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公開番号2024107818
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-09
出願番号2023011937
出願日2023-01-30
発明の名称ビタミン濃度の測定方法
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所,ウシオ電機株式会社,長崎県
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類G01N 21/64 20060101AFI20240802BHJP(測定;試験)
要約【課題】簡易な方法で精度よく血中のビタミン濃度を測定することのできる方法を提供する。
【解決手段】この方法は、検査対象動物内の血液中に含まれるビタミン濃度を測定する方法であって、検査対象動物から採取された血液と、生理食塩水と、脂溶性ビタミンを抽出する抽出溶媒とを含み、エタノールを含まない混合液を得る工程(a)と、混合液を撹拌する工程(b)と、混合液又は混合液の上清が収容された測定容器を光源と受光器との間の光路上に配置し、光源から測定容器に向けて光を照射して受光器で受光した光強度を測定する工程(c)と、光強度に基づいて液中のビタミン濃度を算定する工程(d)とを有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
検査対象動物内の血液中に含まれるビタミン濃度を測定する方法であって、
前記検査対象動物から採取された血液と、生理食塩水と、脂溶性ビタミンを抽出する抽出溶媒とを含み、エタノールを含まない混合液を得る工程(a)と、
前記混合液を撹拌する工程(b)と、
前記工程(b)の実行後に、前記混合液又は前記混合液の上清が収容された測定容器を光源と受光器との間の光路上に配置し、前記光源から前記測定容器に向けて光を照射して、前記受光器で受光した光強度を測定する工程(c)と、
前記光強度に基づいて前記血液中のビタミン濃度を算定する工程(d)とを有することを特徴とする、ビタミン濃度の測定方法。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
前記抽出溶媒は、非極性溶媒及び/又は極性非プロトン性溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載のビタミン濃度の測定方法。
【請求項3】
前記工程(a)は、
前記血液を前記生理食塩水で希釈する工程(a1)と、
前記工程(a1)で得られた希釈血液と前記抽出溶媒とを混合する工程(a2)とを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のビタミン濃度の測定方法。
【請求項4】
前記工程(b)は、前記混合液が収容された収容容器を振盪する工程であり、
前記工程(b)の後、前記収容容器内に収容されている前記混合液の上清を抽出して前記測定容器に分注する工程(e)を有し、
前記工程(c)は、前記測定容器内に収容された前記上清に向けて前記光源から光を照射する工程であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のビタミン濃度の測定方法。
【請求項5】
前記工程(b)は、前記収容容器を水平方向に振盪する工程であることを特徴とする、請求項4に記載のビタミン濃度の測定方法。
【請求項6】
前記工程(a)の前に、非ヒト動物である前記検査対象動物から前記血液を採取する工程(f)を有し、
前記工程(f)、前記工程(a)、前記工程(b)、及び前記工程(c)が、前記検査対象動物が存在する敷地内で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のビタミン濃度の測定方法。
【請求項7】
前記生理食塩水は、リン酸緩衝生理食塩水であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のビタミン濃度の測定方法。
【請求項8】
前記工程(c)は、前記光源から発せられた300nm~350nmの波長域に属する励起光を前記測定容器内に収容された液体に照射し、前記液体から発せられた400nm~600nmの波長域に属する蛍光を前記受光器で受光する工程を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のビタミン濃度の測定方法。
【請求項9】
前記検査対象動物は、肥育牛であり、
前記脂溶性ビタミンは、ビタミンAであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のビタミン濃度の測定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミン濃度の測定方法に関し、特に血中のビタミン濃度の測定方法に関する。
続きを表示(約 1,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来、畜産分野では、飼育牛を初めとする家畜の栄養状態を把握するために、血中のビタミン濃度を測定することが行われている。
【0003】
飼育牛の血中ビタミンAの濃度の測定方法としては、従来、HPLC法が広く利用されてきた。しかしながら、HPLC法では、装置等が大型で測定が大がかりとなることから、通常、獣医等が肥育現場で採取した血液サンプルが検査機関等に送られ、検査機関において測定される。そのため、検体である血液の採取からビタミンA濃度の測定結果が得られるまでに時間がかかってしまい、適切なタイミングで肥育牛のビタミンAの制御ができないという課題があった。
【0004】
このような事情により、血液を採取した時点から、あまり時間をかけずに肥育牛の血中ビタミンAの濃度を認識できる技術が求められている。
【0005】
特許文献1には、家畜より抽出された血液に、エタノール等のたんぱく変性液とヘキサン等の脂溶成分抽出溶媒とを混合して撹拌した後、遠心分離して得られる脂溶成分抽出液層の吸光度測定を行うことで、脂溶成分抽出液層に抽出されているビタミンA量を測定する方法が開示されている。
【0006】
特許文献2には、家畜より抽出された血液に、エタノールは混合せずに、ヘキサン等の脂溶成分抽出溶媒を混合して撹拌し、抽出溶媒の上清に光を照射して蛍光強度を測定することで、ビタミンA濃度を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2010-230447号公報
特開2019-219317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載された方法を行うには、遠心分離工程が不可欠である。遠心分離工程を行うに際しては、前処理が必要となったり、専用の装置が必要となる等、採血した現場で簡便に行うには不向きである。
【0009】
これに対し、上記特許文献2に記載された方法によれば、遠心分離工程は不要となるため、採血した現場でビタミン濃度の測定を行うことが可能となる。
【0010】
しかしながら、本発明者らの鋭意研究によれば、上記特許文献2の方法では、血中のビタミン濃度を測定するのに十分な量を抽出溶媒に溶解させることが難しいことが確認された。抽出溶媒に対する脂溶性ビタミンの溶解量が少ない場合、受光器側で受光される蛍光の強度が低くなるため、血中ビタミン濃度の多寡に応じた蛍光強度の変化が小さくなる。このことは、血中のビタミン濃度を高精度に測定することを難しくさせる。
(【0011】以降は省略されています)

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