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公開番号
2024117109
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-29
出願番号
2023023010
出願日
2023-02-17
発明の名称
単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウムナノ粒子の製造方法
出願人
国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C01G
31/02 20060101AFI20240822BHJP(無機化学)
要約
【課題】より簡便に、かつ、汎用のマイクロ波照射装置で設定可能な低い処理温度下でも、結晶性の高い単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウムナノ粒子を製造することができる方法を提供する。
【解決手段】薄片状の二酸化バナジウム水和物を含有する原料液に、マイクロ波を照射して水熱反応させて、単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウムナノ粒子を製造する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
薄片状の二酸化バナジウム水和物を含有する原料液に、マイクロ波を照射して水熱反応させる、単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウムナノ粒子を製造する方法。
続きを表示(約 810 文字)
【請求項2】
前記薄片状の二酸化バナジウム水和物は、層状構造を有し、CuKα
1
線を用いた粉末X線回折(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=6°~9°の間に最大ピークが現れる、請求項1に記載の単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウムナノ粒子を製造する方法。
【請求項3】
前記水熱反応を、270℃以下の温度で1秒以上10時間以下保持して行う、請求項1又は2に記載の単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウムナノ粒子を製造する方法。
【請求項4】
前記単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウムナノ粒子は、平均粒径が10nm以上50nm以下、粒径の変動係数(粒径の標準偏差/平均粒径)が0.5以下であり、CuKα
1
線を用いた粉末X線回折(XRD)により測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=27.8°±1.0°に現れるピークの強度(IA)と、2θ=37.0°±1.0°に現れるピークの強度(IB)との比(IA/IB)が1以上3以下である、請求項1に記載の単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウムナノ粒子を製造する方法。
【請求項5】
前記薄片状の二酸化バナジウム水和物は、二酸化バナジウムの相転移温度を変化させる異種元素が添加されている、請求項1又は2に記載の単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法。
【請求項6】
前記異種元素が、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、スズ、レニウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ゲルマニウム、クロム、鉄、ガリウム、アルミニウム、フッ素、チタン、ケイ素、マグネシウム、スカンジウム、及びリンからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素である、請求項5に記載の単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウム粒子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、単斜晶型の結晶構造を有する二酸化バナジウムナノ粒子を製造する方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
バナジウムの酸化物には、VO、VO
2
、V
4
O
9
、V
2
O
3
、V
6
O
13
、V
3
O
7
、V
2
O
5
など様々な酸化数のものが存在する。また、4価バナジウムの酸化物であるVO
2
には、A相、B相、D相、M相、R相などの様々な結晶相が存在する。
【0003】
これらのうち、単斜晶(モノクリニック)構造を有するM相のVO
2
(以下、「VO
2
(M)」と記載することがある。)は、価電子同士がクーロン斥力により互いに反発し合い、自由に動くことができない絶縁体状態にあるが、相転移温度(68℃)を境として可逆的な金属-絶縁体相転移を起こす。相転移温度以上になると、VO
2
は、構成元素のイオン半径が増加することで結晶構造に歪みが生じて正方晶系ルチル型構造を有するR相となり、電子が波動性を回復して金属状態となる。
【0004】
この金属-絶縁体相転移に起因して、VO
2
(M)は、近赤外光の透過率が、高温において低くなり、低温において高くなる、サーモクロミック特性を示す。
このことから、VO
2
(M)を用いて形成した透明性のフィルム又は膜を窓部材表面に設けることで、夏はジリジリとする太陽熱が入りにくく、冬はポカポカとした太陽熱を取り入れる、快適性と省エネ性とを両立した窓部材とすることができる。
【0005】
サーモクロミック特性に優れると共に、窓部材に要求される高い可視光透過性を実現するためには、VO
2
(M)粒子の小径化と高結晶品質化の両立が必須である。
こうしたVO
2
(M)粒子を得る方法として、「水熱反応」を用いた粒子合成が適していることが広く知られている。
ここで、「水熱反応」とは、温度100℃以上、圧力1気圧以上の熱水存在下で行われる化学合成処理(水熱処理)において起こる化学反応をいう。
【0006】
特許文献1には、5価バナジウム酸化物原料とヒドラジン等の還元剤との混合水溶液を用い、250℃~350℃、1時間~5日で水熱反応処理することにより、VO
2
(M)のナノ粒子を合成する技術が開示されている。
【0007】
非特許文献1には、5価ではなく4価のバナジウム化合物を含む溶液を用いてVO
2
(M)粒子を水熱合成する方法として、酸化硫酸バナジウム(VOSO
4
)を含む水溶液にヒドラジン一水和物を滴下混合した後、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を添加してpH値を7になるように調整して前駆溶液とせしめ、240℃で36時間の水熱反応をさせることで粒径の小さなVO
2
(M)ナノ粒子を作製すること、及び該ナノ粒子表面にシリカコートを行って保護層を形成し、600℃で20分間、窒素雰囲気中でのポストアニール処理を施す技術が開示されている。
【0008】
非特許文献2には、五酸化バナジウム(V
2
O
5
)をシュウ酸(H
2
C
2
O
4
)水溶液に加えてVO
2+
を生成し、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を加えてpH値を7になるように調製した後に、さらに適量のアンモニア(NH
3
・H
2
O)を加えて前駆溶液とせしめ、280℃で6~24時間水熱反応させると、まずシート状の(NH
4
)
2
V
4
O
9
が生成され、さらに水熱反応を続けることで該シート状の(NH
4
)
2
V
4
O
9
の分解により、VO
2
(M)ナノ粒子が得られることが開示されている。
【0009】
以上の文献には、水熱反応をオートクレーブ内で行うことが開示されている。一方、特許文献2には、オキシ水酸化バナジウム(VO(OH)
2
)を含有し、かつ室温での電気伝導率が10mS/cm以下である原料液に、2.45GHzのマイクロ波を照射して水熱反応させることで、粒径が小さく、粒径が均一で、高結晶のVO
2
(M)ナノ粒子を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特許第5548479号公報
特許第7145506号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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