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公開番号2025081788
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-28
出願番号2022052814
出願日2022-03-29
発明の名称ケイ素化合物水溶液の製造方法
出願人ケイワート・サイエンス株式会社
代理人弁理士法人たかはし国際特許事務所
主分類C01B 33/00 20060101AFI20250521BHJP(無機化学)
要約【課題】石、礫、砂等に含有されている二酸化ケイ素を原料にせず、特定の植物の特定の部位を原料として、簡便に効率よく低エネルギーで、ケイ素化合物水溶液等を製造する方法、及び、該製造方法で製造されたケイ素化合物水溶液等を提供すること。
【解決手段】籾殻に含有される水溶性ケイ素化合物を、該水溶性ケイ素化合物の化学構造を維持したまま抽出するケイ素化合物水溶液の製造方法であって、
該籾殻のクチクラ層を破壊させるクチクラ分解酵素の存在下で該籾殻を処理してから、又は、該酵素の存在下で該籾殻を処理しながら、20℃以上180℃以下の水で、該籾殻に存在している水溶性ケイ素化合物を水に抽出するケイ素化合物水溶液の製造方法;該水溶性ケイ素化合物を含有する飲食品の製造方法;該水溶性ケイ素化合物を含有する筋肉、血管又は骨の障害予防改善剤の製造方法;それらの製造方法で得られるケイ素化合物水溶液;飲食品;筋肉、血管又は骨の障害予防改善剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
籾殻に含有される水溶性ケイ素化合物を、該水溶性ケイ素化合物の化学構造を維持したまま抽出するケイ素化合物水溶液の製造方法であって、
該籾殻のクチクラ層を破壊させるクチクラ分解酵素の存在下で該籾殻を処理してから、又は、該酵素の存在下で該籾殻を処理しながら、20℃以上180℃以下の水で、既に該籾殻に存在している水溶性ケイ素化合物を水に抽出することを特徴とするケイ素化合物水溶液の製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記クチクラ層を破壊させるクチクラ分解酵素が、花粉に含有されているタンパク質、又は、植物に病気を起こさせる微生物が有しているタンパク質である請求項1に記載のケイ素化合物水溶液の製造方法。
【請求項3】
前記クチクラ分解酵素が、ミツバチ花粉団子に含有されているものである請求項1又は請求項2に記載のケイ素化合物水溶液の製造方法。
【請求項4】
抽出直後の前記水溶性ケイ素化合物の濃度が、抽出直後のケイ素化合物水溶液全体に対して、ケイ素原子の含有量に換算して10質量ppm以上になるように抽出する請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載のケイ素化合物水溶液の製造方法。
【請求項5】
更に、前記抽出後に、籾殻に含有されている、リグニン、及び/又は、着色成分若しくは籾殻臭成分を、燃焼又は炭化以外の方法で除去する請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のケイ素化合物水溶液の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のケイ素化合物水溶液の製造方法で製造したケイ素化合物水溶液を用い、該ケイ素化合物水溶液中のケイ素化合物の水溶性を現出する化学構造を維持したまま製造することを特徴とする水溶性ケイ素化合物含有飲食品の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の水溶性ケイ素化合物含有飲食品の製造方法を用いることを特徴とする、筋肉、血管又は骨の障害予防改善剤の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のケイ素化合物水溶液の製造方法で製造されたケイ素化合物水溶液を用いて、白色ゲル状ケイ酸(H

SiO

)、シリカゲル(SiO

・mH

O(mは自然数))、ケイ酸塩(M

SiO

(Mは1価又は2価の金属、nは2又は1))、二酸化ケイ素(SiO

)、フルオロケイ酸(H

SiF

)、又は、単体ケイ素(Si)を合成することを特徴とする単体ケイ素又はケイ素含有物の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のケイ素化合物水溶液の製造方法で製造されたものであることを特徴とするケイ素化合物水溶液。
【請求項10】
請求項6に記載のケイ素化合物含有飲食品の製造方法で製造されたものであることを特徴とする水溶性ケイ素化合物含有飲食品。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、籾殻を原料としたケイ素化合物水溶液の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、抽出前に籾殻に特定の処理をしてから、又は、処理しながら、水溶性ケイ素化合物を水に抽出するケイ素化合物水溶液の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
籾殻には多くの「ケイ素元素(Si)を分子内に有するケイ素化合物」が含有されていることが知られている。
【0003】
特許文献1には、籾殻灰と石灰原料を水に懸濁して反応させて得られたケイ酸カルシウム水和物結晶を、成型して乾燥させる、耐火断熱材の製造方法が記載されている。
しかし、特許文献1では、籾殻を酸化雰囲気化で、例えば600℃に加熱して燃焼・灰化させることで、白色で非晶質の籾殻灰を得て、それを原料としている(特許文献1の請求項1、実施例1等)。
【0004】
また、特許文献2には、酸化性物質を含む水系溶液に、籾殻を浸漬し、酸素存在下に加熱して酸化させるアモルファスシリカの製造方法が記載されている。
しかし、特許文献2では、籾殻を空気の存在下において、加熱することによって酸化し、籾殻中の有機材料を十分に減少させ、それを原料としている(特許文献2の請求項9、[0010]、[0016]、[0020]等)。
【0005】
特許文献3には、籾殻をアルコール等の水性溶媒で抽出した抽出物等を有効成分とするキノコ菌糸生長促進及び子実体形成促進剤が記載されている。
しかし、特許文献3は、籾殻中の有機物質を生長促進等に利用しているのであって、ケイ素(Si)と言う元素には全く着目しておらず、ケイ素(Si)を積極的に抽出するものではなかった。すなわち、ケイ素化合物の取得を目的とする発明ではなかった。
【0006】
また、特許文献4には、籾殻灰をケイ酸塩前駆体と反応させて、特定のモル比を有するケイ酸塩の製造法が記載されている。
しかし、特許文献4も、原料として籾殻灰を使用しているのであって(特許文献4の請求項1等)、籾殻に存在する水溶性ケイ素化合物の状態で抽出すると言う技術思想については記載も示唆もない。
【0007】
特許文献5には、籾殻を焼成して得られるシリカ灰を、C/Siのモル比が0.2以上2.0以下となるように混合して原料を製造し、該原料に不活性ガス雰囲気下でマイクロ波を照射することにより前記原料を加熱し、シリカを還元して金属シリコンを得る製造方法が記載されている。
しかし、特許文献5では、籾殻を焼成して得られるシリカ灰を得て、それを原料としている(特許文献5の請求項1、[0050]実施例1等)。
【0008】
一方、ケイ素含有物である二酸化ケイ素は、主に石英として、石や礫に存在しており、中でも、大きく透明な結晶を水晶と言って、砂状になったものをケイ砂と言って、種々の用途に利用されている。また、二酸化ケイ素を高温で加熱し、一旦融解させて得られる石英ガラスも、種々の用途に利用されている。
また、電子材料等に使用されるケイ素(Si)は、天然に存在する石英やケイ砂(主成分はSiO

)を原料とし、コークス等と共に加熱することにより、化学反応:SiO

+2C→Si+2COによって得られている。
また、化学反応:SiO

+2NaOH→Na

SiO

+H

Oで得られるケイ素含有物は、水ガラスとして種々の製品の原料として使用されている。
【0009】
このように、現在、ケイ素含有物は、殆どが天然の岩や礫や砂に含まれるSiO

に対して化学反応や物理反応をさせて得ており、また、単体ケイ素やケイ素含有物は、それらを融解させて上記反応式を利用して得ている。
【0010】
実際、「ケイ素(Si)に全く着目していない特許文献3」を除いては、全ての先行技術は、籾殻を空気中で燃焼し灰化し、二酸化ケイ素(SiO

)等の非水溶性無機物としてから、(抽出等の)原料としている。
すなわち、従来技術では、「ケイ素含有物が無機物であること」に固執するあまり、また、「ケイ素(Si)の無機材料への応用」に固執するあまり、原料である籾殻を、燃焼させて灰化させたり、炭化させたりしてしまい、ケイ素(Si)を、「籾殻と言う植物由来物に本来含有されている水溶性物質」の形態を崩さずに取り出そうとした発想はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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