TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2024088493
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-02
出願番号2022203701
出願日2022-12-20
発明の名称線維症治療用FGFRアゴニストVHHを有効成分として含有する医薬組成物、及びその医薬組成物を含む医薬製剤
出願人株式会社Epsilon Molecular Engineering,積水化学工業株式会社
代理人弁理士法人川口國際特許事務所
主分類A61K 39/395 20060101AFI20240625BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】 本発明は、線維症又はNASHの治療に用いることができる、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)アゴニストVHH、それを有効成分とする医薬組成物及び医薬製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、配列表の配列番号1の配列をCDR3に有する、FGFR1の細胞外ドメインに結合するアルパカ由来VHHに、ヒトFc配列を付加したアゴニストVHH-Fc結合体を有効成分とする医薬組成物である。このVHH-Fc結合体を含む医薬組成物を動物に投与することにより、各種臓器の線維化を改善することができる。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1の細胞外ドメインに結合するアルパカ由来VHHに、ヒト抗体のFc配列を付加したVHH-Fcを有効成分として含有する、線維症治療用医薬組成物。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記VHHは前記FGFR1の細胞外ドメイン3に結合することを特徴とする、請求項1に記載の線維症治療用医薬組成物。
【請求項3】
前記VHHの結合活性がFGFR1、FGFR4、FGFR3、FGFR2の順に強いことを特徴とする、請求項2に記載の線維症治療用医薬組成物。
【請求項4】
配列表にある配列番号1のCDR3配列を有することを特徴とする、請求項2に記載の線維症治療用医薬組成物。
【請求項5】
前記VHHの全長のアミノ酸配列は配列表の配列番号2に示す配列で表されることを特徴とする、請求項4に記載の線維症治療用医薬組成物。
【請求項6】
前記線維症の罹患臓器が脳を除くいずれかの臓器であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の線維症治療用医薬組成物。
【請求項7】
前記線維症の罹患臓器が肝臓であることを特徴とする、請求項6に記載の線維症治療用医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の医薬組成物を含有する医薬製剤。
【請求項9】
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1の細胞外ドメインに結合するアルパカ由来VHHに、ヒト抗体のFc配列を付加したVHH-Fcを有効成分として含有する、NASH治療用医薬組成物。
【請求項10】
前記VHHは前記FGFR1の細胞外ドメイン3に結合することを特徴とする、請求項9に記載のNASH治療用医薬組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、線維症治療用FGFRアゴニストVHH、それを有効成分として含有する医薬組成物及び医薬製剤に関する。また、本発明は、NASH治療用FGFRアゴニストVHH、それを有効成分として含有する医薬組成物及び医薬製剤に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
動物の身体は損傷した組織を治癒する能力を持っている。組織の損傷治癒は線維芽細胞や間葉系細胞等が筋線維芽細胞に分化し、傷口の閉鎖及びI型コラーゲン等細胞外基質を合成、沈着させることによって果たされる。そして損傷の治癒後、筋線維芽細胞はアポトーシスを起こし、消滅する。しかし、炎症など持続的な損傷に起因して、筋線維芽細胞がアポトーシスを起こさず存在し続けることがある。この場合、細胞外基質の合成は延々と続き、細胞外基質が異常に増加することになり、組織の線維化が起こる。このような細胞外基質が異常集積することによって組織が弾性を失っていく病気は、一般に線維症と呼ばれる。このような組織の線維化は神経組織を除いた全臓器(例えば心臓、肺、膵臓、肝臓、腎臓等)で起こり得る(非特許文献1)。
【0003】
線維化は臓器を硬直させ最終的に機能不全を引き起こすため、その治療は重要である。例えば、肺の線維症の一種である特発性肺線維症は、罹患すると肺の硬直によって患者は呼吸困難になっていき、最終的に死に至る疾患であり、患者の平均余命は3~5年であることが知られている。
また、肝臓の病気である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)の罹患者は日本では約1500万人とされている。NAFLDのうち非アルコール性脂肪肝をNAFL、そこから病状が進行した状態である非アルコール性脂肪性肝炎をNASHと呼ぶ。NAFLD患者の1割はNASHからさらに悪化し、肝臓の線維化、肝硬変、そして肝臓がんといった経過を辿るとされている。こうした経過をたどる患者数は、米国ではさらに多く、NAFLDの患者は人口の25~35%(約1億人)に達し、そしてその約2割がNASHに至るとされている。
【0004】
また、SARS-CoV-2によるCOVID-19は様々な呼吸器疾患を惹起することが知られている。COVID-19の罹患者の多くは完治するが、一部の人に動悸息切れや呼吸困難といった後遺症が残ることが知られている。CTスキャンを用いた後遺症に関するフォローアップ研究では、その44.1%に肺にすりガラス状影(ground glass opacity )が、33.9%に線維性索状影(fibrous stripe)がそれぞれ見られた(非特許文献2)。また、COVID-19から回復した患者の肺組織を病理学的手法により解析すると、肺炎を起こしていた領域に線維化が見られることもわかった(非特許文献3)。SARS-CoV-2と同じコロナウイルスを原因とするsevere acute respiratory syndrome (SARS)では、発症から7年後であってもCTスキャンによって、肺組織の線維化が確認されている。したがって、COVID-19でも同様に、長期にわたり線維化による後遺症に悩まされる患者が出現することが予想されている。
【0005】
このように線維症患者数が多いことおよびその症状の重篤さから、線維症の治療が望まれてきたが、これまで線維化は不可逆的な現象であり、その治療は不可能であると考えられてきた。しかし、近年、線維化の研究が発展し、その病態の一端が解明されてきた。従来、損傷部位に存在する内皮細胞や免疫細胞が、様々なサイトカインを分泌することが知られている(非特許文献4)が、現在、線維症は、これらのサイトカインが免疫細胞や筋線維芽細胞等に働きかけることで線維化が促進又は抑制されるというダイナミックなプロセスによって起こると考えられている。しかし、未だその詳細な機構はわかっていない。
【0006】
線維芽細胞増殖因子(以下、「FGF」と略すことがある。)は1973年に発見された細胞増殖因子であり、ファミリーを形成している。そして、その構成メンバーは、ヒトでは22種類又は23種類同定されている。この相違は、ヒトFGF19がマウス相同分子種であるため、ヒトFGF15とFGF19とを別種とするか否かによる。これまでに同定されたFGFは、その全てが構造類似性を持つシグナリング分子であり、幅広い効果を示す多機能性タンパク質であることが知られている。
【0007】
FGFは、一般的には細胞の分裂促進因子として作用するが、これ以外にも効果を示すことが知られており、「非特異的(promiscuous)成長因子」と言われることもある。ここで、生化学等の分野における「非特異性(promiscuity)」は、1つの受容体や酵素に対してどのくらい多様な分子が結合し反応を示しうるかを表す概念である。FGFの場合、4つの受容体サブタイプが20以上の異なるFGFリガンドによって活性化される。FGFは、発生の過程では、中胚葉誘導、前後軸パターン形成、四肢形成、神経系誘導と神経発生等に関与すること、成熟組織においては、血管新生、角化細胞の組織化、創傷治癒の過程に関与すること等、多くの機能を有することが知られている。
【0008】
FGF1から10は、全ての線維芽細胞増殖因子受容体(以下、「FGFR」ということがある。)と結合することが知られており、それらのうち、FGF1は酸性FGF(「aFGF」と呼ばれることもある。)、FGF2は塩基性FGF (「bFGF」と呼ばれることもある。)として知られている。FGF11から14はFGF相同因子1から4(以下、「FHF1から4」のように言うことがある。)としても知られ、他のFGFとかなりの配列相同性が認められるにもかかわらず、FGFRとは結合しない。また、他のFGFが関係しない細胞内プロセスに関与することから、別名「intracellular FGF」とも呼ばれ、他のFGFとは機能が異なるといわれている。
【0009】
また、FGFには、FGF19、FGF21及びFGF23をメンバーとして含むサブファミリーがある。他のFGFファミリーのメンバーが局所的な作用を示すのに対し、上記のサブファミリーのメンバーは代謝調節因子として作用すること、すなわち、全身作用を示すことが知られている。これらの中でも、FGF21は、FGFR1、FGFR2、及びFGFR3に特異的に結合すること、そして膜結合性共受容体のβ-クロトーと一緒にこれらの受容体を介してインスリン抵抗性及び2型糖尿病を改善することが知られており、また、肥満症及び肥満症誘発性脂肪肝及び高血糖症を逆転する潜在的な疾患修飾剤として報告されている。抗FGFR1アゴニスト抗体もまた、糖尿病の治療用の候補薬剤として提案されている(特許文献1参照、以下、「従来技術1」という。)。
【0010】
FGFRは4種類(FGFR1~4)あり、構造的には、いずれも細胞外に3つの免疫グロブリン様ループドメイン(ドメイン1~3)を、また細胞内にチロシンキナーゼドメインを持ち、この4種類で受容体型チロシンキナーゼファミリーを形成している。細胞外ドメインにリガンドが結合した時に、細胞内チロシンキナーゼドメインは、細胞の増殖を正に誘導する役割を果たしており、通常その活性は厳密にコントロールされている。しかし、癌細胞内では、EML4-ALKその他のタンパク質と融合したり、又はチロシンキナーゼ遺伝子の配列の突然変異を生じさせたりすることによって、例えば、活性型EGF受容体のように、常に活性化された状態となり、「癌化」を誘導することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
男性用下着
2か月前
個人
錠剤撒き器
1か月前
個人
穿刺補助具
3か月前
個人
蓋付きしびん
4か月前
個人
入れ歯
4か月前
個人
聴診器
4か月前
個人
介護浴槽
4か月前
株式会社コロナ
脱臭機
1か月前
個人
排便漏れ予防装具
2か月前
個人
入浴介護補助装置
4か月前
個人
挟圧手工爪矯正具
1か月前
個人
鼻腔拡張具
1か月前
個人
マウスピース
3か月前
個人
スプレー式目薬容器
5か月前
個人
口腔ケア用歯ブラシ
1か月前
個人
座椅子脱着式車椅子
4か月前
個人
マッサージガン保持具
5か月前
個人
圧排器具
3か月前
株式会社ファンケル
化粧料
6日前
株式会社いうら
介助リフト
6か月前
株式会社ダリヤ
皮膚洗浄剤
1か月前
株式会社ニデック
眼科装置
2日前
株式会社ニデック
眼科装置
23日前
株式会社ニデック
眼科装置
4か月前
個人
弾性材一体コルセット
6か月前
株式会社ニデック
眼科装置
27日前
株式会社ニデック
SLO装置
2か月前
株式会社ダリヤ
整髪料組成物
4か月前
株式会社コーセー
粉末化粧料
3か月前
住友精化株式会社
乳化組成物
6か月前
株式会社TAT
冷却具
1か月前
共栄化学工業株式会社
組成物
4か月前
個人
色調採得支援方法
3か月前
株式会社ノエビア
皮膚外用剤
6か月前
株式会社八光
分岐管コネクタ
3か月前
株式会社ノエビア
皮膚外用剤
1か月前
続きを見る