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公開番号2024106010
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-07
出願番号2023010045
出願日2023-01-26
発明の名称鋼線材の高減面率延伸装置
出願人個人
代理人
主分類B21C 3/08 20060101AFI20240731BHJP(本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き)
要約【課題】 市販の熱間圧延線材を材料とし、より細径の線材を製造する装置を提供する。
【解決手段】 線材コイルの一端を引き出し、一定速度の線材供給装置により直進走行させる。該線材を引き抜く引抜装置を後続させ、その間、被加工材を直接通電により約1000℃に加熱する。引抜入口部で温度が最高、降伏力が最低、延伸・減面による引抜応力が最大となって延伸が継続する。前後速度比に対応した延伸比(減面率)が得られる。プロセス安定化条件として引抜装置は弾性圧下を保持する多段のピンチロールから構成し、各段引抜力を累積し、異常変形を防止する。引抜速度の調整により無停止で且つ任意の線径の細径線材が得られる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
鋼の熱間圧延線材を素材として、より細径の熱間加工線材を製造する装置であって、主に線材を定速で直進走行させる線材供給装置と、該線材を該定速よりも大きい速度で引き込む引抜装置と、該線材供給装置と該引抜装置間の線材に直接通電して該引抜装置入口部において最高温度に誘導する加熱装置との3点から構成され、1)該引抜装置は該線材(被加工材)を把持し引っ張る把持部を多段に具備し、2)各段の把持部はそれぞれ所定の圧下力を以て弾力的に被加工材を押圧し、3)各段の圧下力は前段の圧下力以上とし、4)各段の走行速度は前段以上とし、供給と引抜の速度差に対応して相似変形で延伸し、速度比に比例して延伸比を発現させることを特徴とする細径線材の製造装置。
続きを表示(約 380 文字)【請求項2】
下記5条件、
1)把持部がピンチロール又は被加工材を挟む上下のキャタピラ式無限ベルトコンベアの履板(Track shoe)から成ること、
2)加熱装置の電源は単相交流であって、電源の一端は該線材供給装置と該引抜装置間の線材の中間点に、他端は該線材供給装置と該引抜装置を電気結合するブスバーに結合し、上記区間以外の装置全体の電位が同一でアース電位とすること、
3)多段の把持部の圧下は空圧シリンダーによること、
4)供給装置の入口から引抜装置の出口間に少なくとも1台の圧下方向が直交する矯正ロールを設けること、
5)引抜装置の下流側にレーザー式線径測定器と、切断転轍機と、巻取ルートと屑ルートを設けること、
のうちどれか一つ以上を組み込んだことを特徴とする請求項1に記載した細径線材の製造装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は熱間圧延によって製造された鋼線材を素材としてさらに細径の線材を製造する装置に関している。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
鋼線の製造に当たって、材料として適切に制御冷却された熱延線材が使用され、多段の連続伸線機によって引抜加工が施され、所定の直径と所定の機械的性質が与えられる。鋼線径が約2mm以上の場合線材から直接製造されるが、以下の場合には所望の細径の線材が市販されていないので、線材を1次伸線してその後熱処理を加えて2次線材とし、これを材料とする。通常素線と称される。当然コストは線材から大幅に増加するだけでなく少量多品種に分散し生産効率にも問題が大きい。
【0003】
既存よりも細径になる線材を効率的に製造する方法を検討する。
特許文献1はダイレス伸線の1事例で、原理は古くから研究されている。それによると直進走行する鋼線に張力を負荷しつつ誘導加熱により急熱して当外部を軟化させ、直後に水冷を配して急冷し、当該部を強化し、巻取ボビンの引張力により急冷直前部で局所延伸させる。高減面率が得られること、断面形状は素材の相似変形であること、走行速度と巻取速度比に対応して線径を自在に変更することができるの3特長が得られる。多品種小ロット生産に活用できそうである。
【0004】
本方法の問題点は、絞り切れを発現させないため、加熱直後の急冷が不可欠であって、後続工程の伸線に必要な適切な制御冷却(熱処理)を作用させることができないことである。どうしても制御冷却を組み込むならば再加熱工程の後続が必要になる。全体制御の難易度が問題となる。
【0005】
特許文献2には、線材に熱間圧延と直後の制御冷却を付加して2次線材を製造する方法が開示されている。それによると線材を直進走行させ、通電加熱し、タンデムミル(多頭連続圧延機)により所定径に圧延し、レイング式巻取機により垂直螺旋リング列を形成し、該リング列を規則的に集積するとともに制御冷却を付加する。
言はば通常の線材製造方法のダウンサイジングと見なされる。既存の2次線材(伸線+熱処理)に比較してそれなりのコスト低減は可能になる。
【0006】
問題点は、種々の寸法変更に際して、圧延や伸線と同様、ロール列又はダイス列を組み換えしなければならず、操業上、煩雑・能率低下・必要部品数等に負荷が大きく、少量多品種への対応に欠く。
【0007】
既述の一種の引抜であるダイレス伸線は1回のパスで高減面率と寸法変更自在が得られるが、当原理を熱間圧延に代替させ、且つ高温保持を狙ったのが以下の方法である。
特許文献3には、棒線の高減面率(高延伸比)の圧延方法が開示されている。それによると線材をピンチロールにより直進走行させ、圧延機に供給し、ピンチロールと圧延機間で加熱し、圧延機の周速を給材速度よりも過剰に設定し、且つロール径比(=ロール径/材料径)を過大にして摩擦引抜力を増大させてロール面での滑り発生を抑制し、過張力下で大きな熱間延伸と圧延を併発させ、1パスの圧延で高減面率の加工を誘発する。過張力圧延と称する。延伸比10(減面率90%)も理論的に可能となる。
特徴は、高摩擦力に支えられて高速度比が得られ、高減面率が得られる。速度比に比例して任意の断面積が得られることである。
【0008】
本方法の問題点は、加工原理は強固であるが、実証が不十分であること、他に円断面の線材から加工された断面形状が圧延故に円が圧下され長円状になると言うことである。
【0009】
特許文献4には、前記の棒線の高減面率(高延伸比)の圧延方法の改良が開示されている。それによると、パイロットプラントによる試作において、加工条件のわずかな変動が前後ロール間で絞り切れ、また圧延機入口で引き込み不足による挫屈・キンクを誘発し、圧延停止がしばしば発生する。当該問題に対して、1)直接通電加熱を付加することにより圧延噛込部を最高温度に誘導して絞り位置を圧延機内に引き込み、絞り切れを防止する、2)圧延機下流側に補助ピンチロールを設けて圧延滑りを防止し、キンクの発現を抑止する。
【0010】
本方法の問題点は、プロセスは安定したが加工後の断面形状が従来同様円形ではなくなり実用上の不都合が生じたことである。引抜力を強化するために圧延が適用されている以上、これは避けられない問題である。当弱点を防止するには矯正圧延機を後続させなければならない。寸法調整が二重になって煩雑であり実施に気後れする。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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