイルスのいずれかに由来する複製不全アデノウイルスベクターが、複数の臨床試験において、感染性病原体抗原及びがん抗原を送達するためのワクチンベクターとして使用されている(Ewer et al. (2017) Hum Vaccin Immunother. 13(12):3020-3032;及びCappuccini et al. (2016) Cancer Immunol Immunother. 65(6):701-13.)。これらのベクターは、ワクチン開発に関して;ヒトにおいて複製不能であるため、複製ベクターより安全である;複製及び非複製細胞に感染する;幅広い組織親和性を有し、特に、強力な細胞性免疫を含む、高い免疫応答を誘発する;高力価まで容易に精製される(Morris et al. (2016) Future Virology 11(9), 649-659)という多数の利点を提供する。バ
クテリオファージλ Red組換え(リコンビニアリング)技術と結びついた細菌人工染色体(BAC、bacterial artificial chromosome)の出現によって、アデノウイルスゲ
ノムのクローニング及び操作は容易となった(Ruzsics Z., Lemnitzer F., Thirion C. (2014) Engineering Adenovirus Genome by Bacterial Artificial Chromosome (BAC) Technology. In: Chillon M., Bosch A. (eds) Adenovirus. Methods in Molecular Biology
(Methods and Protocols), vol 1089. Humana Press, Totowa, NJ)。発現カセットの迅速な挿入のための組換え技術と組み合わさったこの技術が、目下、アデノウイルスベクターの生成に使用されている。しかしながら、この手法及び伝統的な製造方法を使用すると、抗原同定から、臨床グレードのアデノウイルスベクターを得るまでにかかる時間は、平均で33~44週間である(図1)。ワクチンとして使用するための組換えウイルスの調製には、まず組換えウイルスを許容細胞に感染させ、次いでレスキューした後、組換えウイルスのクローニングを必要とする、pre-GMP(pre-Good Manufacturing Practice)の出発物質の生成が含まれる。これは、時間のかかる方法であり、クロラムフェニコ
ール遺伝子(標準的なアデノウイルスゲノム操作法において細菌人工染色体(BAC)選択のために使用される)のアデノウイルスゲノムへの挿入の潜在性、及びBAC由来アデノウイルスゲノムから産生されたウイルスベクターの不均一性を理由に、それぞれに5週間かかるクローニングを3回も必要とする。BACを使用する場合、細菌における操作を通して導入された可能性があるいかなるアデノゲノム中の変異も、アデノウイルスに持ち越されることとなる。この問題は、アデノウイルスゲノムDNAが、組換えアデノウイルスの生成を始める前に既にクローン化され、特徴付けされており、したがって正しいものであることがわかっている本発明の方法において対処される。その結果として、これまで特徴付けとして行ってきたアデノウイルスゲノムDNAの配列決定は、必要でない。
【0003】
Hillgenberg及び共同研究者ら(Journal of Virology 80(11) (2006) 5435-5450)、また、彼らとは別にChoi及び共同研究者ら(Journal of Biotechnology 162 (2012) 246-252)が、シャトルベクター構築、細菌形質転換、及び選択の必要性を除き、プラーク
分離に必要な手間を減らしたリコンビニアリング手法を使用する、組換えアデノウイルスの迅速な大量生成方法を説明している。しかしながら、これらの著者らは、多数の様々な異種遺伝子を発現する組換えアデノウイルスの集団を生成することを試みており、ワクチンとしての使用のために、彼らの方法で単一の組換えウイルスの迅速で簡単なクローニングを実現することはできなかった。GMP製造に関連した規制のもとでのアデノウイルスワクチンの臨床使用、及びそのようなワクチンの臨床使用のためには、単一のクローンが
必要である。
【0004】
さらに最近になって、Miciak及び共同研究者ら(PLoS ONE 13(6) (2018) e0199563)が、インビトロで、幾つかの断片からアデノウイルスゲノムをアセンブリーさせ、次いで細胞にトランスフェクトする方法を説明した。こちらの研究者らもまた、組換えウイルスの分離後に、クローン選択法の実施を必要としない、クローン化された単一の組換えウイルスを産する方法を作出することはできなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Ewer et al. (2017) Hum Vaccin Immunother. 13(12):3020-3032
Cappuccini et al. (2016) Cancer Immunol Immunother. 65(6):701-13.
Morris et al. (2016) Future Virology 11(9), 649-659
Ruzsics Z., Lemnitzer F., Thirion C. (2014) Engineering Adenovirus Genome by Bacterial Artificial Chromosome (BAC) Technology. In: Chillon M., Bosch A. (eds) Adenovirus. Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols), vol 1089. Humana Press, Totowa, NJ
Journal of Virology 80(11) (2006) 5435-5450
Journal of Biotechnology 162 (2012) 246-252
PLoS ONE 13(6) (2018) e0199563
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来技術には、ワクチンとして使用するための組換えアデノウイルスの迅速な生成に適切である方法はない。本発明は、4週間未満で複製不全アデノウイルスベクターの小規模の臨床グレードバッチを生成する新規方法(図2)を提供することによって、この課題に対処し、克服し、従来技術の方法に伴う問題を克服しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アデノウイルスは、長さが26~46kbの線状二本鎖DNA(dsDNA)ゲノムを有する非エンベロープウイルスである。アデノウイルスゲノムDNAは、裸のDNAとして許容細胞にトランスフェクトさせると感染する。しかしながら、同じアデノウイルス由来の55kDa末端タンパク質(TP;terminal protein)と複合体を形成しているヒトAd-5(HAdV-C5)ゲノムDNA(gDNA)を許容細胞にトランスフェクトさせると、裸のDNAと比較して100~1000倍のウイルスプラークが産生されることが報告されている。このTPは、細胞のエキソヌクレアーゼによる消化からウイルスgDNAを保護し、DNA複製開始のためのプライマーとして作用し、DNAポリメラーゼとヘテロ二量体を形成する。DNAポリメラーゼは、最初のdCTPをHAdV-C5 TPのSer-580と共有結合させる。ヒトアデノウイルスTPは、タンパク質を含まない鋳型と比較して鋳型活性を20倍以上高めることによってヒトアデノウイルス複製を増強する。これは、その他の複製因子の結合を可能にする、複製開始点におけるわずかな変化によるものである。TPはまた、HAdV-C5ゲノムDNA-宿主核マトリックス会合を媒介することによって転写を促進する。
【0008】
本発明者らは、現在好まれているサルアデノウイルスベクターに焦点を絞って、トランスフェクトされたTPC-アデノウイルスgDNA(TPC-Ad gDNA)がプラークを増産するという特性を、既存の組換え技術と組み合わせて利用して、臨床グレードのアデノウイルスワクチンベクターを生成することを試みた。
【0009】
アデノウイルス生成及び製造に先だって、TPC-Ad gDNAを分離及び精製し、均一性を試験し、保存することが可能である。この手法では、細菌でアデノウイルスgDNAを増殖させる必要性が除かれているため、クロラムフェニコール遺伝子(BAC選択のために使用される)のアデノウイルスゲノムへの挿入の潜在性、及び細菌宿主における複数回の増幅の後に生じ得るウイルスゲノムの不均一性の潜在性が回避される。細胞にTPC-Ad gDNAをトランスフェクトした後、生成プラーク数を増やすことによって、少数の組換えアデノウイルスゲノムしか生成されない場合の組換えウイルスのレスキューを成功させることが可能となり、さらに、得られた組換えアデノウイルスを、製造プロセスの非常に早い段階において迅速且つ容易にクローン化することが可能となる。本発明者らは、ウイルス生成及び製造プロセスを簡略化し、その結果、注目すべきことに、ワクチンとして使用するための組換えアデノウイルスをわずか28日ほどで生成し、製造することを可能にした。このワクチン生成時間の短縮化は、i)治療的免疫化による悪性腫瘍のより迅速な治療のための、個別化がんワクチンの迅速な生成が可能となること、ii)新規の流行に直面した際、突発的に発生した新規の病原体に対するワクチンをより迅速に生成して、より迅速により多量のワクチンの製造及び生成が可能となること、及びiii)高
価なGMP(good manufacturing practice)製造設備においてかかる時間の著しい削減
による、設備にかかる製造コストの削減など、多くの利点をもたらすることとなる。
【0010】
第1の態様において、本発明は、ワクチンとして使用するための所望の異種遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルスを生成する方法であって、(i)インビトロでの組換え反応において、末端タンパク質複合体化アデノウイルスゲノムDNA(terminal protein complexed adenovirus genomic DNA;TPC-Ad gDNA)
を、所望の遺伝子をコードし、アデノウイルスゲノムDNAの挿入部位配列に相同なその5’末端の少なくとも15bp及びその3’末端の少なくとも15bpを有するヌクレオチド配列を含む合成DNAで組み換えることによって、所望の異種遺伝子をアデノウイルスゲノムに挿入するステップ、(ii)個々の容器中で増殖している細胞に、そのような個々の容器の多数が所望の異種遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルスに感染している単一細胞を含有するように、(i)からのインビトロでの組換え反応混合物の希釈物をトランスフェクトするステップ、並びに(iii)単一細胞が所望の異
種遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルスに感染している、これらの個々の容器を同定するステップを含む方法を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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