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公開番号
2024091434
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-07-04
出願番号
2023182573
出願日
2023-10-24
発明の名称
ポリマー被覆ガラス基材
出願人
住友ゴム工業株式会社
代理人
弁理士法人WisePlus
主分類
C03C
17/28 20060101AFI20240627BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約
【課題】血球細胞等の正常細胞の捕捉を抑制し、がん細胞等の特定細胞を選択的に捕捉することが可能なポリマー被覆ガラス基材を提供する。
【解決手段】
ガラス基材の表面にポリマー層が形成されたポリマー被覆ガラス基材であって、前記ポリマー層の表面は、水中または水溶液中での弾性率が1.20MPa以下であるポリマー被覆ガラス基材に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ガラス基材の表面にポリマー層が形成されたポリマー被覆ガラス基材であって、
前記ポリマー層の表面は、水中または水溶液中での弾性率が1.20MPa以下であるポリマー被覆ガラス基材。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記弾性率が0.50MPa以下である請求項1に記載のポリマー被覆ガラス基材。
【請求項3】
前記弾性率が0.30MPa以下である請求項1に記載のポリマー被覆ガラス基材。
【請求項4】
前記弾性率が0.05MPa以上である請求項1に記載のポリマー被覆ガラス基材。
【請求項5】
前記ポリマー層が、下記式(I)で表されるポリマーにより形成されている請求項1に記載のポリマー被覆ガラス基材。
TIFF
2024091434000011.tif
34
156
(式中、R
51
は水素原子又はメチル基、R
52
はアルキル基を表す。pは1~8、mは1~5、nは繰り返し数を表す。)
【請求項6】
前記ポリマー層が、下記式(I-1)で表されるポリマーにより形成されている請求項1に記載のポリマー被覆ガラス基材。
TIFF
2024091434000012.tif
37
156
(式中、R
51
は水素原子又はメチル基、R
52
はアルキル基を表す。mは1~5、nは繰り返し数を表す。)
【請求項7】
前記ポリマー層が、下記式(II)で表される化合物と他のモノマーとの共重合体により形成されている請求項1に記載のポリマー被覆ガラス基材。
TIFF
2024091434000013.tif
30
156
(式中、R
51
は水素原子又はメチル基、R
52
はアルキル基を表す。pは1~8、mは1~5を表す。)
【請求項8】
前記ポリマー層が、下記式(II-1)で表される化合物と他のモノマーとの共重合体により形成されている請求項1に記載のポリマー被覆ガラス基材。
TIFF
2024091434000014.tif
33
156
(式中、R
51
は水素原子又はメチル基、R
52
はアルキル基を表す。mは1~5を表す。)
【請求項9】
前記ポリマー層を形成するポリマーの数平均分子量(Mn)が10000~39000である請求項5に記載のポリマー被覆ガラス基材。
【請求項10】
前記ポリマー層の厚みが10~1000nmである請求項1に記載のポリマー被覆ガラス基材。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー被覆ガラス基材に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
血液及び体液中の特定細胞(血球細胞、血液・体液中に存在するがん細胞等)を捕捉する器具を作製するために、基材表面を特殊な高分子でコーティングする技術が提案されている。
【0003】
しかしながら、基材表面上にがん細胞等の特定細胞が捕捉されると同時に、血球細胞も捕捉されるという懸念がある。従って、がん細胞等の特定細胞がより選択的に捕捉される一方で、血球細胞等の正常細胞の捕捉を抑制することが可能なポリマー被覆基材の提供が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記課題を解決し、血球細胞等の正常細胞の捕捉を抑制し、がん細胞等の特定細胞を選択的に捕捉することが可能なポリマー被覆ガラス基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ガラス基材の表面にポリマー層が形成されたポリマー被覆ガラス基材であって、前記ポリマー層の表面は、水中または水溶液中での弾性率が1.20MPa以下であるポリマー被覆ガラス基材に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ガラス基材の表面にポリマー層が形成されたポリマー被覆ガラス基材であって、前記ポリマー層の表面は、水中または水溶液中での弾性率が1.20MPa以下のポリマー被覆ガラス基材であるので、血球細胞等の正常細胞の捕捉を抑制し、がん細胞等の特定細胞を選択的に捕捉することが可能である。従って、ポリマー被覆ガラス基材により、がん細胞等の特定細胞の捕捉性能の向上が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、ガラス基材の表面にポリマー層が形成されたポリマー被覆ガラス基材であって、前記ポリマー層の表面の水中または水溶液中での弾性率が1.20MPa以下である。
【0008】
血中循環腫瘍細胞(数個~数百個/血液1mL)等の体液中にでてきた腫瘍細胞(がん細胞等)は、非常に数が少なく、検査に供するには、採取した体液中に存在する腫瘍細胞をできる限り多く捕捉することが重要と考えられる。本発明のポリマー被覆ガラス基材は、ポリマー層表面の水中または水溶液中での弾性率が1.20MPa以下である。血球細胞などの正常細胞に比べて、がん細胞等の特定細胞は、一般に柔らかいことが知られている。これは、がん細胞等の特定細胞が転移するときに、細胞の形状を大きく変形して、隙間をすり抜けて移動することと関係がある。このため、変形しにくく、硬い血球細胞などの正常細胞は、表面が柔らかいポリマー基材には、捕捉されにくくなる。一方、変形能を獲得したがん細胞等の特定細胞は、表面が柔らかいポリマー基材でも捕捉されやすい。従って、本発明のポリマー被覆ガラス基材のポリマー層に捕捉された腫瘍細胞の数を測定することで、体液中の腫瘍細胞数が判り、がん治療効果の確認等を期待できる。また、捕捉した腫瘍細胞を培養し、その培養した細胞で抗がん剤等の効き目を確認することで、抗がん剤等の投与前に、体の外で、抗がん剤等の効き目を確認できると同時に、抗がん剤等の選定にも役立つ。さらに捕捉した腫瘍細胞の遺伝子解析をすることで、抗がん剤等の選定に役立つ。
【0009】
上記ポリマー被覆ガラス基材は、ガラス基材の表面にポリマー層が形成され、かつ該ポリマー層の表面の水中または水溶液中での弾性率が1.20MPa以下である。
上記弾性率は、血球細胞等の正常細胞の捕捉を抑制し、がん細胞等の特定細胞を選択的に捕捉できる観点から、好ましくは0.80MPa以下、より好ましくは0.50MPa以下、更に好ましくは0.30MPa以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.05MPa以上、更に好ましくは0.07MPa以上である。
【0010】
上記水中または水溶液中での弾性率は、上記ポリマー層を形成するポリマーの分子量や、膜厚を変えることで調整可能である。具体的には、ポリマーの分子量が大きくなると弾性率が大きくなる傾向があり、また、ポリマー層の膜厚が大きくなると弾性率が大きくなる傾向がある。
上記水中または水溶液中での弾性率は、予め、ガラス基材にプライマー処理、シランカップリング剤処理などの表面処理を施すことでも調整可能である。具体的には、表面処理を施したガラス基材の表面上に上記ポリマー層を形成すると、弾性率が上がる傾向がある。
(【0011】以降は省略されています)
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